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ァイバAが光ファイバBに比べて十分に短い場合,この不確かさを無
視できる。)
6.3.5.4 位置読取りの不確かさ
6.3.3で得た測定サンプルを用いて,次に示す二組のデータ,つまり,一組の位置偏差は,式(29)用いて,
もう一組の距離誤差のデータは,式(30)を用いて算出する。
cTa
Lref,i
Lotdr,i Lotdr,i iDX i=0n−1 (29)
N
cTb
Dref,i
Dotdr,i Dotdr,i i=0n−1 (30)
N
位置読取りの不確かさuLreadoutを算出するためには,“L”セット又は“D”セットのいずれか大きい方の
セットの最大値及び最小値の差の半分を3の平方根で除すことが望ましい。
6.4 ループ遅延線法
6.4.1 要点・利点
ループ遅延線法は,周期的な反射を得るために,光カプラ及び反射部で構成した校正済みのマルチモー
ド光ファイバループを用いる方法である。この方法は,連鎖光ファイバ法と類似している。つまり,光フ
ァイバ部品を用いて,電子装置を必要としない。この部品によって,連続する校正済みの距離基準が得ら
れる。これによって,距離スケール偏差に影響を及ぼすタイプAの不確かさを小さくできる可能性がある。
位置オフセットの測定は,ループ遅延線によって作り出した反射点から発生する光信号波形の形状によっ
て制限をする。
6.4.2 装置
OTDR以外で必要な測定装置は,図6に示すように,附属書Aに従って製造した校正済みのマルチモー
ド光ファイバループ遅延線だけである。
F : ループ内の光ファイバ
C : 4端子光カプラ
R : 反射部
図6−ループ遅延線による距離校正
ループ遅延線は,図7に示すようにOTDRディスプレイ上に数多くの反射点を表示する。最初の反射点
は,反射部まで直接伝搬し,その後OTDRに直接戻る光パルスから得る。2番目の反射点は,一度ループ
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を通ってから反射部に伝搬し,その後OTDRに直接戻る光パルスによって生成する(このパルスは,直接
反射部まで伝搬し,その後ループを通ってOTDRに戻るパルスと同時に戻る。)。3番目のパルスは,ルー
プを2回通過する。以降,同様に反射点を生成する。
したがって,理想的な表示位置は式(31)のようになる。
La
Lotdr,0
La
Lotdr,1 Lb 2/ (31)
La
Lotdr,2 Lb など
ここに, La : 入力用光ファイバの長さ
Lb : 光ファイバループの長さ
図7−ループ遅延線によって発生するOTDR波形
測定システム構成に,6.3.3に規定するように1本以上の長さ調整用光ファイバを用いてもよい。遅延線
からの多重反射は,距離サンプリング間隔にわたり平均的に発生するので,増加分光ファイバは少なくし
てもよい。また,この平均化効果を管理していないため,系統的な処理を行った方がよい。6.3.3の表記を
用い,n=2とすれば十分である。その場合,長さ調整用光ファイバは,その長さが距離サンプリング間隔
の半分に等しいものを1本だけ用いればよい。
6.4.3 測定手順
6.4.3.1 一般事項
ここで規定する手順では,長さ調整用光ファイバは用いないことを想定している。長さ調整用光ファイ
バを用いる場合は,記録する距離サンプルの数を単純に増やせばよく,表記及び計算は,それに合わせて
単純に修正することが望ましい。そのとき,この方法は,入力用光ファイバが光ファイバAに等しく,ル
ープの長さが光ファイバBに等しい場合の,6.3に規定する方法と非常に類似したものになる。
6.4.3.2 準備
ループ遅延線からの各反射点の各前縁に製造業者が指示する方法に従ってマーカを設置(自動又は手動)
できるように準備しておく。ループ遅延線をOTDRに直接接続し,反射点がOTDR上で観測できるように
する。
6.4.3.3 測定結果
ループ遅延線からの連続的な反射の位置を,OTDRを用いて測定する。これらの測定結果をLotdr, iとして
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記録する。ここで,添え字iは0kまで変化し,ループの通過回数を表す。kが大きな数の場合,おそら
く結果の精度が増すことになるが,この数は,損失及びOTDRのノイズフロアで制限を受ける。
6.4.4 計算及び結果
ループ遅延線の校正データTa及びTbを用いて,一連の基準位置を,式(32)で表す。
cTa Tb 2/
