JIS H 1121:1995 鉛地金分析方法 | ページ 4

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H 1121-1995
8.4.7 計算 8.4.4.2及び8.4.5で得た発光強度と8.4.6で作成した検量線とからアンチモン量を求め,試料
中のアンチモン含有率を次の式によって算出する。
A1 (A2 A3 )
Sb 100
20
m
25
ここに, Sb : 試料中のアンチモン含有率% (m/m)
A1 : 分取した試料溶液中のアンチモン検出量 (g)
A2 : 空試験液中のアンチモン検出量 (g)
A3 : 鉛 [8.4.2(3) ] 0.09g中に含まれるアンチモン量 (g)
m : 試料はかり取り量 (g)
9. ひ素定量方法
9.1 定量方法の区分 ひ素の定量方法は,次のいずれかによる。
(1) 鉛分離三水素化ひ素気化分離ジエチルジチオカルバミン酸銀吸光光度法 この方法は,ひ素含有率
0.000 1% (m/m) 以上0.01% (m/m) 以下の試料に適用する。
(2) 鉛分離誘導結合プラズマ発光分光法 この方法は,ひ素含有率0.000 1% (m/m) 以上0.01% (m/m) 以下
の試料に適用する。
9.2 鉛分離三水素化ひ素気化分離ジエチルジチオカルバミン酸銀吸光光度法
9.2.1 要旨 試料を硝酸で分解した後,硫酸を加えて硫酸鉛を沈殿させ,ろ過する。ろ液に,硫酸を加え
て酸濃度を調節した後,よう化カリウム,塩化すず (II) 及び亜鉛を加えてひ素を三水素化ひ素として気化
させ,ジエチルジチオカルバミン酸銀(以下,Ag-DDTCという。)・ブルシン−クロロホルムに吸収させ,
光度計を用いて,その吸光度を測定する。
9.2.2 試薬 試薬は,次による。
(1) 硝酸 (1+4)
(2) 硫酸 (1+1, 1+3, 1+50)
(3) 亜鉛 JIS K 8012[亜鉛(試薬)]のひ素分析用(砂状)を用いる。
(4) 塩化すず (II) 溶液 塩化すず (II) 二水和物40gを塩酸[ひ素含有率が0.000 01% (m/m) 以下のものを
用いる。]100mlに溶解し,これに金属すずの小粒を加えて保存する。この溶液は,使用の都度,必要
量だけ水で正しく10倍に薄める。
(5) よう化カリウム溶液 (200g/l)この溶液は,使用の都度調製する。
(6) 酢酸鉛溶液 酢酸鉛三水和物10gを酢酸1,2滴を含む水に溶解した後,100mlとする。
(7) g-DDTC・ブルシン‐クロロホルム溶液 Ag-DDTC0.25gとブルシン二水和物0.05gとを100mlのク
ロロホルムに溶解する。この溶液は,使用の都度調製する。
(8) g-DDTC・ピリジン溶液 Ag-DDTC0.5gを100mlのピリジンに溶解する。
(9) クロロホルム
(10) 標準ひ素溶液 (1 最 一 酸化二ひ素 (JIS K 8005) 0.132gを水酸化ナトリウム溶液 (40g/l) 2mlに
溶解し,水で薄め,フェノールフタレイン溶液[調製方法は,JIS K 8001の4.4(指示薬)の表7によ
る]1,2滴を指示薬として加え,硫酸 (1+10) で微酸性とした後,溶液を1 000mlの全量フラスコに
水を用いて移し入れ,水で標線まで薄めて原液 (100 最 一 ‰ を使用の都度,水
正しく100倍に薄めて標準ひ素溶液とする。
9.2.3 装置及び器具 装置及び器具は,三水素化ひ素発生器及び吸収管を用いる(図1参照)。

