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の。音速ノズルとも呼ばれる(JIS Z 8767参照)。
3.23
流出係数(discharge coefficient)
臨界ノズルを実際に通過するときの質量流量と,臨界ノズルのスロート部の条件から計算される理論質
量流量との比。
3.24
繰返し性(repeatability)
校正・器差試験の条件を固定して測定を繰返し,得られた複数個の流量値のばらつきを,繰返し性とい
う。流量計の場合,流れ場の影響によって,通常,指示値は変動する。したがって,この規格では,一定
時間の計測中に得られたデータの平均値を,その条件における1回の測定とする。
3.25
Kファクタ(K factor)
パルス出力形の流量計が出力するパルスの周波数を,流量計を通過する流量で除した値。
注記 通常,体積流量に対してはpulse/L,質量流量に対してはpulse/kgの単位が用いられる。
4 設備
4.1 構成
4.1.1 一般
校正・器差試験のための設備は,標準流量計,被試験流量計,流量発生装置,流量調整器,圧力調整器
及びこれらを接続する配管,バルブ類並びに圧力計,気圧計,温度計,湿度計などの測定器,必要に応じ
て整流部,熱交換器などの機器から構成する。接続に用いる配管には変形しない材質を用い,流れによる
配管の共振及び流れが滞留する部分がないような形状とする。
4.1.2 標準流量計
公的機関又はJCSS校正事業者が発行する校正・試験の流量値の不確かさを明記した校正証明書又は試
験報告書を備えている場合,どのような流量計も標準流量計として使用することができる。
4.1.3 流量発生装置
ブロワ,吸引ポンプ,真空ポンプなどによって,試験装置に流量を発生させる装置であって,できるだ
け定常流量を安定して発生できるようにする。また,コンプレッサなどのように,流量発生装置を試験装
置の上流側に接続する場合には,連続運転による試験気体の温度上昇をできるだけ小さくする工夫が必要
である。
4.1.4 流量調整器
試験配管内に流れる流量を調整するもので,ボールバルブ,ニードルバルブなどを流量発生装置と試験
装置との間に組み込み,試験配管内に流れる流量を任意に調整でき,安定的,かつ,一定に保つ機構をも
つもの。
4.1.5 圧力調整器
校正・器差試験における管路内の試験気体の圧力変動を抑え,あらかじめ与えられた設定値に維持する
ための機器である。また,供給圧力と使用圧力との比率によって圧力の安定が得られない場合,又は流量
発生装置の脈動の影響を受けるような場合には,流量発生装置と試験装置との間に,試験流量に対して十
分な容量をもったバッファタンクを用いて,圧力を安定した状態にする。
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4.1.6 圧力計
流量の算出に用いる標準流量計及び被試験流量計の上流側に設置される圧力計は,JCSS校正事業者など
で校正された計量トレーサビリティのとれたものを使用するか又は計量トレーサビリティのとれた圧力計
と比較校正を行い,不確かさを評価して使用してもよい。圧力計は,試験装置の構成によって絶対圧計又
はゲージ圧計を選択する。また,標準流量計及び被試験流量計のそれぞれの前後の圧力差によるか又は大
気圧との差を求める差圧計を用いてもよい。
4.1.7 気圧計
環境条件を特定するために使用し,かつ,その値を流量値の補正及び換算に使用しない場合は,計量ト
レーサビリティがとられていなくてもよい。しかし,その値を用いて流量値の補正及び換算をする場合は,
計量トレーサビリティのとれたものを使用しなければならない。
4.1.8 温度計
標準流量計及び被試験流量計の流量値の算出に用いられる温度計は,JCSS校正事業者などで校正された
計量トレーサビリティのとれたものを使用する,又は計量トレーサビリティのとれた温度計と比較校正を
行い,不確かさを評価して使用してもよい。
4.1.9 湿度計
環境条件を特定するために使用し,かつ,その値を流量値の補正に使用しない場合は,計量トレーサビ
リティがとられていなくてもよい。しかし,その値を用いて流量値の水蒸気分圧の影響を計算するような
場合は,JCSS校正事業者などで校正され,計量トレーサビリティのとれた不確かさの明確なものを使用し
なければならない。
4.2 要件
4.2.1 標準流量計の校正
標準流量計に対して,次のいずれかの方法で定期的な校正を行う。校正周期は,出力の経年変化が校正
の不確かさに比べて無視できる程度に設定する。標準流量計の校正に使用する試験気体は,被試験流量計
の校正で使用するものと同じ種類を通常とする。標準流量計の校正を行う流量範囲は,被試験流量計の校
正に使用する流量範囲を含む。
a) CSS校正事業者による登録範囲の校正,又は第三者によってJIS Q 17025に適合していることを認定
された校正事業者が行う校正
b) 国立研究開発法人産業技術総合研究所による校正
注記 国立研究開発法人産業技術総合研究所又は都道府県が実施する基準器検査は,この規定に該
当しない。
c) 計量トレーサビリティのとれた流量計との比較校正
4.2.2 直管長の影響
標準流量計,被試験流量計共に,上流側及び下流側に十分な長さの直管を備える。流量計によっては,
