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C 60068-2-81 : 2007 (IEC 60068-2-81 : 2003)
附属書A
(参考)
時刻歴−一般的背景情報
序文
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
A.1 概要
SRSからの時刻歴の導出は,数学的に正確又は固有の方法ではない。特定の一つのSRSから多くの試験
時刻歴を導きだすことができる。さらに,試験装置の限界によって課せられる制限があるので,SRSを正
確に一致させることはできない。その結果,SRSで定義した特定の時刻歴は,高い信頼性で繰り返して再
現できそうにない。したがって,導き出した時刻歴は,常に,試験仕様作成者の合意を得ることが望まし
い。
SRSから時刻歴を導き出す多くの方法が存在する。一般に,各方法はそれぞれ異なる特性の時刻歴を作
り出し,試験装置の限界によって課せられる実際的な制限も大いに異なる。さらに,多くの方法の別々の
コンピュータ計算は,それ自体の限界及び仮定を伴う。しばしば,これらの限界及び仮定を伴って,ある
程度の信頼性及び再現性をもった時刻歴が作成されている。
SRSから試験時刻歴を求める適切な方法の第一の選択基準は,必要な時刻歴の特性に関する考察である。
その選択は,通常,製品規格のSRSの元になった時刻歴に依存する。しかし,元の時刻歴のすべての特性
を再現することはできないので,試験時刻歴で再現する必要のある特定の側面を同定する必要がある。一
般に,元の時刻歴の特性は,衝撃を発生する動作条件及び衝撃源との距離に依存する。多くの場合,試験
時刻歴で発生する衝撃の決定的側面は,供試品の感受性にも依存する。
SRSから試験時刻歴を求める適切な方法の第二の選択基準は,試験装置の限界によって課せられる実際
の制限に関する考察である。動電式又はサーボ油圧式の振動試験装置で,時刻歴衝撃を発生させるために
は,時刻歴の初期及び最終の加速度並びに速度は,ゼロでなければならない。どの試験装置であっても,
加速度,速度及び変位の最大値は,その試験装置の限界内でなければならない。これらのすべては,振動
試験装置で実際に時刻歴を発生させるための重要な制限である。一般に,振動試験装置によって課せられ
た制限は,衝撃発生点又はその近傍の衝撃を再現しようとするとき,最大の影響をもつ。衝撃源からある
程度離れた場所で観測される時刻歴のように,中間構造物の影響を受けた時刻歴は,振動試験装置の制限
を受けることなく再現しやすい。
A.2 古典的時刻歴の再現
正弦半波又はのこぎり波のような古典的時刻歴を振動発生機で再現させることは,試験装置の限界によ
って課せられた実際の制限のため,しばしば困難である。しかし,古典的時刻歴のSRSをもつ時刻歴を合
成して試験を行うことは,一般に,合理的で,信頼性があり,再現性もよい。その理由は,古典的時刻歴
のSRSがほぼ固定化しているからであり,要求SRSは元のパルスを良好に表現しており,得られた時刻
歴は元のパルスと良好な等価性が得られる。ピーク値及び持続時間のような追加事項を採用すれば,再現
性は更に改善される。振動試験装置に古典的時刻歴を適用する場合,時刻歴の初期及び最終加速度並びに
速度をゼロにすることが,最も困難である。通常,必要なパルスより低い値の負のピーク及び長い時間の
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C 60068-2-81 : 2007 (IEC 60068-2-81 : 2003)
補償波を追加して,この問題を解決している。通常,公称波の前及び後に付ける補償波のピーク値,形状
及び時間を適切に組み合わせて,試験時刻歴の初期及び最終の加速度並びに速度がゼロになることを保証
している。
A.3 減衰正弦波の応答
古典的パルスの形をした衝撃を受ける機器は,ほとんどない。多くの機器は,中間構造物の動特性で修
正された衝撃を受ける。そのような応答は,振動的又は過渡的特性によって表される。最も単純な場合,
これらの応答は,単一振動数の減衰正弦波の形になる。より一般的には,それは個々の応答成分が複雑に
混合した形である。一般に,振動的で複雑であるほど,容易に振動発生試験装置に適用できる。
減衰正弦波は,比較的衝撃源に近い設備で見られる衝撃応答の代表的なものである。単一振動数の減衰
正弦波のSRSは,独特な形であり,導き出された試験時刻暦は元の時刻暦とよく一致している。しかし,
複数の振動数を含む応答の場合,追加事項がない限り,導かれた時刻暦は元の時刻暦と一致しにくい。こ
の場合,各振動数の相対的振幅と同様に各振動数の減衰及び全体のピーク値を追加事項に含めるとよい。
