JIS B 8608:1994 冷凍装置―性能試験方法通則

JIS B 8608:1994 規格概要

この規格 B8608は、定常状態の下で運転されている蒸気圧縮式の冷凍装置について,総合冷凍能力,正味冷凍能力及び有効冷凍能力,並びに消費電力を求めるための試験方法の一般事項について規定。

JISB8608 規格全文情報

規格番号
JIS B8608 
規格名称
冷凍装置―性能試験方法通則
規格名称英語訳
Refrigerating systems -- Test methods -- General requirements
制定年月日
1977年2月1日
最新改正日
2016年10月20日
JIS 閲覧
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対応国際規格

ISO

ISO/DIS 916-1.2:1992(MOD)
国際規格分類

ICS

27.200
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
1977-02-01 制定日, 1982-07-01 確認日, 1988-04-01 確認日, 1994-10-01 改正日, 2001-08-20 確認日, 2007-03-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS B 8608:1994 PDF [12]
                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
B 8608-1994

冷凍装置−性能試験方法通則

Refrigerating systems−Test methods−General requirements

1. 適用範囲 この規格は,定常状態の下で運転されている蒸気圧縮式の冷凍装置(以下,冷凍装置とい
う。)について,総合冷凍能力,正味冷凍能力及び有効冷凍能力,並びに消費電力を求めるための試験方法
の一般事項について規定する。
備考1. この規格で用いる圧力は,特に明記してないときは,絶対圧力である。
2. この規格における蒸気圧縮式冷凍装置には,散水式又は蒸発式の凝縮器をもった冷凍装置は
含めない。
3. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 8606 冷凍用圧縮機の試験方法
JIS C 1102 指示電気計器
JIS Z 8762 絞り機構による流量測定方法
4. この規格の対応国際規格案を,次に示す。
ISO/DIS 916-1.2 Refrigerating systems−Test methods−Part 1 : Testing of systems for cooling
liquids and gases using a positive displacement compressor
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次のとおりとする(図1参照)。
(1) 蒸気圧縮式冷凍装置 冷媒を圧縮,凝縮,絞り膨張及び蒸発させる機器及びそれらを相互に接続する
配管並びに冷凍サイクルを完成させるのに必要な附属機器からなる冷凍装置。
(2) 総合冷凍能力 ( 凍サイクルを循環している冷媒が被冷却媒体,又は二次冷却媒体,低圧側の
周囲空気などから除去する単位時間当たりの熱量。
備考 総合冷凍能力は,圧縮機入口と膨張弁入口とでの冷媒の比エンタルピー差に冷凍サイクルを循
環している冷媒の質量流量を乗じた値。ただし,液−ガス熱交換器をもつ冷凍サイクルでは,
液−ガス熱交換器によって冷凍サイクルから熱は除去されないものとして算定する。
(3) 正味冷凍能力 ( 凍サイクルを循環している冷媒が,被冷却媒体又は二次冷却媒体から除去す
る単位時間当たりの熱量。
(4) 有効冷凍能力 ( 凍能力を求める2点間(図1の点A及び点B)で,冷媒又は二次冷却媒体が
被冷却媒体から除去する単位時間当たりの熱量。
(5) 被冷却媒体 冷凍装置の目的として,最終的に冷却される媒体(図1において熱負荷となる空気)。
(6) 二次冷却媒体 冷却する被冷却媒体から冷媒に熱を伝えるのに使われる,主に液体などの媒体(図1
における水冷却器の冷水)。
(7) 定常運転状態 冷凍装置の各部運転状態値が時間的に平衡に到達した状態。
備考 この定常運転状態は,冷凍装置の性能に影響を及ぼす諸量を示す各種計器の指示値を連続的に

