JIS A 1965:2015 室内及び試験チャンバー内空気中揮発性有機化合物のTenax TA(R)吸着剤を用いたポンプサンプリング,加熱脱離及びMS又はMS-FIDを用いたガスクロマトグラフィーによる定量 | ページ 6

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D.3.2 標準的なサンプラの準備
標準的な捕集管は,5.9で規定したキャリヤーガスを50 mL/min100 mL/minでサンプラの捕集する反対
側から標準溶液又は標準ガスを導入する。
液体標準物質は,サンプラに強く保持しない(一般的にはメタノール),又は目的物質より前に(クロマ
トグラフ的に)溶出する溶媒を準備することが望ましい。標準物質添加の際に溶媒が多いことで捕集管に
標準物質が保持しないのであれば,注入量を例えば1 μL以下にする。
ガス及び溶液共に対象とする物質の範囲が広い場合には,標準溶液をまず導入し,必要に応じて溶媒を
パージすることが望ましい。そして,標準ガスを導入する。標準添加に際し,破過容量を超えないように
注意する。
D.4 装置
D.4.1 1種又は複層吸着剤を充したステンレススチール,不活性化処理したスチール又はガラスサンプ

6.1に規定したサンプラに,分析対象物質によって3種類までの吸着剤を充することができる。複数の
吸着剤は,捕集管から出ないように留め具を設置する(図D.1)。
Tenax TA 200 mgをVOCの捕集及び分析に使用し,例えばn-C22炭化水素に相当する沸点のガス状物
質についても同様に使用される。
注記1 Tenax TAの種類によって密度は様々である。しかしながら,Tenax TA 200 mgで内径5 mm
金属サンプラで40 mm以下,内径4 mmのガラスサンプラで60 mm以下の充長さとなる。
準揮発性物質(n-C22以上の沸点をもつ物質)の回収は,Tenax TA 200 mgの前に石英ウ
ール(5 mm10 mm)を弱く充することによって改善する。
VVOCの定量捕集及び分析は,Tenax TAの後に適切な保持力の強い吸着剤を20 mm加え
ることで可能となる。
注記2 吸着力の強いCarbopack X及びCarbograph 5 TDの選択には,1,3-ブタジエン程度の揮発性物
質の定量保持及び分析に適しているが,チャンバー又はセル空気からの湿気の影響がある。
注記3 更に揮発性の高い物質,C3炭化水素及びビニルクロライドを捕集するためには,更に強い吸
着剤(例えばカーボンモレキュラーシーブ)の使用も可能である。しかし,このような吸着
剤を充したサンプルは,水を保持する傾向があり(JIS A 1960参照),加熱脱着(TD)-GC/MS
(FID)分析の際にドライパージを行うことが通常必要となる。
注記4 内径5 mmのステンレススチール又は不活性化処理したスチールは,Tenax TA 200 mg及び
吸着力の強い捕集剤20 mmが限界である。
注記5 金属製サンプラにTenax TAの量に関係なく3種類の吸着剤を充することが可能である。
例えば,石英ウール(5 mm),Tenax TA(175 mg,35 mm以下),Carbograph 5 TD又はCarbopack
X 20 mm。全ての捕集剤は,サンプラの中央(約60 mm)に配置し(図D.1参照),加熱脱
着装置に捕集剤が直接接触しないようにする。
注記6 全ての捕集サンプラは,捕集の方向と反対の方向でキャリヤーガスを流して脱離することが
望ましい(図D.1)。

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1 ステンレススチール又は不活性化処理したスチールサンプラ
2 石英ウール5 mm
3 Tenax TA,35 mm以下,175 mg
4 吸着力の強い吸着剤20 mm,例えばCarbograph 5 TD又はCarbopack X
5 金網を保持するスプリング
6 吸着剤を保持する金網
7 吸着剤を保持する金網又は石英ウール0.5 mm
8 吸着剤を保持する金網
a 脱離の際のガスの流れ
b 捕集の際の空気の流れ
図D.1−広範囲の揮発性物質を捕集するための複層吸着剤を金属サンプラに充した例
注記7 破過容量の決定には,JIS A 1966の附属書Aに規定されている。破過容量又は保持容量は,
ガス状有機物質の吸着力(親和性)を測定して使用される。温度に依存し,サンプラの長さ
及び吸着剤の質によるものである。一般的に,SSVは破過容量の2/3とする。概算で吸着剤
の長さを2倍とすると,破過容量も2倍となる。同様に,捕集期間中温度が10 ℃上昇する
と,破過容量は1/2となる。多くの破過容量及びSSV(例えば,附属書B及びJIS A 1966)
は20 ℃であることに注意する。
注記8 複層吸着サンプラの最適なポンプの流量は,20 mL/min100 mL/minの範囲である。
注記9 不活性化処理したステンレススチール又はガラスサンプラは,反応性,臭気物質の捕集に適
している。また代替手法として,1本のサンプルに1種類の吸着剤を充して長さを増やし
たサンプラを,吸着力の弱いサンプラを先頭に一列に接続する方法がある。しかし,捕集及
び分析については効率的ではない。
注記10 充済み及び充・調整済みのサンプラは市販され,利用可能である。吸着サンプラは,7.1
に規定されている方法で充することが可能である。
D.4.2 キャピラリGCカラム
6.8に示されている要項に従う。VOCが対象である場合には,厚い膜厚及び/又は長いキャピラリーカ
ラムが必要となる。
D.4.3 加熱脱離装置
VVOC,VOC,SVOCなど広範囲の揮発性の物質を同時に分析するには,1種類以上の吸着剤が必要で
ある。サンプラ及び濃縮部共に長さを増加すること,バックフラッシュ脱離が必要となる。バックフラッ
シュとは,吸着剤又は濃縮部から試料を脱離するガスの流れをサンプル又は濃縮中に逆流させるものであ
る。この方法で,高い蒸気圧物質は前段の(弱い)吸着剤に捕捉及び脱離並びに後段の(強い)吸着剤に

