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JIS R 3103-1:2001 規格概要
この規格 R3103-1は、ガラスの軟化点の測定方法について規定。この方法は,仕様書の採択及びガラスの研究開発業務における情報提供の目的で組成の変化を示すための管理試験として有用である。
JISR3103-1 規格全文情報
- 規格番号
- JIS R3103-1
- 規格名称
- ガラスの粘性及び粘性定点―第1部 : 軟化点の測定方法
- 規格名称英語訳
- Viscosity and viscometric fixed points of glass -- Part 1:Determination of softening point
- 制定年月日
- 2001年2月20日
- 最新改正日
- 2016年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- ISO 7884-6:1987(MOD)
- 国際規格分類
ICS
- 81.040.01
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- ‐
- 改訂:履歴
- 2001-02-20 制定日, 2007-02-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
- ページ
- JIS R 3103-1:2001 PDF [14]
R 3103-1 : 2001
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する同法第12条第1項の規定に基づき,社団法人 日
本セラミックス協会 (CerSJ) 及び財団法人 日本規格協会 (JSA) から工業標準原案を具して日本工業規格(日本産業規格)
を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格(日本産業規格)
である。これによってJIS R 3104 : 1970は廃止され,この規格に置き換えられる。
JIS R 3103-1には,次に示す附属書がある。
附属書1(規定) 軟化点測定炉
附属書2(参考) JISと対応する国際規格との対比表
JIS R 3103ガラスの粘性及び粘性定点の規格群は,次に示す部編成となっている。
JIS R 3103-1 第1部 : 軟化点の測定方法
JIS R 3103-2 第2部 : 繊維引き伸ばし法による徐冷点及びひずみ点の測定方法
JIS R 3103-3 第3部 : 熱膨張法による転移温度測定方法
(pdf 一覧ページ番号 )
――――― [JIS R 3103-1 pdf 1] ―――――
日本工業規格(日本産業規格) JIS
R 3103-1 : 2001
ガラスの粘性及び粘性定点−第1部 : 軟化点の測定方法
Viscosity and viscometric fixed points of glass− Part 1 : Determination of softening point
序文 この規格は,1987年に第1版として発行されたISO 7884-6, Glass−Viscosity and viscometric fixed
points−Part 6 : Determination of softening pointを元に,対応する部分については原国際規格を翻訳し,技術
的内容を変更することなく作成した日本工業規格(日本産業規格)であるが,原国際規格に規定されていない規定項目を日
本工業規格として追加している。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,ガラスの軟化点の測定方法について規定する。この方法は,仕様書の採択及
びガラスの研究開発業務における情報提供の目的で組成の変化を示すための管理試験として有用である。
試料を調製する間又は試験中に失透が起こらなければ,すべてのガラスに適用できる。
軟化点は,ガラスの種類によって3701 000℃の範囲にある。
備考 この規格の対応国際規格を次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 7884-6 Glass−Viscosity and viscometric fixed points−Part 6 : Determination of softening point
(MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS B 7502 マイクロメータ
JIS B 7503 ダイヤルゲージ
JIS C 1602 熱電対
備考 IEC 60584-1 : 1977, Thermocouple : Part 1 Reference tables及びIEC 60584-2 : 1982,
Ther-mocouple : Part 2 Tolerancesからの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS C 2520 電熱用合金線及び帯
JIS Z 8401 数値の丸め方
ISO 7884-1 Glass−Viscosity and viscometric fixed points−Part 1 : Principles for determining viscosity and
viscometric fixed points.
ISO 7884-3 Glass−Viscosity and viscometric fixed points−Part 3 : Determination of viscosity by fibre
――――― [JIS R 3103-1 pdf 2] ―――――
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R 3103-1 : 2001
elongation viscometer.
