JIS H 1404:2001 モリブデン材料の分析方法 | ページ 2

                                                                                              3
H 1 404 : 2001
7.2.1 要旨 試料を硝酸と硫酸の混酸で分解し,酒石酸を加えて,モリブデンなどを錯塩とし,pHを調
節し,L (+) -アスコルビン酸で鉄 (III) を鉄 (II) に還元し,1, 10-フェナントロリンを加えて1, 10-フェナ
ントロリン・鉄 (II) 錯体を生成させ,光度計を用いてその吸光度を測定する。
7.2.2 試薬 試薬は,次による。
a) 混酸A(硝酸1,硫酸1,水2)
b) アンモニア水
c) 酢酸
d) 酒石酸溶液 (500g/L)
e) (+) -アスコルビン酸溶液 (50g/L) 使用の都度調製する。
f) 1, 10-フェナントロリン溶液 塩化1, 10-フェナントロリニウム−水和物0.2gを水に溶解し,水で液量
を100mlとする。
g) 標準鉄溶液(20 最 攀一 ─ m/m) 以上]1.000gをはかり取ってビーカー (200ml)
時計皿で覆い,塩酸 (1+1) 20mlを加え,穏やかに加熱して分解する。過酸化水素1mlを加え,煮沸
して鉄を酸化するとともに,過剰の過酸化水素を分解する。常温まで冷却した後,時計皿の下面を水
で洗浄して時計皿を取り除き,溶液を1 000mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで
薄めて原液(1 000 最 攀一 は,JIS K 0016に規定する鉄標準液のFe1 000を原液とする。こ
の原液を使用の都度,必要量だけ水で正しく50倍に薄めて標準鉄溶液とする。
h) -ニトロフェノール溶液 (4g/L)
7.2.3 試料はかり取り量 試料はかり取り量は,1.0gとし,10mgのけたまではかる。
7.2.4 操作
7.2.4.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次の手順によって行う。
a) 試料をはかり取ってビーカー (200300ml) に移し入れる。
b) 時計皿で覆い,混酸A20mlを加え,放置又は加熱して分解する。引き続き加熱して窒素酸化物などを
追い出す。
c) 室温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除き,水で約50mlとし,酒石酸溶
液10mlをかき混ぜながら加え,水で液量を約60mlとする。
7.2.4.2 呈色 呈色は,次の手順によって行う。
a) 7.2.4.1c)で得た溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れる。
b) -ニトロフェノール溶液数滴を指示薬として加えた後,振り混ぜながら溶液の色が黄色になるまでア
ンモニア水を加える。次に,酢酸を溶液が無色となるまで滴加し,更に数滴を過剰に加える(1)。
注(1) この操作によって呈色時のpHは5.0付近となる。
c) 常温まで冷却した後,L (+) -アスコルビン酸溶液 [7.2.2e) ] 2ml及び1, 10-フェナントロリン溶液
[7.2.2f) ] 10mlを加えて振り混ぜ,水で標線まで薄め,約10分間放置する(2)。
注(2) 10分間放置後,吸光度は一定となる。
7.2.4.3 吸光度の測定 7.2.4.2c)で得た溶液の一部を光度計の吸収セル (10mm) に取り,水を対照液とし
て波長510nm付近の吸光度を測定する。
7.2.5 空試験 試料を用いないで試料と同じ操作を試料と並行して行い,得られた溶液の吸光度を空試験
の吸光度とする。

――――― [JIS H 1404 pdf 6] ―――――

4
H 1 404 : 2001
7.2.6 検量線の作成 混酸A20mlずつを数個のビーカー (200300ml) に取り,酒石酸10mlをかき混ぜ
ながら加えた後,溶液をそれぞれ100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,標準鉄溶液 [7.2.2g) ] 0
15.0ml(鉄として0300 柿 を段階的に加える。以下,7.2.4.2のb) c)及び7.2.4.3の手順に従って操作し
た後,得た吸光度と鉄量との関係線を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
7.2.7 計算 7.2.4.3及び7.2.5で得た吸光度と,7.2.6で作成した検量線とから鉄量を求め,試料中の鉄含
有率を次の式によって算出する。
A1−A2
Fe= 100
m
ここに, Fe : 試料中の鉄含有率 [% (m/m)
A1 : 試料溶液中の鉄検出量 (g)
A2 : 空試験液中の鉄検出量 (g)
m : 試料はかり取り量 (g)

