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K 0150 : 2009 (ISO 16962 : 2005)
1) 分析するめっきと類似の組成をもつマトリックスの組成をもち,分析元素の質量分率が0.1 %以上で
ある既知のバルク試料を選択する。自己吸収が起こりやすい(6.1参照)分析線を用いる場合には,分
析元素の質量分率は1 %以下にする。
2) ブランク試料で,3回の繰返し放電を行う。各放電においては,分析波長での発光強度を10秒間積分
する。用いるグロー放電条件は,めっき試料の分析で用いる条件と同じにする。各測定においては,
安定な信号を得るために,発光強度の定量前に,ブランク試料を十分長時間これらの条件で予備放電
を行う。個々の放電では,試料表面のスパッタリングしていない領域を用いる。3回の繰返し発光強
度の平均をとる。
3) 分析線のピークから0.2 nm以内で,発光線のピークがない領域を選択する。10回の繰返し放電を行
う。これがバックグラウンド強度の測定である。グロー放電条件及び予備放電は手順2)で用いた条件
と同じにする。この場合も,個々の放電では試料表面のスパッタリングしていない領域を用いる。10
回の繰返し測定の平均及び相対標準偏差を計算する。
4) 検出限界は,次の式 (2) によって算出する。
3 MF RSDB/ 100
DL (2)
S B/
ここに, DL : 検出限界
MF : 試料中の分析元素の質量分率
RSDB : 手順3)によるバックグラウンドの相対標準
偏差(百分率)
B : 手順3)によるバックグラウンド強度
S : 手順2)による平均ピーク強度
計算した検出限界が許容できない場合には,この試験を繰り返す。その結果も許容できない場合には,
試料分析の前にその原因について調査し是正する。
5 試料の採取及び調製
JIS G 0417及び/又は関連する規格によって,試料を採取する。この規格によれない場合には,めっき
材の製造業者が推奨する方法又は他の適切な手順による。採取するときは,めっき板の端部は避ける。試
料の大きさは,20 mm100 mm(直径,幅及び/又は長さ)で,円状又は角状とし,分析用のグロー放電
発光源に適した大きさにする。
油を取り除くために,適切な溶媒(アセトン又はエタノール)で試料表面を洗浄する。不活性ガス(ア
ルゴン又は窒素)又は油を含まない清浄な圧縮空気を,ガス管が表面に接しないように,試料表面に吹き
付け乾燥する。汚れがひどい場合には,洗浄しやすくするために,溶媒をしみ込ませた柔らかい毛羽のな
い布又は紙で軽くふき取ってもよい。ふき取った後には,前記の溶媒で表面を洗浄し乾かす。
注記 アセトンはJIS K 8034 種類 : 特級 相当品,エタノールはJIS K 8101 種類 : 特級 相当品
とするのがよい。
6 手順
6.1 分析線の選択
測定において選択できる分析線は,複数存在する。適切な分析線は,用いる装置の分析波長範囲,試料
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中の分析元素の濃度,分析線の感度,共存元素の分光干渉など幾つかの条件に基づいて選択する。
分析元素のほとんどが試料中の主成分である場合,高い感度の分析線(いわゆる共鳴線)の自己吸収に
ついて特に注意する必要がある。自己吸収のため高濃度領域では非線形検量線になる。したがって,強い
自己吸収を示す分析線は,主成分の分析には使用してはならない。附属書Bに,幾つかの推奨する分析線
の例を示す。適切であれば,ここに挙げた以外の分析線を使用してもよい。
6.2 グロー放電発光分光分析装置の最適化
6.2.1 一般
機器の使用に関しては,機器製造業者の取扱説明書,又は個々に文書化した手順による。測定条件は,
次の三つの目的を達成するように選ぶ。
− めっきに過度の熱を与えないような,分析時間を短縮するなどを考慮した適切なスパッタリング
− よりよい深さ分解能を得るための,よい形状のクレータ
− 最適な精確さ(accuracy)を得るための,検量線作成及び分析における同一励起条件
これら三つの目的は,それぞれ相反することがある。特に,分光器の入射スリットは,機器製造業者が
示す手順によって,正確に調整してあることを確認する。これによって,最適な信号対バックグラウンド
比をもつ分析線で発光強度を測定できる。更に詳しい情報は,JIS K 0144による。
注記 この規格で用いている“精確さ(真度及び精度)”は,JIS Z 8402-1の定義による。
6.2.2 直流電源の放電条件設定
6.2.2.1 一般