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
3.1 軟化点 近似的にこれより低い温度では,そのガラスのほとんどの成形操作が不可能な温度。
備考1. 約107.6dPa・sの粘度は,次の物性をもつガラスの軟化点に対応させることができる。密度
2.5g/cm3で表面張力 300mN/m(密度と表面張力が他の値のガラスに対しては,ISO 7884-1
参照)
2. 軟化点は,リトルトン温度ともいう。
4. 原理 寸法が一定の許容範囲にある直径0.65mm,長さ235mmの円形断面のガラス繊維が,上部の長
さ100mmを規定した炉中で (5±1) ℃/minの速度で昇温したとき,自重で1mm/minの速度で伸びるよう
な温度をもって軟化点とする。
参考 原理的に,この方法に使用する装置は,繊維引き伸ばし粘度計に相当する(ISO 7884-3参照)。
試験試料,操作及び装置は,厳密に定義した条件によっていて,規定した温度の点を再現性よ
く求めることができる。ただし,対応する粘性の値はやや正確性を欠く。
5. 装置
5.1 炉 炉は,本質的に附属書1に示す条件に従うものとする。使用可能ならば,同等の材料を使うこ
ともできる。
5.2 炉の支持台 支持台は,附属書1のように,ガラス窓付き下箱及び底板で構成される。
吊り下げたガラス繊維の下部を囲うように,炉を支持する支持台を取り付ける。この支持台には水平レ
ベル調整用に,例えば,三つのスクリューを取り付ける。附属書1における支持台は,カセトメーター又
は望遠鏡と目盛板の組合せとともに使用すると便利である。
5.3 昇温速度制御 炉の昇温速度を (5±1) ℃/minに維持できる適切な制御器を備える。連続可変電圧調
整器が昇温速度の調節に効果的である。
5.4 温度測定及び指示計
5.4.1 アルミナ絶縁したJIS C 1602に規定するタイプSの白金−10%ロジウム/白金熱電対,タイプR
の白金−13%ロジウム/白金熱電対,又はJIS C 1602に規定するタイプKのニッケル−クローム/ニッケル
熱電対を附属書1図1のように二つあな(孔)絶縁管に入れる。熱電対の熱慣性は小さくする(熱電対素
線の直径は,0.5mmを超えてはならない。)。
5.4.2 測定用の熱電対の熱接点は,附属書1の規定によって,炉の炉心内に置く。測定用熱電対は,校正
品を使用し,定期的に校正する。
5.4.3 熱電対の起電力は,ポテンシオメータによるゼロ電流法で求めるか,又は,JIS C 1602に規定する
タイプS又はタイプRの熱電対については1 の,JIS C 1602に規定するタイプKの熱電対につ
いては4 の高抵抗電子増幅器を使用して求める。冷接点のアイスバスは,試験中0℃に維持する
ことに注意する。もし,温度測定装置に自動冷接点補償が付いているならば,アイスバスは,取り除いて
もよい。
5.5 繊維の伸び測定装置 繊維の伸びは,伸びの全期間を通して0.02mm以内の精度で繊維の端の位置
を測定できる装置を使って測定する。
備考 伸びの測定に効果的で適切な装置には,光学的なものと電子的なものとがある。ある種の装置
――――― [JIS R 3103-1 pdf 3] ―――――
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は,例えば,短いオプティカルベンチによって炉の支持台に固定すると便利である。
5.6 繊維の直径測定装置 繊維の直径は,目盛間隔が0.01mmの適切な器具(例えば,JIS B 7502に規定
するマイクロメータ又はJIS B 7503に規定するダイヤルゲージ)によって測る。
5.7 タイマ 最低のカウント及び精度が1秒のタイマをタイミング装置として用いる。
6. 試料の調製
6.1 試験用の繊維試料は,次の条件を満たすものとする。
a) 断面が丸いもの。
b) なめらかでボイドも異物も含有していない。
c) 繊維試料の平均直径は,0.65±0.1mmとする。また,繊維の全長における直径の最大値は,直径の最
小値より0.02mm以上大きくてはならない。
d) 繊維試料の長さは,先端の球状部分の首元から全長235±1mmとする。
6.2 この条件によった試験繊維は,2本の非溶融性の棒(白金合金,磁器及び石英ガラスのようなもの)
の間に,試験すべき清浄なガラス試料を取り付けて,繊維を引くためバーナー加工でガラスを十分に流動
