JIS D 1030:1998 自動車―排気ガス中の一酸化炭素,二酸化炭素,全炭化水素及び窒素酸化物の測定方法 | ページ 7

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附属書1図9 CL及びHCLの検出部の構成例
NOとO3は,
NO+O3 → NO2+O2 (1)
NO+O3 → NO2*+O2 (2)
NO2* → NO2+hv (3)
NO2*+M → NO2+M* (4)
のように反応するが,NOがO3によって酸化されて生じるNO2の一部が励起状態 (NO2*) となり,この
NO2*がNO2(基底状態)に遷移する際に590nmから2 500nmの波長の光を放射する。式(2)の反応による
NO2*の収率は約10%であり,温度の1℃の上昇によって収率の0.9%が増加する。
この反応によって光の強度は,
I=I0 [NO] [O3] / [M]
で与えられる。式(4)で示したように,NO2*は共存成分Mとの衝突によって容易に基底状態に戻る。減圧
法では [M] の値が低いためNO2*との衝突による感度の低下が少なく,高い感度が得られる。この光は
590nmより短波長の光をカットする光学フィルタを透過後,適切な分光感度特性をもつ光電子増倍管やホ
トダイオードによって検出される。減圧形CLの構成例を附属書1図10に,常圧形CLの構成例を附属書
1図11に示す。多くの分析計では,検出器の前に試料中のNO2をNOに変換するNOxコンバータを内蔵し
ている。また,余剰のオゾンを安全のため分解処理する分解器などをつけることが多い。
附属書1図10 減圧形CLの構成例

――――― [JIS D 1030 pdf 31] ―――――

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附属書1図11 常圧形CLの構成例

3.2 干渉成分による影響

 自動車の排気ガス成分の中には,NO以外にもO3との反応によって化学発光
を生じるものがあり,CO,二酸化硫黄 (SO2),オレフィン系炭化水素,カルボニル化合物などがよく知ら
れている。以上は測定値に対する正の干渉であるが,ほかに,化学発光に対する消光現象(クェンチング
現象)による負の干渉がある。消光現象は励起されたNO2が共存成分との衝突によって励起エネルギーを
失い,発光に至らないために起こるものである。具体的にはCO2及び水分の影響がよく知られている。こ
の干渉を減少させる目的で,反応槽内でのCO2及び水分の濃度を低くするために,流入するO3と試料の
流量比を大きくしたり,試料を薄めた後反応槽に導入するなどの手法がとられている。希釈測定法での希
釈排気ガス中に含まれるCO2及び水分の濃度は2vol%程度であり,それらの濃度での干渉は3%以下であ
ることが望ましい。
なお,直接測定法の場合,CO2及び除湿機能をもたないHCLでの水分は希釈測定法に比べて高濃度とな
るためこれらの成分による干渉には十分な考慮が必要である。これらの干渉のほかに,NOxコンバータに
熱化学反応を用いているため,試料中に共存する水素とNOとの反応によって負干渉を示したり,試料中
のアンモニア (NH3) が酸化されNOを生じて正干渉を示す場合もある。干渉成分の影響について減圧法の
例を附属書1表57に,常圧法の例を附属書1表810にそれぞれ示す。
附属書1表5 共存成分の影響(減圧法)
010vol ppmフルスケールのゼロ点における干渉
組成 影響値(フルスケールの%)
NOxコンバータ
NOxコンバータ
を通した場合
を通さない場合
CO 0.856vol% 窒素希釈 <0.1 <0.1
CO2 7.61vol% 窒素希釈 <0.1 <0.1
C3H8 155vol ppm 窒素希釈 <0.1 <0.1
CH4 390vol ppm 空気希釈 <0.1 <0.1
n-C6H14 70.6vol ppm 空気希釈 <0.1 <0.1
1-C4H8 111vol ppm 空気希釈 <0.1 <0.1
C7H8 57.5vol ppm 空気希釈 <0.1 <0.1
C2H2 85.3vol ppm 空気希釈 <0.1 <0.1
C2H2 95.6vol ppm 窒素希釈 <0.1 <0.1
C2H4 169vol ppm 窒素希釈 <0.1 <0.1
SO2 80.0vol ppm 窒素希釈 <0.1 <0.1

