JIS C 4611:1999 限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器 | ページ 2

この規格ページの目次

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
C 4611 : 1999

限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器

High-voltage alternating current switch-fuse combinations

序文

 この規格は,1990年に第3版として発行されたIEC 60420,High-voltage alternating current switch-fuse
combinationsを基に,本体には,JIS C 4611-1993で規定していた事項を規定し,附属書2(規定)には,IEC
60420を翻訳し,その様式及び技術的内容を変更することなく取り込んだ日本工業規格(日本産業規格)である。

1. 適用範囲

 この規格は,周波数50Hz又は60Hz,三相交流電路で使用する,定格電圧1kVを超え52kV
未満の,次の限流ヒューズ付負荷開閉器に適用する。
a) 従来JISで規定していた,公称電圧3.3kV又は6.6kV,定格電流600A以下の負荷開閉器部と限流ヒュ
ーズ部をもった手動操作式又は電気動力操作式の三相限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器(以下,負
荷開閉器という。)は,この規格の本体で規定する。
備考1. 単相電路には,三相負荷開閉器がそのまま支障なく使用できる。
2. 開閉頻度の高いコンデンサ用,電気炉用,電動機用などの負荷開閉器には適用しない。ただ
し,開閉回数がこの規格の範囲内であれば,受渡当事者間の協定によって適用してもよい。
3. 限流ヒューズ部は,JIS C 4604の適合品とする。
b) EC 60420で規定している,定格電圧1kVを超え52kV未満の負荷開閉器は,この規格の附属書2で
規定する。
なお,この規格の本体又は附属書2の規定は,一つの製品に対してそのいずれかを一貫して適用するも
のとし,両者の対応する規定項目・内容を適宜選択又は混用して適用することはできない。また,この規
格の本体の規定は,JIS C 4605に規定するシリーズ2に対応する限流ヒューズ付高圧負荷開閉器に適用す
る。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
IEC 60420 High-voltage alternating current switch-fuse combinations

1A. 引用規格

 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
JIS C 4604 高圧限流ヒューズ
JIS C 4605 高圧交流負荷開閉器
JIS C 4607 引外し形高圧交流負荷開閉器

2. 標準使用状態及び特殊使用状態

 標準使用状態及び特殊使用状態は,JIS C 4605の2.(標準使用状態
及び特殊使用状態)による。

――――― [JIS C 4611 pdf 6] ―――――

2
C 4611 : 1999

3. 定義

 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS C 4604,JIS C 4605及びJIS C 4607によるほか,次
による。
a) 限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器 高圧限流ヒューズと高圧交流負荷開閉器とを一体に組み合わせ,
限流ヒューズ部には過電流,特に短絡電流の遮断を,負荷開閉器部には負荷電流の開閉を行わせる装
置。
b) ストライカ引外し式限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器 ストライカを附属した高圧限流ヒューズ
を使用した限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器で,ストライカの動作に連動して負荷開閉器部を開放
するもの。
c) 定格投入遮断電流 組み合わせられる最大定格電流値のヒューズリンクを取り付けて投入遮断できる
短絡電流の限度。
d) トランスファ電流 ストライカ引外し式限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器において,限流ヒューズ
のストライカ動作によって限流ヒューズ部と負荷開閉器部間の遮断責務が移行するときの三相対称電
流で表した電流値。
e) 模擬ヒューズリンク ヒューズエレメントの代わりに素通し導体を使用したヒューズリンク。

3A. 負荷開閉器の種類

 負荷開閉器の種類は,JIS C 4607の3A.(負荷開閉器の種類)によるほか,次に
よる。
a) 負荷開閉器の種類
1) 高圧限流ヒューズと高圧交流負荷開閉器を組み合わせたもので,ストライカ引外し式でないもの。
2) 高圧限流ヒューズと高圧交流負荷開閉器を組み合わせたもので,ストライカ引外し式のもの。
3) 高圧限流ヒューズと引外し装置付高圧交流負荷開閉器を組み合わせたもので,ストライカ引外し式
でないもの。
4) 高圧限流ヒューズと引外し装置付高圧交流負荷開閉器を組み合わせたもので,ストライカ引外し式
のもの。
b) ストライカ連動による引外し方式の種類
1) 電気的引外し方式
2) 機械的引外し方式