通常,応答のピーク及びパルスの立上がりを重視する場合は,複雑な減衰正弦波の再現を採用する。
SRSから減衰正弦波の時刻歴を決定するために使う方法はよく発表されており,どれも一般に同様であ
る。方法が似ていても,具体的な実施方法によって,最終の試験時刻歴の再現性に制限が加わる。実際,
これらの制限は,しばしば,元の応答とよく一致している試験時刻歴の実現を妨害する。ほとんどすべて
の方法は,減衰正弦波の振動数でだけ,試験時刻歴のSRSを要求SRSに一致させている。中間の振動数
で一致を改善する幾つかの方法があるが,そのどれもがよい一致を保証するものではない。一般に,減衰
正弦波の振動数でよい一致を得ることができるが,中間の振動数では広い許容差が要求される。実際の制
限には,一般に,使用する減衰正弦波の数の制限が含まれる。
各減衰正弦波には,ほとんどの場合,試験時刻歴の初期及び最終の加速度並びに速度をゼロにするため
の適切な補償波を追加する必要がある。この補償波は,古典的衝撃時刻歴の場合に比較して厳しくないが,
依然として,試験時刻歴のSRSに影響を与える。振動発生機の実際の制限内で,補償波の振動数には,あ
る程度の柔軟性がある。一般に,補償波の振動数が低いほどよい。
A.4 複雑な振動的時刻歴の応答
中間構造物の動的応答の効果が卓越している過渡的及び振動的時刻歴は,多くの衝撃応答の代表的なも
のである。衝撃源の特性が重要ではないとき,多くの異なった方法で,SRSから試験時刻歴を導きだすこ
とができる。どの方法を使っても,導きだした試験時刻歴は,追加事項を用いなければ,元の時刻歴との
良好な等価性が期待できない。この場合,元の応答の振動数及び各振動数の相対的振幅と同様に全体のピ
ーク値を追加するとよい。通常,対象の機器のピーク応答が衝撃源の衝撃の直後に発生する場合に,複雑
な振動的応答をもつ試験時刻歴の再現を採用する。
SRSから複雑な振動的応答をもつ時刻歴を決定する方法はいろいろある。その方法及び実施は,振動発
生試験装置の能力制限に対する改善及び最終時刻歴の再現性に対する改善を目的としている。実際に,こ
の制限は,元の応答によく一致する試験時刻歴の実現を妨げる。ほとんどすべての方法は,特定の振動数
(複数)でだけ,試験時刻歴のSRSを要求SRSに一致させている。一般に,特定の振動数(複数)でか
なりの一致が得られるが,中間振動数では広い許容差が要求される。
SRSから複雑な振動的応答の時刻歴を決定するための幾つかの方法では,試験時刻歴の初期及び最終の
加速度並びに速度をゼロにするための補償波の追加を要求する。しかし,別の幾つかの方法では,補償波
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の追加なしに,初期及び最終の加速度並びに速度がゼロになるように設計されている。補償波が要求され
たとき,古典的衝撃時刻歴又は減衰正弦波の時刻歴で要求されるものより,それは,一般的に影響が少な
い。
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附属書B
(参考)
試験時刻歴の合成に使うパラメータ
序文
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
B.1 概要
供試品の試験に要求される環境は,次の情報から得られる。
− 当該供試品の運用状態で測定したデータ
− 同種の適用でのデータベースを元に予測した衝撃環境
− 計算した衝撃環境
実際の衝撃環境の測定及び解析は,しばしば大きなダイナミックレンジが要求されることに十分注意を
して実施する。参考文献 [1] に,この問題に関する有用な情報及び理論が記載されている。
SRS試験の要求事項は,前記の情報源から得られる。これらの要求事項には,衝撃試験環境を記述する
幾つかの特定のパラメータが含まれる。これに,次の事項を記述するパラメータを含めることができる。
− 衝撃持続時間
− 衝撃のピーク値
− 衝撃の振動数成分
− SRS
試験に要求されるパラメータは,試験の目的に依存する。あるパラメータは,強度試験に重要で,別の
パラメータは,低サイクル疲労が重要な場合に必要である。
B.2 衝撃現象の持続時間に関するパラメータ
衝撃現象の持続時間 (T) を記述するために,次のパラメータが使用できる。
− 時刻歴の強部
− 衝撃又は過渡振動の有効持続時間
時刻歴の強部は,信号が最大値の25 %に達した時点から最後に25 %に下がった時点までの時刻歴の部
分と定義されている(3.22参照)。
時刻歴の振動数範囲は,時刻歴の性質に大きく影響し,したがって時刻歴の最大値及び時刻歴の強部に
影響するので,注意する。振動数範囲に関連して,フィルタの傾斜,振動数の下限及び上限並びにサンプ
