JIS A 8921-2:2011 土工機械―ショベル系掘削機保護構造の台上試験及び性能要求事項―第2部:6トンを超える油圧ショベルの転倒時保護構造(ROPS) | ページ 6

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A 8921-2 : 2011 (ISO 12117-2 : 2008)
附属書B
(参考)
設計変更,実物試験及び改造
B.1 設計変更
ROPS又は機械フレームに設計変更を行った場合,次のいずれかの場合を除き実物試験が必要である。
a) 実物試験を実施した既存の設計に対する小変更であると判断できるとき。
b) その変更がROPS及び機械フレームの性能に不都合な影響を及ぼさないとき。
B.2 改造又は補修
変形したと認められるROPS構造は,再使用されない。
製造業者の承認がない限り,保護構造に改造又は補修を加えることは許されていない。正当な承認なし
に改造又は補修したROPS保護構造は,この規格に適合しない。
B.3 実物試験の代用
主要部が新規設計のROPSの理論的な性能解析は,実物試験の代用としては認められていない。

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附属書C
(参考)
理論的根拠−ROPS性能要求事項
C.1 一般
この附属書では,要求基準をどのように作成したかについて説明している。
論点は,油圧ショベルの次の特性によって,油圧ショベル用のROPSの基準を,他の土工機械用のROPS
の基準に対して異なったものとして規定する必要性があるかどうかである。
− 横転又は転倒時にブーム及び他の剛性の高い箇所による保護の可能性
− 比較的大型の作業装置(ブーム,アーム及びバケット)及びその結果としての機械の広い作業範囲
− 上部旋回体の360°旋回
この規格の主たる技術的な基礎は,次による。
− 世界中の事故の解析
− 実際の転倒実験
− 米国及び日本で実施したADAMS又はPAM/CRASHソフトウェアを使用したシミュレーション解析
− 日本の専門家が実施した更なるシミュレーション解析
− ミニショベルの横転実験
C.2 境界仮想地面(BSGP)
油圧ショベルが転倒又は横転したときに,油圧ショベルのブームが運転員をかなりの程度まで保護する
ことがあることが,一般に知られている。例えば,日本での1996年から1999年における公共工事での横
転・転倒・落下事故38件の報告では,そのうち31件で,キャブの変形は限定され,DLVが基本的に確保
されていたことが示されている。このような保護を考慮して,境界仮想地面(BSGP)の考え方を導入して
いる。
油圧ショベルが転倒したときに(できごとの1),機械が地面と接する3点(ブームの最高部分,キャブ
を支持するフレームの前左端,カウンタウェイトの上部左端)を通る平面を想定し,運転員の空間(DLV
で代表する)がROPSの構造部材又は地面と接触しないと想定すると,キャブ内の運転員が有効に保護さ
れていると考えられる。機械が上下逆さまになったとき(できごとの2),ブーム頂部とカウンタウェイト
後端頂部とが地面と接触し,DLVはROPSの構造部材又は地面と接触しないと想定すれば,キャブ内の運
転員は,この場合も保護されていると考えられる。
この規格では,JIS A 8910で定義し使用している側方仮想地面(LSGP)及び天頂仮想地面(VSGP)と
の混同を避けるため,境界仮想地面(BSGP)(LBSGP及びVBSGP)との用語を使用しており,“できごと
の1”ではLBSGPとして定義し,“できごとの2”ではVBSGPとして定義している。
C.2.1 BSGPの剛性の高い箇所
LBSGPは,カウンタウェイト左側面,ブーム左側面の最高位置及びキャブを支持するフレームの左側前
端の剛性の高い箇所3点を含む平面である。
VBSGPは,ブームの頂部及びカウンタウェイト後部のりょう(稜)線の,剛性の高い3か所を含む。
C.2.2 剛性の高い箇所の検証
それらの箇所が十分に剛性が高いか否かを検証するため,機械の質量に重力加速度を乗じた荷重(重量

