JIS H 7903:2008 ポーラス金属の熱伝導率試験方法 | ページ 2

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7.2 測定部

 測定部 (M) は,試験片 (S),上下標準ロッド (RU,RL),ヒータを挿入した加熱ブロック
(BH),冷却ブロック (BC) 及びこれらの周囲を覆う断熱材 (I) で構成し,上下標準ロッド (RU,RL) 及び
試験片に,その温度こう(勾)配を測定するための熱電対 (TC) を挿入するための測温穴 (TCP) を設ける。
定常状態における上下標準ロッド (RU,RL) 中及び試験片 (S) 中の温度分布の測定は,JIS Z 8704による。
使用する熱電対は,次による。
なお,熱電対以外の温度計を使用する場合には,熱電対と同等以上の性能の温度計を使用する。
a) 熱電対はJIS C 1602に規定する測定温度まで安定なものとする。
b) 熱電対は十分な強度をもち,高温までの測定によって熱起電力が変化しない範囲で,素線が可能な限
り細く,同一温度における表示温度の個体差が±0.5 K以下のものとする。

7.3 加熱装置及び冷却装置

 加熱装置及び冷却装置は,次による。
a) 加熱装置 加熱装置 (H) は,測定部 (M) の加熱ブロック (BH) のヒータに電力を供給する装置で,
電力の時間的変動は,1 %以下とする。
b) 冷却装置 冷却装置 (C) は,測定部 (M) の冷却ブロック (BC) を冷却する装置で,測定温度の全範
囲にわたって,試験片温度が,室温から400 Kまでの範囲にあることを保証するのに十分な冷却能力
をもち,その温度変動幅を±0.5 K以下に制御できるものとする。

7.4 加圧力調節装置

 加圧力調節装置 (F) は,測定部 (M) を加圧して加圧力を測定するための装置で,
圧力調整ねじ (P),ロードセル (L),断熱ブロック (BI) で構成する。

7.5 記録装置

 記録装置 (D) は,上下標準ロッド (RU,RL) 及び試験片 (S) の定常温度並びにロード
セル (L) の加圧力を記録できるものとする。

8 試験片

8.1 試験片の形状

  試験片の形状は,円柱又は四角柱とする。

8.2 試験片の寸法及びその許容差

  試験片の寸法及びその許容差は,次による。
a) 直径又は辺の長さ並びにその測定方法 直径又は辺の長さ並びにその測定方法は,次による。
1) 直径又は辺の長さの寸法は,1060 mmとし,その許容差は,±0.05 mmとする。
なお,円形断面の試験片の直径は,互いに直交する2方向について測定した値の平均値とする。
注記 試験片の直径又は辺の長さが30 mm未満の場合は,測定可能な試験片の有効熱伝導率に下
限値が生じる(箇条6参照)。
2) 直径又は辺の長さの測定は,JIS B 7507に規定する最小読取値が0.05 mmのノギス,又はこれと同
等以上の精度の計測器を用いて行う。
b) 断面積 断面積は,両端部及び中央部の3か所の断面積の平均値とする。
c) 厚さ及びその測定方法 厚さ及びその測定方法は,次による。
1) 試験法が箇条5のa) の場合の厚さは,3050 mmとし,その許容差は,±0.05 mmとする。
注記 例えば,温度測定点を5 mm間隔で5点設置するためには,30 mm以上の厚さが必要とな
る。
2) 試験法が箇条5のb) の場合の厚さは,130 mmとし,その許容差は,±0.05 mmとする。
なお,厚さの異なる3個以上の試験片(例えば,厚さ5 mm,15 mm及び25 mmの3種類の試験
片)を選定する場合,試験片の厚さの間隔が同じになるようにする。

――――― [JIS H 7903 pdf 6] ―――――

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3) 厚さの測定は,JIS B 7507に規定する最小読取値が0.05 mmのノギス,又はこれと同等以上の精度
の計測器を用いて行う。

8.3 ポーラス金属の構造及び気孔径

  ポーラス金属の構造は,A.1に規定する方法によって判別する。
なお,気孔径も求めるのが望ましい。

8.4 気孔率

  試験片の気孔率は,A.2に規定する方法によって求める。

8.5 気孔傾き角

  8.3によって得たポーラス金属の構造が,ロータス型構造からなるポーラス金属の場合には,その試験片
の気孔傾き角を,A.3に規定する方法によって求める。

8.6 有効熱伝導率の推定値

  標準ロッドを選択するため,A.1.4 a) によって得た構造の試験片の有効熱伝導率の推定値を,A.2によ
って得た気孔率,A.3によって得た気孔傾き角及び文献値によるポーラス金属素材の熱伝導率[参考文献
(1) 参照]をもとに,次のいずれかによって求める。
a) クローズドセル型構造の場合 球形状の独立気孔がランダムに分布する構造のポーラス金属の有効熱
伝導率の推定値を,式 (2) によって求める[参考文献 (2) 参照]。
kest 2 1 φ

(pdf 一覧ページ番号 )