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図1 三水素化ひ素発生器及び吸収管の例
9.2.4 試料はかり取り量 試料はかり取り量は,10.0gとし,10mgのけたまではかる。
9.2.5 操作
9.2.5.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
(1) 試料をビーカー (300ml) にはかり取り,時計皿で覆い,硝酸 (1+4) 70mlを加え,穏やかに加熱して
分解する。
(2) 溶液をかき混ぜながら,硫酸 (1+3) 30mlを加え,静置し,放冷した後,時計皿の下面を水で洗って
時計皿を取り除く。溶液をろ紙(5種B)を用いてろ過し,硫酸 (1+50) で数回洗浄する。
(3) 常温まで冷却した後,ろ液及び洗液を250mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄
める。
(4) この溶液を試料中のひ素含有率に応じて,表2に従ってビーカー (300ml) に分取する。
(5) 硫酸 (1+1) 5mlを加え,加熱濃縮して硫酸の白煙を十分に発生させる。放冷した後,水10ml及び硫
酸 (1+1) 5mlを加え,加熱して塩類を溶解し,常温まで冷却する。少量の水を用いて三水素化ひ素発
生瓶(図1のA)に移し入れる。
表2 分取量
ひ素含有率 分取量
% (m/m) ml
100
0.000 1 以上 0.001 未満
0.001 以上 0.002 未満 50
0.002 以上 0.004 未満 25
0.004 以上 0.01 以下 10

――――― [JIS H 1121 pdf 17] ―――――

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9.2.5.2 三水素化ひ素の気化分離及び呈色 三水素化ひ素の気化分離及び呈色は,次の手順によって行う。
(1) 9.2.5.1(5)で得た三水素化ひ素発生瓶中の溶液に水を加えて液量を約40mlとする。
(2) よう化カリウム溶液 [9.2.2(5) ] 2ml及び塩化すず (II) 溶液 [9.2.2(4) ] 5mlを加えて振り混ぜ,約15分
間室温に放置する。
(3) 亜鉛 [9.2.2(3) ] 5gを加え,手早く発生瓶(図1のA),導管(図1のB)及びAg-DDTC・ブルシン−
クロロホルム溶液 [9.2.2(7) ](20)5mlを入れた吸収管(図1のC)を連結し,発生瓶を約25℃の水中で,
約1時間放置する。
注(20) g-DDTCピリジン溶液 [9.2.2(8) ] を使用してもよい。この場合は,次の(4)の操作は行わない。
(4) 三水素化ひ素吸収管中の溶液にクロロホルムを加えて液量を正確に5mlとし,振り混ぜる。
9.2.5.3 吸光度の測定 9.2.5.2(4)で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,Ag-DDTC・ブ
ルシン−クロロホルム溶液 [9.2.2(7) ] を対照液として,波長510nm付近の吸光度を測定する(21)。
注(21) 9.2.5.2(3)で注(20)を適用したときには,Ag-DDTCピリジン溶液 [9.2.2(8) ] を対照液とし,波長
530nm付近の吸光度を測定する。
9.2.6 空試験 試料を用いないで,試料と同じ操作を試料と並行して行う。
9.2.7 検量線の作成 標準ひ素溶液 [9.2.2(10) ] 015.0ml(ひ素として015 柿 を段階的に数個の三水
素化ひ素発生瓶(図1のA)に取り,硫酸 (1+1) 10mlを加え,水を加えて液量を約40mlとする。以下,
9.2.5.2(2)9.2.5.3の手順に従って試料と並行して操作し,得た吸光度とひ素量との関係線を作成し,その
関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
9.2.8 計算 9.2.5.3及び9.2.6で得た吸光度と9.2.7で作成した検量線とからひ素量を求め,試料中のひ素
含有率を次の式によって算出する。
A1 A2
As 100
B
m
250
ここに, As : 試料中のひ素含有率% (m/m)
A1 : 分取した試料溶液中のひ素検出量 (g)
A2 : 分取した空試験液中のひ素検出量 (g)
m : 試料はかり取り量 (g)
B : 9.2.5.1(4)で分取した試料溶液及び空試験液の量 (ml)
9.3 鉛分離誘導結合プラズマ発光分光法
9.3.1 要旨 試料を酒石酸の存在下で,硝酸で分解した後,塩酸を加えて塩化鉛を沈殿させ,ろ過する。
ろ液に塩酸を加え,誘導結合プラズマ発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,その発光強度を測定
する。
9.3.2 試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸
(2) 硝酸 (1+4)
(3) 鉛 99.99% (m/m) 以上でひ素を含有しないもの,又はひ素含有率が既知で,かつ,試料中のひ素含有
率より低いもの。
(4) 酒石酸溶液 (500g/l)
(5) 標準ひ素溶液A (100 最 一 10)の原液 (100 最 一 ‰ 準ひ素
(6) 標準ひ素溶液B (10 最 一 準ひ素溶液A [(5) ] を使用の都度,水で正しく10倍に薄めて標準ひ
素溶液Bとする。

