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K 0970 : 2013
附属書C
(参考)
校正方法及び不確かさ評価
C.1 概要
ピストン式ピペットによって排出された液体の体積は,衡量法を用いて校正及び不確かさ評価する。
なお,不確かさ評価に関してはISO/IEC Guide 98-3に基づいた算出方法を示す。
C.2 校正に使用する装置
ピペットの校正方法の一つである衡量法において標準となる量は,質量及び密度であり,次の機器及び
設備が必要となる。これらの要求事項は,A.1及びA.2を参照する。
a) 質量測定用機器 : はかり(電子天びん)
b) 液中温度測定用機器 : 温度計
c) 環境測定用機器(室温) : 温度計
d) 環境測定用機器(相対湿度) : 湿度計
e) 環境測定用機器(大気圧) : 大気圧計
f) 試験液 : 水(蒸留水など)
g) 計量容器 : ひょう量容器
注記1 これらの機器及び設備は,使用頻度,使用履歴,機器特性などを考慮し実態に即した校正周
期又は点検周期を設定することが望ましい。
注記2 使用する機器,設備及び必要な仕様は,校正方法及び実現しようとする不確かさの値によっ
て異なる。
注記3 校正に使用する液体(水)は,密度及び安定性が確保されている必要がある。
C.3 校正
校正は,A.1A.4に準拠して行う。
C.4 校正のモデル式
校正におけるモデル式は,次のとおりとする。
20 ℃で排出された水の容量(V)は,式(C.1)によって算出する。
V m Z Y (C.1)
ここに, V : 20 ℃で排出された水の容量(μL)
m : 排出された水の質量の平均値(mg)
Z : 浮力補正及び質量から体積への換算のための
補正係数(μL/mg)
Y : 熱膨張補正係数
ただし,平均値mは,式(C.2)によって算出する。また,Yは,式(C.3)によって算出する。
n
i
mi me
1
m (C.2)
n
――――― [JIS K 0970 pdf 16] ―――――
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ここに, mi : i回目に排出された水のはかりの読み取り値(mg)
me : 蒸発量補正値(mg)
n : 繰返し測定の反復回数
注記 Zは,表B.1の値を用いるか又は式(B.1)によって算出する。
Y 1 ctd 20 (C.3)
ここに, αc : 体膨張係数(℃−1)
td : ピペットの摂氏温度(℃)
このモデルは,20 ℃で排出された水の容量(V)はm,ρw,ρa,ρb,αc,tdの関数であることを示して
いる。
V F m, w, a,b, (C.4)
c ,td
ここに, m : 排出された水の質量の平均値(mg)
ρw : 吸入した水の密度(g/cm3)
ρa : 空気密度(g/cm3)
ρb : はかりの校正に用いた分銅の密度(g/cm3)
αc : 体膨張係数(℃−1)
td : ピペットの摂氏温度(℃)
C.5 不確かさ評価
C.5.1 容量Vに附随する測定の標準不確かさ
容量(V)に附随する測定の標準不確かさは,ISO/IEC Guide 98-3によって,式(C.5)のとおり表すこと
ができる。
2
u2 V ci
2
u2 xi F u2 xi
i i
xi
2 2 2
F u2 m F u2 F u2 (C.5)
w a
m w a
ここに, u(xi) : モデル式によって表された最終的な結果に影響を
もつ各量の測定に起因する標準不確かさ
ci : 感度係数と呼ばれ,出力単位への変換係数
感度係数は,Vについて,式(C.5)に示す各変数の偏導関数を計算し,求めることができる。
容量(V)に附随する測定の不確かさ要因は,次のとおりになる。
− 質量測定に関する不確かさ u(m)
− 水の密度に関する不確かさ u(ρw)
− 空気の密度に関する不確かさ u(ρa)
− はかりの校正に使用した分銅の密度に関する不確かさ u(ρb)
− ピペットの体膨張係数に関する不確かさ u(αc)
− ピペットの温度に関する不確かさ u(td)
− ひょう量容器の水の蒸発量補正量に関する不確かさ u(me)
必要があれば,他の要因も加味しなくてはならない。
上記と同等な他の数学的表現も考えることができる。例えば,JIS Z 8402-2に従って実施した実験から
得られた値を利用した測定の不確かさを考慮する場合は,JIS Z 8404-1を参考にしてもよい。
a) 質量測定に関する標準不確かさ 質量測定に関する標準不確かさ[u(m)]は質量計に関する標準不確
かさ[uba(m)]と繰返しの標準不確かさ[urep(m)]の合成で表すことができる。
――――― [JIS K 0970 pdf 17] ―――――
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2 2
u2 m uba m urepm (C.6)
