JIS E 6006:2013 鉄道車両―自動列車運転装置―試験方法 | ページ 2

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3.8
速度センサ
検出速度に対応した信号を発生して,制御装置,記録装置などに速度情報を送るセンサ。
3.9
目標速度
列車の自動運転制御系において走行制御の目標とする速度。“目標速度”には,次の3種類がある。
a) 信号によるもの(ATC信号の速度情報以下)。
b) 地点によるもの[TASCパターン(3.10参照)など。]
c) 前駅からの走行距離によるもの。
なお,a)は6.8,b)は6.9及びc)は6.10に対応する。
3.10
TASCパターン
駅の定位置停止に必要な目標速度の距離に対するパターン。

4 試験条件

4.1 試験場所の共通的条件

  試験場所の共通的条件は,特に指定がない限りJIS E 5004-1の9.1.6A(試験場所の共通的条件)による。

4.2 電源の電圧及び周波数

  車上装置に供給される電源の電圧及び周波数は,JIS E 5004-1の5.2(装置の定格電圧)の種別2,5.4(定
格動作周波数)及びJIS E 5006の3.1.1.1(電圧供給の変動範囲)の種別2による。

4.3 試験用補助器具

  試験用補助器具は,実稼働時に組み合わされる機器の機能を代行するもので,試験条件の設定,試験結
果の確認の機能を担うものであり,それらの例を,次に示す。
a) 地上模擬試験器 地上送受信装置を模擬して,地上情報の作成,車上情報の測定並びに伝送送信の起
動及び停止の機能をもつ試験器。
b) 模擬速度信号発生器 模擬の速度信号を発生して,車上制御装置に模擬的な走行条件を与える機能を
もつ試験器。
c) 模擬ATC車上装置 ATOが自動運転を行うための目標速度を設定するために,車上制御装置に対し
て模擬的に速度制御情報を与える装置。
d) 模擬ATO車上制御装置 車上送受信装置から入力した情報が確認できる機能をもつ車上制御装置を
模擬する装置。
e) 模擬ATO車上送受信器 模擬的に地上情報の作成,伝送送信の起動停止の機能をもつ車上送受信装
置を模擬する試験器。
f) 模擬表示器 ATOによる出発条件,定位置停止,運転状態,力行,ブレーキなどの制御状態を表示す
る試験情報用表示器。
g) スイッチ類 車両の運転モードを,ATOによる運転状態に切り換えて出発指令などを行うスイッチ,
主幹制御器に附属するキーなどによって動作するスイッチ。

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5 試験の種類及び項目

5.1 試験の種類

  試験の種類は,形式試験,受渡試験及び特殊試験の3種類とし,次による。
a) 形式試験 JIS E 5006の10.1.1(形式試験)による。
b) 受渡試験 JIS E 5006の10.1.2(受渡試験)による。
c) 特殊試験 特殊試験は,車上装置の使用条件などに関する追加情報を得ることを目的として,受渡当
事者間の協定によって必要に応じて行う。

5.2 試験項目

  試験項目は,表1のとおりとする。
表1−試験項目
試験の種類 細分箇条
No. 試験項目
形式試験 受渡試験 特殊試験 番号
1 地上・車上伝送静特性試験 ○ ○ − 6.1

2 上 応動距離特性試験 ○ − ○ 6.2
3 送 応動時間特性試験 ○ − − 6.3

4 信 ノイズレベル測定試験 − − ○ 6.4
5 装 車上送受信装置出力試験 ○ ○ − 6.5

6 車上送受信装置入力試験 ○ ○ − 6.6
7 出発制御機能試験 ○ ○ − 6.7
8 定速走行制御機能試験 ○ ○ − 6.8
9 定位置停止制御機能試験 ○ ○ ○ 6.9
10 減速制御機能試験 ○ ○ − 6.10
性 車
11 能 惰行制御機能試験 ○ ○ − 6.11

12 試 制 速度入力特性試験 ○ ○ − 6.12
験 御
13 速度制御情報入力試験 ○ ○ − 6.13

14 置 ATC信号優先制御試験 − − ○ 6.14
15 地点情報入力試験 ○ ○ − 6.15
16 対地上データ伝送試験 ○ ○ − 6.16
17 車上制御装置出力試験 ○ ○ − 6.17
18 車上制御装置入力試験 ○ ○ − 6.18
19 故障検知機能試験 ○ ○ − 6.19
20 共 多重系回路動作試験 ○ ○ − 6.20
21 通 停止精度試験 − − ○ 6.21
22 その他の機能の動作試験 ○ ○ − 6.22
23 電源電圧変動試験 ○ − − 6.23
24 消費電力測定試験 ○ ○ − 6.24
25 絶縁測定試験 ○ ○ − 6.25
26 耐電圧試験 ○ − ○ 6.26
27 サージ試験 − − ○ 6.27
28 耐ノイズ試験 ○ − − 6.28
29 温度上昇試験 ○ − − 6.29

