JIS K 0150:2009 表面化学分析―亜鉛及び/又はアルミニウム基金属めっきのグロー放電発光分光分析方法 | ページ 3

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K 0150 : 2009 (ISO 16962 : 2005)
作成用標準物質として使用してもよい。
6.3.3.2 ニッケル亜鉛電気めっき標準物質
ニッケルが20 %未満の電気めっき標準物質を用意する。めっきの質量と化学組成はISO 17925などで
規定する方法によって値付けを行う。
6.3.3.3 亜鉛電気めっき標準物質
亜鉛が30 %を超え,鉄が5 %を超える電気めっき標準物質を用意する。めっき標準物質の単位面積当
たりのめっきの質量及び化学成分は,ISO 17925などで規定する方法によって値付けを行う。
6.3.3.4 亜鉛アルミニウムめっき標準物質
亜鉛が10 %超,アルミニウムが5 %超のめっき標準物質を用意する。めっき標準物質のめっきの質量
及び化学組成は,ISO 17925などで規定する方法によって値付けを行う。
注記1 標準物質(RM)とは,一つ以上の指定された特性について,十分,均質,かつ,安定であ
り,装置校正,測定方法の評価,又は物質の値付けの目的に適するように作製された物質。
注記2 認証標準物質(CRM)とは,一つ以上の指定された特性について,計量学的に妥当な手順に
よって値付けされ,指定された特性の値及びその不確かさ,並びに計量学的トレーサビリテ
ィを記述した認証書が付いている標準物質。
6.3.4 検量線作成用標準物質のスパッタリング率の測定
“スパッタリング率”とは,ここではグロー放電でスパッタリングされる質量の減少速度をいう。また,
“相対スパッタリング率”とは,同一スパッタリング条件下における試料のスパッタリング率を標準物質
のスパッタリング率で除した値をいう。試料及び標準物質のスパッタリング面積が同じであれば,相対ス
パッタリング率は単位面積当たりの相対スパッタリング率に等しい。スパッタリング率は,次の手順で求
める(機器製造業者がスパッタリング率を提供することもある)。
a) 設備が整えば,各検量線作成用標準物質の密度を測定する。均質な試料の場合は,試料の質量を試料
の体積で除して求めることができる。試料の体積は,試料を水中に浸漬しアルキメデスの原理で求め
る。また,試料の体積は試料の寸法から求められ,試料の密度は式 (A.29) によって試料の成分から
求めることができる。実測又は計算による密度の精確さは5 %以内でなければならない。
b) 機器製造業者の推奨又は他の適切な手順に従って,標準物質表面を仕上げる。
c) 6.2で選択した放電条件に設定する。
d) クレータ深さが20 μm40 μmになる時間を推定し,試料をスパッタリングし,全体のスパッタリン
グ時間を記録する。
e) 試料の表面積に余裕があれば,d)を数回繰り返し,各クレータについて全スパッタリング時間を記録
する。
f) 各クレータについて,光学的又は機械的な表面形状測定機を用いて,中心を通り異なった方向に4回
以上深さを測定する。
g) 絶対スパッタリング率を使う場合は,次による。
1) 一つ以上のクレータの面積を測定する。
2) この面積に平均スパッタリング深さを乗じて,各クレータのスパッタリング体積を計算する。
3) このスパッタリング体積に試料の密度を乗じて,スパッタリング質量を計算する。
4) このスパッタリング質量を全スパッタリング時間で除して,各クレータのスパッタリング率を計算
する。
5) 各クレータの測定結果から,スパッタリング率の平均値及び標準偏差を算出する。