直流グロー放電発光分光分析装置は,ガス圧力を調整することによって,放電条件(電流,電圧,電力)
のうちの任意の二つが一定になるように制御することができる[アクティブ圧力調整2)]。アクティブ圧力
調整部のない装置では,同じ結果を達成するために,手動で圧力を調節する。使用者は,次の手順のうち
の一つを採用する。
注2) 電流を一定にするために,ガス圧力を調整する方法。
6.2.2.2 定電流−定電圧法
放電を制御する二つの因子は電流及び電圧である。グロー放電発光源用電源を定電流/定電圧に設定す
る。まず,機器製造業者が推奨する値に電流及び電圧を設定する。推奨値がない場合には,電圧を700 V
に設定し,電流については,内径が2 mm又は2.5 mmの陽極の場合は5 mA10 mA,内径が4 mmの陽極
の場合は15 mA30 mA,内径が7 mm又は8 mmの陽極の場合は40 mA100 mAに設定する。最適電流
値について,予備知識がない場合には,推奨値の範囲の中央付近に設定する。
検出器の印加電圧を6.2.4によって設定し,放電条件を6.2.5によって調節する。このとき,最初に電流
を調節し,必要ならば電圧を調節する。
電圧を調節することによって,クレータ形状を6.2.6によって最適化する。これらの条件は検量線作成及
び分析に使用する。
6.2.2.3 定電流−定ガス圧力法
放電を制御する二つの因子は,電流及びガス圧力である。グロー放電発光源用電源を定電流に設定する。
まず,機器製造業者が推奨する値に電流を設定する。推奨値がない場合,電流については,内径が2 mm
又は2.5 mmの陽極の場合には5 mA10 mA,内径が4 mmの陽極の場合には15 mA30 mA,内径が7 mm
又は8 mmの陽極の場合には40 mA100 mAに設定する。最適電流値について,予備知識がない場合には,
推奨値の範囲の中央付近に設定する。めっき試料をスパッタリングし,めっき部の測定中に電圧が約600 V
になるようにガス圧力を調節する。
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検出器の印加電圧を6.2.4によって設定し,放電条件を6.2.5によって調節する。このとき,最初に電流
を調節し,必要ならばガス圧力を調節する。
ガス圧力を調節することによって,クレータ形状を6.2.6によって最適化する。新しい系の試料をスパッ
タリングする前に,電圧が以前に設定した値から5 %以上変化しないことを確認するために仮測定を行う。
もし,外れる場合には,正確な値に到達するまで,ガス圧力を再調整する。これらの条件は,検量線作成
及び分析に使用する。
発光収率は,電流,電圧及びガス圧力に応じて変化する(参考文献[4]を参照)。そのため,これらの
条件を未知試料測定中及び検量線作成時にできるだけ同じ値に維持することが必要である。すべての試料
において,三つの条件すべてを一定にすることは,実際上不可能であるので,ガス圧力を変化させ,電流
及び電圧を一定にすることを優先する。経験的に求められた関数(参考文献[4]を参照)によって電圧及
び電流の変化を補正する方法がある。また,この種の補正は,式 (A.2) によって,強度規格化方法に基づ
いたソフトウェアの中で実行する。しかしながら,このような電圧及び電流補正法はソフトウェアに含ま
れていない場合もある。したがって,ソフトウェアにおいて利用可能な場合,使用者は補正を正しく実行
するために,電圧及び電流補正が無効になっていることを確認しなければならない。
6.2.3 高周波電源の放電条件設定
6.2.3.1 一般
通常の高周波電源は,定電力−定ガス圧力法で制御する。他には,定電圧−定ガス圧力法及び定実効電
力−定電圧法がある。すべての高周波放電モードは,6.2.1による三つの目的に合致する場合は,この規格
を適用できる。通常使用する各種モードの条件設定は,次による。
6.2.3.2 定電力−定ガス圧力法
放電を制御する二つの因子は,電力及びガス圧力である。最初に,機器製造業者が推奨する電力に設定
し,ガス圧力を調整する。推奨値がない場合には,金属試料の深さ方向分布測定で一般的に使用する範囲
の中央付近の電力及び圧力に設定する。鉄又は鋼の試料のスパッタリング率(単位時間当たりの深さ)を
測定する。電力は,スパッタリング率が約2 μm/min3 μm/minとなるように調節する。
検出器の印加電圧を6.2.4によって設定し,放電条件を6.2.5によって設定する。最初に印加電力を調節
し,必要であれば,ガス圧力を調節する。
ガス圧力を調節することによって,クレータ形状を6.2.6に示すように最適化する。
