JIS B 8446-1:2016 生活支援ロボットの安全要求事項―第1部:マニピュレータを備えない静的安定移動作業型ロボット | ページ 2

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注記 ユーザと同一の場合もある。
3.3
安全管理者(administrator)
環境整備を行う人。
注記 ユーザと同一の場合もある。
3.4
保守作業者(maintenance personnel)
ロボットの作動状態を維持するための保守・点検作業を行う人。
3.5
設置作業者(installation personnel)
ロボット及び環境システムの設置工事を行う人。
3.6
第三者(third party)
ユーザ,オペレータ,安全管理者,保守作業者及び設置作業者を除く人。
3.7
製造業者(manufacturer)
ロボットを設計し,製造する者又は組織。
3.8
エラー(error)
製造業者があらかじめ正しいと規定する値,値の範囲又は状態からの逸脱。
注記 エラーは,ロボットが計測,観測,計算及び推定することで検出される。
3.9
アラート(alert)
エラーを人に伝える信号。
注記 アラートは,人に注意を喚起したり,又は素早い行動を人に求めたりするときに用いられ,通
常,視覚的信号,聴覚的信号,触覚的信号などが用いられる。
3.10
電気火災(electric fire)
電気的な要因で発生する火災。
3.11
暴走状態(runaway state)
ロボットが製造業者の意図した以外の動作を行う状態又は制御不能の状態。
3.12
接触可能な部分(accessible part)
通常使用において,人が接触することができるロボットの部分又は表面。
注記 接触可能な部分は,JIS C 0922のテストプローブBなどによって確認できる。
3.13
意図する使用(intended use)
製造業者が想定する通常のロボットの用途,使用方法及び使用条件。
注記 意図する使用とは,JIS B 9700の3.23(意図する使用)では,使用上の情報によって定まるも

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のとされているが,この規格では,設計の最初に定めるものをいう。
3.14
合理的に予見可能な誤使用(reasonably foreseeable misuse)
製造業者が予測できる範囲での,想定されるユーザによる,意図する使用を超えたロボットの使用方法。
注記 JIS B 9700の3.24(合理的に予見可能な誤使用)では,“設計者が意図していない使用方法であ
るが,容易に予測できる人間の挙動から生じる機械の使用”と定義されている。
3.15
定期検査(periodic inspection)
製造業者の指定する(運転)時間間隔及び検査方法で,ロボットの動作及び機能が正しく働くかを確認
する検査。
3.16
保守(maintenance)
ロボットの動作及び機能が正しく働くかを確認し,必要に応じてロボットを修理・調整すること。
3.17
環境整備(environmental maintenance)
安全のために環境側の条件を整えること。
注記 環境側の条件の例として,ロボットの稼動する空間の温度,湿度,照明条件,ロボットの周囲
にいる人の密集度などがある。
3.18
インストールマニュアル(installation manual)
ロボットの設置工事の方法,初期設定,起動方法などが記載された,設置作業者のための文書。
3.19
外部システム(external support system)
ロボットの使用環境などに設置された各種センサ,コントローラ,制御機器などで構成され,ロボット
本体と無線通信などをしながらロボットの運用を支援するシステム。
注記 外部システムの例として,環境に設置されたロボットの位置を検出するセンサによってロボッ
トの位置認識を支援するシステム,ブラインドコーナーから来る歩行者を検出して事前にロボ
ットに通知することで衝突のリスクを低減するシステムなどが挙げられる。
3.20
静的安定(statically stable)
動的なバランス制御を必要とせず,電源を切った状態でロボットが正立できること。
注記 移動機構が車輪,無限軌道などの3点支持以上で走行面へ接点をもつことによって,ロボット
は静的に安定する。一方,静的安定でないものとして,倒立制御を行うことで正立する移動機
構が挙げられる。
3.21
自律移動(self-navigation)
ロボット自身のもつ自己位置認識機能,走行制御機能などによって,軌道,人の操縦などがなくても目
的地への移動を行う機能。
3.22
移動機構(locomotion mechanism)

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車輪,無限軌道などの接地部品,これを駆動するモータなどの駆動装置,ギアボックスなどの減速装置,
及び必要に応じてサスペンションなどの姿勢安定装置で構成されたロボットが移動するための機構。
3.23
有軌道台車(rail guided vehicle)
レールなどの軌道上を走行する台車。
注記 軌道によって経路が制限されるため,自律的な経路生成が不要になる。一方で,決まった経路
しか走行できないため,経路変更などが柔軟にできない。
3.24
経路(route)
目的に向けて移動するときにロボットが走行する道。
3.25
衝突(collision)
ロボットが移動時に,ロボット又はロボットの搭載物と他の物体とが相対速度をもって接触すること。
3.26
衝突回避(collision avoidance)
ロボットが衝突を避けること。
3.27
障害物回避(obstacle avoidance)
ロボットの移動を達成するために障害となる物体を回避すること。
3.28
足ひ(轢)き(running over foot)
車輪,無限軌道などが人の足に乗り上げること。
3.29
脱輪(dropping)
路面の凹面に車輪,無限軌道などが落ち込み,接地できない状態。
3.30
転倒(falling down)
ロボットが倒れたことによって,車輪,無限軌道などの意図する部位以外が接地している状態。
3.31
転落(falling off)
大きな段差によって,ロボット本体が通常の走行路面より下に落下すること。
3.32
踏破(traverse ability)
ロボットの移動機構が凹凸を乗り越えること。
3.33
ランドマーク(landmark)
ロボットが移動するときの目印。
注記 ロボットはランドマークとの相対位置関係によって,自己位置を推定することができる。ラン
ドマークとして,特別なマークなどの明示的なものもあるが,走行環境にある壁,設置物など
を用いることもできる。

