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H 8682-2 : 2013
附属書B
(参考)
耐摩耗性の深さ方向の測定
B.1 一般
陽極酸化皮膜の厚さを通した耐摩耗性の変化を要求される場合があるが,そのためには,深さ方向の測
定を行う必要がある。この附属書では,噴射摩耗試験によって陽極酸化皮膜に関する耐摩耗性の深さ方向
の測定方法について規定する。
B.2 概要
試験片は,特定した試験位置で時間の経過とともに摩耗される。最大摩耗時間は,皮膜を貫通するか又
は皮膜が完全に除去されたときである。特定した皮膜厚さの試験位置で,耐摩耗性又は平均比耐摩耗性を
計算する。
試験片の612か所に試験位置を定め,その中の1か所の試験位置で摩耗時間を求めた後,残りの試験
位置で摩耗時間に達しない種々の時間で試験を行い,試験前後の試験位置の皮膜厚さの差から各位置での
耐摩耗性を求めることによって,深さ方向の耐摩耗性の変化について知ることができる。
なお,この測定では,試験位置での試験後の皮膜厚さを測定する必要があり,そのため,プローブ先端
径の小さな渦電流式皮膜厚さ測定器が必要となる。
B.3 装置
使用する装置は,6.1の噴射摩耗試験装置による。
B.4 試験片
試験片の大きさは,70 mm以上×70 mm以上とし,試験片位置の外周辺間の距離を10 mm以上離して,
その位置を記録する。
B.5 手順
手順は,次による。
a) 6.4の膜厚測定器で,試験片の皮膜厚さを求める。
b) 試験片の1番目の摩耗箇所をノズル開口部の下に正しい角度に置いて,皮膜が完全に貫通するまで噴
射する。
c) 初めの摩耗に要した時間(T)を記録し,残りの試験箇所数(n−1)で除して,単位摩耗時間(T*)
を算出する。
T*
( )1
ここに, T* : 単位摩耗時間(s)
T : 初めの摩耗に要した時間(s)
n : 試験箇所数
d) 同じ試験条件で,2番目の試験箇所での摩耗時間(T* : s),3番目の試験箇所での摩耗時間(2T* : s)
を次々に求めて,試験片全部の箇所を摩耗する。次に,それぞれの試験箇所で使用した炭化けい素質
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H 8682-2 : 2013
研削材の質量を記録する。
e) 所定の試験箇所での摩耗試験終了後に試験片を取り外し,試験面を柔らかい布で清浄にする。
f) 渦電流式測定器で,それぞれの試験箇所に残存している皮膜厚さを測る。測定に使用する渦電流式測
定器は,直径1 mm未満の探針を備えていることが望ましい。また,低電圧連続探針計を使って膜厚
零を確認する。
g) 附属書Aの基準試験片を用いて,a) f)の操作を行う。
h) 8.5の式(3)によって,噴射摩耗係数(KJ)を求める。
B.6 試験結果の表し方
摩耗試験を行ったそれぞれの試験箇所の次の値を求める。
a) 除去された皮膜厚さ(μm)
b) 減耗量(dt)は,次の計算式で求める。
dt=ts KJ又はdt=m KJ
ここに, KJ : 噴射摩耗係数
ts : 摩耗時間(s)
m : 使用した炭化けい素質研削材の量(g)
除去された皮膜厚さ(μm)を横軸に,摩耗時間(s)又は研削材の質量(g)を縦軸にしたグラフを作成
すると,皮膜の比耐摩耗性がグラフ上の点として表示される。
噴射摩耗試験による深さ方向の測定は,5 μm以下の皮膜には適用できない。深さ5 μm未満の値は5 μm
以上の値から外挿するが,外挿によって得られる値は,誤差が大きくなることがある。
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H 8682-2 : 2013
附属書C
(参考)
噴射摩耗試験装置
C.1 一般
噴射摩耗試験装置の構造は,6.1の規定に適合していれば,図C.1に示すものに限らない。
C.2 構造
試験装置の基本的な構造及びレイアウトの一例を,図C.1に示す。
単位 mm
図C.1−噴射摩耗試験装置の一例
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H 8682-2 : 2013
附属書JA
(規定)
基準試験片(硬質皮膜用)の作製仕様
JA.1 アルミニウムの仕様
耐摩耗性試験用の基準試験片は,次のように,研磨又は光輝圧延アルミニウム平板とする。
素地の材種 : Al 99.50 %以上(A1050 P)
質別 : H14又はH24
標準寸法 : 140 mm×70 mm
厚さ : 1.0 mm2.0 mm
JA.2 前処理
前処理は,界面活性剤による脱脂,軽度のアルカリエッチング及びスマット除去とする。
なお,電解研磨又は化学研磨を行ってもよい。
JA.3 陽極酸化
陽極酸化は,次による。
a) 浴組成
遊離硫酸濃度 : 180 g/L±2 g/L
溶存アルミニウム濃度 : 1 g/L5 g/L
溶媒 : 脱イオン水
b) 電解条件
浴温 : 0 ℃±0.5 ℃
電流密度 : 3.5 A/dm2±0.35 A/dm2
浴かくはん : 圧縮空気及び/又は液循環
電解時間 : 約45分
皮膜厚さ : 50 μm±5 μm
試験片は,浴かくはんの効果があるように,その表面が垂直になるようにして陽極酸化する。直流電解
時のリップル率は,5 %以下とする。電解槽中の液量は,試験片1枚当たり最低10 L以上を必要とし,20
枚を超える試験片を同時に電解してはならない。基準試験片の皮膜厚さのそれぞれの変動幅は,±10 %と
する。
注記 全ての試験条件を注意深く制御すれば,基準試験片は最も正確に作製でき,かつ,再現性があ
る。
JA.4 後処理
後処理は,封孔せず(未封孔),冷風で強制乾燥する。
――――― [JIS H 8682-2 pdf 14] ―――――
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H 8682-2 : 2013
参考文献 JIS H 8601 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜
JIS H 8603 アルミニウム及びアルミニウム合金の硬質陽極酸化皮膜
注記 対応国際規格 : ISO 10074:2010,Anodizing of aluminium and its alloys−Specification for
hard anodic oxidation coatings on aluminium and its alloys(MOD)
JIS H 8682-1 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験方法−第1
部 : 往復運動平面摩耗試験
JIS H 8682-3 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の耐摩耗性試験方法−第3
部 : 砂落し摩耗試験
JIS H 8688 アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の単位面積当たりの質量測定
方法
注記 対応国際規格 : ISO 2106,Anodizing of aluminium and its alloys−Determination of mass per
unit area (surface density) f anodic oxidation coatings−Gravimetric method(MOD)
――――― [JIS H 8682-2 pdf 15] ―――――
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JIS H 8682-2:2013の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 8251:2011(MOD)
JIS H 8682-2:2013の国際規格 ICS 分類一覧
- 77 : 金属工学 > 77.120 : 非鉄金属 > 77.120.10 : アルミニウム及びアルミニウム合金
- 25 : 生産工学 > 25.220 : 表面処理及び被覆加工 > 25.220.20 : 表面処理
JIS H 8682-2:2013の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC1202:2000
- 回路計
- JISH0201:1998
- アルミニウム表面処理用語
- JISH8680-2:1998
- アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜厚さ試験方法―第2部:渦電流式測定法
- JISR6111:2005
- 人造研削材
- JISR6111:2020
- 人造研削研磨材
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8801-1:2019
- 試験用ふるい―第1部:金属製網ふるい