JIS C 6185-3:2014 オプティカルタイムドメインリフレクトメータ(OTDR)―第3部:校正方法―マルチモード光ファイバ用OTDR | ページ 4

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C 6185-3 : 2014 (IEC 61746-2 : 2010)
6.2.5 計算及び結果
箇条5の考え方によって,時間設定値を用いi個の基準位置Lref, iを,式(16)を用いて算出する。
c(Ti Tdelay )
Lref,i (16)
2N
ここに, N : OTDRの群屈折率設定値
Ti : 6.2.3で定義した時間設定値
Tdelay : 試験装置の校正済みの挿入遅延(6.2.3参照)
その後,基準位置及び表示位置Lotdr, iを用い,一連のi個の位置偏差 椰 17)を用いて算出する。
ΔLi Lref,i (17)
Lotdr,i
位置オフセット こ び距離スケール偏差 位置偏差データを,簡略化した位置偏差
モデル(このモデルでは,距離サンプリング誤差は一時的に無視する。)に式(18)のように当てはめる。
ΔSLLref,i
ΔLi,model ΔL0 (18)
特に,モデル及びデータ間の差を,最小二乗法を用いてできるだけ小さくする。すなわち,式(19)に示
す和が最小になるように び
2
( ΔLiΔSLLref,i
ΔL0 ) (19)
i
近似によって得た こ び 録する。
図2に示すように,線形近似の傾きは,距離スケール偏差 の切片は,位置オフセッ
ト 侮 晟霰忰 び 録する。
6.2.6 不確かさ
6.2.6.1 一般事項
距離の不確かさについての一般的な規定は,箇条5に規定するとおりである。6.2.6.26.2.6.4に規定す
る不確かさの要因が全てを網羅しているとは限らず,測定のシステム構成及び手順によっては,追加の要
因を考慮する。不確かさを算出し,規定する場合,附属書Bの数学的根拠を用いることが望ましい。
6.2.6.2 距離スケールの不確かさ
6.2.5に規定する最小二乗法近似では,測定サンプル間の表示距離を効果的に用いて,距離スケール偏差
を算出する。L=0の近くの測定サンプル及び最も遠い位置L=Lmaxの近くの測定サンプルは,範囲の中央
のサンプルが,距離誤差モデルの傾きに全く影響を及ぼさないために,距離スケール偏差に最も大きな影
響を与える。誤差の広がりについての標準式を式(4)に当てはめると,距離スケールの不確かさuΔSLを式(20)
を用いて算出する。ここでは,〈Dotdr〉 攀 いている。
1
2 2 2
u Dotdr uDref
uΔSL (m/km) (20)
Dotdr Dref
ここに, Dotdr : Dref Lref(ここに規定する長い距離の場合)
u〈Dotdr〉 : 距離サンプルの不確かさを表現する標準偏差(位置
サンプルを基に)
u〈Dotdr〉/〈Dotdr〉 : 不正確な距離読取りによる傾きの不確かさ。これは,
マーカ設置の不確かさ及び距離サンプリング誤差を
含む式(10)の傾き 準偏差と同等である。
u〈Dotdr〉を求めるために, 侮 いる最小二
乗法アルゴリズムを用いることができる。可能な場

