JIS C 6704:2017 人工水晶 | ページ 7

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7.6.4.4 光学用用途での黒ずみの低減
黒ずみの低減は,スイーピングの三つ目の応用として,幾つかの光学応用製品において重要である。黒
ずみは,Al3+−e−の存在に起因しており,人工水晶の典型的なZ領域において,Al3+−e−は低濃度で存在
している。ただし,スイーピングのとき,一旦OHが減少した後には,Al3+−e−メカニズムが支配的にな
る。これ以上のスイーピングは,Al3+−e−濃度を増すので,黒ずみの傾向が強まる。
7.6.4.5 高品質な人工水晶によるスエプトクォーツの代替
放射線及び強度のエッチング液に対して,耐久性を高めるための人工水晶の仕様は,用途及び臨界条件
にかなり依存する。関連する性能特性として,周波数の安定性,エッチング液への耐久性及び高い光学的
透過率がある。
フォトリゾグラフ工程のための適正な人工水晶の仕様は,スイーピングしていない水晶の使用における
経験的な結果によって得られた。水晶振動子は,エッチチャンネル密度の等級が1aaで,かつ,異物密度
の等級がIaの高品質な人工水晶と組み合わせてエッチピットの形成の傾向が減少するようなエッチング
工程を開発することによって,高歩留りで高品質に製造することができる。さらに,スエプトクォーツは,
一般的にエッチピットのような欠陥に影響されやすい,限られた製品に用いられる。
光学製品において,一般的な放射線による黒ずみ対策は,α値による等級がAa,異物密度の等級がIa
で,かつ,エッチチャンネル密度の等級が1aaである人工水晶を指定することによって達成できる。一般
に,このような水晶は,アルミニウムを含む全ての一般的な不純物に対して高い純度をもつ。ただし,低
アルミニウム濃度を保証するために,追加の測定が必要な場合もある。
放射線照射による周波数変化を最小化するための人工水晶の仕様は,フォトリゾグラフ工程及び光学製
品のための人工水晶の仕様よりも,複雑であり確かなものではない。放射線による周波数変化を起こす現
象が広く研究されてきたが,アルミニウム含有及び周波数変化と放射線強度との相関関係はほとんど分か
っていないため,スエプトクォーツの使用が解決策となっている。
スエプトクォーツの使用は,比較的費用が高いため,放射線照射による周波数安定性を必要とする応用
製品においてスイーピングされていない水晶の使用に関心がもたれてきた。アルミニウム含有量1 ppm以
下の人工水晶は,これらの応用製品のうちの幾つかに適している。人工水晶中のアルミニウム濃度の測定
について,信頼できる測定方法は7.6.3に示している。最も広く用いられる方法はESRである。ただし,
ESRは,費用面及び人工水晶のロットを代表するサンプリングが困難であるという短所をもっている。
実用的な,低アルミニウムの人工水晶の仕様作成のために,人工水晶の製造業者は,確実に低アルミニ
ウム水晶のロットを育成できる方法を開発した。アルミニウム濃度が低く,低いα値(つまり,高いQ値)
の人工水晶育成のための基本的な方法は,低アルミニウム濃度の原料を用いて,成長率を一定に保ち,比
較的ゆっくりとした成長速度に制御することである。
このように適切な方法で育成し,α値による等級がAa,異物密度の等級がIa,かつ,エッチチャンネル
密度の等級が1aaである仕様の人工水晶である場合,スイーピングしていない水晶を,放射線に強い振動
子用として用いることができる。
なお,育成工程の条件及び材料の仕様は,受渡当事者間の協定による。

7.7 発注

  人工水晶を発注する場合,次の項目を指定する。
a) アズグロウン人工水晶か,又はランバード人工水晶
b) 種結晶の方位
c) 寸法

――――― [JIS C 6704 pdf 31] ―――――

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d) 右水晶又は左水晶
e) α値による等級
f) その他の補足的等級の仕様(必要がある場合)

