この規格ページの目次
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H 8300 : 2011
6.2 溶射材料
この規格で用いる溶射材料は,次による。
a) n99.99は,JIS H 8261の表3(亜鉛及び亜鉛合金)のコード番号2.1に規定する材料を用いる。
b) l99.5は,JIS H 8261の表4(アルミニウム及びアルミニウム合金)のコード番号3.2に規定する材料
を用いる。
c) lMg5は,JIS H 8261の表4のコード番号3.3に規定する材料を用いる。
d) nAl15は,JIS H 8261の表3のコード番号2.3に規定する材料を用いる。
6.3 溶射
溶射施工は,次による。
なお,溶射の際の作業標準は,附属書JAに示す。
a) 溶射施工は,その開始に当たって,素材表面をブラスト材料によって前処理し,その表面が,清浄・
乾燥の状態を保持し,かつ,目視によって酸化が認められない状態を持続できる時間内に溶射を実施
しなければならない。
b) 溶射施工時間は,できる限り短くしなければならない。また,環境条件にもよるが,施工は,一般的
にブラスト処理完了後4時間以内に実施することが望ましい。
c) 溶射施工表面に水分の凝縮が起こるような状態では,露点よりも3 ℃以上高い温度に施工物の表面を
保つ必要がある。被覆施工表面に何らかの問題点が認められる場合,品質を確保するため,再度前処
理を実施しなければならない。
6.4 封孔
6.4.1 封孔の目的は,溶射皮膜特有の開孔を充することにあり,自然封孔又は人工的な封孔処理による。
6.4.2 自然封孔は,通常の大気環境条件に暴露された溶射皮膜が,自然現象の結果として,二次的に酸化
されて生成する酸化物,水酸化物などによって,気孔が充される。
6.4.3 人工的な封孔処理は,皮膜表面のりん酸塩処理などによる化学的な改質によるものか,又は皮膜の
気孔を充するための適切な封孔剤を用いる方法でなければならない。封孔剤は,皮膜形成後,僅かでも
水分の吸着が進行する前に塗布しなければならない。
7 品質
7.1 膜厚
7.1.1 溶射皮膜の厚さの定義
溶射皮膜の厚さは,最小皮膜厚さによって定義する(3.2参照)。
7.1.2 厚さ測定点の位置選定
皮膜を特徴付ける最小厚さを決定するための皮膜厚さ測定は,厚さが最も薄い値を示すと推測される複
数点で実施する。測定点とその数は,受渡当事者間の協定によって,発注時に決定される。これらの測定
点は,可能な場合は,製品規格として指定されたものであることが望ましい。受渡当事者間の協定がない
場合,これらの測定点の選定は,顧客の裁量による。
7.2 外観
皮膜表面は,8.2によって試験を行い,皮膜に膨れ,割れ,その他使用上有害な欠陥があってはならない。
7.3 密着性
密着性については,附属書Aに規定するグリッド試験を実施したとき,皮膜の基材からの離,又は金
属皮膜の内部離が生じてはならない。
――――― [JIS H 8300 pdf 6] ―――――
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密着強さは,附属書Aに規定する引張密着強さ試験を実施したとき,受渡当事者間の協定による。
8 試験方法
8.1 厚さ測定
厚さ測定は,磁力式膜厚計測定法による。ただし,受渡当事者間の協定によって顕微鏡断面測定方法を
用いてもよい。
8.1.1 磁力式膜厚計測定方法
磁力式膜厚計測定方法は,JIS H 8401の7.(磁力式試験方法)による。
8.1.2 顕微鏡断面測定方法
顕微鏡断面測定方法は,JIS H 8401の6.(顕微鏡断面試験方法)による。
注記 ISO 2063には,任意の点の皮膜厚さを算術平均で求める場合の測定数及び配分に関して,次の
ような規定が含まれているので,参考として掲載する。防食用溶射皮膜の保護作用は,皮膜の
最小厚さ部が消耗するまでの期間有効であるとされており,平均値では防食期間が明らかでな
いため,この規格では規定しない。
a) 100 mm21 m2の間の表面被覆 表面積100 mm21 m2の皮膜の場合には,ある任意の
点での皮膜厚さは,10 mm平方の面内で実施する3測定値の算術平均で求める(図1参
照)。対象物の形状によって,測定が不可能な場合,受渡当事者間の協定によって適切な
試験片を使用・測定してもよい。その場合,その試験片は,対象物の施工と同じ条件下
で溶射する。
図1−基準物(体),100 mm2内の測定点の配分
b) 1 m2よりも大きい表面積をもつ皮膜 表面積が1 m2よりも大きい皮膜の場合には,任意
の点における皮膜厚さは,約0.01 m2の面積をもつ参照表面の測定によって得られた厚さ
とする。皮膜厚さは,図2に示すような100 mm平方の参照面内に割り当てられた10個
の測定値の算術平均値とする。
――――― [JIS H 8300 pdf 7] ―――――
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図2−参照表面の0.01 m2中の測定点の配分
8.2 外観試験
外観試験は,明るさ200 lx以上の場所で,試験面から約600 mmの距離から肉眼で溶射皮膜を観察する。
8.3 密着性試験
皮膜の密着性試験は,附属書Aに規定する試験方法のいずれかによる。試験方法の選択,使用する接着
剤及び試験機,その他の器具類は,受渡当事者間の協定による。