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h) 相対スパッタリング率を使う場合
1) スパッタリング深さに試料の密度を乗じて,各クレータの単位面積当たりのスパッタリング質量を
計算する。
2) この単位面積当たりのスパッタリング質量を全スパッタリング時間で除して,各クレータの単位面
積当たりのスパッタリング率を計算する。
3) 基準とする試料(鉄又は低合金鋼が望ましい)を選び,前記の方法で,この基準試料の単位面積当
たりのスパッタリング率を測定して平均値を求める。
4) 試料の単位面積当たりのスパッタリング率を,基準とする標準物質の単位面積当たりの平均スパッ
タリング率で除して,各クレータの相対スパッタリング率を計算する。
5) 各クレータの測定結果から,相対スパッタリング率の平均値及び標準偏差を求める。
深さ測定に使う表面形状測定機の精確さは5 %より良好でなければならない。
注記 スパッタリング質量はスパッタリング前後で試料をひょう量することによって求めることもで
きる。しかし,これには非常に高精度の天びん(秤)を必要とし,かつ,測定の不確かさは一
般に上記のクレータ深さ測定方法のそれよりも劣る。
6.3.5 検量線作成用標準物質の発光強度の測定
標準物質の発光強度の測定は,次による。
a) 機器製造業者が推奨する手順によって,標準物質表面を仕上げる。特にその手順がない場合には,バ
ルク標準物質の場合は通常220番の乾式研磨紙による仕上げで十分であるが,湿式研磨の方がよい。
湿式研磨した試料は乾燥した後にアルコールで洗浄し,アルゴン又は窒素のような不活性ガスを吹き
付けて溶液を完全に除く。試料の表面がガスの吹出口に触れないように注意する。
b) 6.2に規定した放電条件に調節する。予備放電時間を50秒200秒に,信号積分時間は5秒30秒に
設定する。
c) 分析元素の発光強度を測定する。強度の単位は任意でよいが,通常1秒当たりのカウント数 (cps) 又
は電圧 (V) が使われる。各試料を2回以上測定し,平均値を求める。
6.3.6 検量線定数の計算(検量線の作成)
A.2又はA.3によって検量線を作成する。
注記 放電源の形式,操作モード及び検量線作成用標準物質によって,特定元素の検量線が異なるマ
トリックスをもつ試料間で分かれることがある。この理由は,主に二つのマトリックスのグル
ープ間で起こることが多い。一つのグループは,低合金鋼,ステンレス鋼及び黄銅のグループ
であり,もう一つはアルミニウム及びアルミニウム亜鉛合金のグループである。検量線に二つ
のグループの試料を使うと,このようなかい(乖)離現象が起こることが指摘されてきた。こ
のかい離は発光収率が異なることの証拠であり,グロー放電プラズマにおいてマトリックスに
依存した変動に関係している。この影響を少なくした機器が入手可能であれば,それを使用す
ることが望ましい。又は,各検量線ごとに,測定する試料に最も似た標準物質を選択して検量
線を作成する。これは特に難しいことではなく,例えば亜鉛の場合,アルミニウム亜鉛合金中
の亜鉛を測定する場合には,検量線から黄銅の試料を除外すればよい。

6.4 検量線の妥当性確認(validation)

6.4.1  一般
検量線を作成した後に,その精確さを確かめるために,直ちに次の手順で検量線の妥当性確認(validation)
を行う。新しい試料を測定する度ごとに妥当性確認を行う必要はなく,日常の分析では,測定機器のドリ

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フトを補正するために6.5に規定する検量線の検証(verification)を行う。
二つの妥当性確認の方法は,次による。
第一の方法は,バルクの標準物質を使用する方法(6.4.2参照)で,第二の方法はめっき標準物質を使用
する方法(6.4.3参照)である。めっき標準物質を作るには難しさがともなうので,第二の方法は,任意と
する。
注記1 第二の方法は,我が国では一般的に行われている方法である。
注記2 妥当性確認(validation)とは,客観的証拠を提示することによって,特定の意図された用途
又は適用に関する要求事項が満足していることを確認することである(JIS Q 9000の 3.8.5
参照)。妥当性確認は,JIS Q 17025の5.4.5に定義されている。検量線の妥当性確認はその考
え方に沿っている(6.5の注記参照)。
6.4.2 バルク標準物質による精確さの評価
a) 検量線の妥当性確認を行うための幾つかのバルク標準物質を6.3.2の規定によって選択する。
b) 検量線作成時と同じグロー放電条件,予備放電時間及び積分時間でこれらの妥当性確認試料の発光強
度を測定する。各試料について,放電ごとに新しい表面を使って3回以上の放電を行う。
c) 検量線を使って,各妥当性確認試料中の分析対象元素の平均質量分率を計算する。
d) こうして求めた分析元素の平均質量分率と既知の値(例えば認証値)とが,統計的な許容差内にある
ことを確認する。許容差内になければ,その原因を究明し,検量線を再度作成することが望ましい。
6.4.3 めっき標準物質による精確さの評価
a) 機器製造業者の取扱説明書によって,深さ方向分析の準備をする。
b) 検量線作成時と同じグロー放電条件を使用する。
c) めっき部を完全に取り除き,基板まで続けて,十分長時間スパッタリングする。
d) 機器製造業者の取扱説明書によって,発光強度と時間との関係(定性)及び元素の質量分率とマイク
ロメートル単位の深さとの関係(定量)を求める。
注記 最近の機器では,各測定が完了すると,定量関係を自動的に表示する。
e) めっきの質量をグラム毎平方メートル(以下,g/m2という。)の単位で計算する。この単位面積当た
りのめっき質量は,理論的又は計算密度を使って計算することができる。標準物質のめっき質量と計
算した質量との差は10 %を超えてはならない。
f) めっき厚さをマイクロメートル(以下,μmという。)の単位で計算する。標準物質のめっき厚さと計
算した厚さとの差は,5 %を超えてはならない。市販のめっき鋼鈑によって求めた厚さとグロー放電
による計算値との差は,10 %を超えてはならない。
g) 表面形状測定機があれば,深さの検証が即座にできる。標準物質のめっき厚さ,グロー放電による計
算値及び表面形状測定機による値の差がいずれもf) に規定する許容差内にあれば,検量線は適切であ
る。
h) めっき及び基板中に存在する分析元素の化学組成を質量分率で求める。質量分率1 %超の成分の質量
分率について相対的な正確さ(平均値と標準物質の付与値との差を標準物質の付与値で除した値)が
5 %以下であれば,検量線は適切である。
i) 以上の許容差が満足しない場合は,再度検量線作成を行う。
検量線が適切に作成されていれば,質量分率及びスパッタリング深さの精確さは保証される。

