JIS R 1607:2015 ファインセラミックスの室温破壊じん(靱)性試験方法 | ページ 3

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a) 規格番号及び試験方法の種類(SEPB法)
b) 試験片の長さ(試験片I又は試験片IIかを明記する。)
c) 試験ジグの形式(回転形又は固定形の別)
d) 試験条件(温度,湿度,その他必要な事項)
e) 5.3.6の規定に合格した試験片の個数
f) 破壊じん性(モードIの臨界応力拡大係数)KICの平均値
例 破壊じん性KICの計算例(タイプII試験片の場合)
値 測定値
P 29.8 (N)
S 30.0×10−3 (m)
B 3.00×10−3 (m)
W 4.00×10−3 (m)
a 2.63×10−3 (m)
Y(a/W)=1.964−2.837×(2.63/4.00)+13.711×(2.63/4.00)2−23.250×(2.63/4.00)3
+24.129×(2.63/4.00)4=3.93
KIC=[29.8×(30.0×10−3)/(3.00×10−3)/(4.00×10−3)3/2]×[3/2×(2.63/4.00)1/2×3.93]
=5.63×106 Pa・m1/2=5.63 MPa・m1/2
5.5.2 試験結果報告書には,次の項目についての記録を付記することが望ましい。
a) 破壊じん性(モードIの臨界応力拡大係数)KICの範囲
b) 予き裂長さの平均値及び各測定値
c) 素材の製造工程,素材の寸法及び形状,試験片の採取位置及び方向
d) き裂発生起点の種類及び導入条件
e) 予き裂導入条件(アンビル中央溝の幅,ポップイン荷重など)

6 IF法

6.1 試験機

  JIS B 7725に規定するもの又はこれに準じるものを使用する。

6.2 試験片

6.2.1  試験片の気孔率
試験片の気孔率は,き裂長さを容易に測定できる程度に十分に小さくなければならない。
6.2.2 試験片の厚さ
試験片は,き裂長さが影響を受けない程度に十分な厚さのものでなければならない。試験片の厚さは,3
mm以上が望ましい。
6.2.3 試験面
試験面は,平面とし,試験機の圧子取付軸に垂直でなければならない。試験面の仕上がりは,き裂長さ
を容易に測定できる程度に滑らかでなければならない。試験面の仕上げには,表面加工変質層の除去に留
意する。試験面の表面粗さは,JIS B 0601に規定する0.10 刀慎 下が望ましい。

6.3 試験方法

6.3.1  押込荷重及び保持時間
押込荷重は,ほかに制限がない限り大きく選ぶのがよい。押込荷重を規定の大きさに保つ時間は,特に

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指定がない限り15秒間とする。
6.3.2 試験回数
試験回数は5回以上とし,それぞれの圧こんの中心間距離は,通常,き裂長さの5倍以上とする。
6.3.3 圧こん及びき裂長さの測定
図7に示すように,圧こんの対角線長さとき裂長さとを試験機附属の顕微鏡,金属顕微鏡などを用いて,
押込み後10分間以内に測定する。ただし,測定箇所には離がなく,かつ,き裂は次の条件を満足しなけ
ればならない。
図7−圧こん及びき裂の対角線長さ
a) き裂は,圧こんの四角から圧こんの対角線延長線上に発生している。
b) 直行する2方向のき裂長さの差は,平均き裂長さの10 %以下である。
c) き裂長さは,圧こんの対角線長さの2.5倍以上である。

6.4 計算

  破壊じん性KCは,個々の圧こんの測定値から次の式によって算出し,JIS Z 8401によって有効数字3桁
21
に丸める。6.3.3の規定に合格した5個以上の試験片の破壊じん性KCの平均値を求め,MPa・ m単位に換
算してJIS Z 8401によって小数点以下1桁に丸める。
21 2121
E P EPa
KC .0018 23 .0026 23
HV C C
21
ここに, KC : 破壊じん性(Pa・ m)
E : 弾性率(Pa)
HV : ビッカース硬さ3)(Pa)
P : 押込荷重(N)
C : き裂長さの平均の半分(m)
a : 圧こんの対角線長さの平均の半分(m)
なお,弾性率はJIS R 1602によって測定した値を用いる。また,ビッカース硬さ(HV)はJIS R 1610
に規定する計算式によって求める。
注3) ビッカース硬さは,JIS Z 2244では単位を付けてないように規定しているが,ここでは単位の
整合をとるため単位(Pa)を付けている。
注記 破壊じん性KCの式については,三好らの文献が参考となる。

