JIS K 0155:2018 表面化学分析―二次イオン質量分析法―単一イオン計数飛行時間形質量分析器における強度軸の線形性 | ページ 3

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K 0155 : 2018
22200
200
22000
000
11800
800 -51 V -63 V
11600
600
-72 V
11400
400
11200
200
Y
11000
000
800
800
600
600
400
400
200
200
-78 V
0
49.6
49.6 49.8
49.8 50
50 50.2
50.2 50.4
50.4 50.6
50.6
X
X 見掛け上の質量(m/z)
Y 強度(counts)
図2−PTFE由来のCF2+ピーク強度に対するリフレクタ電圧の効果
4.4.4 帯電中和の設定
帯電中和は,良好な測定を得るために不可欠である。電子中和銃の電流値を電子照射ダメージがない程
度に十分低く,効果的に中和できる程度に十分高く設定するための推奨手順を,電子ビームによるダメー
ジに関する詳細な研究[4]に基づき附属書Bに示す。
注記 帯電中和が不十分である場合には,附属書Dに示すように線形性に影響を及ぼし得る。
4.4.5 イオン検出器の設定
マイクロチャンネルプレートによるイオン検出効率の詳細な研究[5]に基づき,附属書Cに推奨条件を示
す。良好な分析を行うためには,通常,検出器後段加速を用いる。手順書に従い,マイクロチャンネルプ
レート電圧を調整する。更に詳細なガイダンスを,附属書C及び参考文献[5]に示す。
注記 不適切な検出器効率は,附属書Dに示すように線形性に影響を及ぼし得る。

4.5 データの取得

4.5.1  図3に示された16個の測定箇所のアレイのように,総ドーズ量1×1016 ions/m2 (1×1012 ions/cm2) 未
満で毎回材料の新しい領域を分析できるように準備する。ここに示す例は,8 mm×8 mm角の穴をもつ試
料ホルダーである。全ての分析領域は,試料ホルダーの端から1.5 mm以上離されている。ラスター1辺の
Rに対して,推奨される隣り合う測定箇所の距離(中心から中心まで)は,2.5Rである。推奨されるラス
ターエリアがR=200 μmのとき,互いのラスターエリアの最小間隔は300 μm(中心から中心までの距離は
500 μm)となる。これらの設定条件を記録する。

――――― [JIS K 0155 pdf 11] ―――――

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4
3
2 1
1
2
Y
0
-1
3
-2
-3
-4 0
-4 -2 2 4
X
X 位置(mm)
Y 位置(mm)
1 測定箇所の格子の例
2 試料固定用板の穴
3 周囲1.5 mmの領域(網掛けされた領域)は,測定してはならない領域
図3−8 mm角の穴をもつ試料固定用板における4×4の測定箇所の格子の概略図
4.5.2 4.3に示すように,二つのPTFE試料を取り付ける。一つは,一次イオン電流の範囲を設定するた
めの“試験試料”とし,もう一つは,これらの設定条件を使って分析するための“分析試料”とする。
4.5.3 帯電中和のスイッチをオンにする。帯電中和機構は,電子銃又は電子銃と低エネルギーイオン銃と
の組合せで構成してもよい。装置の製造業者又は装置附属の取扱説明書によって推奨される機構を用いる。
4.5.4 “試験試料”から,通常の分析条件で使っている一次イオン電流値を用いて,正イオンスペクトル
を取得する。次に,検出器が強い飽和を起こすときの一次イオン電流値を最大電流値(imax)とし,imaxを
含むimax以下の一次イオン電流の設定を16条件作る。imax以外の残りの15個の電流値は,k=115とし
て,それぞれおよそ(k/16) imaxとなるように設定する。この範囲を満たしているCF3+ピークのうち三つのス
ペクトル例を,図4に示す。示されたスペクトルは,13CF3+ピーク強度で規格化されている。

