JIS C 6185-3:2014 オプティカルタイムドメインリフレクトメータ(OTDR)―第3部:校正方法―マルチモード光ファイバ用OTDR | ページ 3

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C 6185-3 : 2014 (IEC 61746-2 : 2010)
ΔL LotdrLref ΔSLLrefΔL0 f (Lref ) (10)
ここに, 傾き
切片(図2参照)
線形近似を求めた後,距離サンプリング誤差f (Lref),具体的には,その半値幅 攀愀 Lrefの異なる
値に対して,直線からのずれを測定して求めてもよい。距離サンプリング誤差振幅 愀 f (Lref) の半
値幅とする。この規格では,距離サンプリング誤差振幅 愀 タイプAの位置読取りの不確かさの
一部として取り扱う。したがって,ここに記述した不確かさの結果は,サンプリング誤差の反復性を無視
するものである。すなわち,サンプリング誤差及びタイプAの不確かさの相対的寄与は区別しない。
図2−位置偏差 L) の表現
したがって,距離校正の結果は,次に示すパラメータによって表す。
− u 距離スケール偏差及びその不確かさ
− u
位置オフセット及びその不確かさ
− uLreadout : 位置読取りの不確かさ,すなわち,距離サンプリング誤差と測定サンプルのタイプA
の不確かさとの組合せによる,標準偏差の形で表す不確かさ
附属書Bの数学的根拠に従って,最小二乗法によって得る最大偏位を3の平方根で除し,uLreadoutを表す。
不確かさは,距離,表示パワーレベル及び測定器の設定によって異なるため注意を要する。
注記 距離サンプリング誤差ΔLsampleは,装置自体のサンプリング誤差を表している。この誤差は,表
示誤差及び距離計算時の誤差を含んだuLreadoutから読み取ることができる。

5.3 校正結果の使用

  測定対象点の位置誤差         Lotdr−Lrefは,校正結果を用いて式(11)で算出する。
ΔL L0 Lref ΔSL (11)
湎 確かさは,式(11a)を用いて算出する。式(11a)では,推奨信頼水準95 %を用いる。
2 2 2 2
2uΔ L 2 uΔ L 0
Lref uΔ SL
uLreadout (11a)
式(11a)において,基準位置Lrefの代わりに表示位置Lotdrを用いてもよく,その場合の影響は無視できる。
同様に,2点間の距離の誤差 式(12)を用いて算出する。
ΔD DrefΔSL (12)

――――― [JIS C 6185-3 pdf 11] ―――――

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C 6185-3 : 2014 (IEC 61746-2 : 2010)
湎 確かさは,式(12a)を用いて算出する。式(12a)では,推奨信頼水準95 %を用いる。
2 2 2
2uΔ D 2 Dref uΔ SL
2uLreadout (12a)
式(12a)において,基準距離Drefの代わりに表示距離Dotdrを用いてもよい。
注記 式(12a)のuLreadout2の前の2は,相関関係がない二つの不確かさを組み合わせるためのものであ
る。
長尺光ファイバの測定の場合,モード遅延時間差の影響による追加の不確かさが発生する可能性がある。
しかし,このような不確かさは,表1に規定する距離においては無視することができる。
表1−追加の距離不確かさ
単位 m
波長 距離不確かさを10 cm以上追加する光ファイバの最小限の長さ
(nm) JIS C 6832 JIS C 6832 JIS C 6832 JIS C 6832
SGI-50/125-A1 SGI-50/125-A2 SGI-62.5/125 SGI-100/140
850 1 000 7 500 500 50
1 300 1 000 2 500 1 000 500
測定対象点における信号波形のタイプが校正に用いたものと異なる場合,追加の不確かさを考慮に入れ
ることもある。校正結果の一部として測定対象点における信号波形のタイプを明記する。

5.4 光ファイバ長の測定

  OTDR距離校正の方法の一つは,既知の長さの光ファイバをOTDRで測定することである。この規格に
おける幾つかの例では,光ファイバ長を,機械的な長さ測定ではなく,光ファイバの伝搬時間を用いて求
める。この方法は,OTDR自体の測定原理と同一である。さらに,伝搬時間は,特に光ファイバが長いと
きに,機械的に長さを測定するよりも高い精度で測定することができる。したがって,この規格では,精
度が重要なときは,光ファイバの長さの代わりに,その伝搬時間を用いることが望ましい。光ファイバの
伝搬時間Ttransitは,例えば,パルス発生器,トリガ可能なレーザ光源,光電変換器(O/E変換器)及びタイ
ムインターバルカウンタを用いて測定する。この場合,レーザ光源は試験OTDRとほぼ同じ中心光波長
愀 要である。波長が異なると,光ファイバの波長分散のために伝搬時間が異なるからで
ある。光パルスを生成するのに,レーザ光源に代わるものは,OTDR自体を用いることである。この場合,
中心光波長は自動的に一致する。レーザ光源とO/E変換器との間に光ファイバを挿入する場合又は挿入し
ない場合の到着時間の相違として,伝搬時間を記録する。この光ファイバをOTDR距離校正に用いるとき,
基準距離Drefは,式(13)を用いて算出する。
ref cTtransit
D (m) (13)
N
式(13)では,OTDRの群屈折率設定と同一の群屈折率Nを用いる。時間測定原理によれば,Drefを基準距
離として用いることが可能である。