――――― [JIS H 1121 pdf 18] ―――――

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9.3.3 試料はかり取り量 試料はかり取り量は,5.0gとし,10mgのけたまではかる。
9.3.4 操作
9.3.4.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
(1) 6.3.4.1の(1)(4)の手順に従って操作する。
(2) ろ液から20mlを25mlの全量フラスコに分取し,塩酸2mlを加え,水で標線まで薄める(22)。
注(22) この溶液を用いて,鉛分離誘導結合プラズマ発光分光法によって,銅,ビスマス,アンチモン,
すず,鉄及び亜鉛を定量することができる。
9.3.4.2 発光強度の測定 9.3.4.1(2)で得た溶液の一部を,誘導結合プラズマ発光分光装置のアルゴンプラ
ズマ中に噴霧し,波長228.812nmにおける発光強度を測定する(2)。
9.3.5 空試験 9.3.6の検量線の作成操作において得られる標準ひ素溶液を添加しない溶液の発光強度を,
空試験の発光強度とする。
9.3.6 検量線の作成 検量線の作成は,次の手順によって行う。
(1) 鉛 [9.3.2(3) ] を0.09gずつ数個はかり取り,それぞれビーカー (200ml) に移し入れる。
(2) 6.3.6の(2)及び(3)の手順に従って操作する。
(3) 標準ひ素溶液A [9.3.2(5) ] 及び標準ひ素溶液B [9.3.2(6) ] の各種液量(ひ素として0400柿 を段階的
に加え,水で標線まで薄める。
(4) これらの溶液の一部を,誘導結合プラズマ発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長
228.812nmにおける発光強度を試料と並行して測定し,得た発光強度とひ素量との関係線を作成し,
その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
9.3.7 計算 9.3.4.2及び9.3.5で得た発光強度と9.3.6で作成した検量線とからひ素量を求め,試料中のひ
素含有率を次の式によって算出する。
A1 (A2 A3 )
As 100
20
m
50
ここに, As : 試料中のひ素含有率% (m/m)
A1 : 分取した試料溶液中のひ素検出量 (g)
A2 : 空試験液中のひ素検出量 (g)
A3 : 鉛 [9.3.2(3) ] 0.09g中に含まれるひ素量 (g)
m : 試料はかり取り量 (g)
10. すず定量方法
10.1 定量方法の区分 すずの定量方法は,次のいずれかによる。
(1) 酸化マンガン (IV) 共沈・チオシアン酸抽出分離フェニルフルオロン吸光光度法 この方法は,すず
含有率0.000 5% (m/m) 以上0.15% (m/m) 以下の試料に適用する。
(2) 鉛分離誘導結合プラズマ発光分光法 この方法は,すず含有率0.000 1% (m/m) 以上0.15% (m/m) 以下
の試料に適用する。
10.2 酸化マンガン (IV) 共沈・チオシアン酸抽出分離フェニルフルオロン吸光光度法