6.5 検量線の検証(verification)及びドリフト補正

  分析機器の信号は,時間とともに変動する。機器を標準物質を使って校正し,かつ,妥当性確認を行っ

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ても,未知の試料を定量する前には,作業日ごと又は交替ごとに,検量線が管理限界内にあるかどうかを
検証する必要がある。機器製造業者の取扱説明書に検証の手順がない場合は,次の手順による。
a) 検量線の検証のための,幾つかの均質な試料(標準化試料ともいう)を選定する。
b) 検量線作成時と同じ,グロー放電条件,予備放電時間(バルク試料の場合)及び積分時間で,これら
の検証試料の発光強度を測定する。各試料を,放電ごとに新しい表面を使って, 2回以上の放電を行
う。
c) 検量線を使って各試料ごとに分析元素の質量分率の平均値を計算する。
d) こうして求めた分析元素の質量分率の平均値と既知の値とが,統計的な許容差内にあることを確認す
る。許容差内になければ,機器製造業者の取扱説明書によってドリフト補正を行う。
ドリフト補正の後には検量線の精確さを確認するために,検証を1試料以上再分析することが望ましい。
注記 検証(verification)とは,客観的証拠を提示することによって,規定要求事項を満足している
ことを確認することである(JIS Q 9000の3.8.4及びこの規格の6.4.1の注記2参照)。

6.6 未知試料の分析

  6.3,6.4及び6.5の手順で作成した検量線を使い,それと同じ分析条件で,6.1及び6.2の手順によって,
未知試料(実試料又は単に試料)を分析する。

7 結果の表記

7.1 定量深さ分布

  図1に例として示すような,定量深さ方向分布を作成する。

7.2 単位面積当たりのめっき質量の定量

  各元素について,単位面積当たりの全めっき質量(g/m2)を,A.3又はA.4のアルゴリズム及び附属書C
の手順によって計算する。めっきの深さに応じた時間に対して式 (A.20) 又は式 (A.27) のmiMjを積算する。
時間から深さへの変換,及び深さから時間への変換は,A.5のアルゴリズムを使用して行う。
積分は,時間(秒)対(g/m2/s)の深さ方向分布を使用して行う。しかし,この操作は市販の機器のソ
フトウェアでは,表示されない場合もある。その場合は,C.3.2を使用して行う。
主元素についての積分深さは,次の方法によって求めることを推奨する。
a) めっき厚さは,めっき中の主元素の質量分率が最大値の50 %に減少した深さと定義する。
b) 分布上の遷移領域幅(実際は,深さの分解能に相当する。)は,めっき中の主成分質量分率が,めっき
の最大値の84 %に減少した深さと,めっきの最大値の16 %に減少した深さとの差と定義する。
c) 積分深さは,めっき厚さと遷移領域幅(深さ)との和とする。

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注記 Alの値は,10倍に拡大して示す。
図1−鋼板上の溶融亜鉛めっき (Zn-Fe) の定量深さ方向分布

7.3 各元素の平均質量分率の定量

  各元素の平均質量分率は,その元素のめっき中の質量をすべての元素のめっき質量の合計で除すること
によって算出する。

8 精度

  この方法を使った共同実験が,4試験所で,7元素について計画され,各試験所が各元素を二つ以上定量
した。使用した試料及び得られた平均値を,表D.1に示す。得られた結果は,JIS Z 8402-2によって統計
的に処理した。JIS Z 8402-1で規定する併行条件,すなわち,一人のオペレータが同じ機器,同じ操作条
件,同じ検量線を使って,最小の期間で2回以上の定量を行った。併行許容差は,JIS Z 8402-6によって
算出した。得られた結果を,表1,表2及び附属書Dに示す。
注記 溶融めっき鋼鈑について得られた精度は,工業製品から得られた試料の不均質性によるもので
あり,測定能力を表すものではない。
表1−単位面積当たりめっき質量の併行標準偏差及び併行許容差の結果
単位 g/m2
めっきの種類 併行標準偏差 併行許容差(repeatability limit)
sr r (=2.8×sr)
電気めっき 0.75 2.1
溶融めっき 4.5 12.6

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