6 距離の校正方法

6.1 はじめに

  ここで説明する選択可能な三つの校正方法は,いずれも必要な校正結果の全て(位置オフセット,距離
スケール偏差及びそれらの不確かさ)を求めることができる。

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6.2 外部光源法

6.2.1  要点・利点
この方法では,光ファイバ又は校正済みのデジタルディレイ発生器による反射及び散乱の信号を用いて,
光ファイバ内の時間遅延を模擬的に発生させるために光源を用いている。不確かさを減らすために,JIS C
6835に規定する石英系シングルモード光ファイバは(波長1 300 nmで測定する場合),個々の接続のため
に石英系マルチモード光ファイバの代わりに用いることができる。この方法は,コンピュータ制御によっ
て自動化した研究室での試験によく適している。簡略化のため,この規格では,反射の測定対象点につい
てだけ規定する。反射以外の測定対象点についてOTDRを校正するためには,次に規定する光パルスを発
生するE/O変換器を,適切な測定対象点を模擬的に発生する光源に置き換えることが望ましい。
6.2.2 装置
OTDRに加え,測定装置には,図3に示す次のものを含む。
a) モードコンディショナ
b) シングルモード光カプラ
c) /E変換器
d) パルス機能をもったデジタルディレイ発生器
e) /O変換器
f) 可変光減衰器(パルス振幅をクリッピングレベル以下まで調整するため)
F0 : マルチモード光ファイバ
F1,F2,F3,F4,F5 : シングルモード光ファイバ
MC : モードコンディショナ
E1,E2 : 電気ケーブル
E/O : E/O変換器
O/E : O/E変換器
A1 : 可変光減衰器
図3−距離スケールの校正用装置 : 外部光源法
OTDR信号は,マルチモード出力光をシングルモード光に変換するためのモードコンディショナと光カ
プラを介してO/E変換器(光検出器)に導かれる。光検出器の出力信号によって,デジタルディレイ発生
器で設定した時間が経過した後,E/O変換器から光パルスが発生する。このパルスは,光カプラを介して
OTDRに戻す。E/O変換器は,模擬的な反射光を発生するためのものであり,単純なパルスレーザであっ
てもよい。反射の測定対象点に対して距離スケールを校正するには,強度及び時間幅が一定の光パルスが
適切と考えられる。一方,可変光減衰器を用いることで,光ファイバの減衰が引き起こす反射光パルス強
度の低下を模擬的に発生させることが可能となり,パルス強度をOTDRのフロントパネルからの反射の距

――――― [JIS C 6185-3 pdf 13] ―――――

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離に従って調整することが可能になる。装置の校正を正確にするためには,光ファイバF1及びF5は,長
さが同じであることが望ましい(6.2.3参照)。
注記1 モードコンディショナは,E/O変換器の光出力をOTDR装置に適切に結合させるためのもの
である。したがって,モードコンディショナの出力側に光ファイバF0を接続し,入力側に
光ファイバF1を接続する必要がある。
注記2 OTDRのコネクタとO/E変換器との間の光路の減衰は,高い場合がある。OTDRの出力が十
分であれば,これは許容できる。
6.2.3 装置の校正
使用前に,“外部光源”装置及びデジタルディレイ発生器は,正しく校正しておく。測定データから位置
オフセット 侮 機器の挿入遅延Tdelayを求めることも必要である。このことは,図4
に示すように,装置にパルス発生器及び校正済みタイムインターバルカウンタを追加することによって達
成できる。
F0 : マルチモード光ファイバ(校正中は2本用いる。)
MC : モードコンディショナ(校正中は2個用いる。)
F1,F2,F3,F4,F5 : 光ファイバ
E1,E2,E3,E4 : 電気ケーブル
E/O : E/O変換器
O/E : O/E変換器
A1 : 可変光減衰器
図4−システム挿入遅延の校正のための構成
モードコンディショナの伝搬遅延を正確に測るために,二つの同じのモードコンディショナを光路の中
に挿入することが望ましい。挿入遅延Tdelayの校正は,次のように行う。
パルス発生器を方形波に設定し,繰返し周期を,測定する遅延時間の2倍よりも長く設定する。パルス
発生器の出力パルスを,タイムインターバルカウンタのスタートパルス及びデジタルディレイ発生器の外
部トリガパルスとして用いる。デジタルディレイ発生器を外部トリガに設定し,ゼロ遅延を,パルス信号
の前縁に合わせる。デジタルディレイ発生器及びカウンタのトリガレベルを設定する。その後,外部光源
が,光方形波を発生し,その方形波は,電気パルスに再変換された後,タイムインターバルカウンタを停
止する。不確かさをできるだけ少なくするために,電気ケーブルE3及びE4は,長さが等しいことが望ま
しい。光ファイバF1及びF5も長さが等しいことが望ましい。それは,図3及び図4において,ケーブル
番号が同一である場合,物理的なケーブルが同一であることを意味している。可変光減衰器は,タイムイ

