JIS K 0130:2008 電気伝導率測定方法通則 | ページ 2

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5.3.1.2 セル定数及び測定範囲
測定に用いるセルのセル定数は,電気伝導率の測定範囲に応じた適切な値でなければならない。表1に
その例を示す。
表1−セル定数及び測定範囲の例
単位 mS/m
測定範囲
セル定数
区分 検出部材質 検出部材質 検出部材質
m−1
(白金黒) (SUS,チタンなど)(その他)
0.11 0.005100 0.0052 −
交流2電極方式 110 0.0051 000 020 −
10100 010 000 0200 −
1001 000 0100 000 02 000 −
1 0005 000 0500 000 010 000 −
交流4電極方式 1001 000 0100 000 −
電磁誘導方式 1001 000 − 20200 000
5.3.1.3 検出部の種類
検出部の種類は,次のものとする。
a) 浸せき形(潜せき形) 試料に直接,検出部を浸して測定するもの。
b) 流液形(流通形) 試料を検出部に導入して,流しながら測定するもの。
c) 配管挿入形 試料が流れている配管に,検出部を直接挿入して測定するもの。
d) ピペット形 試料を検出部に吸引して測定するもの。
5.3.2 増幅部
増幅部は,次の機能を備えなければならない。
a) セルに交流電圧又は交流電流を与えて,試料の電気伝導度に比例する信号電流又は信号電圧を増幅す
る機能。
b) セル定数設定機能2) 又はスパン調整機能3) のいずれか又は両方の機能。
c) 温度補償4) は,手動温度補償演算又は自動温度補償演算のいずれか又は両方を行う機能。
d) 指示部に必要な,電気信号に変換する機能。
e) 測定範囲に対して,検出部リード線の抵抗5) 及び並列容量6),電極の分極抵抗・分極容量5) 及び並列
容量6) の影響を少なくする機能。
注2) 設定したセル定数と電気伝導度とから,電気伝導率を演算する機能。
3) 電気伝導率既知の標準液を測定し,指示値を標準液値に合わせる機能。
4) 温度補償演算には,塩化ナトリウム溶液の電気伝導率の温度係数を用いるものと,温度係数
を任意に設定するものとがある。また,換算する指定温度を,25 ℃に固定したものと,任意
に設定できるものとがある。
なお,電気伝導率計には,温度補償演算を行わないもの又は二重温度補償演算を行うもの
もある。
5) 電気伝導率の大きい試料の測定では,検出部リード線の抵抗及び電極の分極抵抗・分極容量
が,測定する溶液の電気抵抗の値に影響を与える場合があるので,測定方式,電極,セル定

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数,測定周波数などに注意する。
6) 電気伝導率の小さい試料の測定では,検出部リード線の並列容量及び電極の並列容量が,測
定する溶液の電気抵抗の値に影響を与える場合があるので,測定方式,セル定数,測定周波
数などに注意する。
5.3.3 指示部
指示部7) は,測定値を表示する指示計又は記録計のいずれか,若しくは両方を備え,指示方式にはアナ
ログ式又はデジタル式のいずれか若しくは両方を備えたものがある。
なお,指示部の目盛特性の点検は,セル定数及び電気伝導率から,測定範囲に対応する溶液の電気抵抗
を求め,溶液電気抵抗に相当する抵抗器を接続して行う。
注7) 指示機構がなく,増幅部から記録計などへの出力信号だけを備えたものもある。

6 試薬

  試薬は,次のものを用いる。
6.1 水 JIS K 0557に規定する水A2,A3又はA4。試薬の調製には,電気伝導率0.2 mS/m (25 ℃) 以下の
ものを用いる。
6.2 塩化カリウム JIS K 8121に規定する塩化カリウム(電気伝導率測定用)を,めのう乳鉢で粉末にし,
500 ℃で4時間加熱し,デシケーター中で放冷したもの。

7 準備

7.1 塩化カリウム標準液の調製

  塩化カリウム標準液の調製は,次による。
なお,塩化カリウムの質量の測定は,空気の浮力補正を行う。
a) 1 mol/kg塩化カリウム標準液 JIS K 8121に規定する塩化カリウム(電気伝導率測定用)74.552 gを
正確にはかりとり,水1 000.00 gに溶かす。
b) 0.1 mol/kg塩化カリウム標準液 JIS K 8121に規定する塩化カリウム(電気伝導率測定用)7.455 2 g
を正確にはかりとり,水1 000.00 gに溶かす。
c) 0.01 mol/kg塩化カリウム標準液 JIS K 8121に規定する塩化カリウム(電気伝導率測定用)0.745 52 g
を正確にはかりとり,水1 000.00 gに溶かす。
1 mol/kg0.01 mol/kgの塩化カリウム標準液は,ポリエチレン瓶又はほうけい酸ガラス瓶に密栓をして
保存する。ただし,長期間の保存は好ましくない。塩化カリウム標準液の電気伝導率を,表2に示す。
表2の電気伝導率値は塩化カリウム標準液を上記のように厳密に調製し,かつ,測定全般に細心の注意
を払って初めて有効になる。実際には,塩化カリウムのひょう量に当たって,上記の規定どおりに採取す
ることはかなり難しい。塩化カリウムの採取量が規定の±1 %以内の場合,塩化カリウム濃度が同じにな
るように水の採取量を調整してもよい。さらに,水の採取量をそのように調整することができずに,結果
として濃度が±0.02 %以内で異なった場合は,表2の標準値を濃度との比例関係を仮定して補正する。た
だし,このような方法を実施した場合は,表2の標準値がそのまま有効である保証はなくなるので,測定
者の測定目的に応じた適切な精度管理が特に必要である。