その測定原理及び構造から流れに偏流などがあると直接的に流量値に影響するため,配管断面に対して均
等な流速分布になっている必要がある。このような流量計に対しては,流量計の上流側及び下流側にそれ
ぞれ推奨される直管長を確保する。直管の長さについてJISなどの規格に規定がある場合又は製造業者の
推奨値がある場合はそれに従う。それ以外の場合も,上流側及び下流側の流れ場の影響が,流量計測に影
響を与えない十分な直管長を確保する。十分な直管長を確保できない場合は,整流管などを用いて,流量
計に流入する流れ場をできるだけ均等なものにする。
注記1 学術的には,流れ場のひずみがとれるために必要な直管長は,配管内径をDとして,50D,
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100Dという数字が挙げられている。国家標準などの特殊な装置においては必要であるが,現
実的に意味のある数字ではない。
注記2 直管長が十分でない場合は,流量計へ流入する流れ場の影響が強く残るおそれがあり,流量
計の種類によっては,その表示が正しくない場合がある。
4.2.3 標準流量計と被試験流量計との間の管路の影響
試験装置に取り付けられた標準流量計及び被試験流量計における流れの状態は,同じではなく,常に変
動している。試験装置を流れる試験気体の変動の影響が大きい場合には,標準流量計及び被試験流量計に
流れる流れの変動が一致しないことによって,不確かさが大きくなることがある。したがって,余分な配
管長さ及び滞留する部分,いわゆるデッドスペースは,二つの流量計が相互に影響を及ぼさない限りでき
るだけ小さくする必要がある。
4.2.4 流量計の取付け姿勢の影響
流量値の計測に重力が関係するような流量計は,取付け姿勢に制限がある。また,圧力計なども受圧構
造によって重力の影響を受けるため,取付け姿勢が制限される。したがって,標準流量計,被試験流量計
及びその他試験装置構成機器の取付け姿勢は,使用する流量計及び機器の規格,取扱説明書に従う。
4.2.5 圧力計・温度計・湿度計の取付け位置
標準流量計及び被試験流量計を流れる試験気体の圧力及び温度を測定するための圧力計及び温度計を備
える。ただし,標準流量計と被試験流量計との間で試験気体の密度が変化しないとみなされる場合は,校
正設備の適切な1か所に温度計を備えるだけでよい。一般的に,圧力計及び温度計は,標準流量計又は被
試験流量計の上流側配管に取り付ける。ただし,温度計は流れを乱すおそれがあるので,流れの乱れが流
量計の流量値に影響を与えるような場合は,流量計の下流側に取り付けてもよい。温度計は,外気温の影
響を小さくするため十分な挿入長をとる。湿度計を配管内部に挿入して湿度を測る場合は,センサ部が結
露しないように注意する。いずれにおいても,取付け位置の判断に困る場合には,それぞれの流量計の規
格及び取扱説明書に従う。
4.2.6 流量発生装置の取付け位置
流量発生装置の接続位置は,圧縮機,ブロワなどを用いて試験気体を試験装置に供給する場合には,試
験装置の最も上流側に,吸引ポンプ,真空ポンプなどによって試験装置に試験気体を吸い込む場合には,
試験装置の最も下流側に接続して使用する。
4.2.7 校正実施中及び試験実施中の環境条件
試験装置を設置した場所の環境条件(温度,湿度及び気圧)が被試験流量計の校正結果及び試験結果に
影響する度合いを把握し,校正における環境条件の管理限界を決めておく。校正における環境条件を記録
として残し,校正証明書及び試験報告書にその結果を記載する。
4.3 機能
設備の機能は,次の機能をもつものでなければならない。
a) 被試験流量計に応じて,所定の体積又は質量の試験気体を,所定の流量で流すことができる。
b) 校正・器差試験結果に影響を及ぼすような流量変動がなく,安定した流量が得られる。
c) 校正・器差試験結果に影響を及ぼすような配管などの振動,流れの脈流,旋回流又は偏流が生じるお
それがない。
d) 校正・器差試験結果に影響を及ぼすような試験気体の温度変化が生じるおそれがない。特に,被試験
流量計,標準器及びその間の配管において,極端な温度変化が生じないように配慮されている。
e) 被試験流量計,標準器及びその間の配管から試験気体が漏れ出たり,枝管などから試験気体が流入し
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たりするおそれがない。
f) 試験設備は,標準流量計の前後の配管,レイアウトなどを含めて,流れ場の定常状態を維持でき,か
つ,被試験流量計の交換が容易で再現よく取付けができる。
4.4 試験気体の供給方式
4.4.1 押込み方式
この方式は,流量発生装置として圧縮機,ブロワ,高圧ガス容器などを試験装置の上流側に設置する方
法である(図1参照)。この方式は,全ての流量計に対して適用することができ,一般的に用いられる方
法であるが,流量発生装置からの脈動の影響を受けやすい。また,試験気体が温度変化(上昇)しやすい。
流量発生装置と試験装置との間に試験気体の圧力を調節するための圧力調整器(レギュレータ)及び流量
を調節するための流量調整器を介して試験装置に供給する。供給された試験気体が,配管系の流量調整器
の性能,試験流量などの各要素によって安定性が得られない場合は,流量調整器と標準流量計との間にバ