――――― [JIS B 8608 pdf 1] ―――――

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観察して判定する。
図1 冷凍装置の例

備考 図1の冷凍装置におけるそれぞれの冷凍能力の算定値は,侵入熱流 ( ンプ軸
入力 びファン軸入力 正された,単位時間当たりの熱量となる。ただし,ポンプ及

びファンの電動機が二次冷却媒体回路内に組み込まれている場合には, 機の入
力を用いる。
総合冷凍能力 痿
正味冷凍能力 滿
= 痿
有効冷凍能力 痿
= 滿
3. 使用する量記号及び単位記号 この規格で用いる主な量,量記号及び単位記号は表1による。
表1 量,量記号及び単位記号
量 量記号 単位記号
伝熱面積 A m2
比熱 c J/ (kg・K)
比エンタルピー h J/kg
熱通過率 K W/ (m2・K)
断熱材の厚さ l m
消費電力 P W
圧力 p Pa
質量流量 qm kg/s
温度 t K, ℃
熱伝達率 愀 W/ (m2・K)
温度差 K, ℃
熱伝導率 W/ (m・K)
熱流 W
冷凍能力(総合,正味,有効) W
4. 試験方法一般
4.1 試験方法の種類 試験方法は,直接法による冷凍能力試験方法,間接法による冷凍能力試験方法及
び消費電力試験方法の三つとするが,冷凍能力の試験は,一般に直接法による。
なお,間接法による冷凍能力試験方法は,直接法による試験が冷凍装置の構造,使用目的などによって
実用的でない場合,直接法よりも測定精度が良い場合又は直接法による冷凍能力試験の確認を目的として

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行う場合に適用する。
4.2 試験に用いる計器 試験に用いる計器は,表2に規定する精度を満足しなければならない。計器は,
霜付き・熱流などによる測定誤差が少ない形式のものを選定し,冷凍装置の通常の運転を妨げないように
取り付ける。特に,流量の測定は,管路での脈動及び油の混入による影響がないようにする。
なお,据付現場試験での試験に用いる計器の精度が,表2の値を満足しない場合には,受渡当事者間の
協議によって定める。
表2 試験に用いる計器の精度
区分 項目 工場試験 据付現場試験
温度計 冷媒,加熱媒体,冷却媒体,及±0.1℃ ±0.2℃
び湿球温度
露点温度(0℃以下) ±2.0℃ ±3.0℃
その他 ±0.3℃ ±0.5℃
圧力計 低圧側冷媒及び冷却ガス媒体 ±1.5% ±2.0%
(絶対圧力の読み)
高圧側冷媒 ±2.0% ±3.0%
(絶対圧力の読み)
流量計 液冷媒,冷却液媒体(読み) ±1.5% ±2.0%
冷媒蒸気,ガス,空気(読み)±2.0% ±3.0%
時間 (経過時間) ±0.1% ±0.1%
質量 (読み) ±0.5% ±1.0%
電気計器 指示計 JIS C 1102に規定する1.0級の ±1.0% ±1.0%
もの
積算計 (読み) ±1.0% ±1.0%
4.3 試験運転条件 試験における運転条件は,次による。
(1) 試験は,冷凍装置の通常の使用状態で行い,これと相違する状態で行う場合には,補機・周囲空気か
らの侵入熱量による試験結果の補正を行う。
(2) 試験を行う場合には,冷凍装置は定常状態のもとで運転されており,表3に規定する最大許容変動量
の範囲内で安定していなければならない。
なお,据付現場試験での定常状態における許容変動量が表3の値を超える場合には,受渡当事者間
の協議によって定める。
表3 定常状態における最大許容変動量
変動量 工場試験 据付現場試験
蒸発器出口2次冷却液媒体温度 ±0.2℃ ±0.3℃
±1.0℃
蒸発器,冷却器入口の空気(ガス)温度 ±1.5℃
凝縮器入口冷却水温度 ±0.3℃ ±0.5℃
凝縮器入口冷却空気温度 ±1.0℃ ±1.5℃
凝縮器冷却水質量流量 ±2.0% ±3.0%
凝縮器冷却空気質量流量 ±4.0% ±5.0%
冷却又は加熱媒体質量流量 ±2.0% ±3.0%
±1.0%
圧縮機回転速度(密閉形を除く。) ±1.5%
電源電圧 ±3.0% ±4.0%
(3) 熱交換器の冷却・加熱の媒体は,指定の媒体又はその種類及び性質が実質的にこれと同じものでなけ
ればならない。
(4) 試験は,2.の(2)(4)に規定した3種の冷凍能力のうち,実際に試験可能でもっとも使用目的に適合し