7.3 原子吸光法

7.3.1  要旨 試料を適切な試薬で分解した後,溶液を原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴
霧し,その吸光度を測定する。
7.3.2 試薬 試薬は,次による。
a) 塩酸
b) 硝酸
c) りん酸 (1+1)
d) ほう酸溶液 (50g/L)
e) 混酸B(硝酸1,ふっ化水素酸1)
f) 混酸C(塩酸3,硝酸1,水4)
g) モリブデン粉 鉄含有率が既知で,かつ,その鉄含有卒が試料中の鉄含有率より低いもの。
h) 過酸化水素
i) 標準鉄溶液(20 最 攀一 最
j) 備考だけで使う試薬
1) 逆王水(塩酸1,硝酸3)
7.3.3 試料はかり取り量 試料はかり取り量は,試料溶液の調製を7.3.4.1a)で行う場合は,3.0gとし,試
料溶液の調製を7.3.4.1b)で行う場合は,1.0gとし,10mgのけたまではかる。
7.3.4 操作
7.3.4.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,次のいずれかの手順によって行う。
a) 混酸Bによる分解
1) 試料をはかり取って四ふっ化エチレン樹脂ビーカー (100200ml) 又はポリエチレンビーカー
(100200ml) に移し入れる。
2) 四ふっ化エチレン樹脂時計皿又はポリエチレン時計皿で覆い,りん酸 (1+1) 2ml,及び塩酸2mlを
加え,混酸B8mlを少量ずつ加え,放置又は加熱して分解する(3)。更に硝酸2mlを加え,引き続き
加熱して窒素酸化物などを追い出す。
注(3) 極細線や細粒の場合は,分解反応が激しいので,混酸に適量の水を加えて使用する。ポリエチ
レンビーカーは,変形が起こらないように水浴中などで加熱する。

――――― [JIS H 1404 pdf 7] ―――――

                                                                                              5
H 1 404 : 2001
3) 時計皿の下面を水で洗浄して時計皿を取り除き,ほう酸溶液35mlをかき混ぜながら加える。
4) 常温まで冷却した後,溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める(4)。
注(4) この溶液中の鉄量が300 識 には,鉄量が300 李 下になるように溶液を別の100ml
の全量フラスコに分取し,水で標線まで薄める。
b) 過酸化水素・混酸Cによる分解
1) 試料をはかり取ってビーカー (100200ml) に移し入れる。
2) 時計皿で覆い,りん酸 (1+1) 1ml及び過酸化水素1020ml(5)を加え,放置又は加熱して分解する。
液量が約5m1になるまで加熱して蒸発し室温まで冷却した後,混酸C10mlを少量ずつ加え,数分間
放置し激しい発泡を終わらせ,約5分間煮沸して常温まで冷却した後,時計皿の下面を水で洗浄し
て時計皿を取り除く。
注(5) 過酸化水素の添加は,数回に分けて行った方がよい。また,分解不十分な場合は,更に過酸化
水素を追加する。
3) 溶液を50mlの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線まで薄める(6)。
注(6) この溶液中の鉄量が160 識 には,鉄量が160 李 下になるように溶液を別の50ml
の全量フラスコに分取し,水で標線まで薄める。
7.3.4.2 吸光度の測定 7.3.4.1のa)4)又はb)3)で得た溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸
光光度計の空気・アセチレンフレーム中に噴霧し,波長248.3nmにおける吸光度を測定する。
7.3.5 空試験 7.3.6の検量線の作成操作において得られる標準鉄溶液を添加しない溶液の吸光度を,空
試験の吸光度とする(7)。
注(7) 7.3.4.1のa)4)又はb)3)で注を適用して試料溶液を分取した場合には,空試験液も試料溶液と同量
を分取する。
7.3.6 検量線の作成 検量線の作成は,次のいずれかの手順によって行う。
a) 試料溶液の調製を7.3.4.1a)によって行う場合
1) モリブデン粉 [7.3.2g) ] を3.0gずつ数個はかり取り,それぞれ四ふっ化エチレン樹脂ビーカー (100
200ml) 又はポリエチレンビーカー (100200ml) に移し入れる。
2) 7.3.4.1a)2)の操作を試料と並行して行った後,溶液を100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れる。
3) 標準鉄溶液 [7.3.2i) ] 015.0ml(鉄として0300 柿 を段階的に加え,水で標線まで薄める。
4) これらの溶液の一部を,水を用いてゼロ点を調整した原子吸光光度計の空気・アセチレンフレーム
中に噴霧し,波長248.3nmにおける吸光度を試料と並行して測定し,得た吸光度と鉄量との関係線
を作成し,その関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
b) 試料溶液の調製を7.3.4.1b)によって行う場合
1) モリブデン粉 [7.3.2g) ] を1.0gずつ数個はかり取り,それぞれビーカー (100200ml) に移し入れる。
2) 7.3.4.1b)2)の操作を試料と並行して行った後,溶液を50mlの全量フラスコに水を用いて移し入れる。
3) 標準鉄溶液 [7.3.2i) ] 08.0ml(鉄として0160 柿 を段階的に加え,水で標線まで薄める。
4) 7.3.6a)4)に従って操作する。
7.3.7 計算 計算は,次のいずれかによる。
a) 7.3.4.1のa)4)又はb)3)で分取しない場合 7.3.4.2及び7.3.5で得た吸光度と,7.3.6で作成した検量線
とから鉄量を求め,試料中の鉄含有率を次の式によって算出する。
A1−( A2−A3 )
Fe= 100
m

