JIS C 60068-2-81:2007 環境試験方法―電気・電子―第2-81部:衝撃応答スペクトル合成による衝撃試験方法 | ページ 3

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C 60068-2-81 : 2007 (IEC 60068-2-81 : 2003)
b) 供試品に害を与えないことが分かっている横運動は,監視する必要がない。

4.3 シグナルトレランス

  製品規格に規定がない場合,加速度信号のシグナルトレランス測定を実施する。基準点で測定し,その
測定系の振動数範囲は,5 000 Hz又は上限振動数f2の5倍の値のうち低い振動数までとする。製品規格に
規定がある場合,測定系の振動数範囲を上限振動数又はそれ以上に拡大してよい。製品規格に規定がない
場合,シグナルトレランスは5 %以下とする。
大形の又は複雑な供試品の場合,振動数範囲の幾つかの部分で規定のシグナルトレランスの値を満足し
ないことがある。そのような場合は,試験報告書にシグナルトレランスの値を記載する。

4.4 測定系

  測定系の特性は,基準点の試験軸方向で測定した時刻歴の値が,試験で要求される許容差内であること
を判断できる特性とする。
センサ,シグナルコンディショナ及びデータ収集・処理装置を含む計測系全体の振動数応答は,測定の
精度に重要な影響を与える。
測定系の振動数範囲は,要素波の下限振動数f1の0.67倍から要素波の上限振動数f2の1.5倍より広くす
る(JIS C 60068-2-27の4.2参照)。測定系の振動数応答は,この振動数範囲で±5 %以内で平たんとする。

5 試験要求事項

5.1 試験の制御

  試験に使う時刻歴は,規定の時間窓に入る要素波(複数)で構成する合成時刻歴とする。この時刻歴は,
9.3に示すように製品規格に規定したSRSから得られる。
製品規格に規定がなければ,減衰比5 %(Q値 10)を使う。振動応答検査から別の減衰比を得てもよい
(9.2参照)。製品規格でQ値ごとにSRSが規定されている場合,振動応答検査によってどのQ値を使う
かを選択できる。
要素波の振動数間隔は,試験の規定のQ値によって,次に従って選択する。
− Q値が5以下の場合,1/3オクターブ間隔
− Q値が5と25との間の場合,1/6オクターブ間隔
− Q値が25以上の場合,1/12オクターブ間隔
注記 オクターブ間隔の推奨振動数は,ISO 266に規定されている。

5.2 SRSの許容差

  基準点で測定した試験SRSは,要求SRSの±1.5 dB以内とする(図3参照)。
試験振動数範囲の20 %未満の範囲の試験SRSが,±3 dBの許容差内にあるとき,それらの点が試験振
動数範囲内の供試品の臨界共振振動数に一致しなければ,試験は許容できる。この場合,要求SRSからの
偏差を試験報告書に記載する。
試験SRSは,最低限5.1に示すQ値によって選択した値と同じ振動数間隔で点検する。

5.3 試験SRSの計算

  試験SRSの計算で誤差を最小限にするために,基準点からの信号のサンプリング及びフィルタリングに
は,特別の考慮を払う。
サンプリングに続いて行うSRS計算で内挿補間を行わない場合は,少なくとも応答計算の上限振動数f2
の10倍以上の周波数で時刻歴をサンプリングする。
注記 上記のようにすれば,最も高い振動数f2の振動系の応答時刻歴は,5 %未満の誤差で計算でき

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る。振動数解析で一般に使われるサンプリング周波数2.56 f2を使った場合は,上限振動数f2の
振動系の最大応答は60 %を超える誤差で計算される。
引き続いて行うSRS計算で内挿補間を行う場合は,サンプリング周波数を上限振動数f2の4倍に下げて
もよい。
エイリアシング誤差を避けるため,評価中の時刻歴をデジタル化する前に,常に,ローパスフィルタを
使用する。エイリアシング防止フィルタの半値遮断周波数は,上限振動数f2の1.5倍にすることが望まし
い。遮断特性は少なくとも−60 dB/octとする。これらの推奨値を使用すれば,上限振動数f2の振動系の十
分な応答が得られ,エイリアシング防止フィルタの位相変化に起因する,上限振動数の振動系の誤差も抑
えられる。
なお,フィルタの位相特性は,直線性でなければならない。
低振動数誤差又は直流オフセットが試験に影響を与える場合は,ハイパスフィルタを使う。そのフィル
タの半値遮断周波数は,応答計算の下限振動数f1の0.1倍又は2 Hzのどちらか高い方を上回らないことが
望ましい。
評価中の時刻歴又は振動系の応答時刻歴が計算の時間枠内に減衰しない場合は,切り出し誤差が発生す
る。これは減衰の低い振動系の計算の場合に特に問題となる。切り出し誤差は,長い時間枠を使って避け
る。
注記 JIS C 60068-2-27の附属書Bでは,“初期”及び“残留”のSRSを用いる理論的根拠が記載され
ている。試験SRSの評価には,絶対最大SRSを計算することが望ましい。