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表2−塩化カリウム標準液の電気伝導率8)
単位 mS/m
電気伝導率の値及びその不確かさ
温度 0.01 mol/kg 0.1 mol/kg 1 mol/kg CO2
℃ 塩化カリウム標準液 塩化カリウム標準液 塩化カリウム標準液 飽和水
電気伝導率 2uc 電気伝導率 2uc 電気伝導率 2uc 電気伝導率
0 77.292 0.023 711.685 0.285 6 348.8 2.5 0.058
5 89.096 0.027 818.370 0.327 7 203.0 2.9 0.068
10 101.395 0.030 929.172 0.372 8 084.4 3.2 0.079
15 114.145 0.034 1 043.71 0.42 8 990.0 3.6 0.089
18 121.993 0.037 1 114.06 0.45 − − 0.095
20 127.303 0.038 1 161.59 0.46 9 917.0 4.0 0.099
25 140.823 0.042 1 282.46 0.51 10 862.0 4.3 0.110
30 154.663 0.046 1 405.92 0.56 11 824.0 4.7 0.120
35 168.779 0.051 1 531.60 0.61 12 797.0 5.1 0.130
40 183.127 0.055 1 659.10 0.66 13 781.0 5.5 0.140
45 197.662 0.059 1 788.06 0.72 14 772.0 5.9 0.151
50 212.343 0.064 1 918.09 0.77 15 767.0 6.3 0.161
注8) ISTのデータ[Pure Appl.Chem., vol.73, pp.1783 (2001) 2ucは拡張不確かさ]
d) 0.001 mol/kg塩化カリウム標準液 JIS K 8121に規定する塩化カリウム(電気伝導率測定用)0.074 55
gを正確にはかりとり,水1 000.00 gに溶かす。この標準液は,使用の都度,調製し,できる限り速や
かに使用する(表3)。
表3−0.001 mol/kg塩化カリウム標準液の電気伝導率9)
塩化カリウム標準液の濃度 温度 電気伝導率
mol/kg ℃ mS/m
0.001 mol/kg 25 14.65
注9) hedlovskyのデータ及び密度データから計算で求め,4けた
表示した[J.Am.Chem.Soc., 54, 1411 (1932)]。

7.2 セル定数の測定方法

  セル定数の測定は,試料を試験するごとに行う必要はないが,定期的に表2の塩化カリウム標準液を用
いて行う。
a) 塩化カリウム標準液 塩化カリウム標準液は,7.1によって調製する。
b) 操作 操作は,いずれの種類のセルについても,次のとおり行う。
1) セル定数を測定しようとする場合には,セル定数に応じ,表1の測定範囲に対応する塩化カリウム
標準液を用いる。
2) セルを水で3回以上洗い,次に,使用する塩化カリウム標準液で3回以上洗った後,その塩化カリ
ウム標準液を満たす。
3) このセルを25℃±0.1 ℃に保ち,電気伝導度を測定する。同じ塩化カリウム標準液を入れ替えて測
定を行い,測定値が±3.0 %で一致するまでこれを繰り返す。温度計は,JIS Z 8710の精密級の温
度計を使用する。また,温度測定の精度は,測定目的による。
なお,塩化カリウム標準液の調製に用いた水の電気伝導率は,別に,セル定数既知のセルを用い

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て測定する。セル定数既知のセルがないときは,同じセルで塩化カリウム標準液と水との両者の電
気伝導度を測定し,その差を塩化カリウムによる電気伝導度としてセル定数の算出に使う。
4) 測定値が±3.0 %で一致しない場合の処理は,次による。
4.1) 電極の材料が白金黒の場合には,JIS K 0557に規定するA1の水又は薄い中性洗剤を用いて表面の
汚れを取り除き,再び測定する。
4.2) 電極の材質が白金黒以外の場合には,中性洗剤,研磨剤などを用いて表面の汚れを取り除き,再
び測定する。
なお,測定値が±3.0 %で一致しない場合は,装置の取扱説明書に従って対処する。
5) 測定された値から,次の式によってセル定数を算出する。
KC1 H 2O KC1
J ,又は J
G0 G1
ここに, J : セル定数 (m−1)
G0 : 測定した電気伝導度 (mS)
G1 : G0から調製に用いた水の電気伝導度を引いた値 (mS)
KC1 : 使用した塩化カリウム標準液の電気伝導率 (mS/m)
塩化カリウム標準液の調製に用いた水の電気伝導率 (mS/m)
H2O :

