JIS K 7252-5:2016 プラスチック―サイズ排除クロマトグラフィーによる高分子の平均分子量及び分子量分布の求め方―第5部:光散乱検出による方法 | ページ 2

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K 7252-5 : 2016 (ISO 16014-5 : 2012)
c 溶液中の高分子の質量濃度(g cm−3)
Hi i番目の溶出時間における濃度検出器からの過剰シグナル強度
ILS,i i番目の溶出時間における過剰光散乱強度
Vint データ取得時間間隔中の溶出体積(cm3)

5 原理

5.1 SEC

  サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)については,JIS K 7252-1の箇条4(原理)による。

5.2 SEC-LS

  SEC-LS測定では,SECカラムから溶出された高分子に単色の可視光線を照射する。分子から散乱され
た光は,受光素子によって連続的に検出される。溶出液は,希薄高分子溶液であるため,光散乱強度は高
分子の分子量及び質量濃度の積にほぼ比例している。したがって,光散乱強度を質量濃度で除すれば,特
定の溶出時間での分子量が得られる。各溶出時間での分子量及び溶出濃度又は質量分率は,高分子の分子
量分布及び平均分子量の計算に使用する。

6 試薬

6.1 溶離液

 溶離液についての一般的な必要条件は,JIS K 7252-1の5.1(溶離液)による。60 ℃未満
の温度又は60 ℃以上の温度でSECに使用できる溶離液の例は,JIS K 7252-3の附属書B(溶離液,試薬
及び標準物質の例)及びJIS K 7252-4の附属書B(溶離液,分子量標準物質及び添加剤の例)を参照する。

6.2 カラム性能評価のための試薬

 カラムの性能評価に使われる低分子量化合物の例は,60 ℃より低い
温度ではJIS K 7252-3の5.2(カラム性能評価のための試薬)を,60 ℃以上の温度ではJIS K 7252-4の5.2
(カラム性能評価のための試薬)による。

6.3 校正用の標準物質

 トルエン及びベンゼンのレイリー比はよく知られているため,光散乱検出器の
装置定数の決定にはこれらの溶媒を用いることが望ましい(B.2参照)。
屈折率検出器の装置定数を求めるには,塩化カリウム又は塩化ナトリウムの水溶液を使用する。また,
これらの水溶液の屈折率増分の濃度依存性は,装置定数の計算に使用する。
光散乱検出器と濃度検出器との間の遅延体積を求めるために,低分子量で単分散のポリマーを使用する。
このポリマーは,多角度光散乱検出器の検出器の角度依存性を校正するためにも使用する。検出器の感度
を校正するために使用するポリマーの回転半径Rgは,10 nmより小さくなければならない。また,5 nmよ
り小さい回転半径が望ましい。Rgの値がよく知られている他の化合物を使用してもよい。
分子量校正では,分子量が20 00050 000の高分子標準物質を用いる。
もともと高分子試料中に存在する低分子量化合物又はオリゴマーも,Lポイントを求めるために使用し
てもよい。

6.4 流量指標用試薬

  JIS K 7252-1の5.4[流量指標用試薬(内部標準物質)]による。
流量指標用試薬として使われる化合物の例は,60 ℃より低い温度での測定ではJIS K 7252-3の5.4[流
量指標用試薬(内部標準物質)]に,60 ℃以上の温度での測定ではJIS K 7252-4の5.4[流量指標用試薬
(内部標準物質)]による。

6.5 添加剤

  JIS K 7252-1の5.5(添加剤)による。

――――― [JIS K 7252-5 pdf 6] ―――――

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60 ℃より低い温度での測定ではJIS K 7252-3の5.5(添加剤)に,60 ℃以上の温度での測定ではJIS K
7252-4の5.5(添加剤)による。

7 装置

7.1 一般

 SEC-LSシステムの典型的な構成を,図1に示す。これは,JIS K 7252-1の図1(SEC装置の
流路図の例)に酷似しているが,主な違いは,光散乱検出器が濃度検出器に直列に接続されている点であ
る。光散乱検出器と濃度検出器とは,並列に接続してもよい。この方法に必要な仕様を満たす機器であれ
ば使用可能である。
要求仕様に合う機器であれば,市販のSEC-LSシステムだけでなく,実験室で組み上げられたSEC-LS
システムもこの方法で使用できる。
1 溶離液槽 5 カラム 9 データ処理システム
2 ポンプ 6 光散乱検出器 10 プリンタ
3 インラインフィルタ 7 濃度検出器 11 廃液へ
4 試料導入装置 8 表示部
図1−典型的なSEC-LSシステムの概念図

