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持時間が同じで,360 nmで顕著な吸収を示す有機化合物も妨害となる。このような妨害は,分離条件を変
える(例えば,別のHPLCカラム又は移動相組成を使う。)ことによって改善できることがある。
ホルムアルデヒドによるDNPH試薬の汚染は,しばしば遭遇する問題である。DNPHは,紫外線吸光度
測定用又は高速液体クロマトグラフ用のアセトニトリルで数回再結晶することによって精製しなければな
らない。再結晶は,結晶の大きさを最大にするため,4060 ℃の温度で溶剤を徐々に蒸発させる。DNPH
中のカルボニル化合物の不純物レベルは,使用する前にHPLCによって測定し,カートリッジごとに0.15
μg以下にすることが望ましい。
DNPHをコーティングしたサンプリングカートリッジは直射日光に暴露されると,二次的な汚染が生じ
るので避けなければならない[17]。
この方法は空気中のアクロレイン及びクロトンアルデヒドの正確な定量に適用することはできない。結
果が不正確になるのは多数の誘導体のピークが生成し,そのピーク比が不安定なためである[18]。
二酸化窒素はDNPHと反応する。高濃度の二酸化窒素(例えば,料理用ガスレンジ)は問題を起こすこ
とがある。ニトロ-DNPH誘導体の保持時間は,HPLCのカラム及び操作条件に依存するがホルムアルデヒ
ド-DNPH誘導体の保持時間と類似することがある[13],[14],[19]。
4.2 オゾンの干渉
高濃度のオゾンがサンプリングエリア内(例えば,コピー機から)に存在する可能性がある場合,特に
注意することが望ましい。カートリッジ内でDNPH及びその誘導体(ヒドラゾン)の両方と反応すること
によって,オゾンによる負の妨害が明らかになっている[20]。妨害の程度は,オゾン及びカルボニル化合
物両方の時間的な変動及びサンプリング時間に依存する。オゾンによる負の妨害は清浄な環境空気中の一
般的なホルムアルデヒド及びオゾン濃度(それぞれ2 μg/m3と80 μg/m3)においても観察されている[19]。
サンプル中にオゾンが存在すると分析時にホルムアルデヒドのヒドラゾン誘導体の保持時間より短い新た
な化合物が出現することから容易に推定できる。図2にホルムアルデヒドを添加した空気試料流に,オゾ
ンを含んだ場合と含まない場合とのクロマトグラムを示す。
オゾンの妨害に対する最も直接的な解決方法は,試料空気がカートリッジに達する前にオゾンを取り除
くことである。これは,カートリッジの前に置かれたオゾンデニューダ又はスクラバーを使用することに
よって可能となる。オゾンデニューダとスクラバー双方とも市販のものが利用可能である。デニューダは
外径0.64 cm,内径0.46 cm,長さ1 mの銅管で作られ,その中によう化カリウムの飽和水溶液を満たし,
数分間(例えば,5分間)そのまま放置後,排液し,約1時間清浄空気又は窒素を流し乾燥する。ここで
規定したオゾンデニューダの能力は,オゾン量として200 μg/m3・hである。試料空気の気流中に動的に添
加した試験用アルデヒド(ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,プロピオンアルデヒド,ベンズアルデ
ヒド及びp-トルアルデヒド)は,実際上全く減少することなくオゾンデニューダを通過した[21]。粒状の
よう化カリウム300500 mgを充したカートリッジから作製されている市販のオゾンスクラバーもまた,
オゾンを除去するのに有効である[22]。
――――― [JIS A 1962 pdf 6] ―――――
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X 未知 0 DNPH 1 ホルムアルデヒド 2 アセトアルデヒド
A オゾンあり B オゾンなし
図2−サンプリングカートリッジ中のオゾンを含む場合と含まない場合との
気流をサンプリングしたクロマトグラムの一例
5 安全対策
2,4-ジニトロフェニルヒドラジンは,乾燥した状態で爆発性があり,極めて注意深く取り扱わなければ
ならない。有毒(ラット,LD 50=654 mg/kg)であり,幾つかの試験では変異原性が示され,目及び皮膚
に刺激性がある。
過塩素酸は68 %(wt/wt)以下の濃度では,室温において安定で酸化性はない。しかし,160 ℃以上の温度
では容易に脱水し,アルコール,木材,セルロース,及びその他の酸化されやすい物質と接触すると爆発
を起こす場合がある。気温の低い,乾燥した場所で保管し,ドラフトチャンバー内で注意深く使う必要が