9 表示
送り状などに,次の事項を表示する。
a) 規格の名称又は規格番号
b) IS H 8250による溶射の記号
例1 TS-WF/Zn99.99(80) SE 溶線式フレーム溶射,亜鉛,80 μm,封孔処理
例2 TS-ES/AlMg5(150) アーク溶射,アルミニウム・マグネシウム合金,150 μm
c) 加工業者名又はその略号
d) 加工年月日
――――― [JIS H 8300 pdf 8] ―――――
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附属書A
(規定)
密着性試験方法
A.1 グリッド試験
A.1.1 要旨
この試験は,皮膜を鋭利な刃物で,素地に達するように,一定の格子状(碁盤目)に切断し,その表面
に粘着テープをローラなどで強く押し付けた後,迅速にテープの端を垂直に引きがし,皮膜の密着性の
良否を外観目視によって判定する方法である。
A.1.2 器具類
密着性に用いる器具は,次による。
a) カッターナイフ 皮膜の切断に用いるカッターナイフの刃先は,JIS G 4404のSKS7,又はこれに相
当する鋼材を用いて図A.1に示すような形状・寸法のものとする。
b) 粘着テープ 粘着テープは,JIS Z 1524に規定するC1-1とする。
A.1.3 試験片
試験片は,製品のまま,又は製品から切り出したものとする。試験片の製作が困難な場合には,別に作
製したものを試験片とする。この場合,試験片は,製品を代表できるようなものとし,その製作は,製品
と同一条件で行わなければならない。
A.1.4 操作
操作は,カッターナイフを用い,皮膜が素地表面まで完全に切断できるように平行線に線引き用の当て
板を用い,表A.1に規定する寸法をもつ格子(碁盤目)状の表面に皮膜を切断する。切断した後,格子状
の皮膜表面に粘着テープを張り付け,ローラなどで強く押し付けた後,テープの端を皮膜面に対して垂直
に,手で迅速に引き離し,皮膜の密着性を判定する。表A.1に規定する寸法をもつ格子に切削できない場
合の皮膜に刻み目を入れる方法は,受渡当事者間の協定による。
表A.1−皮膜切断条件
格子(碁盤目)状に皮膜を 皮膜厚さ 平行切断線の間隔
切断する範囲
mm μm mm
15×15 200未満 3
25×25 200以上 5
――――― [JIS H 8300 pdf 9] ―――――
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図A.1−カッターナイフの例
A.2 引張密着強さ試験
A.2.1 要旨
この試験は,溶射皮膜の密着強さを引張試験機を用いて測定する。引張密着強さ試験方法には(A法)
及び(B法)の2種類がある。
A.2.2 引張密着強さ試験方法(A法)
a) 引張試験機の構造及び試験材料 引張密着強さ試験方法(A法)に用いる引張試験機の構造及び試験
材料は,次による。
1) 引張試験機の構造 引張試験機の原理及び構造の一例を図A.2に,試験片の接着及び試験要領の概
要を図A.3に示す。試験機の上部にあるねじを締めることによって,接着剤で,溶射皮膜に接着さ
れた上部引張用ジグをばねを介して引っ張る。ばねの縮み量がインジケータ・ボビンで表示され,
これから密着強さが算出できる。
2) 引張試験機は,次の条件を満たすものとする。
試験機の機構 : 試験機は,最大荷重の指示装置を備えていなければならない。
測定値の精度 : ±10 %とする。
3) 試験材料 製品又は試験片は,ブラストによって変形が生じないもの。
4) 上部引張用ジグ 直径2025 mmの図A.3に示す形状。
5) 接着剤 溶射皮膜を侵さず十分な接着強さをもつもの。
――――― [JIS H 8300 pdf 10] ―――――
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JIS H 8300:2011の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 2063:2005(MOD)
JIS H 8300:2011の国際規格 ICS 分類一覧
- 25 : 生産工学 > 25.220 : 表面処理及び被覆加工 > 25.220.40 : 金属被覆
- 25 : 生産工学 > 25.220 : 表面処理及び被覆加工 > 25.220.20 : 表面処理
JIS H 8300:2011の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISG4404:2015
- 合金工具鋼鋼材
- JISH8200:2006
- 溶射用語
- JISH8250:2007
- 溶射の記号による表示方法
- JISH8261:2007
- 溶射用の線材,棒材及びコード材
- JISH8401:1999
- 溶射皮膜の厚さ試験方法
- JISH8402:2004
- 溶射皮膜の引張密着強さ試験方法
- JISZ0311:2004
- ブラスト処理用金属系研削材
- JISZ0312:2016
- ブラスト処理用非金属系研削材
- JISZ0313:2004
- 素地調整用ブラスト処理面の試験及び評価方法
- JISZ1524:2009
- 包装用布粘着テープ
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方