i=:1 Lref,1
N
(pdf 一覧ページ番号 )
cTa Tb
i= :2 Lref, 2 など
N
ここに, N : OTDRの群屈折率の設定値
次に,表示位置Lotdr, i及び基準位置を用い,一連の位置誤差 椰 33)を用いて算出する。
ΔLi Lref,i
ΔLotdr,i ΔL0
ΔSLLref,i (33)
f Lref,i
位置オフセット こ び距離スケール偏差 位置偏差データを単純化された位置偏
差モデル(ここでは,位置読取りの不確かさは一時的に無視する。)に式(34)のように当てはめる。
ΔSLLref,i
ΔLi,model ΔL0 (34)
ここで注意することは,モデルとデータとの間の差を,最小二乗法を用いてできるだけ小さくすること
である。すなわち,式(35)で示す和が最小になるように び
2
ΔLi ΔSLLref,i
ΔL0 (35)
i
近似によって得た こ び 録する。
6.4.5 不確かさ
6.4.5.1 一般事項
距離の不確かさについての一般的な規定は,箇条5に規定するとおりである。6.4.5.26.4.5.4に規定す
る不確かさの要因が全てを網羅しているとは限らず,測定のシステム構成及び手順によっては,追加の不
確かさ要因を考慮する。不確かさを計算し,規定する場合,附属書Bの数学的根拠を用いることが望まし
い。
6.4.5.2 距離スケールの不確かさ
6.4.4で規定した最小二乗法近似では,測定サンプル間の表示距離を有効に用いて,距離スケール偏差を
算出する。L=0の近くの測定サンプルのグループ及び最も遠い位置L=Lmaxの近くの測定サンプルのグル
ープは,距離スケール偏差に最も大きな影響を及ぼすものと考えられる。これは,範囲の中央のサンプル
は距離誤差モデルの傾きに全く影響を及ぼさないからである。誤差の広がりについての標準式を式(4)に当
てはめると,距離スケールの不確かさuΔSLを式(36)を用いて算出できる。ここでは,〈Dotdr〉 攀 いる。
1
2 2 2
u D otdr uD ref
uΔSL (m/km) (36)
Dotdr Dref
ここに, 〈Dotdr〉 : Dref Lref(ここに規定する長い距離の場合)
u〈Dotdr〉 : 距離サンプルの不確かさを表現する標準偏差(距離サン
プルを基に)。これは式(10)の傾き 準偏差に等し
い。これには,マーカ設置の不確かさ及び距離サンプリ
ング誤差を含む。u〈Dotdr〉を求めるために,
ときに用いる最小二乗法アルゴリズムを用いることが
できる。長さ調整用光ファイバを用いる場合は, 椰
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対応するサンプリング間隔にわたって平均化してもよ
い。
uDref : 基準距離の不確かさ。これは,式uDref/Dref=uTb/Tbによっ
て算出することができる。この式において,uTbはループ
遅延線の校正証明書に明記するループ伝搬時間の不確
かさである(附属書A参照)。
6.4.5.3 位置オフセットの不確かさ
位置オフセット 最小二乗法近似の縦軸上の切片に等しい。この切片はほとんどの場合,最初の
数個のサンプル,すなわち,位置L=0に最も近い数個のサンプル及び伝搬時間Taの精度に依存する。位
置オフセットの不確かさu 誤差の伝搬についての標準式を式(34)に当てはめることによって式(37)
のように算出することができる。
1
2 2
2 c
uΔL 0 uΔL uT2 a (37)
N
ここに, uΔL : 椰 0の近くの最小二乗法近似との差の不確かさで
あり,これには,マーカ設置の不確かさ及び距離サンプ
リング誤差を含む。これは,L=0の近くにおける
( 椢 椀 model)の標準偏差と等価である。u
に, 侮 いる最小二乗法アルゴリズムを用い
ることができる。長さ調整用光ファイバを用いる場合
は, 椰潛 するサンプリング間隔にわたって平均化
してもよい。
uTa : ループ遅延線の入力用光ファイバの遅延時間の文書化
された不確かさ(附属書A参照)。
uTa, θ : 温度係数に起因する,ループ遅延線の入力用光ファイバ
の遅延時間の不確かさ。代表的な値は1 cm/(km℃)。
6.4.5.4 位置読取りの不確かさ
位置読取りの不確かさの求め方の原理を,図2に示す。ループ遅延線を用いると,測定サンプルの反復
性を示す十分なデータが得られない可能性もあるが,そのような場合でも位置誤差 椀 Lref) とその最小二
乗法による近似値との間の最大差を求め,その後,その差を3の平方根で除すことによって,位置読取り