5.4 SRS計算アルゴリズム

  SRSの計算には多くの方法があり,使用するアルゴリズムによって,特に低い振動数及び高い振動数で,
異なる結果が得られることがある。したがって,少なくとも試験振動数範囲内で正確なSRSが得られるこ
とを検証したアルゴリズムを使うことが重要となる。

5.5 試験振動数範囲

  試験振動数範囲は,再現すべき衝撃事象の上限振動数成分及び供試品を取り付けた試験装置の能力に基
づき,選択する。

5.6 取付け

  供試品は,JIS C 60068-2-47に従って取り付ける。製品規格には,試験中の供試品の姿勢及び取付けに
関する内容を規定する。試験しない条件にまで拡張する合理的な理由がない限り(例えば,重力の効果が
供試品のふるまいに影響を与えないことを示すなど)規格の要求事項に適合するように考慮した条件だけ
を規定する。
通常防振装置に取り付ける供試品で,防振装置なしで試験をする必要がある場合は,そのことを考慮し
て,加振レベルを修正しなければならない(JIS C 60068-2-47参照)。
供試品を取り付けるとき,接続,ケーブル,配管などの影響を考慮する。

6 厳しさ

  試験の厳しさは,次のパラメータの組合せによって決定する。
a) 必す(須)パラメータ
− Q値付き要求SRS
− 試験軸及び向き
− 合成時刻歴の持続時間

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− 繰返し回数
− 試験振動数範囲
b) 選択パラメータ
− 要求SRSの高振動数漸近値 (HFA)
− 合成時刻歴の強部の持続時間
− 応答時刻歴の高いピーク数
− フーリエスペクトル
− エネルギースペクトル密度
− 合成時刻歴の時間領域rms値(B.2参照)
− 合成時刻歴の振動数領域rms値(B.4参照)
注記 選択パラメータは,他にもある(附属書B参照)。
製品規格では,6.16.5の推奨事項に基づいて各パラメータの値を規定する。
供試品を一つの応答に対する残存だけでなく,低サイクル疲労(繰返し応答)に対しても試験する場合
は,選択パラメータが必要になることがある。

6.1 要求SRS

  製品規格には,各試験に関して,Q値,許容差並びに選択した場合の高振動数漸近値 (HFA) を含む要
求SRSのレベル及び形状を規定する。SRSは,絶対最大スペクトルで規定する。製品規格には,SRSがす
べての軸に共通でない場合,各スペクトルを適用する供試品の軸及び向きについて規定する。
注記 製品規格には,Q値ごとにSRSを規定することができる。

6.2 合成時刻歴の持続時間

  製品規格には,各時刻歴の持続時間を規定する。持続時間の推奨値は,次のシリーズとする。
···1,2,3,5,10···(秒)
注記 時刻歴の持続時間の選択は,SRS計算に使うサンプリング周波数及び時間窓に依存する。した
がって,常に上記の系列に近い値が得られるとは限らない。
製品規格で全持続時間の百分率で指定する時刻歴の強部を要求することがある。6.5の要求事項によって
これが除外されるとき以外は,時刻歴の強部の持続時間は,全持続時間に対する次の百分率から選択する。
25,50,75 (%)
選択した値は,試験報告書に記載する。

6.3 繰返し回数

  製品規格には,供試品の軸及び向きに適用する時刻歴の回数を規定する。
特に規定がなければ,各試験で各軸の各向きに適用する繰返し回数は,次のシリーズから選択する。
1,2,5,10,20,50,···(回)
二つ以上の時刻歴レベルを使う場合,試験は,常に最も低いレベルから始め,次により高いレベルに移
る。各時刻歴の後に休止を設ける。

6.4 試験振動数範囲

  試験振動数範囲は可能な限り,次のシリーズに近い値から選択して製品規格に規定する。
···1,2,5,10,20,50,··· (Hz)
下限振動数f1は最低の場合0.1 Hzから開始し,上限振動数f2は5 000 Hzを超えてはならない。
注記 振動数範囲の値は,SRS計算に使うサンプリング周波数及び時間窓に依存する。したがって,
常に前述の系列に近い値が得られるとは限らない。

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6.5 1自由度系の計算応答時刻歴の高いピーク数

  1自由度系の計算応答時刻歴中の規定のしきい値を超える高いピークの数を,製品規格に規定してもよ
い。
応答時刻歴の高いピークは,低サイクル疲労が重要な場合に適用できる選択的厳しさである。
応答時刻暦の高いピークの計算は,選択した1自由度系を合成時刻歴で励振したときの応答時刻歴全体
について実施する。この系の非減衰固有振動数及びQ値は,振動応答検査の結果又はこれらのパラメータ
の推定値から選択する。
応答時刻歴の高いピークは,供試品の固有振動数の要求SRS値のパーセントで表示する。
製品規格に規定がない場合には,応答時刻歴の高いピーク数は,減衰比2 %10 %(Q値525),しき
い値70 %では,320とする。交互に現れる正及び負のピーク数をほぼ等しく分布させる。