30 度 低温試験 ○ − − 6.30
31 試 高温試験 ○ − − 6.31

32 温湿度サイクル試験 − − ○ 6.32
33 振動試験 ○ − ○ 6.33
34 衝撃試験 − − ○ 6.34
35 防水試験及び耐じん(塵)試験 − − ○ 6.35

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表1−試験項目(続き)
試験の種類 細分箇条
No. 試験項目
形式試験 受渡試験 特殊試験 番号
36 連続通電試験 ○ ○ − 6.36
37 組合せ試験 ○ − − 6.37
38 構造−外観検査及び寸法測定 ○ ○ − 6.38

6 試験方法

6.1 地上・車上伝送静特性試験

  地上模擬試験器及び車上送受信装置を用いて試験を行い,地上子などと車上子とを規定の位置で結合さ
せて,車上送受信装置で次の内容を確認する。
a) 変周式 常時発振周波数が地上子で設定された周波数に変化し,規定の出力が行われることを確認す
る。
b) ループ式 送受信信号レベル及び送受信内容が適正であることを確認する。形式試験においては,地
上模擬試験器で,車上送受信装置からの受信レベルが規定値を満足することを確認する。
c) トランスポンダ式 送受信信号レベル及び送受信内容が適正であることを確認する。地上子に対して
電力波を送信する場合は,送信レベル及び周波数を確認する。

6.2 応動距離特性試験

  地上模擬試験器及び車上送受信装置を用いて試験を行う。地上子又はループ線と車上子とを相対させて,
上下及び左右方向の最大変位点において,地上子若しくはループ線又は車上子を前後方向に移動させて,
次の試験を行う。
なお,特殊試験は,車両に車上子をぎ装し,車上機器の電源類を全て投入状態とした上で車両を走行さ
せて,実際の線路内に取り付けた地上子などと結合させて同様の試験を行う。
a) 変周式 常時発振周波数が,地上子で設定された周波数に変化して,規定の出力が行われる前後方向
の距離を測定する。
b) ループ式 受信信号レベルが,規定値以上となる前後方向の距離を測定する。
地上へ送信する情報がある場合は,地上模擬試験器を用いて地上受信レベルが規定値以上となる前
後方向の距離を測定する。
c) トランスポンダ式 受信信号レベルが,規定値以上となる前後方向の距離を測定する。
地上へ送信する情報については,地上模擬試験器を用いて地上受信レベルが規定値以上となる前後
方向の距離を測定する。地上子に対して電力波を送信する場合は,地上模擬試験器(試験用無電源地
上子)を用いて車上送受信装置の受信レベルが規定値以上となる前後方向の距離を測定する。
なお,特殊試験として実施する場合には,受渡当事者間の協定があれば,必要な応動距離が確保さ
れる位置において,規定の出力が得られることを確認することで,応動距離の測定に代えることがで
きる。

6.3 応動時間特性試験

  車上子と,地上子又は地上模擬試験器とを結合可能な位置に配置した状態で,次の試験を行う。
a) 変周式 地上子の共振回路をOFFからONにしてから,車上送受信装置の常時発振周波数が地上子で
設定された周波数に変化し,規定の出力が行われるまでの時間を確認する。
b) ループ式 地上模擬試験器の送信情報を変化させてから,車上送受信装置が受信情報を処理し,車上

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制御装置へ出力開始するまでの時間を確認する。
なお,出力形式が並列出力,直列伝送出力及び接点出力のそれぞれについて応動時間の規定がある
場合には,それらについても確認する。
c) トランスポンダ式 地上模擬試験器の送信情報を変化させてから,車上送受信装置が受信情報を処理
して車上制御装置へ出力開始するまでの時間を確認する。
なお,出力形式が並列出力及び直列伝送出力のそれぞれについて規定がある場合には,それらにつ
いても確認する。

6.4 ノイズレベル測定試験

  車上に全ての機器が搭載された状態で試験を行う。各機器の機能を起動又は停止させたときの,車上子
に誘起されるノイズレベルを測定する。また,車上送受信装置の動作を,次のように確認する。
なお,この試験は,車上装置が車両に搭載された後に行う特殊試験である。
注記 この試験は,誘導障害試験の一部として行われることがある。
a) 変周式 車上送受信装置の常時発振周波数に変化がないことを確認する。
b) ループ式 車上送受信装置の受信動作を確認する。
c) トランスポンダ式 車上送受信装置の受信動作を確認する。

6.5 車上送受信装置出力試験

  地上子などと車上子とを規定の位置で結合させて,地上模擬試験器で規定の情報を発生させたとき,車
上送受信装置から受信情報が規定の伝送方式によって出力されることを確認する。確認には模擬ATO車上
制御装置を用いてもよい。各出力の測定・確認項目を次に示す。
なお,この試験は,車上送受信装置と車上制御装置とが分離した方式の場合に実施し,車上送受信装置
と車上制御装置とが一体化した方式では,両者間の試験は実施しない。
a) 並列出力 各部の出力信号の電圧,電流,周波数などを測定する。
b) 直列伝送 各部の伝送信号波形,伝送手順及び伝送データ内容を確認する。
c) 接点出力 規定の接点シーケンスで出力されることを確認する。

