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であり,hSAVから流れの断面積ASを求められる。
AS = f(hSAV)
f) 実測点の流量QSを求め,係数Kを決定する。
QS = VSAV・AS
QS
K
QMAV
流速補正係数の決定に当たっては,上記手順を3回以上繰り返すこと,また,異なる流量の時間帯で行
うことなどによって,より適正な係数を設定する。
G.2.3 ポータブル式流速計による平均流速測定
流水断面の平均流速は,流水断面を大まかに当面積分割し,それぞれの中心付近でそのポイントの流速
(点流速)を測定して,それらの平均を流れの平均流速として求める(点流速平均法)(図G.1参照)。
流水断面の分割数を増やすと全体の計測に時間がかかり,その間の流量変動も予想される。そのため,
ポータブル式流速計の測定時間,比較する排水流量計計測値の読取りタイミングなどに留意しなければな
らない。通常は,ポータブル式流速計で計測中の流量計計測値平均を用いる。
ポータブル式流速計での平均流速計測は,流速平均法のほかにも,流れの断面全体を連続的にスキャン
して行う断面スキャン法がある(図G.2参照)。断面スキャン法を採用するときは,点流速法と同様の値が
得られるように,スキャンの範囲及び時間を調整する。
G.2.4 ポータブル式流速計使用時の留意事項
− 測定は3点以上とする。
− 流水断面分割の大きさ及び分割数については,水路の大きさ,水深,実測にかかる時間などによって
判断する。
− ポータブル式流速計センサと排水流量計検出端とが,お互いに干渉しないように留意する。
− ポータブル式流速計での計測行為が,流量計の流速測定に影響を与えていると思われる場合は,流量
計計測流速値の読取りタイミングに留意する。
− 現場の流れは常に変動するものであり,ポータブル式流速計を使用して1回の平均流速値を得るまで
の時間が長ければ,その間の実際の流量の変動も大きなものとなるので,その間の流量計計測値の読
取り回数,流速計測ポイントの数(流水断面の分割数及び大きさ)などを合理的に判断する。
− ポータブル式流速計は,検定を受けたものを使用する。
ポータブル式流速計検定機関
国立研究開発法人土木研究所
株式会社セレス
− ポータブル式流速計の検定精度は,河川用は±5 %,発電用は±1.5 %(ただし,0.1 m/s未満は±2.5 %)
であり,流速計試験成績書には,試験速度に対する個別の誤差が示されている。ポータブル式流速計
を使用するどのような平均流速測定においても,測定精度はその誤差を上回ることはない。これは,
受渡当事者間における精度認定に資するかどうかの判断材料を示すものである。
――――― [JIS B 7557 pdf 41] ―――――
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hs
hs
V1Vn : 各計測点におけるポータブル式流速計計測値(nは計測点数)(m/s)
VSAV : ポータブル式流速計計測値の平均(実測平均流速)(m/s)
hs : 計測点水深(m)
As : 計測点流れの断面積(m2)
Qs : 計測点流量(m3/s)
図G.1−点流速平均法による平均流速の測定
図G.2−断面スキャン法による平均流速の測定
G.2.5 河川砂防技術基準を参照した平均流速計算法
河川砂防技術基準/調査編/第2章/第4節/4.5可搬式流速計による流速計測法(平成24年6月版/
国土交通省)では,平均流速は各流速測線上にある鉛直線上2点の流速を平均して計算することを標準と
している。
流速の鉛直分布は,多くの水理実験に基づく研究があり,2点法はより少ない流速測点で平均流速を計
算する手法として,広く認知されている(図G.3参照)。
測定方法については,標準法及び精密法が示されている。
――――― [JIS B 7557 pdf 42] ―――――
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水路幅W
流 0.1W0.15W
速 流速計測水深
測 : 2割水深
線
: 6割水深
: 8割水深
流
速
測
線
図G.3−河川砂防技術基準に示された流速計測点の例
標準法
鉛直線上の流速測点は,水深の2割及び8割の位置である。水深が50 cm未満で,2割水深の流速計測
部が水面上に出る可能性があるときは,6割水深だけの1点法を採用することもある。
各測点における流速は,有効な計測を2回行い,計測値間に目安として10 %以上の相違があれば,計測
を1回追加し,相違の少ない方の計測値間の平均値を当てる。
流速測線間隔は,水路幅の10 %15 %(水路幅10 m以下の水路)とされている。
精密法
流速分布の不規則な乱れなどによって,標準法では精度を確保できないときは,精密法を使用すること
がある。
精密法では,流速測線数を2倍にし,鉛直上の流速測点数を水深2 m以上では20 cm間隔を下限値とし