リング周波数も規定する。
衝撃及び過渡振動の有効持続時間は,次のように定義している(参考文献 [2] の試験方法516.5による)。
− 衝撃現象に関して,rms時刻歴のピーク値の10 %を超えるrms時刻歴を90 %以上含む最短の時間長
さ。
この方法は,とが(尖)ったノイズなどの影響を受けにくいが,前記のrms時刻歴を計算するパラメー
タと同様に,振動数範囲及び他のパラメータを規定する。
B.3 衝撃現象のピーク値に関するパラメータ
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C 60068-2-81 : 2007 (IEC 60068-2-81 : 2003)
衝撃現象のピーク値を記述するために,次のパラメータが使用できる。
− 時刻歴の最大値及び最小値
− 時刻歴の確率密度
− 時刻歴のピーク(正又は負)ランキング
− 時刻歴のレインフロー
時刻歴の振動数範囲及び他のパラメータは,時刻歴の最大値及び最小値に重要な影響を与えるので,規
定しなければならない。
どのパラメータを使っても,SRSの高振動数漸近値 (HFA) に等しくならなければならない時刻歴の最
大値及び最小値が存在する。
第2及び第3のパラメータを使うと,時刻歴の振幅の正及び負の側面がよく見える。最後の二つは疲労
効果の最良の尺度であり,応答の高いピークに関して応答時刻歴を調べるために使用できる。
ピークランキングに変わる方法は,レベルクロッシング計算である。
B.4 衝撃現象の振動数成分に関するパラメータ
衝撃現象の振動数成分を記述するために,次のパラメータが使用できる。
− 振動数範囲
− フーリエスペクトル (FS)
− エネルギースペクトル密度 (ESD)
− FS又はESDから計算した累積rms
試験の良好な再現性を実現するために,時刻歴の振動数範囲を規定する。そのため,試験で要求される
振動数範囲に関係する,サンプリング周波数及び時刻歴のフィルタリングを規定することも重要である。
FS及びESDは,時刻暦の振動数成分を記述したものであり,卓越した振動数成分を表示することがで
きる。ESDは,分析のための振動数分解能と時刻暦の持続時間の双方を基準化したスペクトルである。分
析の統計的誤差は,隣接した振動数成分を平均化することで低減できる。
FS又はESDの累積rmsは,累積的な方法でスペクトルの成分を反映し,直接理解できる数値が得られ
る。
B.5 SRSのパラメータ
SRSを記述するために,次のパラメータが使用できる。
− SRSの計算のためのQ値
− SRSの強部
− SRSのピークの種類
SRSの最も一般的な表現は,絶対最大加速度SRSである。別の表現として,疑似速度応答スペクトル又
は相対変位応答スペクトルがある。
SRS計算アルゴリズムも規定する。
SRSは,測定又は計算したデータから,幾つかのQ値,例えば5,10及び25(減衰比10 %,5 %,2 %)
で計算することが望ましい。これらのSRS曲線は,供試品内部の共振振動数及び減衰による内部応答を反
映したものとなる。
SRSの強部は,JIS C 60068-2-57にSRSの−3 dB通過帯域幅より応答加速度が高いスペクトルの部分と
定義されている(図B.1参照)。
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JIS C 60068-2-81:2007の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60068-2-81:2003(IDT)
JIS C 60068-2-81:2007の国際規格 ICS 分類一覧
JIS C 60068-2-81:2007の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0153:2001
- 機械振動・衝撃用語
- JISC60068-1:2016
- 環境試験方法―電気・電子―第1部:通則及び指針
- JISC60068-2-27:2011
- 環境試験方法―電気・電子―第2-27部:衝撃試験方法(試験記号:Ea)
- JISC60068-2-47:2008
- 環境試験方法―電気・電子―第2-47部:動的試験での供試品の取付方法
- JISC60068-2-57:2018
- 環境試験方法―電気・電子―第2-57部:時刻歴及びサインビート振動試験方法(試験記号:Ff)
- JISC60068-2-6:2010
- 環境試験方法―電気・電子―第2-6部:正弦波振動試験方法(試験記号:Fc)
- JISC60068-2-64:2011
- 環境試験方法―電気・電子―第2-64部:広帯域ランダム振動試験方法及び指針(試験記号:Fh)