JIS C 4609:1990 高圧受電用地絡方向継電装置

JIS C 4609:1990 規格概要

この規格 C4609は、零相交流器,零相基準入力装置及び地絡方向継電器の組合せからなる一線地絡電流が30A未満の主として6.6KV高圧需要家の充電点に設置される地絡方向継電装置について規定。

JISC4609 規格全文情報

規格番号
JIS C4609 
規格名称
高圧受電用地絡方向継電装置
規格名称英語訳
Directional ground relay set for 6.6 kV consumer
制定年月日
1990年4月1日
最新改正日
2016年10月20日
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対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

29.120.50
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
電気設備 II-1 2021, 電気設備 II-2 2021, 電気設備 III 2021
改訂:履歴
1990-04-01 制定日, 1995-02-01 確認日, 2000-06-20 確認日, 2006-06-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS C 4609:1990 PDF [13]
                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
C 4609-1990

高圧受電用地絡方向継電装置

Directional Ground Relay Set for 6.6kV Consumer

1. 適用範囲 この規格は,零相変流器,零相基準入力装置及び地絡方向継電器(以下,継電器という。)
の組合せからなる一線地絡電流が30A未満の主として6.6kV高圧需要家の受電点に設置される地絡方向継
電装置について規定する。
引用規格 :
JIS C 0911 小形電気機器の振動試験方法
JIS C 0912 小形電気機器の衝撃試験方法
JIS C 3611 高圧機器内配線用電線
関連規格 JIS C 4601 高圧地絡継電装置
JIS C 4602 高圧受電用過電流継電器
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。
(1) 零相基準入力装置 電路の対地電圧から,地絡の発生した場所が零相変流器の設置点より負荷側か,
電源側かを判別する基準となる継電器入力を導出する装置。
(2) 動作電圧値 継電器が動作する零相一次電圧値。
(3) 動作電流値 継電器が動作する零相一次電流値。
(4) 整定 所定の装置によって,動作の基準を定めること。
(5) 動作 継電器がその所定の責務を遂行すること。
(6) 復帰 継電器が原位置における機能に戻ること。
3. 使用状態
3.1 標準使用状態 標準使用状態とは次の使用状態をいい,地絡方向継電装置は特に指定のない限り,
この状態で使用するものとする。
(1) 周囲温度は,−20+50℃。ただし,氷結しない状態とする。
(2) 相対湿度は,3080%。
(3) 標高は,2 000m以下。
(4) 異常な振動,衝撃又は傾斜を受けない状態。
(5) 爆発性の粉じん,可燃性の粉じん若しくはこれら以外の粉じんで過度のもの,可燃性のガス,腐食性
のガス,引火性の蒸気,塩水の飛まつ又は水滴にさらされない場所。
3.2 特殊使用状態 3.1に規定する以外の状態で使用する場合は,特殊使用状態とする。このような場合
は,特殊の構造及び機能を必要とするものがあり,その製作,適用に当たっては特別の注意を必要とする。

――――― [JIS C 4609 pdf 1] ―――――

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4. 定格 継電器並びにこれに組み合わせて使用する零相変流器及び零相基準入力装置の定格は,次のと
おりとする。
(1) 継電器 定格制御電圧 交流110V
定格周波数50Hz又は60Hz
(2) 零相変流器 最高電圧 6.9kV
定格一次電流 100A,200A,300A,400A,600A,1 000A
定格周波数 50Hz又は60Hz
(3) 零相基準入力 装置定格電圧 6.6kV
定格周波数 50Hz又は60Hz
5. 性能
5.1 動作電流特性 7.3によって試験を行ったとき,動作電流値は整定電流値に対し,その誤差が±10%
の範囲になければならない。
5.2 動作電圧特性 7.4によって試験を行ったとき,動作電圧値は整定電圧値に対し,その誤差が±25%
の範囲になければならない。
5.3 位相特性 7.5によって試験を行ったとき,動作する位相及び不動作となる位相は,製造業者が明示
する範囲になければならない。
5.4 動作時間特性 7.6によって試験を行ったとき,動作時間は表1に示す値の範囲になければならない。
表1 動作時間特性
試験電流 % 動作時間 s
整定電流値の130 0.10.3
整定電流値の400 0.10.2
5.5 大電流地絡特性 大電流地絡特性は,7.7によって試験を行ったとき,次のとおりとする。
(1) 7.7(1)によって試験を行ったとき,継電器は確実に動作すること。
(2) 7.7(2)によって試験を行ったとき,継電器は動作しないこと。
5.6 慣性特性 7.8によって試験を行ったとき,継電器は動作してはならない。
5.7 負荷電流の影響 7.9によって試験を行ったとき,継電器の動作範囲は表2に示す値の範囲になけれ
ばならない。
表2 負荷電流の影響
定格一次電流 定格一次電流に零相電流を重畳した
A 場合の継電器の動作範囲 %
200以下 整定電流値の80120
200を超え 600以下 整定電流値の70130
600を超えるもの 整定電流値の50150
5.8 制御電圧の影響 7.10によって試験を行ったとき,定格制御電圧における動作電流値に対して,そ
の誤差が±10%の範囲になければならない。
5.9 温度の影響 7.11によって試験を行ったとき,20℃における動作電流値に対して,その誤差が±20%
の範囲になければならない。
5.10 制御電源負担 7.12によって試験を行ったとき,制御電源回路の負担は製造業者が明示する値の
110%以下でなければならない。
5.11 制御電源開閉 7.13によって試験を行ったとき,継電器は動作してはならない。