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に相当する荷重)を各箇所に負荷して,そのときに生じた変位を考慮してLBSGP及び/又はVBSGPを設
定するのが適切と考えられる。ROPSの評価のために,LBSGP及び/又はVBSGPの基準を適用すること
を決定した場合は,6.1.5に規定した検証方法が必要となる。
注記 6.1.5の剛性の高い箇所の検証手順は,任意である。表2及び表3の負荷要求値に適合するよう
ROPSを設計するか,又は,側方負荷に対してはLBSGPによって,垂直負荷に対してはVBSGP
によって,ROPSがDLVに侵入することのないよう機械の剛性の高い箇所を適切に設計するか
は,製造業者の選択である。後者の場合には,検証手順が必要となる。
C.2.3 LBSGP及び/又はVBSGPを適用する場合の実物試験の必要性
LBSGPの基準及び/又はVBSGPの基準を適用することは,ROPSの側方,前後方向及び垂直負荷試験
の省略を意味しない。LBSGP基準は,側方負荷試験において適用し,表2及び表3のエネルギー及び荷重
要求を置き換えるものである。同様にVBSGP基準は,垂直負荷試験において適用し,表2及び表3の垂
直荷重要求値を置き換えるものである。
C.3 前後方向エネルギー
(油圧ショベルの)転倒実験は,上部旋回体と下部走行体とを平行の状態として実施した。この場合,
ROPSに対する前後方向のエネルギー負荷がないか,あっても無視できるほど僅かであると想定していた。
しかし,米国で実施したシミュレーション解析では,上部旋回体が下部走行体に対してある程度の角度を
なした状態で機械が転倒したときには,前後方向に顕著なエネルギー負荷が発生する場合があることが明
らかとなった。
上部旋回体が下部走行体に対して反時計回りの角度の位置で転倒したときは,エネルギーの一部はキャ
ブの左側前部に前後方向に負荷される。しかしながら,このような姿勢で機械が転倒するのはまれである
と考えられ,また,そうなったとしても,キャブの損傷は側方境界仮想地面(LBSGP)によって制約され
て転倒するのは僅かであろうし,その結果,運転員は確実に保護されるであろう。
注記 日本が実施した追加シミュレーション解析では,上部旋回体が下部走行体に対して反時計回り
の角度で,作業装置が床面最大掘削半径の状態からは,機械は転倒しにくいことが示された。
床面最大掘削半径の位置からブームを持ち上げれば,機械の転倒が発生する可能性がでてくる
が,ブームを持ち上げるとLBSGPによってキャブの変形がより制約されることになろう。
上部旋回体が下部走行体に対して時計回りの角度の位置で転倒した場合,(キャブの)後方からある程度
の負荷がかかると考えられる。日本で実施した追加シミュレーション解析では,上部旋回体が下部走行体
に対して平行の場合の前後方向荷重は1.47 M(0.15 Wf,機械重量の0.15倍)であり,時計回りの角度の位
置では,1.37 M(0.14 Wf,機械重量の0.14倍)であった。この値は,比較的小さいので,前後方向負荷に
関しては,側方負荷エネルギー要求の1/3のエネルギー負荷を本文で規定している。この1/3のエネルギ
ー負荷条件は,ミニショベル用TOPS(JIS A 8921参照)に対する前後方向負荷の推奨値によっている。
C.4 垂直負荷荷重
機械が上下逆さまの位置になったときに,他の土工機械では主としてキャブが機械を支えるのに対して,
油圧ショベルでは主としてブームが機械を支えるであろうと考えられる。このため,(油圧ショベルにおい
ては)他の土工機械用ROPSの垂直負荷荷重の要求値2 W(19.61 M)より軽減してもよいと考えられる。
20 tクラスの油圧ショベルを使用した実機転倒実験の結果では,垂直負荷荷重はおおよそ1 W(9.8 M)(残
留ひずみを無視)から0.7 W(7 M)(残留ひずみを考慮)であることを示している。PAM/CRASHソフト

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ウェアを使用したシミュレーション解析の結果では,垂直負荷荷重は,おおよそ0.9 W(9 M)から1.2 W
(12 M)の間である。
これらの結果に基づいて,平均値に偏差を加えて1.3 Wの値を導いた。
注記 日本で実施した追加シミュレーション解析では,ROPSに対する垂直負荷荷重は,上部旋回体
が下部走行体に対して平行の状態では11.6 M(1.18 W)であり,時計回りの状態では11.3 M(1.16
W)であった。
C.5 台上試験における最悪条件での負荷
この規格に適合するROPSの確認試験では,最悪条件での負荷を考慮して実施するのが望ましい。例え
ば,ROPSに側方負荷する場合には,ROPSの最弱部であろう溶接部にブーム又はシリンダが接触し,ROPS
の性能に影響することがある。
C.6 側方負荷荷重
側方負荷荷重の基準を決定する目的で,油圧ショベルのROPS及びブルドーザのROPSの転倒時の側方
負荷荷重を計算する解析を実施した。ROPSの最大変位の状態での側方負荷荷重を比較すると,機械の質
量に対する負荷荷重の比では,油圧ショベルのROPSはブルドーザのROPSの値の半分であった。これに
よって,油圧ショベルのROPSの側方負荷荷重の基準をブルドーザのROPSの側方負荷荷重の基準の半分
として導入した。
C.7 DLVの傾斜
油圧ショベルのキャブが比較的狭いことを考慮して,DLV上部がSIP(LA)回りに15°まで傾斜しても
よいこととした。このことは,ミニショベル用TOPS(横転時保護構造,JIS A 8921参照)の許容基準から
導いた。

――――― [JIS A 8921-2 pdf 29] ―――――

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A 8921-2 : 2011 (ISO 12117-2 : 2008)
参考文献
[1] JIS A 8320 土工機械−機械全体,作業装置及び構成部品の質量測定方法
注記 対応国際規格 : ISO 6016,Earth-moving machinery−Methods of measuring the masses of whole
machines, their equipment and components(IDT)
[2] JIS A 8911 土工機械−シートベルト及びその取付部−性能要求事項及び試験方法
注記 対応国際規格 : ISO 6683,Earth-moving machinery−Seat belts and seat belt anchorages−
Performance requirements and tests(IDT)
[3] JIS A 8920 土工機械−落下物保護構造−台上試験及び性能要求事項
注記 対応国際規格 : ISO 3449,Earth-moving machinery−Falling-object protective structures−
Laboratory tests and performance requirements(IDT)
[4] JIS A 8921 土工機械−ミニショベル横転時保護構造(TOPS)−試験方法及び性能要求項目
注記 対応国際規格 : ISO 12117,Earth-moving machinery−Tip-over protection structure (TOPS) or
compact excavators−Laboratory tests and performance requirements(IDT)
[5] JIS A 8922 土工機械−油圧ショベル−運転員保護ガードの試験及び性能要求事項
注記 対応国際規格 : ISO 10262,Earth-moving machinery−Hydraulic excavators−Laboratory tests and
performance requirements for operator protective guards(IDT)
[6] JIS Z 2242 金属材料のシャルピー衝撃試験方法
注記 対応国際規格 : ISO 148-1,Metallic materials−Charpy pendulum impact test−Part 1: Test method
(MOD)
[7] EN 13510,Earth-moving machinery−Roll-over protective structures−Laboratory tests and performance
requirements

JIS A 8921-2:2011の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 12117-2:2008(IDT)

JIS A 8921-2:2011の国際規格 ICS 分類一覧

JIS A 8921-2:2011の関連規格と引用規格一覧