――――― [JIS C 6185-3 pdf 14] ―――――

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ンターバルカウンタを最良の状態でトリガがかかるように調整する。表示時間間隔(スタート及びストッ
プ)を挿入遅延Tdelayとして記録する。
6.2.4 測定手順
6.2.4.1 手順
OTDRにおける位置測定の方法(自動又は手動)を選択する。希望のパルス振幅が発生するように,可
変光減衰器を設定する。デジタルディレイ発生器上においてパルス幅を,例えば,1 ジ
タルディレイ発生器の時間設定値Tiを,広い距離範囲にわたってある程度ランダムに分布させ,OTDRの
距離サンプリング間隔にわたって平均化できるように選択する。最初の時間設定は,パルスがOTDRの光
ファイバ入射端に近く,しかし,口元デッドゾーンの十分外側に現れ,測定が良好にできるように選択す
ることが望ましい。校正機関が別の距離サンプリングの方法を決定し,分析によってそれを正当化できな
い場合,次の二つの方法の一つを選択する。
a) 1番目の方法では,サンプル間隔Dsampleを,例えば,OTDR波形を拡大表示することによって(OTDR
の測定器設定が適切であるかを確認した上で)評価する。その後,式(14)を用いて,デジタルディレ
イ発生器の対応する遅延差Tsampleを算出する。
2NDsample
Tsample= (14)
c
ここに, N : OTDRの群屈折率設定値
c : 真空中における光速度
その後,i個のデジタルディレイ発生器の設定値全部を,n個の設定値からなるk個のクラスタにグ
ループ分けして(i=kn)算出する。このとき,各クラスタは,一様に一つのサンプル間隔を扱い,式
(15)に示す形式をもたなければならない。
1
Tk , TkTsample / n, Tk n Tsample / n (15)
2Tsample / n, ..., Tk
ここで,各クラスタ内の設定値の個数nは,4以上であり,全てのクラスタについて同一とする。
クラスタの中心間隔は,口元デッドゾーンの直後から測定器の校正範囲を含む大きな距離のところま
で,等間隔になっている。クラスタの個数kは,2という少ない数であってもよい。
b) 2番目の方法では,クラスタはなく,更にサンプル間隔Dsampleは,概略が分かっていればよく,それ
以上のことを知る必要はない。式(14)を用いてTsampleを算出する。時間設定値を,それらが口元デッド
ゾーンと大きな距離との間で等間隔になり,更に各設定値には任意の時間間隔が追加されるように選
択する。任意の間隔は,間隔−T1T1において一様な確率密度をもつことが望ましい。ここで,T1は,
20Tsample以上とし,全ての試験について最長遅延の10 %未満とする。測定数i(すなわち,異なる設定
値の個数)は,20以上であることが望ましい。
これらに代わって,タイプAの不確かさの振幅及び測定における許容不確かさについての予備知識によ
って,校正機関が上記のものとは異なる系統的又は無作為の距離サンプリング方法を選択することになっ
てもよい。
6.2.4.2 測定結果の取得
Tiの最初の時間設定値T1を6.2.4.1のように選択する。デジタルディレイ発生器の時間T1及びOTDR上
の測定対象点の測定した位置Lotdr, 1を記録する。時間設定を6.2.4.1で選択したように変更し,測定を実行
する。このとき,時間Ti及び測定した位置Lotdr, iを記録する。この操作を全ての時間設定が終了するまで
続ける。

――――― [JIS C 6185-3 pdf 15] ―――――

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JIS C 6185-3:2014の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61746-2:2010(IDT)

JIS C 6185-3:2014の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 6185-3:2014の関連規格と引用規格一覧