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G 0567 : 2012
9.3 加熱装置
9.3.1 温度の許容範囲
試験片の加熱装置は,試験片を,規定の温度Tに加熱できるものでなければならない。
測定温度Tiは,試験片の平行部の表面で測定し,既知の誤差を補正した温度とする。ただし,温度測定
装置の不確かさは考慮しない。
規定温度Tと測定温度Tiとの間の許容差及び試験片内の許容最大温度変化を,表2に示す。
1 100 ℃を超える規定温度に対しては,許容差は,事前に受渡当事者間で決めなければならない。
表2−TiとTとの許容差及び試験片内の許容最大温度変化
単位 ℃
規定温度 T TiとTとの許容差 試験片内の許容最大温度変化
T≦ 600 ±3 3
600800 1 000 9.3.2 温度測定
標点距離が50 mm未満の場合,平行部の両端の温度をそれぞれ一つの温度センサで測定する。標点距離
が50 mm以上の場合には,3個目の温度センサで,平行部の中心近傍を測定しなければならない。
加熱炉及び試験片の一般的な構成による試験片の温度が,経験上,9.3.1で規定する許容範囲を超えるこ
とがないことが既知な場合には,温度センサの数を減らしてもよい。ただし,少なくとも一つの温度セン
サで,直接試験片の温度を測定しなければならない。
温度センサの測温接点は,試験片の表面と熱的によく接触し,加熱炉の炉壁からの放射熱を避けるよう
に適切に遮蔽しなければならない。
9.3.3 温度測定装置の検証
温度測定装置は,少なくとも1 ℃以内の分解能をもち,±0.004T ℃又は±2 ℃のいずれか大きい方を
超えない精度がなければならない。
注記 温度測定装置には,測定系の全ての構成要素(センサ,ケーブル,指示装置及び測温接点)を
含む。
温度測定装置の全ての構成要素は,1年を超えない期間に検証及び校正をしなければならない。誤差は,
校正報告書に記録しなければならない。用いる温度測定装置は,国家標準にトレーサブルなものを用いる。
10 試験条件
10.1 試験力のゼロ点調整
試験力の測定装置は,試験装置の組立てが完了し,試験片をつかみ装置に実際にセットする前にゼロ点
調整を行う。一旦,ゼロ点調整を行った後は,試験力測定装置は,試験中いかなる変更も加えてはならな
い。
注記 この方法を用いることで,つかみ装置の質量が試験力の測定に及ぼす影響を相殺し,更に,試
験片をつかむことによって生じる力が,試験力のゼロ点に影響しないようにする。
10.2 試験片のつかみ,伸び計の設置及び試験片の加熱
次の三つの手順は,順番に行う必要はない。
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10.2.1 試験片のつかみ方法
試験片をつかむ方法に関する要求事項は,JIS Z 2241の10.2による。
10.2.2 伸び計の取付け及び標点距離の設定
10.2.2.1 一般
実際には,幾つかの異なる方法が標点距離の設定に用いられる。これは,試験結果に,僅かな相違をも
たらすかもしれない。用いた方法を試験報告に記載しなければならない。
注記1 ISO 6892-2では,室温での伸び計標点距離の長さ(方法1)に加え,今回の改正で,規定さ
れた試験温度での実際の標点距離の長さを伸び計標点距離として用いる方法(方法2)も採
用された。試験温度での実際の標点距離を求める方法として三つの方法が提案されている。
注記2 ここでいう試験温度は,規定温度Tを意図している。
10.2.2.2 室温の伸び計標点距離(方法1)(Le based on room temperature)
室温で規定の標点距離の伸び計を試験片に取り付ける。伸び計伸びは,試験温度で測定し,伸び計伸び
(%)は,室温の標点距離に対して計算する。
試験片の熱膨張を考慮しない。
10.2.2.3 試験温度の伸び計標点距離(方法2)(Le based on test temperature)
この標点距離は,試験片の熱膨張を含む。
10.2.2.3.1 試験温度の伸び計標点距離を用いる方法(方法2a)
試験力を負荷する前に,試験温度になった試験片に規定の標点距離の伸び計を取り付ける。
10.2.2.3.2 室温で標点距離を減じる方法(方法2b)
試験温度になったときに,規定の標点距離になるように,室温であらかじめ熱膨張分を減じた標点距離
で伸び計を試験片に取り付ける。
伸び計伸び(%)の計算には,規定の標点距離を用いる。
10.2.2.3.3 試験温度で標点距離を補正する方法(方法2c)
室温で,規定の標点距離に伸び計を取り付け,伸び計伸び(%)の計算には,試験温度で補正した標点
距離(室温での標点距離+熱膨張分)を用いる。
10.2.3 試験片の加熱
試験片を規定の温度Tに加熱し,試験力を負荷する前に少なくとも10分間その温度に保持しなければ
ならない(均熱時間)。試験力の負荷は,伸び計の出力が,安定してから開始しなければならない。
注記 材料の断面全体を規定の温度までにするには,更に長い時間が,必要な場合がよくある。
加熱中,試験片の温度は,受渡当事者間の特別な協定のない限り,規定温度の許容差の範囲を超えては
ならない。
10.3 ひずみ速度制御による試験方法(方法A)