――――― [JIS H 1404 pdf 8] ―――――

6
H 1 404 : 2001
ここに, Fe : 試料中の鉄含有率 [% (m/m)
A1 : 試料溶液中の鉄検出量 (g)
A2 : 空試験液中の鉄検出量 (g)
A3 : モリブデン粉 [7.3.2c) ] 3.0g又は1.0g中に含まれる鉄量 (g)
m : 試料はかり取り量 (g)
b) 7.3.4.1のa)4)又はb)3)で分取した場合 7.3.4.2及び7.3.5で得た吸光度と,7.3.6で作成した検量線と
から鉄量を求め,試料中の鉄含有率を次の式によって算出する。
B
A4− A5− A3
50
Fe= 100
B
m
50
ここに, Fe : 試料中の鉄含有率 [% (m/m)
A4 : 試料溶液中の鉄検出量 (g)
A5 : 空試験液中の鉄検出量 (g)
A3 : モリブデン粉 [7.3.2c) ] 3.0g又は1.0g中に含まれる鉄量 (g)
m : 試料はかり取り量 (g)
B : 試料溶液及び空試験液の分取量 (ml)
備考 逆王水分解原子吸光法 試料3.0gをはかり取ってトールビーカー (200300ml)(8)に移し入れ,
時計皿で覆い,りん酸 (1+1) 6mlを加え,更に逆王水20ml(9)を少量ずつ加え,放置又は加熱し
て分解し,液量が約10mlになるまで加熱して蒸発した後,時計皿の下面を水で洗浄して時計
皿を取り除く。以下,7.3.4.1a)4)及び7.3.4.27.3.7の手順に従って操作し,鉄含有率を求める。
ただし,この場合の検量線の作成は,次による。
モリブデン粉 [7.3.2g) ] を3.0gずつ数個はかり取り,それぞれトールビーカー (200
300ml)(8)に移し入れ,時計皿で覆い,りん酸 (1+1) 6mlを加え,更に逆王水20ml(9)を少量ずつ
加え,放置又は加熱して分解し,液量が約10mlになるまで加熱して蒸発する。溶液をそれぞ
れ100mlの全量フラスコに水を用いて移し入れる。以下,7.3.6a)3)4)の手順に従って操作す
る。
注(8) ビーカーには,あらかじめ10mlび20mlの目盛を付けておく方がよい。
(9) 極細線や細粒の場合は,分解反応が激しいので,逆王水に適量の水を加えて使用する。