――――― [JIS H 1121 pdf 19] ―――――

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10.2.1 要旨 試料を硝酸で分解した後,硝酸マンガン及び過マンガン酸カリウムを加えて,すずを酸化マ
ンガン (IV) と共沈させてこし分ける。沈殿を硫酸と過酸化水素とで溶解し,過マンガン酸カリウムを加
えてすずを酸化した後,過剰のマンガン (VII) をL (+) −アスコルビン酸で還元する。塩酸及びくえん酸
を加え,アンモニア水で酸濃度を調整した後,ポリビニルアルコール及びフェニルフルオロンを加えてフ
ェニルフルオロンすず錯体を生成させ,光度計を用いて,その吸光度を測定する。
10.2.2 試薬 試薬は,次による。
(1) 塩酸
(2) 塩酸 (1+11)
(3) 硝酸
(4) 硝酸 (1+4)
(5) 硫酸 (1+1)
(6) 硝酸・過酸化水素水溶液 硝酸 (1+1) 100mlに過酸化水素3mlを加える。この溶液は,使用の都度調
製する。
(7) 硫酸・過酸化水素水溶液 硫酸 (1+6) 100mlに過酸化水素2mlを加える。この溶液は,使用の都度調
製する。
(8) アンモニア水 (1+1)
(9) 硝酸マンガン溶液 硝酸マンガン六水和物10gを水100mlに溶解する。
(10) 過マンガン酸カリウム溶液 (20g/l)
(11) チオシアン酸アンモニウム溶液 (500g/l)
(12) チオシアン酸アンモニウム洗浄液 チオシアン酸アンモニウム76gを水約300mlに溶解し,硫酸 (1
+35) 500mlを加えた後,水で液量を約1 000mlとする。
(13) (+) −アスコルビン酸
(14) くえん酸溶液 くえん酸一水和物10gを水100mlに溶解する。
(15) 酒石酸溶液 (100g/l)
(16) エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム (EDTA2Na) 溶液 EDTA2Na二水和物20gに水100ml
を加え,アンモニア水を少量ずつ加えて溶解した後,水で液量を200mlとする。
(17) ポリビニルアルコール溶液 (5g/l) ポリビニルアルコール(けん化度80%のK形)0.5gを水に溶解
し,水で液量を100mlとする。
(18) フェニルフルオロン溶液 フェニルフルオロン0.05gをエタノール (99.5) 及び塩酸 (1+2) 10mlに溶
解した後,エタノール (99.5) で液量を500mlとする。
(19) 酢酸エチル
(20) 標準すず溶液 (5 最一 ‰ ─ m/m) ] 0.100gをはかり取り,ビーカー (300m
時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 100mlを加え,加熱して分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面を
塩酸 (1+1) で洗って時計皿を取り除く。溶液を1000mlの全量フラスコに塩酸 (1+1) を用いて移し
入れ,塩酸 (1+1) で標線まで薄めて原液 (100 最一 ‰ を使用の都度,塩酸 (1
1) で正しく20倍に薄めて標準すず溶液とする。
(21) ブロモクレゾールグリーン溶液 ブロモクレゾールグリーン0.04gをエタノール (99.5) 20mlに溶解し
た後,水で液量を100mlとする。
10.2.3 試料はかり取り量 試料はかり取り量は,10.0gとし,10mgのけたまではかる。
10.2.4 操作

――――― [JIS H 1121 pdf 20] ―――――

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JIS H 1121:1995の国際規格 ICS 分類一覧

JIS H 1121:1995の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISH2105:1955
鉛地金
JISK0050:2019
化学分析方法通則
JISK0115:2004
吸光光度分析通則
JISK0115:2020
吸光光度分析通則
JISK0116:2014
発光分光分析通則
JISK0121:2006
原子吸光分析通則
JISK8001:2017
試薬試験方法通則
JISK8005:2014
容量分析用標準物質
JISK8012:2006
亜鉛(試薬)
JISZ8401:2019
数値の丸め方