4. 定格

4.1 定格電圧

 定格電圧は,JIS C 4605の4.1(定格電圧)による。

4.2 定格耐電圧

 定格耐電圧は,JIS C 4605の4.2(定格耐電圧)による。

4.3 定格周波数

 定格周波数は,JIS C 4605の4.3(定格周波数)による。

4.4 定格電流及び温度上昇

 負荷開閉器の定格電流は,限流ヒューズ部の定格電流と,負荷開閉器部の
定格電流とで表す。
限流ヒューズ部の定格電流は,組み合わせることができるヒューズリンクの最大定格電流値で表し,JIS
C 4604の4.4(定格電流)による。また,その温度上昇は,JIS C 4604の5.3(温度上昇)による。
負荷開閉器部の定格電流及び温度上昇は,JIS C 4605の4.4(定格電流及び温度上昇)による。

4.5 定格投入遮断電流

 負荷開閉器の定格投入遮断電流の値及び投入回数は,表1による。

――――― [JIS C 4611 pdf 7] ―――――

                                                                                              3
C 4611 : 1999
表1 定格投入遮断電流
定格電圧 定格投入遮断電流(実効値) 投入回数
kV kA
3.6 16 25 40 A級 1回
7.2 12.5 20 31.5 40 B級 2回
C級 3回

4.6 定格制御電圧

 引外し装置をもつ負荷開閉器の定格制御電圧は,JIS C 4607の4.8(定格制御電圧)
による。

4.7 制御装置の定格周波数

 制御装置の定格周波数は,JIS C 4605の4.9(制御装置の定格周波数)によ
る。

4.8 定格開閉容量

 定格開閉容量は,JIS C 4605の4.101(負荷開閉器の定格開閉容量)による。

4.9 定格過負荷遮断電流

 引外し装置(ストライカ引外し式のものを含む。)をもつ負荷開閉器の定格過
負荷遮断電流の値及び遮断回数は,JIS C 4607の4.11(定格過負荷遮断電流)による。ただし,定格過負
荷遮断電流は,組み合わせることができるヒューズリンクのうち最も大きい最小遮断電流値を超え,かつ,
ストライカ引外し式のものでは,附属書1に示す方法によって求めたトランスファ電流以上とする。

4.10 定格地絡遮断電流

 引外し装置をもつ負荷開閉器の定格地絡遮断電流は,JIS C 4607の4.12(定格
地絡遮断電流)による。

5. 設計及び構造

5.1 負荷開閉器の接地

 負荷開閉器の接地は,JIS C 4605の5.3(負荷開閉器の接地)による。

5.2 制御装置

 制御装置は,JIS C 4607の5.2(制御装置)による。

5.3 手動操作開閉

 手動操作開閉は,JIS C 4605の5.4A(手動操作開閉)による。

5.4 電磁操作(ソレノイド操作)

 電磁操作(ソレノイド操作)は,JIS C 4605の5.5A[電磁操作(ソ
レノイド操作)]による。

5.5 蓄勢エネルギー投入

 蓄勢エネルギー投入は,JIS C 4605の5.6(蓄勢エネルギー投入)による。

5.6 引外し

 引外し装置(ストライカ引外し式だけのものを除く。)をもつ負荷開閉器の引外しは,JIS C
4607の5.6(引外し)による。

5.7 開放動作

 地絡継電装置をもつ負荷開閉器は,JIS C 4607の表1(定格制御電圧)に示す変動範囲内
の制御電圧で支障なく動作し,次の各項に適合しなければならない。
a) 地絡トリップ動作 地絡トリップ動作は,その主回路に規定値以上の地絡電流が流れたときに動作し,
その特性は,JIS C 4607の5.7b)(地絡トリップ動作)の1)及び2)に規定する事項を満足する。
b) 温度特性 温度特性は,JIS C 4607の表8(周囲温度範囲)の周囲温度範囲内でa)に規定する事項を
満足する。