7 前処理

  製品規格で前処理及びその条件を規定する。

8 初期測定

  製品規格の規定に従って,供試品の目視,寸法及び機能の点検を実施する。
製品規格に規定がない場合には,初期応答検査を実施する(9.2参照)。

9 試験

9.1 概要

  製品規格に規定がない場合,三つの推奨試験軸の各軸方向に供試品を加振する。これらの軸の試験順序
は,製品規格に規定がない場合には,重要ではない。
振動発生機の運動が規定のSRSを満足するように供試品を加振する。ほとんどすべての動電式振動試験
装置の供給者は,適切な駆動信号を発生させるソフトウエアを供給している。

9.2 振動応答検査

  製品規格に規定がない場合,供試品の振動応答検査は,必す(須)となる。
振動応答検査は,正弦波又はランダム波で,試験振動数範囲内又は非減衰1次固有振動数の5倍までの
低い方で,試験レベルは製品規格の規定に従って実施する。
正弦波振動はJIS C 60068-2-6,ランダム振動はJIS C 60068-2-64による。
振動応答検査は,供試品の応答がSRS試験のときより低くなるような試験レベルで,かつ,臨界振動数
が検出できる十分に高いレベルを選択して実施する。
正弦波加振による振動応答検査は,1 oct/minを超えない掃引速度で実施するが,より正確な応答特性が
必要な場合は,掃引速度を下げてもよい。過度な耐久時間は,避けることが望ましい。
ランダム加振による振動応答検査は,応答の確率的変動を小さくするために,必要な時間を確保して実
施する。応答のピーク(最も狭い3 dB帯域幅)を的確に決定するために,振動数分解能を十分高くする必
要があり,最も狭い3 dB帯域幅に最低5本のスペクトルラインが入るようにすることが望ましい。
製品規格に規定がある場合には,供試品はこの検査中動作させる。供試品を動作させた状態で,機械振
動特性を評価できない場合は,供試品を動作させない振動応答検査を別に用意して実施する。供試品の臨
界振動数は,供試品を調査して決定し,試験報告書に記載する。
製品規格に規定がない場合も,SRS試験の前後の臨界振動数を比較するために,SRS試験完了後の振動

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応答検査の実施は必す(須)となる。両方の振動応答検査を同じ方法で同じ試験レベルで実施する必要が
ある。
試験の前後の臨界振動数を,試験報告書に記載する。
製品規格には,臨界振動数の変化が発生した場合にとるべき処置を規定する。

9.3 試験時刻歴の合成

  試験時刻歴を合成する各段階を,次に示す(附属書C参照)。各SRS試験に対して,次に示す段階に従
って適切なパラメータを選択して,試験時刻歴を合成する必要がある。
a) 試験時刻歴の合成に使う要素波 選択できる幾つかの要素波がある。最も一般的なものを,次に示す。
1) 指数減衰正弦波
2) 一定振幅正弦波
3) ハニング窓付き正弦波バースト
b) 試験振動数範囲 可能なサンプリング周波数を考慮して,試験振動数範囲を選択する(5.3,5.5及び
6.4参照)。
c) 時間窓 段階b) を考慮して時間窓の時間を選択する。
d) 要素波の振動数間隔 5.1に従って振動数間隔を選択する。
e) 値 製品規格又は振動応答検査に従って試験に使うQ値を選択する(5.1及び9.2参照)。
f) 要素波の持続時間 6.2に従って要素波の持続時間を調整する。
g) 要求SRS 要求SRSに従って各要素波のピーク値を設定する。
h) 試験時刻歴の合成に使うその他のパラメータの初期値 例えば,次のようなものがある。
− 遅れ(要素波の開始時間)
− 極性(要素波開始の正又は負)
− 半周期の数[要素波a) の2) 及び3)]
i) 制御器内での時刻歴の合成 振動発生機を加振しないで制御器内で初期試験時刻歴を合成する。
j) 初期試験SRSと要求SRSとの比較 合成時刻歴を製品規格の許容差及びパラメータに関して比較す
る(5.2及び6参照)。
k) パラメータの調節 合成時刻歴が要求SRSの許容差及びパラメータを満足し,振動発生機の加振力,
変位,速度及び加速度の限界内に合致するまで,必要なら段階f) で,次に段階g) 及びh) で時刻歴
のパラメータを反復調整する。
l) 合成時刻歴の保存 合成時刻歴を保存し,9.4に従って試験を開始する。この試験段階で試験時刻歴の
反復制御を行う。
m) 残りの加振軸及び向き 残りの軸及び向きで厳しさが異なる場合,残りの軸及び向きについて,この
手順を繰り返す。
注記 この段階は,ある軸及び向きのフルレベル試験の後に実施してもよい[9.4段階e) 参照]。

9.4 合成試験時刻歴での試験

  合成した試験時刻歴での試験の各段階を,次に示す(図5及び附属書C参照)。
a) 供試品又はダミーの取付け 供試品(又は動的に等価なダミー)を当該軸及び向きに振動台に取り付
ける。
b) 規定の−18 dBの低レベル加振 9.3のl) の合成時刻歴の信号を使って,規定の−18 dBのレベルで供
試品を励振する。基準点の加速度時刻歴が,この低レベルで要求SRSの形状及びパラメータを満足す
るまで最大6回反復制御する。駆動信号を保存する。

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