の不確かさuLreadout(これには距離サンプリング誤差を含む。)を得る。
7 垂直軸の校正の一般事項
7.1 はじめに
マルチモード光ファイバ用OTDRの垂直軸の校正のプロセスは次の二つの部分に分けられる。
一つ目の部分は主にOTDRの受光部に関係し,損失差分校正という。校正プロセスのこの部分は,OTDR
の能力が,光ファイバから受光する後方散乱光パワーを正しく測定するものとみなしている。
校正プロセスの二つ目の部分は,OTDRのレーザ光源によって作り出す出射光の状態の測定である。そ
の目的は,OTDR光源のニアフィールド分布を明確化し,適切な後方散乱信号が発生していることを示す
ことである。
OTDR光源の状態の明確化は,そのニアフィールド分布の分析によって実現できる(IEC 61280-1-4参照)。
後方散乱光パワーの校正及びニアフィールド分析の原理の概略を,7.2及び7.3に示す。
7.2 後方散乱損失差分の校正
7.2.1 表示パワーレベルFの求め方
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測定された各損失について,表示パワーレベル又はそれと等価のパラメータを求める。そのパラメータ
は,測定サンプルの垂直位置を再現できるものである。このレベルを記号Fで表す。その他に規定がない
場合,Fを求めるための(デフォルトの)基準点としてOTDR装置のフロントパネルのコネクタ位置にお
けるクリッピングレベルを用い,その点をFref=0 dBとする。Fの値は,この基準点の相対値で規定する
(例 表示パワーレベルがクリッピングレベルよりx dB低い場合,F=−x dBとなる。)。クリッピングレ
ベルは,図8に示すように,十分に大きい反射を1本の光ファイバ内に発生させることによって見つける
ことができる。
図8−基準レベル及び表示パワーレベルの求め方
別な方法としては,OTDRが表示パワーをdB単位で読み出す機能を備えている場合,Fの値を,固定値
に対して相対的なdB単位で表してもよい。また,指定したタイプの光ファイバに指定した幅のパルス光
を入射したときの後方散乱光波形の先頭レベルを,基準レベルとして用いてもよい。後者の場合,基準レ
ベルの再現性は,通常OTDRへの接続再現性に影響を受けることから,注意が必要である。
7.2.2 試験計画の立て方
損失サンプルは,パワーレベルばかりでなく,距離及び測定点の手前側の信号履歴(すなわち,光ファ
イバのOTDR表示の形)に依存することもある。特に,検出器及び電子回路は,レーザ光の最初の照射又
は光ファイバ内における散乱若しくは反射信号からの回復によって影響を受けることもある。校正は,そ
れを行う対象である距離及び信号状態にだけ適用する。
この規格では,信号履歴の特定の条件は要求しない。パワーレベル及び距離を規定するときの助けとし
て,この規格ではOTDRの表示領域Aを,ユーザが通常測定を行う領域の近似領域として定義する。この
規格の目的のために,領域Aは,図9に示すような四つの量によって定義する。四つの量とは,用いる特
定パルス幅に対する後方散乱光波形の外挿始点F0,表2に規定する最小及び最大減衰並びに両側における
3 dBのマージンである。
表2−領域Aを定義する減衰定数
波長 光ファイバ減衰定数
最小(愀椀滿 最大(愀愀
850 nm 1.5 dB/km 3.5 dB/km
1 300 nm 0.3 dB/km 1.5 dB/km
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JIS C 6185-3:2014の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61746-2:2010(IDT)
JIS C 6185-3:2014の国際規格 ICS 分類一覧
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.180 : 光ファイバ通信 > 33.180.01 : 光ファイバシステム一般
JIS C 6185-3:2014の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC6828:2019
- 光ファイバ構造パラメータ測定器校正方法
- JISC6832:2019
- 石英系マルチモード光ファイバ素線
- JISC6835:2017
- 石英系シングルモード光ファイバ素線
- JISQ17025:2018
- 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項