――――― [JIS K 0155 pdf 12] ―――――

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t= 65.6 ns
106
12CF3+
cM= 0.233
13CF3+
104
cM= 0.894
Y
cM= 0.998
102
100
68.5 69.0 69.5 70.0 70.5
X
X 質量(u)
Y 強度(対数軸)
注記 図中の指示線は,それぞれのcMにて測定された12CF3+ピークの積分強度を示す。最も飽和している(cM
が最高値となる)スペクトルの強度は,対数強度スケール上に測定カウント数で表されており,それ以外
のスペクトルは,同じ13CF3+強度で規格化されている。飽和ピークの不感時間τ=65.6 nsが示されている。
図4−ある一次イオン電流値範囲で得たスペクトルの12CF3+ピーク及び13CF3+ピークの詳細
4.5.5 記録する二次イオンピーク強度を,表1に示す。低い一次イオンビーム電流の場合,最も弱いピー
ク(すなわち,13C同位体を含むピーク)が,1 000カウントを超えるように取得時間を増すことが必要と
なる場合がある。最も弱いピークは,13C12CF5+ピークであると予想される。
表1−測定する特徴的なPTFE同位体二次イオン強度,及びそれらの精密質量並びに13Cの
天然存在比率を用いた計算による推定同位体比α (i)
12CxFy+イオン 13C12Cx−1Fy+イオ
i 精密質量 精密質量 推定同位体比
u ン u α(i)
12CF+ 13CF+
1 30.998 4 32.001 8 90
12CF3+ 13CF3+
2 68.995 2 69.998 6 90
13C(12C)2F3+
3 (12C)3F3+ 92.995 2 93.998 6 30
13C12CF5+
4 (12C)2F5+ 118.992 0 119.995 4 45
13C(12C)2F5+
5 (12C)3F5+ 130.992 0 131.995 2 30
注記 推定同位体比は,二次イオンフラグメント中の炭素原子数で変わる。天然に存在する13Cは,天然に存在す
る12Cの約1.1 %である。
4.5.6 この規格の後で示す強度スケールの線形性分析では,総イオンカウント数よりもむしろcMの方が
重要である。式(A.5)又は式(A.6)を使って,選択した一次イオン電流によってCF3+ピークに対するcM値の
範囲がパルス当たりのカウント数としておよそ0.10.99であることを確認する。これを満たさない場合は,
一次イオンビーム電流を調整し,条件を満たすまで4.5.4を繰り返す。
4.5.7 主な準安定ピークが,表1のピークと重ならないことを確認する。重なる場合は,それらを除くた

――――― [JIS K 0155 pdf 13] ―――――

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めにリフレクタ電圧を調整する。
4.5.8 分析試料へ移動する。4.5.4で決めた一次イオン電流の16個の設定条件のそれぞれに対して,試料
の新しい領域から正イオンスペクトルを取得する。13C(12C) F5+ピークのカウント数が1 000を超えて,か
つ,最大ドーズ量が1×1016 ions/m2未満となるように取得時間を設定する。
4.5.9 装置附属の校正機能又はISO 13084に従って,各スペクトルの質量軸を校正する。
12CF3+ピークの重ね合わせ描画から,質量分析器の不感時間(τ)を測定する。使用するソフトウ
4.5.10
ェアで可能なら,13CF3+のピーク高さでスペクトルを規格化することが有効である。図4にcM=0.894と
示されたようなスペクトルであることを確認する。すなわち,ピークトップ後に信号が減少するが0まで
は強度が落ちず,ある時間τ後に信号が回復するスペクトルである。τの値を測定する。通常,質量軸,時
間軸,また,ときにはチャンネル数に切り替えることがソフトウェア上で可能である。チャンネル数から
時間に変換するには,チャンネル数にチャンネル幅(通常は約200 ps)を単純に乗じればよい。この例で
は,τ=65.6 nsとなる。τの値を記録する。
4.5.11 装置によっては,バックグラウンド信号が非常に低いために,4.5.10の方法を使って検出器のτを
決めることができない。この場合は,装置の製造業者によって指定されたτの値を使う。
4.5.12 次に,ピーク強度の測定に対して,積分範囲を設定する。通常は,装置附属のソフトウェアのピー
クリストの作成で設定する。表1の各ピークに対して,ピークを中心前後でそれぞれτ s分の質量範囲を確
保する。これらをピークの積算範囲として設定する。幾つかの弱い準安定ピーク及び準安定バックグラウ
ンド強度が積分に含まれる。これら強度が比較的弱い場合,一般的に問題とならない。ピーク右側の少な
くともτ s分の範囲で強度が積分されていることが重要である。
4.5.13 ソフトウェアによる不感時間補正をしていない16個のスペクトルに対して,表1に示す10個のピ
ークの強度を算出する。
4.5.14 装置附属の解析ソフトウェアに不感時間補正があれば,それを用いて不感時間を補正した10個の
ピークの強度を算出する。