10.3.1 一般
この試験方法は,ひずみ速度の影響を受けやすい特性を測定する場合に試験速度の変動を最小化し,試
験結果の測定の不確かさを最小化しようとするものである。
ひずみ速度制御(方法A)による試験速度は,次の要求に従わなければならない。
eLe JIS Z 2241の3.7.1参照)を適用す
a) eH,Rp又はRtの測定を行うまでの範囲では,規定ひずみ速度
る。この範囲では,ひずみ速度を正確に制御するため,試験片に取り付けられた伸び計が必要となる。
これは,引張試験機の剛性の影響を除去するためである。(ひずみ速度によって試験機が制御できない
cLe いる方法でもよい。)
場合には,平行部の推定ひずみ速度
――――― [JIS G 0567 pdf 7] ―――――
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cLe JIS Z 2241の3.7.2参照),を適用するのがよ
b) 不連続な降伏を示す間は,平行部の推定ひずみ速度
い。この間では,伸び計標点距離の外側で局所降伏(local yielding)が起こる可能性があるため,伸び
計を用いたひずみ速度制御が不可能となる。要求される平行部の推定ひずみ速度は,平行部長さから
計算したクロスヘッド変位速度vc(JIS Z 2241の3.7.3参照),を一定にすることによって,十分正確
に維持することができる。要求される平行部の推定ひずみ速度は,次の式によって求める。
Le
vc Lc c
(pdf 一覧ページ番号 )
cLe 平行部の推定ひずみ速度
ここに,
Lc : 試験片の平行部長さ
eLe はLe
c 罵 してもよい。伸び計標点
c) p,Rt又は降伏の終了以降(JIS Z 2241の3.7.2参照)は,
cLe 極 するのがよい。
距離の外側でネッキングが発生した場合の制御の問題を避けるため,
10.3.2から10.3.4によるひずみ速度は,材料の特性を測定する間,保持しなければならない(図1参照)。
他のひずみ速度又は制御モードに移り変わる間,Rm,Ag又はAgtの値が不正確となるような応力−伸び
曲線の不連続が生じないようにすることが望ましい(JIS Z 2241の図10参照)。この間の速度を適切に段
階的に変化させることによって,この影響は小さくできる。
加工硬化域の応力−伸び曲線の形状も,ひずみ速度により影響される可能性がある。適用した試験速度
は,記録するとよい。
通常,室温の引張試験で測定する全ての特性を高温引張試験で測定することはない。それゆえ,測定す
る特性に対して適切な試験速度を用いなければならない(図1参照)。
10.3.2 上降伏応力ReH又は耐力Rp及び要求された場合のRtの測定時のひずみ速度
上降伏応力ReH又は耐力Rp及び要求された場合のRtを測定するまでの間,ひずみ速度は,できる限り一
eLe 次の二つのうちの一つの規定範囲に
定にしなければならない。これらの材料の測定中,ひずみ速度
しなければならない(図1参照)。
eLe 0.000 07 s−1(0.004 2 min−1に相当)±20 %(規定のない限り推奨する範囲)
範囲1 :
eLe 0.000 25 s−1(0.015 min−1に相当)±20 %
範囲2 :
cLe ロスヘッド変
試験機がひずみ速度を直接制御できない場合には,平行部の推定ひずみ速度
位速度を用いなければならない。この変位速度は,式(1)を用いて計算しなければならない。
実際に試験片にかかるひずみ速度は,試験機の剛性を考慮しないので,規定のひずみ速度よりも低くな
る。JIS Z 2241の附属書Fにその解説が示されている。
10.3.3 下降伏応力ReL及び要求された場合の降伏伸び(%)Aeの測定時のひずみ速度
上降伏応力が現れた後,下降伏応力ReL及び要求された場合の降伏伸び(%)Aeを測定する平行部の推
cLe 不連続な降伏が終わるまで次の二つのうち一つの規定範囲にしなければならない(図
定ひずみ速度
1参照)。
cLe 0.000 07 s−1(0.004 2 min−1に相当)±20 %
範囲1 :
cLe 0.000 25 s−1(0.015 min−1に相当)±20 %
範囲2 :
クロスヘッド変位速度制御が望ましい。
10.3.4 引張強さRm,破断伸び(%)A,及び絞り(%)Z,並びに要求された場合の最大試験力時の全伸
び(%)Agt,及び最大試験力時の塑性伸び(%)Agの測定時のひずみ速度
要求された降伏応力/耐力の測定の後,引張強さRm,破断伸び(%)A,及び絞り(%)Z,並びに要求
された場合の最大試験力時の全伸び(%)Agt,及び最大試験力時の塑性伸び(%)Agを測定する平行部の
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cLe 次の規定範囲のうちの一つに変更しなければならない(図1参照)。
推定ひずみ速度
cLe 0.000 07 s−1(0.004 2 min−1に相当)±20 %
範囲1 :
cLe 0.000 25 s−1(0.015 min−1に相当)±20 %
範囲2 :
cLe 0.001 4 s−1(0.084 min−1に相当)±20 %(規定のない限り推奨する範囲)
範囲3 :
cLe 0.006 7 s−1(0.4 min−1に相当)±20 %