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6.5 報告

  試験結果報告書には,次の事項を記載しなければならない。
a) 規格番号及び試験方法の種類(IF法)
b) 試験回数
c) 押込荷重
d) き裂長さの平均の半分(C)及び圧こんの対角線長さの平均の半分(a)
e) 破壊じん性KCの平均値
例 破壊じん性KCの計算例
値 測定値
E 365×109 (Pa)
HV 18.5×109 (Pa)
P 196 (N)
C 300×10−6 (m)
a 70.0×10−6 (m)
KC=0.018×(365/18.5)1/2×[196/(300×10−6)3/2]=3.02×106 Pa・m1/2=3.02 MPa・m1/2
KC=0.0264×(365×109)1/2×1961/2×(70.0×10−6)/(300×10−6)3/2=3.01×106 Pa・m1/2=3.01 MPa・
m1/2

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附属書JA
(参考)
SEPB法における推奨事項
JA.1 予き裂導入ジグ
ポップイン(pop-in)き裂進展長さは,試験材料の破壊じん性などの性質,発生起点の種類・導入条件,
アンビル中央溝の幅などに依存する。したがって,5.3.6に規定する範囲内になるように,試験材に応じて
アンビル中央溝の幅を試行錯誤で選定する必要があるが,溝幅を可変にしたアンビルは剛性不足になりや
すいので,溝幅が異なるアンビルを数個用意するのがよい(溝幅の範囲は通常36 mm)。
圧縮ジグの下面及びアンビルの上面の平面度は,JIS B 0621に規定する0.01 mm以下であることが望ま
しく,それらの粗さは,JIS B 0601に規定する0.20 刀慎 下であることが望ましい。
なお,長期間使用によるジグの損耗の影響を避けるために,定期的にジグの校正を行うことが望ましい。
また,ジグの耐圧限界以上の不用意な負荷はジグを損傷するので注意を要する(円滑な荷重伝達のために
球,球座などの補助部品を用いるとよい。圧縮ジグは一体物である必要はなく,試験片に接する部分にフ
ァインセラミックス製の板を接着するなどすればジグが長持ちする。圧縮ジグとアンビルとの相互の位置
合せを的確にするためには,外枠などの補助部品が有用である。試験片の長さ方向をアンビルの中央溝の
縁の線に直交させ,予き裂発生起点をアンビルの中央溝の真ん中に的確に配置するために,補助部品など
を用意すると便利である。)。
JA.2 予き裂発生起点及び予き裂の導入位置
図1及び図2において重要なことは,予き裂発生起点及び予き裂の位置であり,試験片の両端の位置が
左右対称である必要はなく,試験片の長さによってアンビルを交換する必要もない。ただし,不本意な応
力集中を避けるために,試験片の端が圧縮ジグの下面の端及びアンビルの上面の端より内側に位置しては
ならない(発生起点を試験片の片端から一定距離に導入すれば,以降は試験片の片端の位置を決めさえす
ればよいので,作業が容易になる。)。
JA.3 切欠きの幅及び深さ
はん(汎)用性を考慮して切欠きの幅は0.2 mm以下と規定したが,幅は狭いほどポップイン(pop-in)
が起こりやすい。0.6 mm以上の深い切欠きからはポップイン(pop-in)が起こらず,き裂が安定進展する
ことがあるので望ましくない。
JA.4 予き裂導入
騒音環境で予き裂導入を行う場合には,ジグに音響検出器を接続すればポップイン(pop-in)信号の検
知が容易になる。大気中の水蒸気に起因する応力腐食割れが起こることがあるので,荷重増加速度が294
N/s以上であることが望ましい。ポップイン(pop-in)き裂が進展し難い高じん性材料の場合,試験片上面
と圧縮ジグ下面との間にアルミニウムホイルを挟んで圧縮すると進展することがある。
JA.5 予き裂導入の確認及び予き裂長さの測定
アルミナ,ジルコニアなど,予き裂が見えにくい材料の場合は,油性ペンなどの染料をアセトンに溶か

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して予き裂に染み込ませるとよい(その場合,十分に乾燥してから3点曲げ試験を行う。)。
なお,導入された予き裂の長さが規定の上限を超える場合には,安定き裂進展の疑いがある。
参考文献 JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験−試験方法
Srawley J.E : Int. J. Fracture, 12, 475(1976)
若井史博,阪口修司,松野外男 : 窯業協会誌,93(8), 479 (1985)
三好俊郎,佐川暢俊,佐々正 : 日本機械学会論文集(A編),51(471), 2489 (1985)

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JIS R 1607:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 15732:2003(MOD)

JIS R 1607:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS R 1607:2015の関連規格と引用規格一覧