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5.12 耐ノイズ 7.14によって試験を行ったとき,継電器は動作してはならない。
5.13 絶縁抵抗 7.15によって試験を行ったとき,絶縁抵抗は,高圧部分(定格電圧1 000Vの絶縁抵抗計
で測定する部分)では20M 坎 上,低圧部分(定格電圧500Vの絶縁抵抗計で測定する部分)では5M 坎
上でなければならない。
5.14 商用周波耐電圧 7.16によって試験を行ったとき,各部に異常を生じてはならない。
5.15 雷インパルス耐電圧 7.17によって試験を行ったとき,各部に使用に耐えないような異常を生じて
はならない。
5.16 温度上昇 7.18によって試験を行ったとき,継電器各部の温度上昇は,表3の値以下であり,かつ,
継電器に異常を生じてはならない。
表3 温度上昇の限度
単位 ℃
温度上昇(基準周囲温度の限度40℃)
測定箇所
抵抗法 温度計法
コイル 55 50
内付 − 80
抵抗器
外付 − 150
5.17 耐久性
(1) 機構 7.19(1)によって試験を行ったとき,継電器,零相変流器及び零相基準入力装置は,使用に耐え
ないような異常を生じてはならない。
(2) 接点 7.19(2)によって試験を行ったとき,接点は,使用に耐えないような異常を生じてはならない。
5.18 振動 7.20によって試験を行ったとき,継電器は動作してはならない。さらに,動作電流値は,整
定電流値に対し,その誤差が±10%の範囲になければならない。
5.19 衝撃 7.21によって試験を行ったとき,継電器は使用に耐えないような異常を生じてはならない。
さらに,動作電流値は,整定電流値に対し,その誤差が±10%の範囲になければならない。
5.20 過電流強度 7.22によって試験を行ったとき,零相変流器は熱的及び機械的に損傷してはならず,
かつ,動作電流値は,整定電流値に対し,その誤差が±10%の範囲になければならない。
6. 構造及び端子記号
6.1 構造
6.1.1 継電器 継電器の構造は,次の各項に適合しなければならない。
(1) 責務を完遂するために十分な機械的及び電気的強度をもち,通常の温度変化,湿度変化及び機械的振
動,衝撃に耐え得るものであること。
(2) 内部素子を収納する箱は,内部にじんあい(塵埃)が入らないように考慮されたものであること。
(3) 継電器の復帰は,手動,自動又は外部信号によるもののいずれでもよい。
(4) 継電器の動作を表示し,かつ,報知できる構造であること。
(5) 動作表示器は,継電器が動作した場合,自動的に元の状態に戻らない構造であること。
(6) 整定装置は,次による。
(a) 動作電流の整定は可変式とし,少なくとも200mA,400mA及び600mAの3点を設けること。
(b) 動作電圧の整定は,固定式又は可変式のいずれでもよい。
(7) 継電器を強制的に動作させ得る試験用押しボタンスイッチ又はこれと同等の装置を設けること。