て10点以上,水深2 m未満では10点以内を目安にして,できる限り多くの測点で計測する。
G.3 基準流量放出による排水流量計計測精度の確認
現場に設置された小口径のP.B.フリューム又は面速式流量計の計測精度を確認する手段として,排水流
量計位置の上流側人孔で止水するなど,流量計を通過する水をなくした状態で,給水タンク車から標準流
量計(水道メーター,電磁流量計など)を通して水路に水を流し,標準流量計流量と排水流量計流量とを
比較して計測精度を確認する方法などもある。
G.4 面速式流量計計測不能域での流量特性延長(Q1以下のときのH-Q演算式の補正)
取引に使用される排水流量計は,計測値が直接取引料金の算定に関わるので,できる限り欠測させたく
ないという場合がある。特に,面速式流量計では流速の検出ができないときに欠測するので,欠測させた
くないときには,マニング公式を使用した流量で代用させることがある。
面速式流量計での計測は,水路の流速を検出できるだけの水深が必要である。流れの水深がこれ以下に
なったとき,流量を連続的に出力させるためにH-Q演算式(マニング公式を使用するものが多い。)に切
り替えることがある。H-Q演算式とは,水路の水深hを計測し,hから平均流速公式(マニング公式等)
を使用して流れの平均流速Vを算出,平均流速Vにhから演算される流れの断面積Aを乗じ,流量Q=V・
――――― [JIS B 7557 pdf 43] ―――――
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Aとして流量を演算する方式である。水深hの関数として,一義的に流量Qが求められる。
マニング公式のパラメータとなる水路勾配,粗度係数などの値は実際と大きく異なることもあり,流量
出力の連続性にも問題が発生する。流量演算切替わり時の流量出力の連続性を向上させるため,マニング
公式の補正手段について記載する。ただし,マニング公式による流量計測の精度を保証するものではない。
マニング公式とは,水路の平均流速を求めるもので,次のとおりである(図G.4参照)。
VAV=1/n・i1/2・R2/3 (G.1)
Q=VAV・A (G.2)
ここに, VAV : 平均流速(m)
n : 粗度係数(コンクリートの管では一般に0.013)
i : 水路の動水勾配
R : 径深(m) R=A/P
A : 流水断面積(m2) A=f(h)
P : 潤辺長(m)
h : 水深(m)
Q : 流量(m3/s)
図G.4−マニング公式のパラメータ
式(G.1)のうち,計測点で確実な情報として得られるのは,水深hの関数である径深Rだけであり,特に
粗度係数nについては全く不明であることが多い。このため,粗度係数n及び勾配iが含まれる項をまと
めてKとおき,式(G.3)に置き換える。
VAV = K・R2/3 (G.3)
径深Rは,水深hを計測することによって,算術計算することができる。ポータブル式流速計で水路の
平均流速VAVを実測して得ることができれば,Kを決定することができる。実際には粗度係数n及び勾配
iの項の演算結果がKになるようにn及びiを設定する[面速式流量計設置後にマニング公式の補正をする
場合,流量計の計測値(平均流速及び水深)からKを求めることもできる。]。
G.5 保守
排水流量計の設置環境による検出端への異物の付着,計測水路への汚泥堆積,部品の経年劣化などによ
って,計測精度に影響が出ることがある。現場での計測精度を保つためには保守が必要であり,年1回以
上の頻度で行うことを推奨する。
保守の内容例
− 計測水路及び検出端の清掃
− 検出端設置状況の確認
――――― [JIS B 7557 pdf 44] ―――――
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B 7557 : 2019
− 計測水深の補正
− 流速係数の確認
− 出力信号の校正
− 対向試験(データ伝送の場合)
− 部品取付状態の確認
− 部品腐食状態の確認
− 消耗品の交換
− その他
――――― [JIS B 7557 pdf 45] ―――――
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JIS B 7557:2019の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.120 : 流量の測定
JIS B 7557:2019の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7552:2011
- 液体用流量計の校正方法及び試験方法
- JISB7553:1993
- パーシャルフリューム式流量計
- JISB8302:2002
- ポンプ吐出し量測定方法
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISZ8103:2019
- 計測用語