ある。
6 装置(一般的な実験室装置)
6.1 サンプリング
6.1.1 サンプリングカートリッジ 箇条8に従って,DNPHでコーティングしたシリカゲルを充したも
の,又は市販品も利用可能である。例えば,カートリッジは最小0.29 %(wt/wt)のDNPHをコーティングし
たシリカゲルを350 mg以上含み,シリカゲル層の長さは層の直径より長くする。ホルムアルデヒドに対
するカートリッジの捕集容量は75 μg以上で,サンプリング流量1.5 L/minのとき,捕集効率は95 %以上
でなければならない。高性能で低ブランクのサンプリングカートリッジが市販されている。
注記 使用者による自作のカートリッジは,圧力損失が大きい場合がある。何種類かの市販のコーテ
ィング済みカートリッジは圧力損失が小さいことから,電池駆動小形採取ポンプでも使用でき
る。
――――― [JIS A 1962 pdf 7] ―――――
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6.1.2 サンプリングポンプ 0.11.5 L/minまで正確かつ精密にサンプリングすることができるもの。
6.1.3 流量調節器 サンプリングカートリッジに0.501.20 L/minまでの流量で流れる空気を測り,流量
設定するための質量流量計及び質量流量調節器,又はその他の適切な装置。
6.1.4 流量校正装置 ロータメータ,石けん膜流量計,又は湿式ガスメータ。
6.2 試料の調製
6.2.1 カートリッジ容器 コーティングされたカートリッジを運ぶためのポリプロピレン製ねじ込みキ
ャップ付きほうけい酸ガラス培養管(20 mm×125 mm),又はその他の適切な容器。
6.2.2 ポリエチレン製手袋 シリカゲルカートリッジを取り扱うのに使用する。
6.2.3 輸送容器 茶筒状の金属缶(例えば,4 L)又は他の適切な容器で,密封されたカートリッジ容器
を保持するため,そのクッションとなる発泡ポリエチレン製のパッキン又はその他の適切な詰め物を入れ
たもの。
注記 市販のコーティング済みDNPHカートリッジに附属の加熱シールができるアルミホイルを張っ
たプラスチック袋があれば,サンプリング後のDNPHコーティングカートリッジの保管に使用
することができる。
6.2.4 コーティング用カートリッジ支持台 例えば,四隅に長さが調節できる脚が付いたアルミニウム板
(0.16 cm×36 cm×53 cm)から作られたシリンジ用ラック(図3参照)。洗浄,コーティング,又は試料
溶出の際,45個のカートリッジのバッチ処理を可能にするためのもので,プレートの中央から対称的に穴
をあけ,10 mLのシリンジの直径より少し大きい直径の穴の行列(5×9)をもつもの(図3参照)。
6.2.5 カートリッジ乾燥用多岐管 例えば,ガスコネクタと多数の標準おす形シリンジコネクタを取り付
けるもの(図3参照)。
注記 6.2.4及び6.2.5で規定した装置は,使用者が自分自身でDNPHをコーティングしたカートリッ
ジを作ることを選択した場合だけ必要となる。
――――― [JIS A 1962 pdf 8] ―――――
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1 10 mLガラスシリンジ 2 試料管ラック 3 カートリッジ 4 排出液受け
5 N2ガスの流れ 6 シリンジ固定器具 7 排出用バイアル
図3−カートリッジのコーティング及び試料乾燥のためのシリンジ用ラック
6.3 試料の分析
6.3.1 HPLCシステム
このシステムは,次に示すa) f)から構成される。
a) 脱ガスデバイス(例えば,減圧膜)付き移動相貯槽
b) 高圧ポンプ
c) 注入弁(25 μL又は適切な容積のループをもつ自動試料採取装置)
d) 18逆相(RP)カラム(例えば,長さ25 cm,内径4.6 mm,粒径5 μm)
e) 360 nmにおいて操作できる紫外線吸収検出器又はダイオードアレイ検出器
f) データ処理システム又はチャート記録計
DNPH-ホルムアルデヒド誘導体は360 nmで操作される紫外線吸収検出器付きイソクラティック逆相
HPLCを使って定量される。ブランクカートリッジも同様に抽出し,分析する。試料中のホルムアルデヒ
――――― [JIS A 1962 pdf 9] ―――――
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ドと他のカルボニル化合物は,標準溶液との保持時間の比較によって同定し又はピーク高さ,ピーク面積
との比較によって同定,定量する。
