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B 8008-9 : 2004
附属書C(参考)試験サイクルに関する注意点
この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
この附属書に示す排気煙濃度試験サイクルは,使用条件下で発生する代表的な排気煙を発生させるため
のものである。また,JIS B 8008-9に示す試験方法は,試験サイクルを検討中の機関にも適する方法であ
る。
附属書Aに示す試験サイクルは,JIS B 8008-4のC1サイクルで示される用途に使われる機関に当ては
まる代表的なサイクルである。附属書Aの適用範囲は,これまでに定格出力1 500 kWまで確認されてい
る。附属書Bに示す試験サイクルは,JIS B 8008-4のD2,G1及びG2サイクルで示される用途に使われ
る機関に当てはまる代表的なサイクルである。追加の附属書を定めることによって,JIS B 8008-9を他の
用途へ拡大適用できる。
他の出力レベル(例えば,発電所)及び他の用途(例えば,大形船又は機関車)への適用拡大には,相
当な研究が必要である。加速度(機関サイズに起因する。)の制限及び他の運転条件(例えば,機関の始動)
の包含に関しては,更に定義が必要になる。さらに,機関によっては,附属書に示すサイクルの実行を妨
げる速度制御システム及び負荷制御システムが装備されているものがある。これら制御システムは,少な
くとも部分的に排気煙濃度を抑制するために存在することがあることを認識する必要がある。このような
状況を取り扱うには,特別な試験手順が必要になるだろう。
附属書A及び附属書Bで取り扱う機関に適用する試験手順は,機関の測定を試験台上で行うためのもの
である。これらの試験は,“ペアレントエンジン”を使って実施され,その結果はファミリ(JIS B 8008-7
参照)又はグループ(JIS B 8008-8参照)内のすべての機関に関連するものと考えられる。場合によって
は(例えば,エンジンファミリ試験又はエンジングループ試験を受けない船用若しくは発電所用機関。),
ファミリ又はグループ試験よりも個々のエンジン試験(モニタリング)が好まれる。そのような場合には,
排気煙濃度試験サイクルが定義されている附属書は,全く関係ないものとなる。品質にばらつきのある残
さ油を用いるこれら大形機関の運転では,一層明白な結果が与えられる使用中での測定及び制御を優先さ
せることになる。
排気管につながるシリンダが少ない(1,2又は3)機関では,測定が困難になると予想される。この原
因は,測定手順,測定精度及び測定変動に対する排気圧力及び排気流量の変動の影響による。
ここに述べたすべての理由によって,附属書A及び附属書Bに明記する制限事項を尊重しなければなら
ない。附属書に明記する制限事項を外れて機関の排気煙濃度試験を行うには,別のサイクル又は測定手順
が必要になることがある。
通常の大きさを外れた計器の精度の検証作業は進行中である。これは,この規格の改正版で考慮する。
――――― [JIS B 8008-9 pdf 31] ―――――
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B 8008-9 : 2004
附属書D(参考)計算手順の例
この附属書は,本体及び附属書(規定)に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
D.1 適用範囲 ベッセルアルゴリズムのフィルタリングへの適用は,排気煙濃度を決定する新しい平均
方法であるため,ベッセルフィルタの説明,ベッセルアルゴリズムの設計例及び排気煙濃度の計算例をこ
の附属書に示す。
ベッセルアルゴリズムの定数は,不透過率メータの形状(design)及びデータ収集システムのサンプリング
周波数だけに依存する。不透過率メータの製造業者が異なるサンプリング周波数に対する最終のベッセル
フィルタの定数を提供し,使用者がベッセルアルゴリズムの設計及び排気煙濃度の計算に,これらの定数
を用いることを推奨する。
D.2 ベッセルフィルタに関する概要 フィルタ通過前の不透過率信号は,高周波ひずみのため通常,大
きく散乱した軌跡(trace)を示す。これらの高周波ひずみを除去するため,ベッセルフィルタが排気煙試験
に必要である。ベッセルフィルタは,循環形二次低域通過フィルタであり,オーバシュートしない範囲で
最も速い信号の立上がりを保証する。
排気管内の排気流を測定する場合には,不透過率測定値の軌跡は,不透過率メータによって実際の不透
過率の変化より遅れて異なったものになる。不透過率測定値の軌跡の遅れ及び大きさは,主に排気試料採
取ラインを含む不透過率メータ測定室の幾何学的構造及び不透過率メータの電気的信号処理に必要な時間
に依存する。
これら二つの要因を特徴付ける値は,物理的及び電気的応答時間と呼ばれ,各タイプの不透過率メータ
に対する個々のフィルタの特性を表す。ベッセルフィルタを適用する目的は,次のものからなる不透過率
メータシステム全体の総合的なフィルタ特性を,一定にすることを保証する。
− 不透過率メータの物理的応答時間(tp)
− 不透過率メータの電気的応答時間(te)
− 適用したベッセルフィルタのフィルタ応答時間(tF)
これらの結果としてシステムの全応答時間Xは,次の式で与えられる。
2 2 2
X tF tp te
また,すべての種類の不透過率メータで同じ排気煙濃度となるために,システムの全応答時間は等しく
なければならない。したがって,個々の不透過率メータの物理的応答時間(tp)及び電気的応答時間(te)に加
わるフィルタ応答時間(tF)によって,必要な全応答時間(X)となるように,ベッセルフィルタを作成する。tp
及びteは,個々の不透過率メータによって決まり,JIS B 8008-9において,Xは1秒と定義しているため
(附属書A.2.5及び附属書A.2.6参照),tFは,次の式で計算することができる。
2 2
tF X2 tp te
定義によって,フィルタ応答時間tFは,ステップ入力信号におけるフィルタ出力信号の10 %90 %の
立上がり時間である。したがって,ベッセルフィルタの応答時間が必要な立上がり時間になるように,ベ
――――― [JIS B 8008-9 pdf 32] ―――――