7.4 誘導結合プラズマ (ICP) 発光分光法

7.4.1  要旨 試料を過酸化水素・混酸で分解した後,溶液を誘導結合プラズマ (ICP) 発光分光装置のア
ルゴンプラズマ中に噴霧し,その発光強度を測定する。
7.4.2 試薬 試薬は,次による。
a) りん酸 (1+1)
b) 混酸C(塩酸3,硝酸1,水4)
c) モリブデン粉 7.3.2g)による。
d) 過酸化水素
e) 標準鉄溶液(50 最 攀一 最 (1 000 最 攀一 罵 の都度,必要量だ
めて標準鉄溶液とする。
7.4.3 試料はかり取り量 試料はかり取り量は,1.0gとし,10mgのけたまではかる。
7.4.4 操作
7.4.4.1 試料溶液の調製 試料溶液の調製は,7.3.4.1b)による(10)。

――――― [JIS H 1404 pdf 9] ―――――

                                                                                              7
H 1 404 : 2001
注(10) 注(6)は適用しない。
7.4.4.2 発光強度の測定 7.4.4.1で得た溶液の一部を,誘導結合プラズマ (ICP) 発光分光装置のアルゴン
プラズマ中に噴霧し,波長238.204nmにおける発光強度を測定する(11)。
注(11) 精度及び正確さを確認してあれば,他の波長を用いて測定してもよい。また,高次のスペクト
ル線が使用可能な装置では,高次のスペクトル線を用いてもよい。バックグラウンド補正機構
が付いている装置では,バックグラウンド補正機構を用いてもよい。
なお,この注を適用した場合は,検量線の作成においても同様に行う。
7.4.5 空試験 7.4.6の検量線の作成操作において得られる標準鉄溶液を添加しない溶液の発光強度を,
空試験の発光強度とする。
7.4.6 検量線の作成 検量線の作成は,次の手順によって行う。
a) モリブデン粉 [7.4.2c) ] を1.0gずつ数個はかり取り,それぞれビーカー (100200ml) に移し入れる。
b) 7.3.4.1b)2)に従って操作した後,溶液を50mlの全量フラスコに水を用いて移し入れる。
c) 標準鉄溶液 [7.4.2e) ] 06.0ml(鉄として0300 柿 を段階的に加え,水で標線まで薄める。
d) これらの溶液の一部を,誘導結合プラズマ (ICP) 発光分光装置のアルゴンプラズマ中に噴霧し,波長
238.204nmにおける発光強度を試料と並行して測定し,得た発光強度と鉄量との関係線を作成し,そ
の関係線を原点を通るように平行移動して検量線とする。
7.4.7 計算 7.4.4.2及び7.4.5で得た発光強度と,7.4.6で作成した検量線とから鉄量を求め,試料中の鉄
含有率を次の式によって算出する。
A1−( A2−A3 )
Fe= 100
m
ここに, Fe : 試料中の鉄含有率 [% (m/m)
A1 : 試料溶液中の鉄検出量 (g)
A2 : 空試験液中の鉄検出量 (g)
A3 : モリブデン粉 [7.4.2c) ] 1.0g中に含まれる鉄量 (g)
m : 試料はかり取り量 (g)

8. カルシウム定量方法

8.1 定量方法の区分

 カルシウムの定量方法は,次のいずれかによる。
a) 原子吸光法 この方法は,カルシウム含有率0.000 5% (m/m) 以上0.01% (m/m) 以下の試料に適用する。
b) 誘導結合プラズマ (ICP) 発光分光法 この方法は,カルシウム含有率0.000 1% (m/m) 以上0.01%
(m/m) 以下の試料に適用する。

8.2 原子吸光法

8.2.1  要旨 試料を過酸化水素・混酸で分解した後,溶液を原子吸光光度計の一酸化二窒素・アセチレン
フレーム中に噴霧し,その吸光度を測定する。
8.2.2 試薬 試薬は,次による。
a) 塩酸 (1+1)
b) りん酸 (1+1)
c) 混酸C(塩酸3,硝酸1,水4)
d) モリブデン粉 カルシウム含有率が既知で,かつ,そのカルシウム含有率が試料中のカルシウム含有
率より低いもの。
e) 過酸化水素

――――― [JIS H 1404 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS H 1404:2001の国際規格 ICS 分類一覧

JIS H 1404:2001の関連規格と引用規格一覧