化させて引き伸ばして作る。試料が長い棒状であるなら,取っ手の棒に着けずに,直接バーナー加工する
ことができる。
でき上がった長い繊維から使用可能な断面の繊維を折り取り,繊維の一端を火炎中で溶かして丸める。
他端は,定まった長さに折り取り,端部は必要ならばファイアポリッシする。
なお,繊維は,他の適切な方法で引くこともできる。
7. 操作
7.1 標準ガラスによる校正 装置の校正は,軟化点が測定試料ガラスに近い適切な(一つ又は複数の)
標準ガラス(1)を用い,その軟化点を繰り返し測定して実施する。具体的には,まず,この標準ガラスの軟
化点の測定値と,軟化点(1)の保証値との差を計算する。複数の標準ガラスを用いる場合には,この差の平
均値を算出する。もしも,測定値と保証値との差の平均値が1℃を超えるならば,試験用ガラスの軟化点
の測定に対する補正としてこの値を加算するか差引く。
注(1) SO 7884-1 annex B, Example of certified reference glasses for viscometric calibration参照
備考 標準ガラスがないときには,受渡当事者間の協定による標準ガラスを用いることもできる。
7.2 測定
7.2.1 炉の温度分布を均一にするために,予想される測定ガラスの軟化点より約30℃高い温度に炉を昇
温する。次に予想される軟化点の下約20℃に炉を冷却し,昇温速度が (5±1) ℃/minになるように昇温制
御器の設定を決める。
7.2.2 再び炉を冷やし,予想される軟化点の下約20℃に保持し,次いで試料の端の球を試料保持具に掛
けて,繊維を炉内に挿入する。このとき,繊維が炉に接触せずに,炉の中心につり下がっていることを確
認する。必要ならば,炉のレベル合わせをする。そして,温度測定器を準備し,伸び測定器を調整する。
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7.2.3 炉の昇温速度制御を (5±1) ℃/minに設定する。繊維下端を観察し,炉温上昇に従いそれが約
0.1mm/minの速度で伸び始めたならば,0.02mm単位以下で繊維の長さの記録を開始する。1分ごとの終わ
り長さを読み取り,長さの読みに対して0.5分ずらした1分ごとの間隔で炉温を記録する。毎分の長さの
変化量は,長さ読み取り時間の中央の時刻における伸び速度となる。伸び及び温度の読み取り記録を,毎
分の伸びが1.2mm又はそれ以上に達するまで続ける。伸び速度が1.2mm/minを超えたら,繊維を炉から取
り出し,繰り返しの測定ができるように炉を冷却する。
別の方法として,長さを0.5分と1分の時点で読み,0.25分と0.75分の時点で温度を読み,長さ及び温
度の読み取りを0.5分当たりの伸び速度が0.6mm又はそれ以上に達するまで続けてもよい。
8. 計算
8.1 計算法 伸びが1mm/minになる温度を求める。ポテンシオメータ又は温度の読みを等間隔目盛に,
単位時間当たりの長さの差を対数目盛上にとって,データを片対数方眼紙上にプロットする。グラフ上の
データの点群に引いた直線が,1mm/minの線と交差した点を軟化点を示すものとして採用する。必要なら
ば,7.1に規定した補正値で補正する。測定値は,JIS Z 8401によって1 ℃のけたに丸める。
もし,2本の繊維に対する結果が2℃を超えているならば,引き続き新しい2本の繊維を用いて,あらた
めて測定を行う。
8.2 精度及び正確性 この方法は,一般的に1℃の再現性がある。
結果の正確さは,校正操作(7.1)に示したように,適切な標準ガラスの軟化点を測定して検定する。
9. 試験報告 試験報告には,次の事項を含む。
a) 使用した規格
b) 試料の記述
c) サンプリングの方法
d) 試験試料の数
e) 使用した装置の形式
f) 試験試料の調製法
g) 計算法(8.1)
h) 適用した補正
i) 摂氏表示の軟化点(二度の測定結果の平均値)
j) 試験中又は試験後観察したガラスの何らかの変化
――――― [JIS R 3103-1 pdf 5] ―――――
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- ISO 7884-6:1987(MOD)
JIS R 3103-1:2001の国際規格 ICS 分類一覧
- 81 : ガラス及びセラミック工業 > 81.040 : ガラス > 81.040.01 : ガラス一般