7.2 溶離液槽

 JIS K 7252-1の6.2(溶離液槽)及びJIS K 7252-3の6.2(溶離液槽)による。

7.3 ポンプ

 JIS K 7252-1の6.3(ポンプ)及びJIS K 7252-3の6.3(ポンプ)による。

7.4 試料導入装置

 JIS K 7252-1の6.4(試料導入装置)及びJIS K 7252-3の6.4(試料導入装置)によ
る。

7.5 カラム

7.5.1  一般 JIS K 7252-1の6.5.1(一般),JIS K 7252-3の6.5(カラム)及びJIS K 7252-4の6.5(カラ
ム)による。
7.5.2 理論段数の計算 JIS K 7252-1の6.5.2(理論段数の計算)による。
7.5.3 分離度の測定 JIS K 7252-1の6.5.3(分離度の測定)による。
7.5.4 シンメトリー係数の測定 JIS K 7252-1の6.5.4(シンメトリー係数の測定)による。

7.6 検出器

7.6.1  濃度検出器 JIS K 7252-1の6.6(検出器)による。
7.6.2 光散乱検出器 この検出器は,カラムからの溶出物によって散乱する光の強度を連続的に検出す
る。市販の光散乱検出器には,低角にだけ調整された検出器と二つ以上の角度に調整された検出器とがあ
る。

――――― [JIS K 7252-5 pdf 7] ―――――

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クロマトグラムのピークが広くなるのを避けるため,フローセル容量は可能な限り小さいものが望まし
い。

7.7 配管

 JIS K 7252-1の6.7(配管)による。

7.8 温度制御

 JIS K 7252-1の6.8(温度制御)による。

7.9 記録計及びプリンタ

 JIS K 7252-1の6.9(記録計及びプリンタ)による。

7.10 データ処理システム

 JIS K 7252-1の6.10(データ処理システム)による。

7.11 その他の構成要素

 JIS K 7252-1の6.11(その他の構成要素)による。
光散乱検出器でスパイクノイズを発生させる微細な粒子を取り除くため,インラインフィルタは必須で
ある。

8 操作

8.1 校正用溶液の調製

  二つの検出器の間の遅延体積を測定するための単分散ポリマー溶液を,調製する。溶液濃度は,光散乱
検出器及び濃度検出器の両方に対し,データ処理できる十分なシグナル強度となるように調製する。典型
的なポリマー濃度は,低分子量ポリマーで,5 mg/mL10 mg/mLである。
光散乱検出器の感度調整にもこれらのポリマー溶液を用いる。

8.2 Lポイント測定用溶液の調製

  必要に応じ,適切なオリゴマー又は他の低分子量化合物を適切な溶媒に溶解することによって,Lポイ
ント測定用溶液を調製する。一般には,この溶液の濃度は,1 mg/mL5 mg/mLである。

8.3 被検物質溶液の調製

  60 ℃より低い温度の測定については,JIS K 7252-3の7.2(試料溶液の調製)による。60 ℃以上の測定
ではJIS K 7252-4の7.2(試料溶液の調製)による。

8.4 カラム性能評価用溶液の調製

  JIS K 7252-3の7.3(カラム性能評価用溶液の調製)による。

8.5 装置の設定

  JIS K 7252-3の7.4(装置の設定)による。

8.6 測定条件

8.6.1  流量
JIS K 7252-3の7.5.1(流量)による。
8.6.2 注入量及び注入体積
JIS K 7252-3の7.5.2(注入量及び注入体積)による。
8.6.3 カラム温度
JIS K 7252-3の7.5.3(カラム温度)による。
8.6.4 検出感度
シグナル強度は,注入した試料量及び示差屈折率検出器に対しては屈折率増分dn/dcに依存し,紫外検
出器に対しては単位質量濃度当たりの吸光度に依存する。光散乱検出器では,試料の質量平均分子量に依
存する。検出器感度は,正確なデータ処理をするため,試料の強いピークシグナルを得るように設定する
ことが望ましい。
検出感度を同一条件に設定して,溶質濃度とピーク高さとの関係を直線に保つ。屈折率検出器に対して
は,フルスケールで1×10−59×10−4 RI単位程度,紫外検出器に対してはフルスケールで0.10.9吸光

――――― [JIS K 7252-5 pdf 8] ―――――

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度単位程度であることが望ましい。
注記 光散乱検出器の場合,散乱光の検出素子を含む光学系は各市販装置特有であり,検出感度を一
義的に設定することはできない。