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接触しなくなるものである。
D.5 チャンバー及びセルの空気の捕集
D.5.1 概要
湿気の多い試料からの放散物質を捕集する際には,サンプル中へ結露による湿気の問題を防ぐために,
サンプルはチャンバー空気と同程度の温度とすることに注意する。
D.5.2 サンプルの保管
捕集後速やかにサンプルにキャップを装着し,密閉性の高い放散のないコンテナに入れ,清浄な環境で
保管する必要がある。1層の吸着剤のサンプルは,室温で保管が可能である。多層吸着剤サンプラは,サ
ンプル中の捕集物質の遷移を最小限にするために冷蔵の環境で保管する必要がある。分析は捕集後速やか
に,4週間以内に行う。
冷蔵のサンプル長期間保管用キャップは,保管温度が最低になったときにもう一度締め付けることが望
ましい。
冷蔵のサンプルは,分析の際にキャップを開ける前に,室温にしてもよい。
注記 保管の後の吸着剤からのVOCの回収に関する情報は,この規格及びJIS A 1966から得られる。
D.6 分析
D.6.1 分析条件
広範囲の蒸気圧の物質の分析には,個々の物質で脱離効率(95 %以上)とすることが重要である。試験
条件の例を次に示す。
− 脱離温度 200 ℃320 ℃
− 脱離時間 5 min15 min
− 脱離ガス流量 20 mL/min50 mL/min
− 冷却トラップの高温度 250 ℃330 ℃
− 冷却トラップの低温度 −150 ℃(冷却濃縮TDシステム)30 ℃+30 ℃(トラップ脱着)
− 冷却トラップ吸着剤 石英/Tenax TA/カーボンブラック(又はカーボンモレキュラーシー
ブ)
− トランスファーライン温度 150 ℃220 ℃
サンプラと冷却トラップ及び冷却トラップと分析カラム(該当する場合)のスプリット比は,予想され
る空気中の濃度によって決まる(加熱脱離装置の取扱説明書を参照)。
注記 メルカプタン及びアミン類など反応性,臭気物質の定量的回収率及び分析を保証するために,
低い脱着温度及び低いトランスファーライン温度(例えば80 ℃120 ℃)とする必要がある。
濃縮トラップの吸着剤の長さを変えることで,一度の分析で測定できる分析の範囲を広げることができ
る。バックフラッシュトラップ脱離が必要である。ブランクを最小限にするために,サンプルの条件及び
清浄化温度は,通常分析の脱離温度よりも10 ℃20 ℃高くすることが望ましい。しかし吸着剤の最高使
用温度を超過しないようにする。
D.6.2 脱離効率の検証
脱離効率は,JIS A 1966に規定された手順又は単成分でTD-GC/MS/FIDによる分析を行うことで可能で
ある。後者の方法では,脱着剤からの溶出[すなわち,一次脱離及び/又は二次脱離(トラップ)中のス

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プリット溶出]は,ガス捕集と同様に調整されたサンプルに一定量再捕集される。再捕集されたサンプル
を分析すると,スプリット溶出した物質が再度捕集される。化合物が期待される回収率となれば(スプリ
ット率,及び/又は標準物質で他の物質の回収率と比例関係にある),これらの物質は低い脱離効率である
ことを示している。
D.7 チャンバー及びセル空気の放散ガス濃度の決定
VVOC及びSVOCは,この附属書に記載されている捕集及び分析手順を遵守すれば,VOCと同様の分
析で定量できる可能性がある。次にその項目を示す。
a) サンプルに適切な吸着剤又は吸着剤の組合せで使用する(D.4.1参照)。
b) 冷却トラップに適切な吸着剤又は吸着剤の組合せで使用する(D.6.1参照)。
c) 広範囲の分析に適したGCカラム及びGC分析条件を選択する(D.4.2及びD.6.1参照)。
TVOCの範囲外の物質の捕集及び分析性能については,箇条14に示したVOC分析の品質管理で確認す
ることが可能である。
注記1 サンプラ及び冷却トラップに,石英ウール,Tenax TA及び吸着力の強いカーボンブラック
(D.4.1及び図D.1参照)の3種類の吸着剤をバックフラッシュ脱離と共に使用することで,
n-C4からn-C26以上の範囲の物質の同時定量分析が可能となる。これらの吸着剤は疎水性で,
水分による妨害の影響がないため,D.4に示した湿気の多い製品又は材料の放散試験,結露
に対する通常の予防で適応することができる。
注記2 広範囲の物質を捕集するための吸着剤に関する追加情報は,JIS A 1966にある。
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  • ISO 16000-6:2011(MOD)

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