ッファタンクを設けるとよい。
図1−試験気体の供給方法(押込み方式)
4.4.2 吸込み方式
この方式は,流量発生装置として吸引ポンプ又は真空ポンプを用いる方法で,流量調整器を流量発生装
置と試験装置との間に設けることで,流量発生装置の脈動などは抑えやすく安定した流れを作り出せる方
法である。この方式は,大気圧近傍における校正・器差試験に用いる。また,試験気体の温度が変化しに
くい。この方式では,被試験流量計の下流側が負圧状態になることがある。その状態を避けるためには,
図2のように流量調整器を利用して,被試験流量計の下流側の負圧状態を緩和することができる。
図2−試験気体の供給方法(吸込み方式)
5 校正
5.1 一般
5.1.1 校正の種類
校正は,標準流量計及び被試験流量計の種類,並びに出力形式によって区分する。
5.1.2 校正の手順
校正は,次の手順で行う。
a) 標準流量計及び被試験流量計の取付け方法 被試験流量計を標準流量計と干渉しない十分な間隔を
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あけて校正設備に取り付ける。取付け姿勢及び取付け方向の表記があるものは,その指示に従う。
b) 気密の点検 被試験流量計の取付部又はその他の管路に漏れがないことを気密試験にて確認する。気
密試験は,減圧条件又は加圧条件のいずれでも構わないが,実際の校正の状態に近い方で行う。
c) 慣らし運転 試験条件を安定させるため,被試験流量計の最大流量に近い流量(標準流量計の最大流
量がそれ以下の場合はその流量)で試験気体を流して,管路及び流量計の温度と試験気体の温度とが
十分平衡状態になるまで,また,機械的機構をもつ流量計では,機械的機構が流れに対して十分なじ
むまで慣らし運転を行う。このとき被試験流量計の信号が確実に取り込まれていること,設備に異常
がないことを確認する。
d) 測定開始 測定を開始する。ある流量での測定が完了し,他の流量点での測定を行う場合は,c) に従
い,温度の安定を確認した後に次の測定を開始する。
e) 校正流量点 校正の流量は,少なくとも被試験流量計の使用流量値を挟む2点において,校正を行う。
使用流量範囲が広い場合は,その範囲に応じて校正の点数を増やす。校正を行うべき流量値の点数は,
流量計の特性及び求められる不確かさに依存して決められなければならない。
f) 校正の測定回数 校正では,1流量について同一条件において5回以上繰返し測定を行い,繰返し性
を確認しなければならない。被試験流量計の特性が既知である場合はこの限りでないが,既知の繰返
し性に関するデータがない場合は,繰返し測定を行ってその繰返し性を調べなければならない。
g) 温度測定 標準流量計及び被試験流量計を通過する気体の温度測定は,1流量に対する1回の試験に
おいて各々の流量計の定められた場所で校正の間,連続して記録する。それができない場合は,測定
中,温度計の値を監視し,指示値の最大値及び最小値を基にした平均値を求める。
h) 湿度測定 気体の湿度は,1流量に対する1回の試験の前後での測定値を使用してもよいが,1回の試
験の前後で測定してその平均値を使用することが望ましい。
i) 圧力測定 標準流量計及び被試験流量計を通過する気体の圧力測定は,1流量に対する1回の試験に
おいて,各々の流量計の定められた場所で,校正の間,連続して記録する。それができない場合は,
測定中,圧力計の値を監視し,指示値の最大値及び最小値を基にした平均値を求める。
j) 差圧測定 各試験流量における標準流量計及び被試験流量計の上流側及び下流側における圧力差(差
圧)の測定を必要に応じて行う。
k) 配管内の脈動確認 回転子式流量計,渦式流量計,超音波式流量計などは脈動流の影響を受けやすい
ため,あらかじめ配管内に発生している圧力の脈動の大きさ,又は脈動周波数の被試験流量計への影
響を評価しておかなければならない。被試験流量計が脈動の影響を受けやすい場合は,校正結果及び
試験結果に影響を与えないように防止策を講じなければならない。
l) 整流装置 標準流量計及び被試験流量計の各々の上流側直管長を十分にとり,必要なら整流装置を設
置し,管路内の流速分布が流量計の出力に影響しない程度に整流されていることを確認する。
m) 流量調整器及び圧力調整器 流量調整器及び圧力調整器は,標準流量計及び被試験流量計への影響が
できるだけないような設置場所を選択する。
n) 圧力計のゼロ点チェック 校正結果及び試験結果に影響を与える圧力計のゼロ点のチェックを,測定
前又は必要に応じて行う。
注記1 絶対圧力計のゼロ点は,ゼロ点調整を行わずにゼロ点の変化分を補正する方が望ましい。
注記2 ゲージ圧計及び差圧計のゼロ点は,大気解放にして確認し,変化分を補正するか,又はゼ
ロ点調整を行う。
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JIS B 7556:2016の国際規格 ICS 分類一覧
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- JISZ8103:2019
- 計測用語
- JISZ8762-1:2007
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