――――― [JIS C 6185-3 pdf 16] ―――――

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合, 椰潛 するサンプリング間隔にわたって平均
化してもよい。
uDref : 基準距離の不確かさ
uDref/Dref : デジタルディレイ発生器が原因となって起きる傾き
の不確かさであり,デジタルディレイ発生器のタイ
ミングの不確かさに等しい。
6.2.6.3 位置オフセットの不確かさ
位置オフセット 最小二乗法近似の縦軸上の切片に等しい。この切片は,ほとんどの場合,最初
の数個のサンプル,すなわち,位置L=0に最も近い数個のサンプルによって決まり,挿入遅延Tdelayの精
度によって異なる。位置オフセットの不確かさuΔL0は,誤差の広がりについての標準式を用いて,式(21)
によって算出することができる。
1
2
2 c 2
2
uΔ L 0uΔL (21)
uTdelay
2N
ここに, uΔL : 椰 0の近くの最小二乗法近似との差の不確かさ。
これは,マーカ設置の不確かさ及び距離サンプリング誤
差を含む。また,L=0の近くにおける ( 槿 椀 model)
の標準偏差と等価である。可能な場合, 椰潛 する
サンプリング間隔にわたって平均化してもよい。uΔLを
算出するために,ΔL0の算出に用いる最小二乗法アルゴ
リズムを用いることができる。
uTdelay : 校正の間,用いる二つのモードコンディショニングアダ
プタの間の差を含むシステム挿入遅延の不確かさ。最初
の時間設定は非常に短いか又はゼロであり,デジタルデ
ィレイ発生器の不確かさは,挿入遅延だけの不確かさに
限定することが前提となる。
6.2.6.4 位置読取りの不確かさ
箇条5で規定したように,位置偏差サンプルΔLiとL=0の近くにおける最小二乗法近似との間の最大差
を求める。その後,その最大差を3の平方根で除すことによって,位置読取りの不確かさuLreadout(これに
は距離サンプリング誤差を含む。)を算出する。この方法に代わって,ΔSL及びΔL0の算出に用いる最小二
乗法アルゴリズムを用いるか,又は式(22)を用いるか,いずれかの方法でuLreadoutを算出してもよい。
1
n
1 2
2
uLeadout ΔLi ΔLi,model (22)
n 1i1

6.3 連鎖光ファイバ法(マルチモード光ファイバ使用)

6.3.1  要点・利点
この方法では,試験下のOTDRの波長において伝搬時間を精密に測定した校正済みのマルチモード光フ
ァイバを用いて距離スケールの校正を行う。この方法は,種々の長さのコネクタ付き光ファイバを用いる
ため,低価格で,かつ,6.2で規定する装置を用いることができない場所での試験に適している。この方法
は,測定対象点の位置が変化するために短い長さの光ファイバを幾回にもわたって接続替えする必要があ
るため,手動試験方法とみえる場合もあるが,必要に応じて光スイッチを用いることによって,自動化す
ることもできる。
シングルモード光ファイバに代えてマルチモード光ファイバを用いる利点は,850 nm及び1 300 nmの
いずれの波長にも適用できること,並びに測定の際にモードコンディショナが不要なことである。一方,

――――― [JIS C 6185-3 pdf 17] ―――――

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図5にある光ファイバBのモード遅延時間差を不確かさとして考慮する必要がある。
6.3.2 装置
OTDRに加え,測定装置には,図5に示す次のものを含む。
a) 位置オフセットを求めるための光ファイバA
b) 距離スケール偏差を求めるための光ファイバB
c) 距離サンプリング誤差を求めるための長さ調整用光ファイバ1セット
C1,C2,C3 : 光コネクタ
図5−距離スケールの校正に用いる連鎖光ファイバ
通常,これらの光ファイバは,ケーブル化,ケースへの収納などの方法で保護し,更に接続及び取外し
が容易にできるようにコネクタを装備する。
これらの光ファイバについての要求事項を,次に示す。
a) 光ファイバAは,端面反射をもつ普通のマルチモード光ファイバである。光ファイバの長さは光ファ
イバBに比べてはるかに短い。その長さは,後方散乱波形上で,測定対象となる端面反射がOTDRポ
ートの近くにおいて発生する口元反射によって実質的に乱れることがない場合,それほど重要ではな
い。光ファイバAは,光ファイバBを用いて距離スケール偏差を測定するための入力用光ファイバと
しても用いることができる。
b) 光ファイバBは,例えば,コネクタ端面からの反射を用いるなどの方法によって,反射端をもたなけ
ればならない。この光ファイバを長くすることによって,不確かさを少なくすることができるため,
光ファイバBの長さは,数100 mであることが望ましい。この光ファイバを校正するには,光の伝搬
時間Tbを,箇条5に従って測定する。
注記 正しい距離校正を行うためには,光ファイバの両端(コネクタC2及びC3)からの反射は,
おおむね等しいことが望ましい。例えば,光ファイバの一端がOTDRを飽和させるような反
射を生じ,他端がそのような反射を生じない場合,波形の相違によって距離測定が不正確に
なる。ただし,光ファイバが長い場合,測定した距離スケール偏差に及ぼすこの相違の影響
は小さくなる。
c) サンプリング間隔が正確に分からず,かつ,かなり大きい値と考えられる場合,長い光ファイバBの
二つの反射の位置を,OTDRのサンプリング間隔よりも小さい量だけ変化させるために,長さ調整用
光ファイバのセットを用いる。これらの光ファイバの長さは,サンプリング間隔にわたって,四つ以
上の等間隔の距離が作り出せるように選択することが望ましい。一つの例として,サンプリング間隔
が10 mである場合,長さが2.5 m及び5 mの2本の光ファイバを用いることによって達成できる。こ
れらの光ファイバを個々又は組み合わせて用い,ゼロ[0(いずれも用いない。)],2.5 m,5 m及び7.5
m(両方とも用いる。)の距離増分を作り出すことができる。一般的には,このような光ファイバは,