範囲4 :
クロスヘッド変位速度制御が望ましい。
引張試験の目的が引張強さだけを測定する場合は,全試験期間を通して,試験片平行部の推定ひずみ速
度を範囲3にしてもよい。
10.4 ひずみ速度範囲を拡大した試験方法(方法B)
10.4.1 一般
この試験方法は,通常のひずみ速度範囲で行うものである。
注記 この試験方法のひずみ速度範囲は,従来の規格と同じ速度範囲である。
金属のひずみ速度感受性は,室温よりも,高温の方がより高い可能性があることを考慮すべきである。
試験速度が,規定範囲内であっても,測定する特性の値に影響を与える場合がある。
10.4.2 降伏強さ又は耐力の測定時の速度
上降伏応力,下降伏応力及び耐力を対象とする。
試験開始から測定する降伏応力までの試験片の平行部のひずみ速度は,0.000 016 7 s−1から0.000 083 3
s−1(0.0010.005 min−1)までの間とする。
試験装置がひずみ速度を表示できない場合は,弾性域の応力速度をひずみ速度が0.000 05 s−1(0.003
min−1)未満になるように設定しなければならない。いかなる場合も,弾性域で5 MPa・s−1(300 MPa・min−1)
を超えてはならない。
10.4.3 引張強さの測定時の速度
引張強さだけを測定する場合には,試験片のひずみ速度は,0.000 33 s−1から0.003 3 s−1(0.020.20 min−1)
までの間とする。
降伏応力も同じ試験片で測定する場合には,10.4.2で規定する試験速度からの変化は,滑らかに,又規
定のひずみ速度を超えない(オーバーシュートしない)ようにしなければならない。
10.5 方法及び速度の選択
受渡当事者間の協定のない限り,方法(A又はB)及び試験速度の選択は,この規格の要求に適合する
限り,製造業者又は製造業者によって指名された試験室が任意に行う。
10.6 選択した試験条件の記録
試験の制御モード及び試験速度を簡略化した様式で記録するために,次の略号を用いてもよい。
JIS G 0567 Annn,又はJIS G 0567 Bn
ここで,Aは方法A(ひずみ速度制御)を,Bは方法B(拡大したひずみ速度範囲)を表す。図1で定
義されるように,nnnは,試験の各段階で用いた速度を参照する三つまでの一連の数字である。また,n
は,選択したひずみ速度(s−1)を加えてもよい。
例1 JIS G 0567 A 113は,範囲1,1及び3を用いたひずみ速度制御による試験。
例2 JIS G 0567 Bは,10.4.2に従った応力に対応した拡大したひずみ速度による試験。
――――― [JIS G 0567 pdf 9] ―――――
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11 特性値の測定及び計算
JIS Z 2241に従って行う。
12 試験報告書
試験報告書が必要な場合には,受渡当事者間の協定のない限り,少なくとも次の事項を含む。
なお,受渡当事者間の協定によって,次の項目の一部を省略してもよい。
a) この規格で試験をした旨及び10.6で規定する試験条件の表示 : 例えば,JIS G 0567 A113
b) 試験片の識別
c) 材料の種類(分かっている場合)
d) 試験片の形状
e) 試験片の採取位置及び採取方向(分かっている場合)
f) 10.3及び10.4で示す推奨試験方法及び推奨速度と異なる場合,試験の制御,及び試験速度又は試験速
度範囲(10.6参照)。
g) 均熱時間
h) 試験温度
i) 伸び計標点距離Leの設定方法
j) 試験結果
試験結果は,材料規格に規定のない限り,次に示す精度以上に,JIS Z 8401に従って丸めることが望ま
しい。
− 強度値 : MPaの整数
− 降伏伸び(%)Ae : 0.1 %
− その他の全ての伸び(%) : 0.5 %
− 絞りZ : 1 %
13 測定の不確かさ
測定の不確かさに関する要求事項及び参考情報は,JIS Z 2241の箇条23及びこの規格の附属書Bによ
る。
14 図
JIS Z 2241の図1図8及び図10図15は,そのまま有効である。JIS Z 2241の図9を次の図1に置き
換える。
――――― [JIS G 0567 pdf 10] ―――――
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JIS G 0567:2012の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 6892-2:2011(MOD)
JIS G 0567:2012の国際規格 ICS 分類一覧
JIS G 0567:2012の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7721:2018
- 引張試験機・圧縮試験機―力計測系の校正方法及び検証方法
- JISB7741:2019
- 一軸試験に使用する伸び計システムの校正方法
- JISG0202:2013
- 鉄鋼用語(試験)
- JISZ2241:2011
- 金属材料引張試験方法
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方