――――― [JIS C 6704 pdf 32] ―――――

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附属書A
(参考)
よく用いる異物密度サンプリングの手順
A.1 異物密度の測定
異物密度を重視する用途に用いる結晶の場合,製造業者及び使用者は,次の方法で異物密度を計算する
のがよい。
個々の結晶は,全体の有効領域の結晶検査を除いて,4.2.5.3.4に示す異物の測定方法に従って検査する。
結晶のX軸方向が顕微鏡の焦点深度よりも大きい場合,異物の見逃がしがないように必要なXの範囲に焦
点を動かして走査するように,注意する。
結晶の異物密度は,大きさの範囲ごとに異物数を有効体積で除して算出する。算出した異物密度によっ
て,結晶の分類を行う。
A.2 製品Y棒サンプリング−方法1
方法1は,製造業者及び使用者に適用し,アズグロウンY棒水晶又はランバードY棒水晶(以下,Y棒
という。)のロットのサンプリングに用いる。Y棒50 kg当たり1本以上の試料Y棒を選ぶ。要求する信頼
性によって,抜取数が異なる。ただし,1バッチ当たり3本以上の試料の抜取りが望ましい。製造業者が
試験する場合は,オートクレーブの上部,中部及び下部から選び,更にオートクレーブの壁に近いもの及
び遠いものから選ぶことが望ましい。使用者が試験する場合は,ランダムに抜取りを行う。
試料は,4.2.5.3.4に示す異物の測定方法を用いて検査する。結晶の6か所の検査領域の大きさの等級ご
とに異物数を記録し,サンプリングした検査領域全体の体積を算出する。
結晶の異物密度は,大きさの等級ごとに,異物合計数を6か所の検査領域の合計体積で除して計算する。
バッチの受入合否の基準は,用いるサンプリングレベルと整合させる。
A.3 製品Y棒サンプリング−方法2
方法2は,使用者が大量のY棒の受入検査を行うときに用いる。ロットからランダムに試料20本を選
ぶ。これらは顕微鏡の焦点深度以内で,結晶の全有効長領域を検査できる場合を除き,4.2.5.3.4に示す異
物の測定方法で検査する。
使用者は,振動子に用いる水晶片の電極のエリアを考慮して領域のXの高さを顕微鏡の焦点深度と比較
して適正さを判断する。Xの高さの余剰部分が大きくない場合は,顕微鏡の焦点で捕らえられる試料は十
分代表的であり,合理的な試料と考えられる。異物の大きさの等級ごとの異物数合計を記録する。1 cm3
当たりの異物数は,式(A.1)によって算出する。
R
(A.1)
V
ここに, ρ : 1 cm3当たりの異物数
R : 異物の大きさの等級ごとの異物数合計
V : 個々のY棒の平均体積。次の式で算出する。
Z 2 S YD
V (cm3)
1 000

――――― [JIS C 6704 pdf 33] ―――――

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Z : 20本の結晶のZ軸方向の最小値及び最大値の平均寸法
(mm)
S : 種結晶の厚さ(mm)
Y : Y方向の有効長(mm)
D : 顕微鏡の焦点深度(mm)
バッチの受入合否の基準は,検査水準S−3及びAQL 1.0 %(JIS Z 9015-1参照)を用いる。
A.4 全数検査のための限度見本の適用
規定の異物等級の人工水晶を選別する場合又は製造したロット中の異物密度がばらついている場合には,
製造業者は,全数検査のために限度見本による方法を用いることが多い。
結晶を−X面から見て,最も異物密度が高い部分の観察を行う。さらに,異物密度の限度見本との比較
を行う。この限度見本は,4.2.5.3に規定した方法1又は方法2で測定した試料を用いる。
限度見本と比較して異物密度が明らかにこの限度内に入っている場合は,結晶を該当する等級に分類す
る。異物密度が限度に近く,等級の決定が困難な場合は,悪い方の等級に分類するか,又は4.2.5.3.4に示
す異物の測定方法によって,より正確な異物密度を決定する。
顕微鏡の鏡筒の上下動を数段階の焦点深度レベルで自動的に合うようにすることで,測定が容易で迅速
な試験が可能になる。

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附属書B
(参考)
異物密度サンプリングの実例
B.1 異物密度サンプリングの実例
視野径が0.6 cm,焦点深度が0.1 cmであって,30倍の双眼顕微鏡を用いて,高さ2.0 cmの試料の高さ
方向全域にわたって6か所で測定したとき,異物数が次のように得られたとする。
異物の大きさ( 異物数
10を超え 30以下 18
30を超え 70以下 5
70を超え 100以下 4
100を超える 10
このときの全体積(検査領域)は,式(B.1)によって算出する。
2
2
D
V NH (B.1)
ここに, V : 全体積(cm3)
N : 測定箇所数
H : 測定深さ(cm)(この例では,結晶の高さ)
D : 視野径(cm)
注記 結晶の高さ全体で測定しない場合は,Rを顕微鏡の鏡筒の上下できる距離,hを顕微鏡の焦点
深度とするとき,H=R+hとなる。
この例では,全体積は3.39 cm3となる。
したがって,異物の大きさごとの単位体積当たりの異物数は,各測定数を3.39で除して算出し,次の表
に示す数値を得ることができる。
異物の大きさ( 異物数(1 cm3当たりの個数)
10を超え 30以下 5.3
30を超え 70以下 1.5
70を超え 100以下 1.2
100を超える 2.9

――――― [JIS C 6704 pdf 35] ―――――

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JIS C 6704:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60758:2016(MOD)

JIS C 6704:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 6704:2017の関連規格と引用規格一覧