5.8 短絡投入・遮断

 負荷開閉器は,定格投入遮断電流以下の電流を投入して遮断ができ,次の各項に
適合しなければならない。
a) 通電中,負荷開閉器は開路せず,いずれの部分にも著しい損傷がない。
b) 限流ヒューズの遮断性能は,JIS C 4604の5.9(遮断性能)に規定する事項を満足する。
c) ストライカ引外し式のものは,ストライカの動作によって確実に開路する。
d) 引外し装置(ストライカ引外し式のものを除く。)をもつものは,制御電圧変動範囲の下限値で確実に
引外しできる。

――――― [JIS C 4611 pdf 8] ―――――

4
C 4611 : 1999

5.9 銘板

 銘板は,JIS C 4605の5.9(銘板)[ただし,表10a)の“No.11定格短時間耐電流”,“No.12定
格短絡時間”,並びに“No.13定格短絡投入電流及びA,B,Cの区別”を除く。]によるほか,次の事項を
明示する。
a) 負荷開閉器銘板
1) 定格電流 (A) (限流ヒューズ部と負荷開閉器部とに分けて記載する。)
例 限流ヒューズ 60A,負荷開閉器 100A
2) 定格投入遮断電流(A,B,Cの区別及びA)
例 A 12.5kA
3) 定格過負荷遮断電流(A,B,Cの区別及びA)
例 A 400A
4) 定格地絡遮断電流 (A) (省略してもよい。)
例 30A
5) 内部零相変流器番号(必要なものに限る。)
6) 適用ヒューズリンクの形式
b) 制御装置銘板
1) 内部地絡継電器番号(零相変流器との合番号。必要なものに限る。)

5.10 開閉操作

 開閉操作は,JIS C 4605の5.101(開閉操作)による。

5.11 断路機能付負荷開閉器要求事項

 断路機能付負荷開閉器の要求事項は,JIS C 4605の5.102(断路機
能付負荷開閉器要求事項)による。

5.12 機械的強度

 機械的強度は,JIS C 4605の5.103(機械的強度)による。

5.13 可動接触子の位置及び位置表示装置

 可動接触子の位置及び位置表示装置は,JIS C 4605の5.104(可
動接触子の位置と位置表示装置)による。

5.14 構造一般

 構造一般は,JIS C 4605の5.201(構造一般)による。
なお,ヒューズリンクの着脱は,安全,かつ,容易に行えなければならない。

5.15 塗装及びめっき

 塗装及びめっきは,JIS C 4605の5.202(塗装及びめっき)による。

5.16 塗装色

 塗装色は,JIS C 4605の5.203(塗装色)による。

5.17 外箱及び外枠

 外箱及び外枠は,JIS C 4605の5.204(外箱及び外枠)による。
なお,閉鎖形負荷開閉器の場合には,負荷開閉器が入の状態では外箱のふたが開けられないようにしな
ければならない。

5.18 開閉機構

 開閉機構は,JIS C 4605の5.205(開閉機構)によるほか,引外し装置(ストライカ引外
し式のものを含む。)をもつ負荷開閉器は,次の各項に適合しなければならない。
a) 閉路後,ハンドル位置が固定される負荷開閉器は,ハンドル自由式構造とする。
b) ストライカ引外し式のものは,ストライカの動作によって負荷開閉器が確実に開路する。
c) ストライカの連動機構は,絶縁に悪影響がない構造とする。

5.19 取付機構(ハンガ及びつり金具)