――――― [JIS C 6185-3 pdf 18] ―――――

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C 6185-3 : 2014 (IEC 61746-2 : 2010)
式(23)に示す長さ増分を作り出すことが望ましい。
...,(n−1) X
0,DX,2DX, (23)
式(23)において,n≧4であり,更にn DXは試験する条件の下でOTDRのサンプリング間隔に等しい。
例外的な場合を除けば,箇条5に従って行うこれらの光ファイバの伝搬時間の校正は不必要である。
その代わり,これらの光ファイバの長さを物理的に測定することが望ましい。真の群屈折率とOTDR
の群屈折率設定値との差は,このような短い光ファイバについては無視できる。
6.3.3 測定手順
6.3.3.1 一般事項
不規則雑音が位置偏差に及ぼす影響は,表示パワーレベルが,測定器の雑音限界に近づく場合を除き通
常は小さい。不規則雑音が大きい場合は,OTDR平均化回数を多くすることが望ましい。
6.3.3.2 準備
光ファイバAの反射及び光ファイバBの反射端にマーカを設置するための方法(自動又は手動)を選択
する。光ファイバの遠端の反射が,OTDRで見ることができるように光ファイバAをOTDRに接続する。
光ファイバBの両端からの反射がOTDRで見ることができるように,光ファイバBを光ファイバAの遠
端に接続する。
6.3.3.3 測定
OTDRで,光ファイバAの反射位置を測定する。この最初の測定位置をLotdr, 1として記録する。光ファ
イバBによって生成した二つの反射を用いて,OTDRで,光ファイバBの長さを測定する。この最初の測
定距離をDotdr, 1として記録する。
長さ調整用光ファイバの一番短いものをOTDRと光ファイバAの近端との間へ挿入する。位置Lotdr, 2及
び距離Dotdr, 2を測定する。長さ調整用光ファイバを,徐々に長さが増大するように組み合わせて挿入しな
がら,位置Lotdr, i及び距離Dotdr, iを測定する。その操作を,i=n及び長さ調整用光ファイバの長さの合計が
(n−1) Xとなるまで繰り返す。
6.3.4 計算及び結果
6.3.4.1 距離スケール偏差
距離〈Dotdr〉(光ファイバBの長さ)を,Dotdr, iのn個の値の平均として算出する。その後,距離スケー
ル偏差を,式(24)を用いて算出する。
Dotdr N Dotdr
ΔSL 1 1 (24)
Dref cTb
ここに, Dref : 基準距離
N : OTDRの群屈折率の設定値
Tb : 箇条5に従って測定した光ファイバBの片道伝搬時間
6.3.4.2 位置オフセット
Lotdr, iのn個の値の平均を〈Lotdr〉とする。式(25)から変換した式(26)を用いて位置オフセットを算出する。
ΔL0 Lotdr 1 ΔSLLref (25)
cTa n 1 DX
ΔL0 Lotdr 1 ΔSL (26)
N 2
ここに, 〈Lref〉 : 最初の反射に対応する平均基準位置。長さ調整用光ファ
イバの平均長さを用いて算出する。
N : OTDRの群屈折率の設定値