注記1 ほとんどの市販のHPLC分析システムは,この用途に十分適している。
注記2 カラム温度の安定化及び再現性の改善のために,カラム恒温槽をつけることができる。
6.3.2 シリンジ及びピペット
6.3.2.1 HPLC注入シリンジ ループ容積の少なくとも4倍の容量をもつもの(6.3.1参照)。
6.3.2.2 液体用シリンジ 容量10 mL,DNPHでコーティングされたカートリッジを準備するのに使用す
る(ポリプロピレン製シリンジが適切)。
6.3.2.3 シリンジ継手及びプラグ カートリッジをサンプリングシステムに接続するため及び準備され
たカートリッジに蓋をするために用いる。
6.3.2.4 ピペット 010 mLの範囲で可変のもの,積極的に置換,繰り返し分注するために用いられる[1]。
7 試薬
分析に際しては,特に明記のない限り,分析用試薬(例えば,試薬特級,化学分析用,HPLC分析用)
及び適切な純度をもつ水だけを使用する。
7.1 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン JIS K 8480に規定するもので,使用前に少なくとも2回紫外線吸
光度測定用又は高速液体クロマトグラフ用のアセトニトリルで再結晶する。
7.2 アセトニトリル 紫外線吸光度測定用又は高速液体クロマトグラフ用(各々の溶剤は使用前に試験
した上で用いる。)と同等のもの。
7.3 水 高速液体クロマトグラフ用超純水(蒸留水)と同等のもの。
7.4 過塩素酸 JIS K 8223に規定する60 %(wt/wt),密度1.51 kg/L(最高等級の試薬)。
7.5 濃塩酸 JIS K 8180に規定する36.538 %(wt/wt),密度1.19 kg/L(最高等級の試薬)。
7.6 塩酸 2 mol/ L(最高等級の試薬)。
7.7 ホルムアルデヒド JIS K 8872に規定する37 %溶液(wt/wt)(最高等級の試薬)。
7.8 アルデヒド及びケトン 高純度,DNPH誘導体の標準品の調製に使用(任意)。
7.9 エタノール又はメタノール 高速液体クロマトグラフ用と同等のもの。
7.10 窒素 高純度等級[99.999 % (wt/wt) 以上のもの]。
7.11 活性炭 粒状(最も良いもの)。
7.12 ヘリウム 高純度等級[99.999 % (wt/wt) 以上のもの]。
8 試薬及びカートリッジの調製
8.1 2,4-ジニトロフェニルヒドラジンの精製
DNPH試薬のホルムアルデヒドによる汚染は,しばしば起きる問題である。DNPHは,紫外線吸光度測
定用又は高速液体クロマトグラフ用アセトニトリルで数回再結晶によって精製しなければならない。再結
晶は,結晶の大きさを最大にするため,4060 ℃において溶剤をゆっくり蒸発させることで可能となる。
DNPH中のカルボニル化合物の不純物レベルは,HPLCによって使用の前に測定し,カートリッジ及び化
合物ごとに0.15 μg以下であることが望ましい。
過剰のDNPHを200 mLのアセトニトリル中で約1時間沸騰させることによって,DNPHの過飽和溶液
を調製する。1時間後に,上澄液を,ホットプレート上の覆いをしたビーカーに移して,徐々に4060 ℃
に冷却する。この溶液を溶剤の体積の95 %が蒸発するまで温度(40 ℃)に維持する。残液を捨て,得ら
――――― [JIS A 1962 pdf 10] ―――――
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JIS A 1962:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 16000-3:2011(MOD)
JIS A 1962:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.040 : 気質 > 13.040.20 : 雰囲気
JIS A 1962:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK8180:2015
- 塩酸(試薬)
- JISK8180:2021
- 塩酸(試薬)
- JISK8223:2016
- 過塩素酸(試薬)
- JISK8480:2020
- 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(試薬)
- JISK8872:2008
- ホルムアルデヒド液(試薬)
- JISQ17025:2018
- 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項