鉄又は鋼試料のスパッタリング率を再度測定し,必要であれば,約2 μm/min3 μm/minになるように電
力を調節する。電力及びガス圧力調節は,スパッタリング率又はクレータ形状に著しい変化が見られなく
なるまで繰り返す。このとき,設定した電力及びガス圧力を記録する。これらの条件は,検量線作成及び
分析に使用する。
6.2.3.3 定電力−定バイアス電圧法
放電を制御する二つの因子は,電力及びバイアス電圧である。まず,電力を設定し,機器製造業者の推
奨値に従い,標準的な直流バイアスになるようにガス圧力を調節する。
推奨値がない場合には,金属試料の深さ方向分布測定のために一般に使用する範囲の中央付近の印加電
力及びバイアス電圧を調節する。アクティブ圧力調整を装備した装置では,自動的に調節できる。鉄又は
鋼の試料のスパッタリング率(単位時間当たりの深さ)を測定する。スパッタリング率が約2 μm/min3
μm/minになるように印加電力及びバイアス電圧を調節する。
検出器の印加電圧を6.2.4によって設定し,放電条件を6.2.5によって調節する。このとき,圧力を調節
して,必要であればバイアス電圧を調節する。
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バイアス電圧を調節することによって,クレータ形状を6.2.6によって最適化するか,又は鋼試料のスパ
ッタリング率を再度測定し,必要であれば約2 μm/min3 μm/minになるように電力を調節する。電力及び
バイアス電圧調節を,スパッタリング率又はクレータ形状に著しい変化が見られなくなるまで繰り返す。
このとき,設定した電力及びバイアス電圧を記録する。これらの条件は,検量線作成及び分析に使用する。
6.2.3.4 定実効電力−定高周波電圧法
放電を制御する二つの因子は,実効電力及び高周波電圧である。実効電力は,印加電力から反射電力及
び試料を付けた状態でプラズマのない条件(真空条件)で測定するブラインド・パワーを引いたものと定
義する。また,高周波電圧は,その電力が直接印加される電極における実効値として定義する。
グロー放電発光源用電源は,定実効電力−定高周波電圧に設定する。まず,電力は,機器製造業者が推
奨する値に設定する。推奨値がない場合には,例えば,高周波電圧を700 Vに設定し,内径が4 mmの陽
極の場合,電力を10 W15 Wに調節する。前もって適切な電力が不明の場合,推奨電力範囲の中央付近
に設定する。
検出器の印加電圧を6.2.4によって設定し,放電条件を6.2.5によって設定する。このとき,電力を調節
して,必要であれば高周波電圧を調節する。
高周波電圧を調節することによって,クレータ形状を6.2.6によって最適化する。
鉄又は鋼試料のスパッタリング率を再度測定し,必要であれば約2 μm/min3 μm/minになるように実効
電力を調節する。実効電力及び高周波電圧調節を,スパッタリング率又はクレータ形状に著しい変化が見
られなくなるまで繰り返す。このとき,設定した実効電力及び高周波電圧を記録する。これらの条件は,
検量線作成及び分析に使用する。
6.2.4 検出器の印加電圧設定
定量すべき,すべての系のめっき試料を選択する。これらの試料を使用して,測定原子からの検出信号
を観察する。最も高濃度に含有する元素の測定時に検出強度が飽和しないように,かつ,最も濃度が低い
元素の測定時に十分感度が得られるように,検出器の印加電圧を調節する。
6.2.5 放電条件の調節
各種の試料について,めっき全体の深さ方向分布測定を行うために,長時間グロー放電を行ってめっき
部分を完全に取り去り,基板まで連続してスパッタリングする。発光強度をスパッタリング時間の関数(定
性的な深さ方向分布という。)で観察することによって,設定した放電条件が深さ方向の分布に対し安定し
た発光信号が得られていることを確認する。
不安定な発光信号は,試料表面が熱的に不安定であることを示している場合があり,試料冷却はこの点
に関して有効である。発光信号が不安定な場合,制御因子のうちの一つを少しの量だけ減らして,再度,
試料をスパッタリングする。安定性がなお不十分な場合,別の制御パラメータを少しの量だけ減らして,
測定を繰り返す。必要であれば安定した発光条件が得られるまで,この手順を繰り返す。
6.2.6 クレータ形状の最適化
黄銅試料(6.3.2を参照),又は亜鉛及び/又はアルミニウム基めっき(めっき部分)を深さ10 μm20 μm
スパッタリングし,適切な表面形状測定機などでクレータ形状を測定する。黄銅又はめっき試料を用い,
制御因子のうちの一つをわずかに変えてクレータ形状確認を繰り返す。底面が平らなクレータが得られる
最適な条件を選択する。