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たいずれか1種の冷凍装置の冷凍能力のほかに,消費電力についても行わなければならない。
(5) 指定条件の下で冷凍能力及び消費電力を求めるには,同一条件を目標として2回の試験を行う。各試
験は1020分間隔で3回以上の読取りを定期的に行い,各項目の読み取った値の算術平均から結果を
算定する。ただし,直接法と間接法の2種の試験を同時に行う場合には,1回の試験から結果を算定
してもよい。
また,数多くの同一機種の冷凍装置を試験,又は一つの冷凍装置で各種運転条件で試験する場合な
ど,冷凍能力が1時間にわたって±4%以内の変動であることが確認されている冷凍装置では,1回の
試験及び読取りから,結果を算定してもよい。
5. 冷凍能力試験方法
5.1 直接法による冷凍能力試験方法
5.1.1 総合冷凍能力試験 冷凍装置の総合冷凍能力は,圧縮機入口における冷媒が飽和又は過熱の蒸気で
あれば,次の式によって算定する(図2及び図3参照)。
qm (h1−h5) (1)
ここに, h1 : 圧縮機入口における冷媒の比エンタルピー
h5 : 膨張弁入口(液−ガス熱交換器を用いた図3の装置では,液
−ガス熱交換器入口)における冷媒の比エンタルピー
qm : 冷凍装置を循環している冷媒の質量流量
冷凍装置内の各部を循環している冷媒の質量流量がどこでも同じ場合には,その質量流量測定方法によ
って,次のように分ける。
(1) 水冷凝縮器熱平衡法 凝縮器の熱平衡から,冷媒の質量流量は次の式によって算定する。
qmwcwΔtw+Φc
qm= (2)
Δh
ここに, qmw : 凝縮器における冷却水の質量流量
cw : 冷却水の比熱
凝縮器出入口における冷却水の温度差(3℃以上でなければな
らない。)
凝縮器出入口における冷媒の比エンタルピー差
凝縮器外表面における漏れ熱量
KA (tm−ta) (3)
ここに, A : 周囲大気と接している凝縮器外表面積,ただし,断熱している
場合には,断熱材の外表面積
tm : 内側の流体温度(冷媒の場合には飽和温度)に等しいと考えら
れる凝縮器外表面の平均温度
ta : 周囲大気温度
K : 凝縮器外表面から周囲大気に漏れる熱流の熱通過率
1 =1 l
+ (4)
K
ここに, 懿 外表面の熱伝達率
ただし,強い気流にさらされていない場合には (懿 7W/m2・K)
とする。
l : 断熱材の厚さ
断熱材の熱伝導率
図3の冷凍装置のように,凝縮器が過冷却器をもつ場合には,これら二つの熱交換器を一緒にして

――――― [JIS B 8608 pdf 4] ―――――

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熱平衡をとることによって,冷媒の質量流量を求めるのがよい。
(2) 冷媒流量計法 冷媒流量計法は,液又は過熱蒸気の状態にある冷媒の質量流量を測定する方法で,記
録式若しくは指示式の流量計又はJIS Z 8762の方法のいずれかによって測定する。
図2 冷凍装置の回路及びp−h線図(例1)
図3 冷凍装置の回路及びp−h線図(例2)
5.1.2 正味冷凍能力試験 正味冷凍能力試験は,次による。
(1) 二次冷却液媒体法
(1.1) 蒸発器熱平衡法 蒸発器の熱平衡から,正味冷凍能力は次の式によって算定する。
滿 qmfcf 替 (5)
ここに, qmf : 蒸発器における二次冷却液媒体の質量流量
cf : 二次冷却液媒体の比熱
替 蒸発器における二次冷却液媒体の出入口温度差(3℃以上でな
ければならない。)
二次冷却液媒体への侵入熱による補正項[周囲大気からの侵
入熱流及び二次冷却液媒体回路の測定点間におかれたすべて

――――― [JIS B 8608 pdf 5] ―――――

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