 取付機構(ハンガ及びつり金具)は,JIS C 4605の5.206[取付
機構(ハンガ及びつり金具)]による。

5.20 ブッシング及び支持絶縁物

 ブッシング及び支持絶縁物は,JIS C 4605の5.207(ブッシング及び支
持絶縁物)による。

5.21 外部接続端子

 外部接続端子は,JIS C 4605の5.208(外部接続端子)による。

5.22 クロスバ

 クロスバは,JIS C 4605の5.209(クロスバ)による。

――――― [JIS C 4611 pdf 9] ―――――

                                                                                              5
C 4611 : 1999

5.23 気中負荷開閉器

 気中負荷開閉器は,JIS C 4605の5.210(気中負荷開閉器)による。

5.24 真空負荷開閉器

 真空負荷開閉器は,JIS C 4605の5.211(真空負荷開閉器)による。

5.25 ガス負荷開閉器

 ガス負荷開閉器は,JIS C 4605の5.212(ガス負荷開閉器)による。

5.26 屋外用負荷開閉器の外面表示

 屋外用負荷開閉器の外面表示は,JIS C 4605の5.213(屋外用負荷開
閉器の外面表示)による。

5.27 負荷開閉器の電源側及び負荷側表示

 負荷開閉器の電源側及び負荷側表示は,JIS C 4605の5.214(負
荷開閉器の電源側及び負荷側表示)による。

5.28 零相変流器

 零相変流器は,JIS C 4607の5.27(零相変流器)による。

6. 形式検査

6.1 概要

 概要は,JIS C 4605の6.0(概要)による。ただし,グループ化の例は,表2による。
表2 形式検査のグループ化の例
グループ 形式検査 箇条番号
1 耐電圧試験 6.2
回路の抵抗測定 6.4
温度上昇試験 6.3
2 無電圧開閉試験 6.6
短絡投入・遮断試験 6.5
3 電流開閉試験 6.5
4 耐振動性及び耐衝撃性試験 6.8
防水性試験 6.9
気密性試験 6.10
その他

6.2 耐電圧試験

 耐電圧試験は,JIS C 4607の6.2(耐電圧試験)による。

6.3 温度上昇試験

 試験は,限流ヒューズ部と負荷開閉器部とに分けて行う。
限流ヒューズ部に関する試験は,組み合わせることができる最大定格電流のヒューズリンクを取り付け,
JIS C 4604の7.4(温度試験)によって行う。ただし,試験電流は最大定格電流とし,接続導体はJIS C 4604
の表10(接続導体)による。
負荷開閉器部に関する試験は,ヒューズリンクを模擬ヒューズリンクに置き換え,JIS C 4605の6.3(温
度上昇試験)によって行う。ただし,試験電流は定格電流とし,接続導体はJIS C 4605の表11による。

6.4 回路の抵抗測定

 回路の抵抗測定は,JIS C 4605の6.4(回路の抵抗測定)による。ただし,ヒュー
ズリンクは,模擬ヒューズリンクに置き換える。

6.5 電流開閉試験及び短絡投入・遮断試験

6.5.1  供試器の状態 供試器の状態は,JIS C 4605の6.101.1(供試器の状態)による。
6.5.2 動作責務 動作責務は,JIS C 4607の6.6.2(動作責務)による。ただし,短絡投入・遮断試験の
動作責務は表3に,長時間溶断電流遮断試験の動作責務は表4による。
6.5.3 試験周波数 試験周波数は,JIS C 4605の6.101.3(試験周波数)による。
6.5.4 試験電流 試験電流は,JIS C 4607の6.6.4(試験電流)による。ただし,短絡投入・遮断試験の
試験電流は表3に,長時間溶断電流遮断試験の試験電流は表4による。
6.5.5 試験電圧 試験電圧は,JIS C 4605の6.101.5b)による。ただし,短絡投入・遮断試験の試験電圧値
は表3,長時間溶断電流遮断試験の試験電圧値は表4による。

――――― [JIS C 4611 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS C 4611:1999の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60420:1990(MOD)

JIS C 4611:1999の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 4611:1999の関連規格と引用規格一覧