JIS A 1969:2015 室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)の吸着捕集・溶媒抽出・キャピラリーガスクロマトグラフィーによるサンプリング及び分析―パッシブサンプリング | ページ 2

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6.2 保管容器

  サンプラを入れて密閉することができるガラス,金属又は樹脂製の容器。

6.3 ガスクロマトグラフ

  水素炎イオン化検出器,光イオン検出器,質量分析計又は他の適切な検出器付きのガスクロマトグラフ
で少なくともS/N比5 : 1で注入量0.5 ngのトルエンが検出可能なものが適している。

6.4 シリンジ

  0.1 μLまで読取り可能な10 μLの精密液体シリンジ。

7 サンプリング

  サンプリング直前にサンプラを保管容器から取り出し,汚染防止カバーがある場合はこれを取り外して
サンプリングを開始する。
適切なサンプリング位置を選択する。サンプリング位置の選択には,JIS A 1960及びJIS A 1964に規定
がある。
サンプリング時間は,測定濃度に応じて824時間の範囲で設定し,サンプリング後は(汚染防止カバ
ーがある場合は,これを装着した後)再度サンプラを保管容器に入れ密閉する。
サンプリング開始時と終了時の時間,必要に応じて気温及び気圧を記録する。
サンプラは識別のためラベルを付ける。塗料を含む溶剤,マーカ及び粘着ラベルを,サンプラのラベル
に用いてはならない。
試料は,清潔でコーティングのされていない密閉した金属又はガラス製の容器内に保管する。特定条件
下において,特定条件に換算した濃度を表示したいときは,サンプリング中,必要に応じて気温及び気圧
を記録する。
トラベルブランクはサンプリングに使用するものと同様のサンプラを用い,サンプリングした期間のサ
ンプラと同様の取扱い手順で処理する。トラベルブランクであることを識別する。
なお,風速が非常に大きい場合(12 m/sec以上),性能特性が十分把握されていないため,使用者はこれ
らの影響の可能性についても注意する必要がある。

8 手順

8.1 安全上の手順

  この規格は,その使用に関する全ての安全性に関して規定してはいない。この規格の使用者は,事前に
適切な健康及び安全性のための手順を確立し,規制条件を決めなければならない。

8.2 抽出及び分析

  抽出操作は,清浄な空気環境下で行う。捕集されたVOCを適切な量(12 mL)の溶媒によって吸着剤
から抽出する。市販のサンプラによっては,サンプラを解体などすることなく抽出可能なタイプ及び吸着
剤を別の容器に移して抽出するタイプのものもある。
バックアップ捕集部のあるサンプラの場合は,当該部分の吸着剤はサンプリング部分と別々に抽出操作
を行う。
VOCのガスクロマトグラフ分析条件を設定する。各種のガスクロマトグラフ用カラムが使用できる。カ
ラムは多くの場合,どのような妨害成分が存在するかによって選択する。一般的な例として,内径0.22 mm,
長さ50 m,ポリジメチルシロキサン又は7 %シアノプロピル,7 %フェニル,86 %メチルシロキサンを固
定相とする,膜厚の大きい(15 μm)溶融シリカ製カラムがある。これらのカラムにあっては,初期ホ

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ールド時間を50 ℃で10分間とし,5 ℃/minで50250 ℃まで昇温させる温度プログラムが,一般的な
設定条件となる。
単一のカラムでの保持時間の一致だけで,ピークの同定はできない。

8.3 検量線

  検量線用に調製した各標準添加サンプラ(5.3.1)を8.2に従って抽出したもの,又は標準溶液(5.3.2)
をガスクロマトグラフによって分析する。
得られた分析対象成分の質量の対数を横軸に,分析対象成分のピーク面積の対数を縦軸にプロットして,
検量線を作成する。
なお,校正範囲が1桁以内であるならば,対数をとる必要はない。