――――― [JIS D 1030 pdf 32] ―――――

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附属書1表6 共存成分の影響(減圧法)
050vol ppmフルスケールの校正点における干渉
組成 影響値(フルスケールの%)
NOxコンバータ
NOxコンバータ
を通した場合
を通さない場合
47.7vol ppm NO+2.23vol% CO 窒素希釈 <0.1 +0.2
47.1vol ppm NO+3.44vol% CO2 窒素希釈 −1.4 −1.4
45.0vol ppm NO+20.0vol% O2 窒素希釈 −2.5 −2.1
48.1vol ppm NO+17.9vol% H2 窒素希釈 +0.2 +0.6
48.3vol ppm NO+785vol ppm CH4窒素希釈 −0.2 <0.1
窒素希釈
48.7vol ppm NO+144vol ppm C2H4 <0.1 +0.2
窒素希釈
40.0vol ppm NO+600vol ppm C3H8 <0.1 <0.1
48.1vol ppm NO+29℃飽和H2O 窒素希釈 −1.0 −0.8
窒素希釈
46.8vol ppm NO+86.0vol ppm SO2 <0.1 <0.1
附属書1表7 共存成分の影響(減圧法)
0500vol ppmフルスケールの校正点における干渉
組成 影響値(フルスケールの%)
NOxコンバータ
NOxコンバータ
を通した場合
を通さない場合
453vol ppm NO+2.23 vol% CO 窒素希釈 −0.3 +0.3
447vol ppm NO+3.44 vol% CO2 窒素希釈 −1.4 −1.4
390vol ppm NO+20.0 vol% O2 窒素希釈 −2.6 −2.2
465vol ppm NO+17.9 vol% H2 窒素希釈 +0.5 +0.4
459vol ppm NO+747 vol ppm CH4窒素希釈 −0.2 <0.1
窒素希釈
462vol ppm NO+144 vol ppm C2H4 <0.1 <0.1
窒素希釈
387vol ppm NO+600 vol ppm C3H8 <0.1 <0.1
456vol ppm NO+26℃飽和H2O 窒素希釈 −1.0 −0.9
453vol ppm NO+86.0volppm SO2 窒素希釈 −0.3 −0.3
附属書1表8 共存成分の影響(常圧法)
010vol ppmフルスケールのゼロ点における干渉
組成 影響値(フルスケールの%)
NOxコンバータ
NOxコンバータ
を通した場合
を通さない場合
CO 0.973vol% 窒素希釈 <0.1 <0.1
CO2 8.33vol% 窒素希釈 <0.1 <0.1
CH4 97.2vol ppm 窒素希釈 <0.1 <0.1
C2H8 100vol ppm 空気希釈 <0.1 <0.1
n-C6H14 51.4vol ppm 空気希釈 <0.1 <0.1
C2H4 162vol ppm 空気希釈 <0.1 <0.1
H2 4.17vol% 窒素希釈 <0.1 <0.1
SO2 93vol ppm 窒素希釈 <0.1 <0.1
NH3 98vol ppm 窒素希釈 <0.1 <0.1
NH3 88.2vol ppm+O2 9.9vol% 窒素希釈 <0.1 <0.2(2)
注(2) H3干渉 NOxコンバータ温度 350℃