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B 8008-9 : 2004
ッセルフィルタの遮断周波数を,反復計算で決めなければならない。
附属書D図1にステップ入力信号,ベッセルフィルタ出力信号の軌跡及びベッセルフィルタの応答時間
tFを示す。
附属書D図1 ステップ入力信号,フィルタ出力信号の軌跡及びベッセルフィルタの応答時間
D.3 ベッセルアルゴリズムの計算
D.3.1 一般要件 最終的なベッセルフィルタのアルゴリズムを設計するためには,数回の反復計算を必要
とする。本体の10.に基づく反復計算の手順を附属書D図2に示す。
次の例において,附属書D図2に示す反復計算の手順によって,ピーク排気煙濃度(PSV,附属書A.4.2
参照)に対するベッセルアルゴリズムを設計する。PSVに対して,全応答時間は1秒と定義している。
反復計算の手順は,LSVに対しても同じである。
不透過率メータ及びデータ収集システムに対して,次の特性を仮定する。
− 物質的応答時間tp : 0.15秒
− 電気的応答時間te : 0.05秒
− 全応答時間X : 1秒(PSVに対して)
− サンプリング周波数 : 150 Hz
――――― [JIS B 8008-9 pdf 33] ―――――
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B 8008-9 : 2004
不透過率メータの特性 規制 データ収集システム
tp,te (s) X (s) サンプリングレート (Hz)
必要なベッセルフィルタ応答時間
fc = fc, new tF ステップ1
ベッセルアルゴリズムの設計
tc, E, K ステップ2
ステップ信号にベッセルフィルタを適用
t10, t90 ステップ3
遮断周波数の調整
(1 +
fc,iter = fc
フィルタ応答時間の計算
tF,iter = t90
t10 ステップ4
tFとtF,iterとの偏差を計算
Δ= (tF,iter
tF)/tF ステップ5
反復計算
不適合 反復計算の判定基準をチェック
ステップ6
簀 0.01
適合
最終のベッセルフィルタ定数 ステップ7
及びアルゴリズム Yi = ....
附属書D図2 ベッセルフィルタアルゴリズム反復計算の概念図
――――― [JIS B 8008-9 pdf 34] ―――――
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D.3.2 ステップ1 : 必要なベッセルフィルタ応答時間tF
tF X2 (tp 2te
2
)
tF 12 (0.15 20.05 2 ) = 0.987 421秒
D.3.3 ステップ2 : 1回目の反復計算に対する遮断周波数fcの推定並びにベッセル定数E及びΚの計算
fc 10tF
fc 3141 6 10 .0987 421= 0.318 161 Hz
Δt 1 150
Ω 1 tan Δt fc
Ω 1 tan 1 150 .0318 161 = 150.067 975
1
E
1 Ω 3 D D Ω2
D = 0.618 034
1
E = 7.080 29 10 5
1 150.067 975 3 .0618 034 0.618 034150.067 975 2
K 2 E D Ω2 1
5
K 2 7.080 29 10 .0618 034 150.067 975 21 = 0.970 781
これによるベッセルアルゴリズムは,
Yi Yi1 E Si 2 Si1 Si2 4 Yi 2 K Yi1 Yi2
5
Yi Yi1 10
.7080 29 Si 2 Si1 Si2 4 Yi 2 .0970 781Yi1 Yi 2
ここに,Si はステップ入力信号値(0又は1)及びYi はフィルタ出力信号値を
表す。
D.3.4 ステップ3 : ステップ入力に対するベッセルフィルタの適用 ベッセルフィルタ応答時間tFは,ス
テップ入力信号に対するフィルタ出力信号の10 %90 %の立上がり時間と定義する。出力信号の10 %
(t10)及び90 %(t90)の時間を決めるために,D.3.3のfc,E及びKの値を使ったベッセルフィルタをステップ
入力に適用する。
インデックス番号,時間及びステップ入力信号の値,並びに1回目及び2回目の反復計算によるフィル
タ出力の計算結果を附属書D表1に示す。t10及びt90に近い点を太字で示す。
――――― [JIS B 8008-9 pdf 35] ―――――
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JIS B 8008-9:2004の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 8178-9:2000(MOD)
JIS B 8008-9:2004の国際規格 ICS 分類一覧
- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.020 : 内燃機関
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.040 : 気質 > 13.040.50 : 交通機関からの排気ガス
JIS B 8008-9:2004の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB8002-3:2009
- 往復動内燃機関―性能―第3部:測定
- JISB8008-1:2009
- 往復動内燃機関―排気排出物測定―第1部:ガス状排出物及び粒子状排出物の台上測定
- JISB8008-4:2009
- 往復動内燃機関―排気排出物測定―第4部:各種用途の定常状態における試験サイクル
- JISB8008-5:2009
- 往復動内燃機関―排気排出物測定―第5部:試験燃料
- JISB8008-6:2000
- 往復動内燃機関―排気排出物測定―第6部:試験報告
- JISB8008-7:2000
- 往復動内燃機関―排気排出物測定―第7部:エンジンファミリの定義及び決定方法
- JISB8008-8:2000
- 往復動内燃機関―排気排出物測定―第8部:エンジングループの定義及び決定方法
- JISB8009-1:2001
- 往復動内燃機関駆動発電装置―第1部:用途,定格及び性能