29
K 7170 : 2008 (ISO 17282 : 2004)
広範囲の振動数領域のデータは,狭い振動数領域だが,広い温度範囲で求めた“E −振動数データ”の重
ね合せによって得る。図A.16の緩和機構は,ポリマー非晶相中のガラス−ゴムへの相転移を特定し,通常,
時間−温度の重ね合せによるWLF式が,この転移の動態を説明する。実際,tanδE (引張損失係数)に
おけるピークの振動数は,平均緩和時間の温度依存性によるWLF式を満足する。しかしながら,図A.16
の損失係数曲線の幅は,温度の上昇によって狭くなっている。これは,この緩和過程における緩和時間の
分布が,温度によって変化することを暗示している。結論として,振動数に対するE の曲線の形は,温度
と共に変化し,またこれが,時間−温度の重ね合せを用いて予測した特性値の確度の限界であろう。
A.8 非等方性弾性モデルの適用 この箇条では,単軸引張応力下での積層品中央の孔周りの応力分布を得
るために,非等方性線形弾性解析を用いる。この積層品は,一定方向に,連続繊維で強化されたプラスチ
ックの8層で構成されている。座標軸及び積層品寸法を,図A.18に示す。X軸は,与える応力の方向であ
る。各層の繊維の配向は,繊維軸とX軸からなる角度で区別し,図の拡大部分に示す。
各層の座標軸は,1軸が,繊維の配向方向に沿っていることで規定する。この軸に直角な平面の特性は,
等方性と仮定する。3軸は,積層品の厚さ貫通方向(z軸)と一致させる。
解析の中で,孔の周りの材料が,平面応力状態とみなせるように,荷重の導入と関連した拘束は,円板
の各末端に集中すると仮定する。これは,積層品に,厚さ方向(z軸)に沿った応力の構成要素は,ない
ことを暗示している。
直角方向等方性の仮説のために,単層の弾性非等方性を特徴付けるため,五個の独自の材料パラメータ
が,必要である。通常この目的に用いる五個の特性を,表A.4に示す。E1及びE2は,各々繊維配向の方向
及び直角方向の引張弾性率である。G12及びG23は,各々繊維軸を含んだ平面及びこの軸に直角な平面のせ
ん断弾性率であり,ν12は,繊維軸方向に与えた応力に対するポアソン比である。表A.4の中で,これら
のパラメータは,表A.3及び本体の3.2で規定した特性値Ep,En,Gp及びνpnと同一である。
炭素繊維強化エポキシ樹脂用に測定した値も,表A.4に示す。繊維が,単一方向に配置した圧縮成形板
から切り出した試験片で,特性値を求めた。引張特性及びポアソン比は,ISO 527-5を用いて測定し,せ
ん断弾性率G12は,ISO 15310を用いて測定した。平面応力の状態が,積層品及び各層中に存在するので,
直角方向のせん断弾性率G23の認識は,この解析には必要ない。これらの特性もまたISO 6721-8に規定の
超音波伝ぱ法を用いて求めることができることは,注意に値する。
その規格の現行版は,等方性材料を扱っており,また非等方性材料に対して必要なデータ解析は,記載
がない。
表A.4 直角方向等方性の炭素繊維強化エポキシ樹脂の材料特性
E1=Ep E2=En G12=Gp ν12=νpn G23
(GPa) (GPa) (GPa)
135 10 5.3 0.3 −
140 MPaの応力を与えて発生した各層中の最大主応力の分布を計算するために,有限要素解析が用いら
れてきた。最大主応力の等高線図を,図A.19に示す。これらの応力の最大値は,積層品中の破壊の開始を
予測するために,個々の層の多軸破壊基準を用いる妥当性を調査するために用いられてきた。
関連規格 ISO 6721-8 Plastics―Determination of dynamic mechanical properties―Part 8 : Longitudinal and
shear vibration―Wave-propagation method
単位 mm
――――― [JIS K 7170 pdf 31] ―――――
30
K 7170 : 2008 (ISO 17282 : 2004)
単位 mm
図A.1 有限要素解析による異なる材料モデル適用の実例用
円板状試験片及び荷重の配置図
図A.2 有限要素解析用メッシュ線図
――――― [JIS K 7170 pdf 32] ―――――
31
K 7170 : 2008 (ISO 17282 : 2004)
X : 真ひずみ
Y : 応力,MPa
Z : ポアソン比
σT : 真の応力
σY : 工学応力
1 : 第1降伏点
備考 真の引張応力は,式(A.6)を用いて,これらの結果から計算した。
図A.3 プロピレン−エチレン共重合体の引張ひずみに対する工学応力及びポアソン比
の測定値
――――― [JIS K 7170 pdf 33] ―――――
32
K 7170 : 2008 (ISO 17282 : 2004)
X : 要素変位,mm
Y : 力,kN
1 : 弾性解析
2 : フォン・ミーゼス及びドラッガープラガー解析
図A.4 線形弾性解析を用いて得られた,中央の節点変位で計算した力の変化
−非線形解析に基づく計算との比較 (図A.9参照)
――――― [JIS K 7170 pdf 34] ―――――
33
K 7170 : 2008 (ISO 17282 : 2004)
図A.5 線形弾性解析を用いて予測した,中央での節点変位4 mmの時の
半径方向の引張ひずみの等高線図
――――― [JIS K 7170 pdf 35] ―――――
次のページ PDF 36
JIS K 7170:2008の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 17282:2004(IDT)
JIS K 7170:2008の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.080 : プラスチック > 83.080.01 : プラスチック一般
JIS K 7170:2008の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK7108:1999
- プラスチック―薬品環境応力き裂の試験方法―定引張応力法
- JISK7112:1999
- プラスチック―非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法
- JISK7115:1999
- プラスチック―クリープ特性の試験方法―第1部:引張クリープ
- JISK7139:2009
- プラスチック―試験片
- JISK7140-1:2008
- プラスチック―比較可能なシングルポイントデータの取得及び提示―第1部:成形材料
- JISK7140-2:2007
- プラスチック―比較可能なシングルポイントデータの取得及び提示―第2部:長繊維強化プラスチック
- JISK7141-1:2006
- プラスチック―比較可能なマルチポイントデータの取得及び提示―第1部:機械的特性
- JISK7141-2:2006
- プラスチック―比較可能なマルチポイントデータの取得及び提示―第2部:熱特性及び加工特性
- JISK7141-3:2002
- プラスチック―比較可能なマルチポイントデータの取得と提示―第3部:特性への環境影響
- JISK7152-3:2006
- プラスチック―熱可塑性プラスチック材料の射出成形試験片―第3部:小形角板
- JISK7162:1994
- プラスチック―引張特性の試験方法 第2部:型成形,押出成形及び注型プラスチックの試験条件
- JISK7199:1999
- プラスチック―キャピラリーレオメータ及びスリットダイレオメータによるプラスチックの流れ特性試験方法
- JISK7244-2:1998
- プラスチック―動的機械特性の試験方法―第2部:ねじり振子法
- JISK7244-3:1999
- プラスチック―動的機械特性の試験方法―第3部:曲げ振動―共振曲線法
- JISK7244-4:1999
- プラスチック―動的機械特性の試験方法―第4部:引張振動―非共振法
- JISK7244-5:1999
- プラスチック―動的機械特性の試験方法―第5部:曲げ振動―非共振法