8 電気伝導率の測定

8.1 電気伝導率計の準備

  電気伝導率計は,その形態及び検出部の種類を試料の状態に応じて適切に選択し,設置する。必要に応
じてセル定数を測定して確認し,試料の電気伝導率を測定する。セル定数を測定して,従来のセル定数と
大きく異なる(20 %以上)場合は,検出部の電極板の汚れの影響によることが多い。汚れに応じた適切な
洗浄方法で清浄にして再度セル定数を測定する。
電気伝導率の小さい試料を測定する場合には,接触する配管の材質,空気などが試料へ溶解しないよう
に注意する。また,腐食性及びセルに汚れを生じるような物質がないことを確認する。
卓上用及び定置用の電気伝導率計の設置場所は,一般に次の条件を備えていなければならない。ただし,
携帯用電気伝導率計を使用する場合は,計測器の取扱説明書による。
a) 振動がなく,直射日光が当たらない。
b) 腐食性ガス及びほこりが少なく,換気がよい。
c) 大形変圧器,高周波加熱炉などからの電磁誘導を受けない。
d) 指定された電圧,電気容量及び周波数で,電圧変動は定格の10 %以下であり,周波数変動がない。
また,接地抵抗100 坎 下の接地点がある。バッテリー駆動形などの携帯用電気伝導率計は,接地端
子がない場合があるので,特に,低電気伝導率の場合などは,試料を電気的に接地するような工夫が
必要である。

8.2 静止試料の測定

  この方法は,屋外及び通常の実験室において,試料容器に採取した試料に浸せき形(潜せき形)又はピ
ペット形検出部を用いて測定する場合に適用できる。測定範囲は,1 mS/m (25 ℃) 以上に限定するのが妥
当である。測定範囲の下限に近い,電気伝導率が低い領域の場合,両電極間の残余起電力の影響によって,

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測定値が安定しない場合がある。電気伝導率が低い領域ではある程度大きい電圧をかけることで,これを
防ぐことができるので,測定範囲に応じて印加電圧及び周波数が適正な条件に設定された装置を使用する
ことが望ましい。
8.2.1 温度補償を行わない場合の操作
恒温槽などを用いて,試料温度を指定温度(通常は25 ℃±0.1 ℃)に調節して測定する方法である。温
度補償に伴う誤差がないので,指定温度における電気伝導率を最も正確に測定できる。
a) 電気伝導率計のセル定数補正目盛,又は計器に表示されるセル定数の数値を,使用する検出部の正し
いセル定数に合わせる。
b) 検出部及び試料容器を水で3回以上洗浄し,次いで試料で3回以上洗浄する。
c) 試料を満たした試料容器に検出部を浸し,試料温度を指定温度(通常は25 ℃±0.1 ℃)に調節する。
温度計は,JIS Z 8710の精密級の温度計を使用する。また,温度測定の精度は,測定目的による。
d) 温度補償を行わない状態に設定して,十分に恒温となった後,電気伝導率を測定する。
8.2.2 温度補償を行う場合の操作
任意の試料温度で測定し,温度補償を行って指定温度(通常は25 ℃)における電気伝導率を求める方
法である。
a) 電気伝導率計のセル定数補正目盛,又は計器に表示されるセル定数の数値を,使用する検出部の正し
いセル定数に合わせる。
b) 検出部及び試料容器を水で3回以上洗浄し,次いで試料で3回以上洗浄する。
c) 試料を満たした試料容器に検出部を浸し,試料温度が0.1 ℃以内で安定するまで待ち,温度を読み取
る。
d) 温度補償方式に応じて電気伝導率計の温度補償の設定を行い,電気伝導率を測定する。
1) 温度補償機能がない場合は, 測定温度において試料に応じた温度補正係数を求め,次の式によって,
試料の電気伝導率を算出する。ただし,この方法は,0.1 mS/m (25 ℃) 以下の試料には適用できな
い。
25 f , 25
ここに, 25 試料の電気伝導率(指定温度)
測定した電気伝導率 (θ ℃)
: 温度補正係数
,25
2) 手動温度補償の場合は,温度補償の設定を測定温度に合わせる。
3) 自動温度補償の場合は,測定温度を設定する必要はない。ただし,温度補償用測温体が試料温度に
等しくなっていることを確認する。
4) 0.1 mS/m (25 ℃) 以下の試料を測定するときは,二重温度補償を行う必要がある。また,電気伝導
率の高い試料を測定するときは,特に,温度補正係数が試料と適合していることが大切である。

8.3 流動試料の測定

  この方法は,試料を流液形(流通形)検出部に連続的に導入するか,又は試料が流れる配管中に配管挿
入形検出部を直接取り付けて測定する場合に適用できる。
8.3.1 温度補償を行わない場合の操作
熱交換器,恒温槽などを用いて,試料温度を指定温度(通常は25 ℃±0.5 ℃)に調節して測定する方法

――――― [JIS K 0130 pdf 10] ―――――

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JIS K 0130:2008の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 0130:2008の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISK0213:2014
分析化学用語(電気化学部門)
JISK0557:1998
用水・排水の試験に用いる水
JISK1107:2005
窒素
JISK8121:2007
塩化カリウム(試薬)
JISZ8710:1993
温度測定方法通則