――――― [JIS D 1030 pdf 33] ―――――

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附属書1表9 共存成分の影響(常圧法)
050vol ppmフルスケールの校正点における干渉
組成 影響値(フルスケールの%)
NOxコンバータ
NOxコンバータ
を通した場合
を通さない場合
43.8vol ppm NO+0.879vol% CO 窒素希釈 <0.1 <0.1
43.8vol ppm NO+1.88vol% CO2 窒素希釈 −1.0 −1.0
窒素希釈
43.8vol ppm NO+33.3vol ppm CH4 <0.1 <0.1
窒素希釈
43.8vol ppm NO+97.0vol ppm C2H4 <0.1 <0.1
窒素希釈
43.8vol ppm NO+635voI ppm C3H8 <0.1 <0.1
窒素希釈
43.8vol ppm NO+235vol ppm C6H14 <0.1 <0.1
43.8vol ppm NO+93vol ppm SO2 窒素希釈 <0.1 <0.1
43.8vol ppm NO+20vol% O2 窒素希釈 −1.0 −1.0
43.8volppm NO+29℃飽和H2O 窒素希釈 −1.0 −1.0
附属書1表10 共存成分の影響(常圧法)
0500vol ppmフルスケールの校正点における干渉
組成 影響値(フルスケールの%)
NOxコンバータ
NOxコンバータ
を通した場合
を通さない場合
498vol ppm NO+2.4vol% CO 窒素希釈 <0.1 <0.1
498vol ppm NO+2.5vol% CO2 窒素希釈 −1.5 −1.5
496vol ppm NO+595vol ppm CH4 窒素希釈 <0.1 <0.1
483vol ppm NO+139vol ppm C2H4窒素希釈 <0.1 <0.1
490vol ppm NO+560vol ppm C3H8窒素希釈 <0.1 <0.1
499vol ppm NO+232vol ppm 窒素希釈 <0.1 <0.1
n-C6H14
445vol ppm NO+92vol ppm SO2 窒素希釈 +0.1 +0.1
497vol ppm NO+23vo1% O2 窒素希釈 −2.0 −2.0
483vol ppm NO+20℃飽和H2O 窒素希釈 −0.9 −0.9

――――― [JIS D 1030 pdf 34] ―――――

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附属書2(参考) 排気ガス中の測定成分の排出量計算式
この附属書は,排気ガス中の各測定成分の排出量の計算式の導入過程を記述するものであり,規格の一
部ではない。

1. 燃焼反応式

 1モルの燃料 (CxHyOz) が燃焼した場合,排気ガス中の炭化水素も燃料と同じ組成であ
ると仮定すると,次の式が成り立つ。
( x+y4/−z )2/(O 2+
C x H y O z+ O 2・Inerts)
→a・CO2+b・CO+c・O2+d・CxHyOz+eH2+f・H2O
+ O 2拿 x+y/4−z/2) nerts (1)
ここに, 空気過剰率
O拿
2
乾き空気中の不活性ガスとO2とのモル比
x : 燃料中の炭素原子数
y : 燃料中の水素原子数
z : 燃料中の酸素原子数
a : 排気ガス中のCO2のモル数
b : 排気ガス中のCOのモル数
c : 排気ガス中のO2のモル数
d : 排気ガス中の未燃焼燃料 (CxHyOz) のモル数
e : 排気ガス中のH2のモル数
f : 排気ガス中の水のモル数
Inerts : 不活性ガス
炭素,水素及び酸素の各原子数は燃焼前後において等しいことから次の式が成り立つ。
C : x=a+b+x・d (2)
H : y=y・d+2・e+2・f (3)
O : z+2 x+y/4−z/2) =2・a+b+2・c+z・d+f (4)
また,水性ガス反応定数をKとすると,
CO濃度 H 2 O濃度 b f
K (5)
CO 2 濃度 H 2 濃度ae
式(2),式(3)及び式(5)から排気ガス中の水素及び水分のモル数は,
y b/ K a
e 1 d (6)
2 1 b/ K a
y 1
f 1 d (7)
2 1 b/ K a
式(2),式(7)及び式(4)から排気ガス中のO2のモル数は,次の式となる。
y b/ K a
c 1 d x y/ 4 z/ 2 b/ 2 1 d (8)
4 1 b/ K a
燃焼ガスの全モル数をMeとすると,
Me=a+b+c+d+e+f+ O戀
2
x+y/4−z/2)

――――― [JIS D 1030 pdf 35] ―――――

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JIS D 1030:1998の国際規格 ICS 分類一覧

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