                         ks    2  φ
ここに, kest : ポーラス金属の有効熱伝導率の推定値 [W/(m K) ]
ks : ポーラス金属素材の熱伝導率 [W/(m K) ]
φ : 8.4で得た気孔率
なお,有効熱伝導率比と気孔率との関係を,図2に示す。
図2−球形状の独立気孔がランダムに分布する構造のポーラス金属の有効熱伝導率の推定値
b) ロータス型構造の場合 ロータス金属で,ランダム分布の気孔の場合の有効熱伝導率の推定値を,次
のいずれかによって求める[参考文献 (3) 参照]。
1) 8.5で得た気孔傾き角が0°の場合は,式 (3) によって,また,気孔傾き角が90°の場合は,式 (4)
によって求める。

――――― [JIS H 7903 pdf 7] ―――――

                                                                                              5
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kest//
φ (3)
ks
kest 1 φ

(pdf 一覧ページ番号 )

                          ks   1  φ
ここに, kest // : 気孔傾き角が0°の場合の有効熱伝導率の推定値 [W/(m K) ]
kest 廿 気孔傾き角が90°の場合の有効熱伝導率の推定値 [W/(m K) ]
ks : ポーラス金属素材の熱伝導率 [W/(m K) ]
φ : 8.4で得た気孔率
なお,気孔傾き角が0°及び90°の場合の有効熱伝導率比と気孔率との関係を,図3に示す。
図3−ロータス金属において,ランダム分布の
気孔が傾き角0°及び90°の場合の有効熱伝導率の推定値
2) 8.5で得た気孔傾き角θが0°及び90°以外の有効熱伝導率の推定値を,式 (5) 及び式 (6) によっ
て求める。
kest kest// kest
f 1 f (5)
ks ks ks
6 3 4 2 4
f .296 10 .395 10 .437 10 0.1 (6)
ここに, kest θ : ロータス金属の傾き角がθの場合の有効熱伝導率の推定
値 [W/(m K) ]
ks : ポーラス金属素材の熱伝導率 [W/(m K) ]
kest // : 式 (3) によって求めた気孔傾き角が0°の場合の有効熱
伝導率の推定値 [W/(m K) ]
kest 廿 式 (4) によって求めた気孔傾き角が90°の場合の有効
熱伝導率の推定値 [W/(m K) ]
燿 8.5で得たポーラス金属の気孔傾き角(0°及び90°を除
く)(°)
f : 気孔傾き角θによる有効熱伝導率の修正係数
なお,気孔傾き角θと修正係数fとの関係を,図4に示す。修正係数fは,図4によって求めて

――――― [JIS H 7903 pdf 8] ―――――

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もよい。
図4−ロータス金属の,気孔傾き角θの場合の有効熱伝導率を求めるための修正係数f
c) オープンセル型構造の場合 図5に示すようなオープンセル型構造のポーラス金属の有効熱伝導率の
推定値を,式 (7) によって求める[参考文献 (4) 参照]。
なお,式 (7) を適用するに当たって,Ψを270°≦Ψ≦360°になるように求める。
kest
0.5 Acos /3 (7)
ks
cos1 1 2φ 0 ≦ φ≦ 0.5,A
cos1 2φ 1 0.5 ≦ φ≦1,A
ここに, kest : ポーラス金属の有効熱伝導率の推定値 [W/(m K) ]
ks : ポーラス金属素材の熱伝導率 [W/(m K) ]
φ : 8.4で得た気孔率
なお,有効熱伝導率比と気孔率との関係を,図5に示す。

――――― [JIS H 7903 pdf 9] ―――――

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図5−オープンセル型構造からなるポーラス金属の有効熱伝導率の推定値

8.7 試験片の調製

  試験片の調製は,次による。
a) 測温穴の設定 測温穴の設定は,次による。
1) 試験片温度測定法[箇条5のa)]の場合 標準ロッド及び試験片に測温穴を設ける。例えば,厚さ
30 mmの試験片の場合には,直径0.5 mm,深さ5 mmの穴を,5 mmの等間隔で5点設けるとよい。
その例を,図6 a) に示す。
2) 試験片厚さ変化法[箇条5のb)]の場合 標準ロッドだけ測温穴を設ける。その例を,図6 b) に
示す。
a) 試験片温度測定法(試験片が厚い場合) b) 試験片厚さ変化法(試験片が薄い場合)
図6−測温穴の設定例
b) 試験片の接触面の表面粗さ並びに平面度及び上下二つの面の平行度 試験片の上下標準ロッドとの
接触面の表面粗さ並びに平面度及び上下二つの面の平行度は,次による。
1) 接触面の表面粗さは,JIS B 0601に規定するRaを5 μm以下とする。
なお,試験法が,箇条5のb) の場合には,試験片と上下標準ロッドとの間の接触熱抵抗を,厚
さの異なる3個以上の試験片間で同一とするため,接触面の表面粗さをすべて同じにする。
2) 接触面の平面度及び上下二つの接触面の平行度は,JIS B 0621に規定する平面度を5 μm以下,平行

――――― [JIS H 7903 pdf 10] ―――――

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