6.6 車上送受信装置入力試験

  車上送受信装置への入力情報が,規定の伝送方式で入力されることを確認する。確認には模擬ATO車上
制御装置を用いてもよい。各入力の測定・確認項目を次に示す。
なお,この試験は,車上送受信装置と車上制御装置とが分離した方式の場合に実施し,車上送受信装置
と車上制御装置とが一体化した方式では,両者間の試験は実施しない。
a) 並列入力 各部の入力信号の電圧,電流,周波数などを測定する。
b) 直列伝送 各部の伝送信号波形,伝送手順及び伝送データ内容を確認する。
c) 接点入力 規定の接点シーケンスで正しく認識されることを確認する。

6.7 出発制御機能試験

  車上制御装置に模擬的に入力を与え,規定の出発条件2)が成立したときに,転動防止ブレーキ3)指令を
解除し,力行指令を出力することを確認する。
注2) 自動運転での列車の出発を許可する条件(戸閉,速度制御情報,出発指令など)。
3) 停車中の列車が勾配などによって自然に動き出さないようにかけておくブレーキ。

6.8 定速走行制御機能試験

  車上制御装置に模擬速度信号発生器から列車走行状態を与えて,模擬ATC車上装置によってATCから
の出力に相当する速度制御情報を入力したとき,規定の目標速度に追従するように,力行,ブレーキ指令

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などが出力されることを確認する。

6.9 定位置停止制御機能試験

  車上制御装置に模擬速度信号発生器から列車走行状態を与えて,模擬走行状態とした後,地上模擬試験
器から定位置停止用地点情報を送信することによって,定位置停止制御が開始されて,列車が規定の位置
に停止するようにブレーキ指令などが出力されることを確認する。TASCパターンを発生して,これに追
随させる方式の場合には,列車速度と目標速度とするTASCパターンとを合わせて測定する。また,距離
補正を行う場合には,模擬的に距離補正地点を通過したときに,目標速度のパターンが補正されることを
確認する。

6.10 減速制御機能試験

  車上装置が,駅間で定められた減速開始地点を通過したときに減速を行う減速制御機能4)をもつ場合に
は,列車走行状態として模擬速度信号発生器から規定の列車速度を与え,減速開始地点を通過後に車上制
御装置の出力が規定のブレーキ指令となることを確認する。
注4) 制限速度が下位に変化する地点で,ATCのブレーキ指令が出力される前に,あらかじめ車上装
置からブレーキ指令を出力する制御機能。

6.11 惰行制御機能試験

  車上装置が目標速度追従のために,指令出力を加減することなく惰行を継続する惰行制御機能5)をもつ
場合には,模擬的に列車走行状態として規定の位置,速度などの条件を与えたときに,車上制御装置の出
力が惰行となることを確認する。
注5) 駅間の条件に応じて,規定の位置,速度などの条件によって優先的に惰行を指令する制御機能。

6.12 速度入力特性試験

  速度発電機の出力と等価な波形(電圧及び周波数)を模擬速度信号発生器から入力して,列車速度入力
回路の動作点を確認する。周波数を,最低速度検出速度,中間速度及び最高速度の各々1.1倍に設定して入
力し,列車速度入力回路の動作点を確認する。

6.13 速度制御情報入力試験

  模擬ATC車上装置によって,ATCからの出力に相当する速度制御情報(制限速度)を車上制御装置に
入力し,制限速度情報が正常に認識されることを確認する。

6.14 ATC信号優先制御試験

  力行指令において,目標速度がATCからのATC速度情報(制限速度)を超過しないことを確認する。
ブレーキ指令において,目標速度がATCからのATC速度情報(制限速度)を超過した場合には,ATC
速度情報が優先されることを確認する。

6.15 地点情報入力試験

  地上模擬試験器によって,車上送受信装置の出力に相当する地点情報を車上制御装置に入力して,地点
情報が正常に認識されることを確認する。

6.16 対地上データ伝送試験

  地上と連続的に情報通信を行っているデータ伝送装置(この規格の対象外)とのデータ伝送試験は,デ
ータ伝送装置,車上制御装置,スイッチ類及び模擬表示器類を用いて行い,データ伝送装置からの受信デ
ータが,規定の伝送手順で車上制御装置へ伝送されることを確認する。また,車上制御装置から送信デー
タが,規定の伝送手順でデータ伝送装置へ伝送されることを確認する。

6.17 車上制御装置出力試験

  車上制御装置の出力確認試験は,必要な情報が規定の伝送方式によって出力されることを確認する。確

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