6.2.7 予備測定
選択された測定条件が4.2に規定する必要条件を満足することを確認する。これらの必要条件が満足し
ない場合には,測定条件の再調整が必要である。
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6.3 検量線の作成(calibration)
6.3.1 一般
A.2又はA.3に規定する方法によって,各分析元素とその波長ごとに,応答信号のグラフを作成して検
量線とする。そのためには,検量線作成用標準物質の化学成分及びスパッタリング率(質量減少率)の二
つが必要である。
6.3.2 検量線作成用標準物質
6.3.2.1 一般
検量線作成用標準物質は,可能な限りCRM(認証標準物質)を使用する。発光効率を用いた定量方法に
よるため,検量線作成用標準物質の組成は,めっき材に近い必要はない。ただし,スパッタリング率は,
精確に求め,かつ,再現性をもたなければならない。特に,純亜鉛の標準物質又はそれに近い亜鉛の標準
物質は,安定で再現性のあるスパッタリング率を得ることが困難なため推奨できない。また,高純度金属
の標準物質は,高質量分率域で検量線を作成するためには必ずしも必要でないが,スペクトルのバックグ
ラウンドを知るためには有用である。検量線作成用の標準物質を選択する場合には,次による。
a) 各分析元素ごとに,ゼロから最高質量分率の範囲で, 5個以上の検量線作成用標準物質を使用する。
b) 標準物質は均質でなければならない。
これらの必要事項に基づき,次の検量線作成用標準物質を使用することが望ましい。分析元素を含有し
ていれば,これ以外の合金標準物質を使用してもよい。
6.3.2.2 黄銅標準物質
亜鉛が質量分率(以下,質量分率を省略する。)25 %50 %,アルミニウムが1 %4 %,鉛が1 %
4 %の黄銅標準物質を,二つ以上選定する。
6.3.2.3 亜鉛アルミニウム合金標準物質
亜鉛が40 %90 %の亜鉛アルミニウム合金標準物質を,二つ以上選定する。
6.3.2.4 鉄又は低合金鋼標準物質
鉄分が98 %を超える鉄又は低合金鋼標準物質を,二つ以上選定する。鉄の質量分率は,100 %から鉄
以外のすべての成分の質量分率を差し引いた値とする。
6.3.2.5 ステンレス鋼標準物質
ニッケルが10 %40 %のステンレス鋼標準物質を,二つ以上選定する。
6.3.2.6 ニッケル合金標準物質
ニッケルが70 %を超えるニッケル合金標準物質を,一つ以上選定する(亜鉛ニッケル合金のスパッタ
リング率はニッケル合金より大きく,検量線の点はスパッタリング率と質量分率の積で表されるので,ニ
ッケルの質量分率は箇条1の20 %より高いものが必要である。)。
6.3.2.7 アルミニウムけい素合金標準物質
けい素が5 %10 %のアルミニウム・けい素合金標準物質を,一つ以上選定する。
6.3.2.8 高純度銅標準物質
分析元素が0.001 %未満の高純度銅標準物質を,一つ選定する。この標準物質を,銅以外の成分のゼロ
点用として使用することができる。
6.3.3 検量線の妥当性確認用標準物質及び検量線作成用のめっき標準物質
6.3.3.1 一般
分析結果の精確さを検証するために検量線の妥当性確認(6.4参照)用標準物質を用意する。次の標準物
質を使用することが望ましいが,可能なら他の標準物質を使用してもよい。これらの標準物質は,検量線
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JIS K 0150:2009の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 16962:2005(IDT)
JIS K 0150:2009の国際規格 ICS 分類一覧
JIS K 0150:2009の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISG0417:1999
- 鉄及び鋼―化学成分定量用試料の採取及び調製
- JISK0144:2018
- 表面化学分析―グロー放電発光分光分析方法通則
- JISZ8402-1:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第1部:一般的な原理及び定義
- JISZ8402-2:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第2部:標準測定方法の併行精度及び再現精度を求めるための基本的方法
- JISZ8402-6:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方