ここに, u(m) : 質量測定に関する標準不確かさ(mg)
uba(m) : 質量計に関する標準不確かさ(mg)
urep(m) : 繰返しの標準不確かさ(mg)
1) 質量計に関する標準不確かさ はかりに関する標準不確かさは,使用するはかりの校正に関する標
準不確かさであり,直線性に起因する標準不確かさ[ubab(m)]と,校正値の標準不確かさ[ubastd(m)]
を合成して,式(C.7)で表すことができる。
2 2 2
uba m ubab m ubastd
m (C.7)
ここに, uba(m) : 質量計に関する標準不確かさ(mg)
ubab(m) : 直線性に起因する標準不確かさ(mg)
ubastd(m) : 校正値の標準不確かさ(mg)
指示値が補正をされずに測定値になる場合には,直線性に起因する不確かさを考慮する必要があ
り,校正値(Mcalb,i)と校正点の荷重(Mi)の偏差の絶対値
Mi Mcalb,iMi を用いて,ubab(m)を
式(C.8)で評価することができる。
Mi
ubab m (C.8)
3
ここに, ubab(m) : 直線性に起因する不確かさ(mg)
Mcalb,i : 校正値(mg)
Mi : 校正点の荷重(mg)
また,校正された荷重ポイントが複数ある場合には,ΔMiの最大値(ΔMcalb,i)を代わりに用いて,
式(C.8)からubab(m)を求め,同荷重ポイントでの校正証明書に記載された拡張不確かさから,
ubastd(m)を求めることができる。校正値の標準不確かさ[ubastd(m)]は,校正証明書に記載された
校正値の拡張不確かさ[Ubastd(Mcalb,i)]を用いて式(C.9)のように表すことができる。
Ubastd Mcalb,i
ubastd m (C.9)
2
ここに, ubastd(m) : 校正値の標準不確かさ(mg)
Ubastd(Mcalb,i) : 校正証明書に記載された校正値の拡張不確
かさ(mg)(包含係数が2の場合)
2) 平均値の実験に基づく標準不確かさ 平均値の実験標準偏差[urep(m)]は,毎回のmiの10回の測
定を行い,得られたmi(i=1, ···,10)から式(C.10)を用いて求めることができる。
n
2
mi m
i 1
urep m (C.10)
nn
ここに, urep(m) : 平均値の実験標準偏差(mg)
m : 排出された水の質量の平均値(mg)
mi : i回目に排出された水のはかりの読み取り値
(mg)
n : 繰返し測定の反復回数
b) 水の密度に関する標準不確かさ 水の密度に関する標準不確かさは,液中の温度の変動範囲における,
水の密度(ρw)の最大値(ρwmax)及び最小値(ρwmin)が式(B.2)から与えられる場合,水の密度の不確
かさを一様分布として推定し,式(C.11)で評価することができる。影響が小さい場合は無視してもよい。
――――― [JIS K 0970 pdf 18] ―――――
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max min
w w
u w (C.11)
2 3
ここに, u(ρw) : 水の密度に関する標準不確かさ(g/cm3)
max
w : 液中の温度変動範囲における水の密度の最大値
(g/cm3)
min
w : 液中の温度変動範囲における水の密度の最小値
(g/cm3)
c) 空気の密度に関する標準不確かさ 測定環境の条件下で大気圧の最大値(pmax),相対湿度の最小値
(hrmin),気温の最小値(tamin)での式(B.3)を用いた空気密度を(ρamax)として,気圧の最小値(pmin)
相対湿度の最大値(hrmax),気温の最大値(tamax)での式(B.3)を用いた空気密度を(ρamin)として,空
気密度の標準不確かさは,式(C.12)で評価することができる。影響が小さい場合は無視してもよい。
max min
a a
u a (C.12)
2 3
ここに, u(ρa) : 空気の密度に関する標準不確かさ(g/cm3)
a
: 測定環境の条件下での空気密度の最大値(g/cm3)
max
a min
: 測定環境の条件下での空気密度の最小値(g/cm3)
max min min
max .0348 48 p .0009 hr exp(.0061ta )
ただし, a min (C.13)
1 000 273.15ta
min max max
min .0348 48p .0009 hr exp(.0061ta)
a max (C.14)
1 000 273.15ta
ここに, pmax : 測定環境の条件下で大気圧の圧力の最大値(hPa)
hrmax : 測定環境の条件下で相対湿度の最大値(%)
tamax : 測定環境の条件下で室温の最大値(℃)
pmin : 測定環境の条件下で大気圧の圧力の最小値(hPa)
hrmin : 測定環境の条件下で相対湿度の最小値(%)