8.4 試料濃度測定

  8.2に従って,試料及び試料ブランクを分析する。ピーク面積を求め,抽出した試料中の分析対象成分の
質量を検量線から読み取る。

8.5 抽出効率の算出

  附属書Bに抽出効率の算出について記載する。

8.6 拡散取込み速度の算出

  附属書Bに拡散取込み速度の算出について記載する。

9 計算

9.1 分析対象成分の質量濃度

  次の式(1)によって,試料空気中の分析対象成分の質量濃度を算出する。
ma mb
m 106 (1)
u t D
ここに, ρm : 試料空気中の分析対象成分の質量濃度(μg/m3)
ma : 試料サンプラ中の分析対象成分の質量(μg)
mb : ブランクサンプラ中の分析対象成分の質量(μg)
u : 拡散取込み速度(mL/min)
t : 暴露時間(min)
D : 抽出効率
注記1 ma及びmbがmg単位で表される場合,濃度ρmの単位はmg/m3で表される。
注記2 例えば,23 ℃,101.3 kPaのような,特定の条件における濃度に換算する必要がある場合は,
次の式(2)を用いる。
1013. T 273
c m (2)
P 296
ここに, ρc : 特定条件に換算した試料空気中の分析対象成分の濃度
(μg/m3)
P : サンプリング時の気圧(kPa)
T : サンプリング時の気温(℃)

9.2 分析対象成分の体積比

  空気中の分析対象成分の体積比を求める場合は,次の式(3)による。
ma mb
106 (3)
u t D
ここに, ρφ : 空気中の分析対象成分の体積分率(μL/m3)

――――― [JIS A 1969 pdf 7] ―――――

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u′ : 拡散取込み速度[ng/(μL/L)/min]
t : 暴露時間(min)
D : 抽出効率
注記 ma及びmbがmg単位で表される場合,濃度φの単位はcm3/m3で表される。

9.3 拡散取込み速度u及びu'の関係

  拡散取込み速度u(cm3/min)及びu'[ng/(μL/L)/min]は,次の式(4)の関係にある。
u M 296 P
u (4)
243. T 1013.
ここに, M : 分析対象成分の分子量
24.3 : 23 ℃,101.3 kPa時のモル体積

10 妨害

  ガスクロマトグラフ分析において,分析対象成分の保持時間が近接する有機成分は妨害となる可能性が
ある。ガスクロマトグラフの適切なカラムの選択及び条件設定によって,妨害は最小限に抑えられる。

11 分析特性

  この規格の手順で試験した場合の,分析特性(総合的な不確かさ,精度,保存安定性,及びブランクレ
ベル)を把握する必要がある。

12 試験報告書

  試験報告書は,少なくとも次の情報を含まなければならない。
a) 試料内容の明確な識別
b) この規格番号及び参照した他の補足規格
c) サンプリングの場所及び時間並びに暴露時間
d) 必要な場合は,気圧及び気温
e) 試験結果
f) 測定中に観察された特記事項
g) この規格若しくは参照した規格に含まれない操作,又は任意とみなされる操作

13 品質管理

  適切なレベルの品質管理を行うことが望ましい。
トラベルブランクのピーク面積値が,分析対象成分の通常値の10 %以下ならば許容される。また,操作
ブランク3) との比較によって,保管状態を管理することが望ましい。
注3) 未使用のサンプラについて,抽出・分析を行ったもの。

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附属書A
(参考)
サンプラの実例
A.1 サンプラの実例
サンプラの実例を,次に示す。
単位 mm
図A.1−バッジ形(丸形)サンプラの例
図A.2−バッジ形(丸形)サンプラの例

――――― [JIS A 1969 pdf 9] ―――――

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単位 mm
図A.3−チューブ形サンプラの例
単位 mm
図A.4−チューブ形サンプラの例

――――― [JIS A 1969 pdf 10] ―――――

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JIS A 1969:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS A 1969:2015の関連規格と引用規格一覧