4.6 線形性の確認

4.6.1  測定されたカウントと補正されたカウントとの関係
ピーク幅が不感時間τより小さく(通常,約30 ns70 ns),時間τ内で別のピークが入力しない単一の
SIMSピークに対して強度補正を式(1)のように単純化する[7]。
IP IM
ln 1 (1)
N N
又は
cP ln 1 cM (2)
ここに, IM : 測定したSIMSピークの積分強度
IP : 補正後の強度
N : スペクトルを測定するために用いた一次イオンパルス
の全数
cM=IM/N : パルス強度当たりの測定したカウント
cP=IP/N : パルス強度当たりの補正したカウント
これらの仮定では,cMは1の最大値をもつことに注意する。
式(1)は不感時間τの関数ではないので,適切には“ポアソン補正”というのがよい。ただし,一般的な
用法と一致するように,この規格では“不感時間補正”という。式(1)はポアソン分布から導かれ,IMは測

――――― [JIS K 0155 pdf 14] ―――――

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定された強度,及びIPは真の強度である。cMを測定し,cPが検出器に衝突する二次イオンの実際の数に比
例するようにする。これはSIMSデータに日常的に適用されており,多くのデータセットで実証されてい
る[7][8][9]。式(1)から,cMの値が0.1を超えるとき,測定強度と真の(補正)強度との間に95 %の線形性
を維持するために不感時間補正が必要である。
注記 式(1)は,カウントが純粋なポアソン統計に従う定常状態の条件下で測定された強度に関するも
のである。ビームがラスターされる間に強度が合計されるか平均化される場合,信号の不変性
に影響を及ぼす多くの装置的又は試料に関連する因子の一つから偏差が生じる可能性がある。
例としては,試料の不均一性,帯電,ラスター内の位置による装置感度の変動,ビーム電流の
変動,試料の損傷などがあり,附属書Dで示す。
4.6.2 同位体に対する計測比
次のように強度軸の線形性を計算する。下付き文字Mは,測定強度を用いて計算した量を示し,下付き
文字Pは,不感時間補正された強度を用いて計算した量を示す。線形性Lは,Lが飽和していないスペク
トルに対して正確に1であり,かつ,より強い12CxFy+ピークがはるかに弱い13C12Cx−1Fy+ピークに対して
飽和し始めるスペクトルではL<1であるように定義する。不感時間補正を伴わない測定ピーク強度に対
T
しては式(1)から,単一イオンカウント理論[7]を仮定した理論的な直線性 Lは,式(3)によって求める。
M
T IM cM
LM (3)
IP ln 1 cM
次いで,測定された強度の同位体比FM及び補正した強度の同位体比FPをそれぞれ,式(4)及び式(5)に定
義する。
12
IM CxFy
FM 13

(pdf 一覧ページ番号 )

                             IM  C12Cx 1Fy
12
IP CxFy
FP 1312

(pdf 一覧ページ番号 )

                             IP  C Cx 1Fy
ここで,それぞれの同位体イオンの組合せ(表1に示したインデックスi)及び測定した各スペクトル
(インデックスj)について,不感時間補正の前後における直線性LM及びLPは,FM及びFPからそれぞれ
式(6)及び式(7)によって計算する。
FM i, j
LM i, j (6)
i
FP i, j
LP i, j (7)
i
ここに, i : 各同位体対
α(i) : 推定同位体比
β(i) : フィッティングによって決定する係数
注記1 試料の真の同位体比は,どのような差も係数βに含まれるので既知である必要はない。
注記2 実験で得られるSIMS強度は,三つの理由で推定同位体比αを正確に反映しない可能性があ
るため,係数βが必要である。まず,αは炭素源によって自然に変化する。第二に,準安定
イオン又は汚染によって生じるバックグラウンド強度の存在は,異なる同位体ピークに対し
て異なる影響を与える。最後に,スパッタリング及びイオン化効率は,一般的に同じ元素の

――――― [JIS K 0155 pdf 15] ―――――

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  • ISO 17862:2013(MOD)

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