tamin : 測定環境の条件下で室温の最小値(℃)
d) はかりの校正に使用した分銅の密度に関する標準不確かさ 分銅の密度(ρb)の標準不確かさ[u(ρb)]
は,厳密に行うためにはかりの校正機関によって与えられる値を参照してもよいが,通常,影響が小
さく無視することができる。
e) ピペットの体膨張係数に関する標準不確かさ ピペットは,単一の素材で作られるものではなく,そ
の体膨張係数(αc)は単純に明確な値ではない。ただし,合成樹脂の場合は,おおよそ2×10−44×
10−4 K−1と知られている。例えば,その範囲で一様分布と推定可能な場合では,体膨張係数の標準不
確かさはu(αc)=5.774×10−5K−1になる。影響が小さい場合は無視してもよい。
f) ピペットの温度に関する標準不確かさ ピペットの温度tdは装置の中央部及び上部が手の接触によっ
て温められて,装置の下部が蒸発冷却するため,必ずしも空間的にも時間的にも一定でないが手袋を
して操作するなどの対策がとられ,影響が小さいと考えられる場合はその不確かさ[u(td)]は無視し
てもよい。
g) ひょう量容器の水の蒸発補正量の不確かさ 蒸発量の影響を防止できる機構をもつはかりなどを用い
ており,蒸発量補正をしない場合,実験標準偏差の中に蒸発補正量の不確かさは含まれていると考え
て無視することができる。微量の測定で,かつA.5.1に従い測定作業中のひょう量容器からの液体の
質量損失を計算し,蒸発量の補正値を求めている場合は,繰返し実験による事前評価を行っておくこ
とが望ましい。
――――― [JIS K 0970 pdf 19] ―――――
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h) 感度係数 式(C.5)の感度係数ciは,式(C.15)式(C.20)で表すことができる。
cm V 1 1 1 1 t 20 (C.15)
a c d
m w w b
c V m 1 2 1 t 20 (C.16)
2 a c d
w w w b
w
c V m 1 1 (C.17)
a a w w b
V m a
c 2 (C.18)
b
b w b
c V m td 20 (C.19)
c c w
ct tV m (C.20)
c
d d w
ここに, V : 排出された容量の平均値(μL)
m : 排出された水の質量の平均値(mg)
ρw : 吸入した水の密度(g/cm3)
ρa : 空気密度(g/cm3)
ρb : はかりの校正に用いた分銅の密度(g/m3)
αc : 体膨張係数(℃−1)
td : ピペットの摂氏温度(℃)
C.5.2 容量Vに関連する測定の拡張不確かさ
容量(V)の拡張不確かさは,式(C.21)によって表すことができる。
U k uV (C.21)
ここに, U : 容量Vの拡張不確かさ(μL)
k : 包含係数
u(V) : 容量Vの標準不確かさ(μL)
ここで,拡張不確かさは,標準不確かさに包含係数(k)を乗じている。校正には,一般的な値k=2が
使用されている。これは正規分布の場合,約95 %の信頼の水準で,その値をV±Uによって与えられる範
囲内に見出すことができることを意味している。
したがって,測定結果は,式(C.22)によって与えることができる。
V Uk (C.22)
ここに, U : 容量Vの拡張不確かさ(μL)
k : 包含係数
V : 排出された容量の平均値(μL)
包含係数(k)は,報告されなければならない。また,不確かさの数値の丸めは,有効数字2桁とする。
C.5.3 ピペット校正の不確かさ導出例
C.5.3.1 校正条件
校正条件は次のとおりである。
a) ピストンが排出する公称容量10 μLの10回測定
b) 校正に使用した機器 : C.2に基づくもの
c) 容量の平均値 : V=9.97 μL
d) 繰返しの不確かさ : urep(m)=28 μg
――――― [JIS K 0970 pdf 20] ―――――
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JIS K 0970:2013の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 8655-2:2002(MOD)
- ISO 8655-6:2002(MOD)
JIS K 0970:2013の国際規格 ICS 分類一覧
- 71 : 化学技術 > 71.040 : 分析化学 > 71.040.20 : 実験用器具及び関連装置
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.060 : 体積,質量,密度,粘度の測定
JIS K 0970:2013の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0211:2013
- 分析化学用語(基礎部門)
- JISZ8103:2019
- 計測用語