――――― [JIS C 4609 pdf 3] ―――――

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(8) 端子部は,太さ5.5mm2以下の電線を容易,かつ,確実に接続できる構造であること。
(9) 金属製の外箱部分は,接地できる構造であること。
備考 屋外で使用する場合は,防水に適切な構造の箱内に納めること。
6.1.2 零相変流器 零相変流器の構造は,次の各項に適合しなければならない。
(1) 良質の材料を用い,機械的構造が丈夫で取扱いが便利であること。
(2) 一次側電線(銅帯を含む。)を附属する場合は,定格電流に応じた太さのJIS C 3611(高圧機器内配線
用電線)に規定する高圧絶縁電線(略号KIP又はKIC)又はこれと同等以上の絶縁耐力のあるもので,
その長さは片側突出し部分30cm以上とし,他の電線などと容易に接続できる構造であること。
(3) 図1に示すK・Lとk・l及びkt・ltとk・lは,減極性となるように取り付けるものとする。
図1 零相変流器の端子記号
(4) 試験用電線を挿入し,その端子kt・ltを設けること。
(5) 屋外用のものは,耐候性のある材料を使用し,かつ,高圧側からの漏れ電流が二次回路へ影響を及ぼ
さないように防護したものであること。
6.1.3 零相基準入力装置 零相基準入力装置の構造は,次の各項に適合しなければならない。
(1) 良質の材料を用い,機械的構造が丈夫で取扱いが便利であること。
(2) 高圧側端子は,他の電線などと容易に接続できる構造であり,かつ,接地される金属部との間は,定
格電圧に応じた十分な絶縁耐力をもつこと。
(3) 屋外用のものは耐候性のある材料を使用すること。
(4) 一次側の接地側端子と外箱の接地側端子とは,図2のように電気的に接続されていること。
図2 零相基準入力装置の構成例
6.2 端子記号
6.2.1 継電器 継電器の端子記号及び端子の配列は,次によらなければならない。
(1) 端子記号は,原則として表4に示すとおりとする。

――――― [JIS C 4609 pdf 4] ―――――

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C 4609-1990
表4 継電器の端子記号
端子の種類 記号(1)
零相二次電流入力端子 Z1Z2
Y1Y2又はV1V2V3Ve又
零相基準入力端子
はG1G2
制御電源入力端子 P1P2
常時開路 a
接点出力端子 常時閉路 b
共用 c
引外し電流の電源端子 S1S2
接 電流引外し方
引外し装置に接続する端子 T1T2
点 式を目的とす
端 変流器の二次回路に接続する
る端子 O1O2
子 端子
動作時に電圧を出力として出
Va
す端子
電圧出力端子
動作時に無電圧となる端子 Vb
共用端子 Vc
そ 1端子だけの場合 B
外部接点端子
の 専用端子 B1B2

の 引外し電流用リアクトル接続端子 X1X2
端 内蔵リアクトルを経由しない端子 So

内蔵リアクトル中間タップ端子 Sm
接地用端子 E
注(1) 接地側を指定する必要がある端子は,端子記号の添字2の側とすること。
ただし,零相基準入力端子がV1,V2,V3,Veのものは,Veを接地側と
する。
(2) 端子の配列は,次による。
(a) 端子は,接地端子を除き同一面に取り付けること。
(b) 2個以上で一組になる端子の場合,隣接して取り付けること。
6.2.2 零相変流器 零相変流器の端子記号及び端子の配列は,次によらなければならない。
(1) 端子記号は,図1のように一次側はK・L,二次側はk・l,試験用電線の端子はkt・ltとする。ただし,
貫通形の場合は,穴の入口にK・Lの記号を付けること。
(2) 端子の配列は,次による。
(a) ・Lとk・l,kt・ltが平行になるものは,図1のようにK側をkt及びk,L側をlt及びlとする。
(b) ・Lに平行に一列に取り付ける場合は,kt・ltでk・lを挟むようにする。平行に二つに分けて取り付
ける場合は,kt・lt,k・lをそれぞれ組とし,kt・ltの組を上部又はL側から見て右に取り付ける。
(c) 側面に縦に一列に取り付ける場合は,常に上からkt・k,l・ltの順とする。側面の上部に一列に取り付
ける場合は,(d)の要領による。
(d) ・L方向に対し垂直平面へ取り付ける場合は,L側面へ取り付け,一次側電線の下部に一列に配置
(曲率をもたせてもよい。)し,取付面に向かって左から,kt・k,l・ltの順とする。
6.2.3 継電装置の接続 製造業者は,継電器,零相変流器及び零相基準入力装置相互間の接続を技術資料,
カタログなどに明示しなければならない。
7. 試験方法
7.1 試験条件 試験は,特に定める場合を除き,次の条件で行うものとする。

――――― [JIS C 4609 pdf 5] ―――――

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