8.7 測定回数

  JIS K 7252-3の7.6(測定回数)による。

9 校正

9.1 濃度検出器及び光散乱検出器の校正

9.1.1  一般
SEC-LSは絶対法であるため,各溶出時間で正しいレイリー比と質量濃度とが得られるように,光散乱
検出器及び濃度検出器を校正する。濃度検出器として示差屈折率検出器を用いる場合には,示差屈折率検
出器及び光散乱検出器の装置定数は9.1.2,9.1.3及び9.1.4に規定する三つの校正方法のうちのいずれかで
測定する。紫外検出器又は赤外検出器を濃度検出器として用いる場合には,濃度検出器及び光散乱検出器
の装置定数は,9.1.3又は9.1.4に規定する方法で測定する。校正定数の相対的不確かさは,各溶出時間で
の分子量又は平均分子量に直接比例する。
9.1.2 校正法A
この方法では,示差屈折率検出器の装置定数kRIを,dn/dc及び質量濃度cが既知の塩化ナトリウム水溶
液のような標準液を用いて,検出器の出力IRIを測定することで求める。装置定数は,式(1)で算出できる。
dn
kRI c IRI (1)
dc
光散乱検出器の装置定数は,校正試料の検出器出力と校正試料のレイリー比とから求める。校正試料に
は,レイリー比がよく知られ,かつ,強い光散乱シグナルを発する,ろ過した精製トルエンを用いること
が望ましい。
kRI定数を測定すれば,溶出時間iでの質量濃度ciは,式(2)で算出できる。
kRI
ci Hi (2)
dn dc
ここに, Hi : 示差屈折率検出器のシグナル強度
9.1.3 校正法B
この方法では,ポリスチレンのテトラヒドロフラン溶液のようなdn/dcが既知のポリマー試料の総注入
質量mTotとSECクロマトグラムとから濃度検出器の装置定数を,次の式(3)によって求める。
mTot 1
kRI dn dc (3)
Vint Hi
i
ここに, Hi : 濃度検出器からのシグナル強度
Vint : データ取得時間間隔中の溶出体積(cm3)
校正及びそれに続く被検物質測定の間,流速が一定になるように注意する。この方法では,注入された
ポリマーのカラムからの完全溶出が前提となる。
光散乱検出器の装置定数は9.1.2(校正法A)に規定する方法によって測定する。
9.1.4 校正法C
この方法では,SEC及びSEC-LSクロマトグラムを,Mw及びdn/dcが既知の分子量標準物質溶液で測定

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する。組み合わせた装置定数kcは,次の式(4)によって計算する。
Hi
dn i
kc Mw (4)
dc ILS,i
i
ここで,ILS,iは光散乱検出器で観測された光散乱のシグナル強度である。
溶出時間iでの質量平均分子量Miは,式(5)から直接算出できる。
kc ILS,i
Mi (5)
dn dc Hi
2角度光散乱検出器の場合には,濃度検出器の装置定数kconcは,式(6)から算出できる。
なお,組み合わせた校正定数kcは,式(4)によって求められる。
ApVint
kconc (6)
dn dc cVI
ここに, Ap : 全ピーク面積
c : 注入した試料溶液の質量濃度
VI : 注入容量
Vint : データ取得時間間隔中の溶出体積(cm3)

9.2 遅延体積の測定

  検出器間の遅延体積は,LSクロマトグラムのピークの頂点と濃度クロマトグラムの頂点との差から求め
る。遅延体積を構成する配管容量が変化した場合は,遅延体積を再測定する。

9.3 検出感度の規格化

  多角光散乱検出器の場合,同じ値のレイリー比がそれぞれの光散乱強度で得られるように,異なる角度
での検出感度を,各角度での出力シグナルから測定する。検出感度は,6.3に規定する校正用の標準物質
溶液を注入し,各検出器からの出力シグナルを記録することによって得られる。各検出器からの出力シグ
ナルは,標準検出器に合わせて規格化する。この場合,90度に設定された検出器が標準とされることが多
い。

9.4 屈折率増分の測定

  光散乱と示差屈折率検出器とを用いるSEC-LS測定では,屈折率増分dn/dcが被検物質の絶対分子量測
定に必要になる。dn/dcの値は,実測を行うか又は文献から得られる(B.3参照)。
示差屈折率検出器の種類,使用する波長,溶媒の種類,溶質温度,dn/dcを算出する手法などの実験条件
を報告する。dn/dcが既知の標準試料を用いてポリマー試料のdn/dc値の測定を行った場合,被検物質の分
子量算出に用いた方法を報告する。

10 データ収集及び解析

10.1 データ収集

  JIS K 7252-1の8.1(データ収集)による。

10.2 データの検定及びクロマトグラムの補正

  JIS K 7252-1の8.2(データの検定及びクロマトグラムの補正)による。

10.3 データ解析

10.3.1 ベースラインの決定
濃度クロマトグラムについては,JIS K 7252-1の8.3.1(ベースラインの決定)による。LSクロマトグラ

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JIS K 7252-5:2016の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 16014-5:2012(IDT)

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