――――― [JIS C 6185-3 pdf 19] ―――――

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C 6185-3 : 2014 (IEC 61746-2 : 2010)
Ta : 箇条5に従って測定した光ファイバAの片道伝搬時間
式(10)を用いて求めた距離スケール偏差。光ファイバA
が十分に短い場合, 溘 は無視できる。
6.3.5 不確かさ
6.3.5.1 一般事項
距離の不確かさについての一般的な規定は,箇条5に示すとおりである。次の不確かさ要因が全てを網
羅しているとは限らず,測定のシステム構成及び手順によっては,追加の不確かさ要因を考慮しなければ
ならない。不確かさを計算し,記述する場合,附属書Bの数学的根拠を用いることが望ましい。
6.3.5.2 距離スケールの不確かさ
距離スケールの不確かさuΔSLは,式(10)から導き出した式(27)を用いて算出することが望ましい。
1
2 2 2
uD otdr uT b
uΔ S L (m/km) (27)
Dotdr Tb
ここに, uDotdr : 光ファイバBの表示長さの不確かさ。例えば,マーカ設
置の不確かさ及び距離サンプリング誤差が原因となっ
て起こる。
uTb : 光ファイバBの伝搬時間の不確かさ。
ここで,uTbは,次の要因の二乗和平方根を求める方法によって算出することが望ましい。
uTb, counter : タイムインターバルカウンタに起因する光ファイバBの伝搬時間の不
確かさ
uTb, λ : 伝搬時間を求めるときに用いた波長とOTDRの波長との間の差異に
起因する光ファイバBの伝搬時間の不確かさ
uTb, θ : 温度係数に起因する光ファイバBの伝搬時間の不確かさ。代表的な値
は1 cm/(km℃)。
uTb, DMD : モード遅延時間差に起因する光ファイバBの伝搬時間の不確かさ。表
1は,光ファイバの種別ごとの不確かさの違いを示している。
6.3.5.3 位置オフセットの不確かさ
位置オフセットの不確かさuΔL0は,式(26)から び (n−1) X/2を無視して導かれる式(28)を用いて
算出することが望ましい。
1
2 2
c
uΔ L 0uL2 otdr uT2 a (28)
N
ここに, uLotdr : 光ファイバAの端面反射位置測定の不確かさ,すなわ
ち,主としてマーカ位置の不確かさ。距離サンプリング
誤差は,一つのサンプリング間隔にわたって平均化する
ことによって効果的に除去されるものと仮定する。
uTa : 光ファイバAの伝搬時間の不確かさ。
ここで,uTaは,次の要因の二乗和平方根値を求める方法によって算出することが望ましい。
uTa, counter : タイムインターバルカウンタに起因する光ファイバAの伝搬時間の
不確かさ
uTa, λ : 伝搬時間を求めるときに用いた波長とOTDRの波長との間の差異に
起因する光ファイバAの伝搬時間の不確かさ
uTa, θ : 温度係数に起因する光ファイバAの伝搬時間の不確かさ。代表的な値
は1 cm/(km℃)。
uTa, DMD : モード遅延時間差に起因する光ファイバAの伝搬時間の不確かさ。
(異なる種別の光ファイバ長さの比から推定可能である。また,光フ

――――― [JIS C 6185-3 pdf 20] ―――――

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JIS C 6185-3:2014の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61746-2:2010(IDT)

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