――――― [JIS B 8446-1 pdf 8] ―――――

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3.34
バンパ(bumper)
ロボットの外周に設置され,障害物との接触の検知,衝突力などの緩和を行う機構又は装置。
3.35
操だ(舵)装置(steering unit)
ロボットの進行方向を変える装置。
注記 操だ(舵)装置には,自動車のように駆動輪の向きを直接変える構造もあるが,独立駆動した
2輪の回転差によって向きを変える構造もある。
3.36
制動装置(braking unit)
ロボットの動作を停止させる装置。
3.37
駆動装置(motor unit)
モータなどロボットの駆動源となる装置。
3.38
積載物(load)
ロボットが運搬するもの。ただし,人を含まない。
3.39
保護電子回路(protective electronic circuit)
異常運転条件の下で危険な状況を防止する電子回路。
注記 この回路の部品は,機能的目的にも用いてよい。

4 リスクアセスメント

4.1 一般

  JIS B 8445の4.1(一般)による。ただし,必要な場合には,ロボットの使用を限定することによって,
特定の危険源が除去されていることを前提としてリスクアセスメントを行うことができる。また,使用の
限定を含むロボットの意図する使用は,ユーザマニュアルに記載しなければならない。
注記1 例えば,段差,障害物などのない環境,雨風が防げる環境,監督下にない子供がいない環境
などに限定することで,特定の危険源を除去することができる。
注記2 ロボットの使用を限定する手段及びその限定を保障する手段に関する要求事項は,箇条9に
規定している。
注記3 ロボットの使用の限定は,JIS B 9700の5.3(機械類の制限の決定)に規定されている機械類
の制限に相当する。
注記4 ユーザマニュアルに関する要求事項は,8.3に規定している。

4.2 危険源の同定

  JIS B 8445の4.2(危険源の同定)による。
注記 ロボットにおいて,JIS B 8445の附属書A(生活支援ロボットの重要危険源のリスト)に記載
されている危険源が危害に発展する典型的な発生シーンを,附属書Cに示す。附属書Cは,JIS
B 8445の附属書Aと併せて参照することが望ましい。

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4.3 リスク見積り

  JIS B 8445の4.3(リスク見積り)による。

5 安全要求事項及び保護方策

5.1 一般

  JIS B 8445の5.1(一般)によるほか,次による。
a) 各危険源について,本質的安全設計並びに安全防護及び付加保護方策を適用した後,それでも存在す
る残存リスクを低減するために採用する使用上の情報には,ロボットによるアラートを含む。
注記1 使用上の情報に関する要求事項は,箇条8に規定している。
注記2 JIS B 8445の5.1の第10段落では,使用上の情報によるリスク低減手段として,表示,マ
ーキング及びユーザマニュアルによる注意及び警告だけが想定されている。
b) 本質的安全設計並びに安全防護及び付加保護方策の適用が適切でなく,アラートだけでリスクを受容
可能なレベルまで低減する場合,ユーザ及び/又はオペレータがアラートに対し,必要な対処を取れ
ることを確実にしなければならない。アラート及びそれに対する必要な対処の情報は,ユーザマニュ
アルに記載しなければならない。
注記3 意図するユーザがアラートを知覚可能であり,かつ,アラートに反応して適切な時間で必
要な対処が取れることを確実にするのがよい。
c) 5.x又は5.x.xに示した危険源に関連するリスクを低減するために,二次的に引き起こされる危険源の
リスクを低減することで代替してもよい。
注記4 危険源の連鎖的な発展及びそのリスク低減に関する詳細を,附属書Aに示す。
d) ロボットの安全に関わる性能は,定期的な検査,部品交換,調整などによって,製造業者が規定する
範囲内に維持しなければならない。
ロボットを運用する環境は,製造業者が規定する範囲内に維持しなければならない。
ロボットのユーザは,製造業者の規定する適性を満足しなければならない。
注記5 定期検査の実施間隔及び実施方法,維持しなければならない環境条件及びその管理方法,
満たさなければならないユーザの適性条件及びその管理方法などに関する要求事項は,箇
条9に規定している。
e) 5.x.5及び5.x.x.5に示した試験は,必要に応じて実施しなければならない。検証及び妥当性確認のため
に,製造業者が5.x.5及び5.x.x.5に規定していない試験の必要性を特定した場合は,その試験を実施
することが望ましい。
なお,検証及び妥当性確認のための試験方法及びその判定方法の例を,附属書F附属書Lに示す。

5.2 電池の充電に関連する危険源

5.2.1  一般
JIS B 8445の5.2.1(一般)によるほか,次による。
a) IS B 8445の5.2.1の第1段落の要求事項は,この規格の5.3.1及び5.17による。
注記1 感電への防護に関する要求事項は5.3.1に,電気火災への防護に関する要求事項は5.17に
規定している。
b) 5.17に適合するために,電気安全に関わる規格への適合を製造業者が選択した場合,ロボット本体に
電気的に接続する充電システムは,その選択した規格に適合しなければならない。
ロボット本体から取り外した電池を充電する充電システムについて,電気安全に関わる規格を適用

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JIS B 8446-1:2016の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 8446-1:2016の関連規格と引用規格一覧