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T 0801 : 2016 (ISO 11135 : 2014)
D.11 滅菌からの製品のリリース
D.11.1 この確認は物理的サイクル変数が滅菌プロセス仕様で規定された許容範囲内であることについ
て,指名された者(又はバリデートした自動プロセス)によるプロセス文書の正式なレビューを含めると
よい。パラメトリックリリースが承認され用いられている場合,あらかじめ定めたプロセスパラメータに
適合することを基に製品をリリースできる。
製品の滅菌に続く日常のリリースでは,紙の代わりに電子的記録の確認に基づく場合がある。同様に,
要求される署名は電子的に行う場合もある。電子的署名,及び記録の使用者はこの種の文書の国家及び/
又は国際的要求事項を認識し,それに合致するとよい。プロセス記録,及びリリースの決定のレビューは,
認定を受けた個人が実施するとよい。
D.11.2 指針はない。
D.11.3 物理的仕様に適合しない又はBI(用いる場合)の微生物の生育を観察した場合,滅菌負荷を隔離
区域へ置き,これらの失敗の原因を調査するとよい。この調査は文書化し,引き続き製品の取扱いは文書
化した手順に従うとよい。
制御又は監視センサが故障した場合,次の事項以外,その運転結果の受入れは不可である。
a) 故障の原因が突き止められる。
b) 残りのセンサのデータが仕様内である。
負荷を再処理すると決定した場合,製品及び包装の再滅菌に対する適合性を立証しておくとよい。繰返
しの滅菌ばく露による製品の機能性とEO残留物及び/又は反応生成物のレベルへの影響を考慮するとよ
い。元の滅菌の記録は再滅菌の記録からトレースできるとよい(7.2.2参照)。
包装システムに対する繰返しばく露の影響が分からない場合,製品は再滅菌前に再包装するとよい。
D.11.4 指針はない。
D.12 プロセス有効性の維持
D.12.1 一般
D.12.1.1 プロセスが要求する製品のSALを達成し続けていることを確実にするために,製品,包装,プ
ロセス及び装置へのあらゆる変更を評価する必要がある。製品及びプロセスについての包括的な変更管理
システムの使用が推奨される。
負荷を滅菌する継続した能力を確実にするため,一般的に監視する一つのパラメータは,その製品のバ
イオバーデンである。バイオバーデンは,JIS T 11737-1に従ってモニターするのがよい。微生物数及び/
又はタイプに大きな変化が認められる場合,負荷を適切に滅菌する滅菌プロセスの能力に与える可能性の
ある影響を評価するとよい。
ヘルスケア施設では,洗浄/消毒プロセスが,引き続き有効であり,これに続いて実施する滅菌プロセ
スの準備として適切なバイオバーデンの減少を与えることを確認するために,この洗浄/消毒プロセスの
有効性に関するデータの定期的な見直しを推奨する。洗浄した機器は最終滅菌の前に清浄度の目視検査を
するとよい。清浄化されてない医療機器は滅菌しないとよい。医療機器を適切に滅菌前に清浄化したこと
を確実にするための方針及び手順を準備するとよい(ISO 17664及びISO 15883規格群を参照)。
ヘルスケア施設にとって,例えば,分解のような,その医療機器に固有であり詳細な再生処理指示書を
医療機器の製造業者から得ることが必須である。機器を清浄化したということを確実にするための方針及
び手順を準備するとよい。
D.12.1.2 要求するSAL及び性能特性をもつ製品を継続して提供するプロセスであることを確実にするた
――――― [JIS T 0801 pdf 56] ―――――
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T 0801 : 2016 (ISO 11135 : 2014)
めに,滅菌及び監視装置の校正のための文書化されたプログラムが必要である。
D.12.2 装置のメンテナンス
D.12.2.1 効果的であるために,予防メンテナンス活動は,製造業者の推奨と装置の性能に基づき定めた
スケジュールに従うとよい。手順を文書化し,保守要員は訓練するとよい。
日常的に保守すべき装置及び/又は校正すべき装置は次のプレコンディショニング,チャンバ,及びエ
アレーション装置を含む場合があるが,これに限定しない。
a) ガスケット及びシール
b) 監視計器
c) O監視装置(すなわち,環境及び/又はチャンバ)
d) 扉安全インターロック
e) 圧力安全弁又はラプチャーディスク(破裂板)
f) フィルタ(定期交換用)
g) 蒸発器/気化器
h) チャンバジャケット再循環システム
i) チャンバジャケットシステム
j) 聴覚的,及び視覚的警報
k) 温度及び湿度センサ装置
l) 蒸気,及び熱供給用ボイラシステム
m) 排気装置(真空ポンプ)
n) はかり(秤)
o) バルブ
p) 圧力変換器
q) タイマ
r) 記録計
s) 空気/ガス循環システム
D.12.2.2 校正していない,又は正しく保守していない滅菌装置は,滅菌サイクル中のプロセスパラメー
タの誤った記録を生成することがある。このデータを製品のリリースに用いた場合,正しく滅菌していな
い負荷がリリースされることがある。
D.12.2.3 指針はない。
D.12.2.4 保守記録を定期的にレビューし,データによって示された全ての調整をすることが必要である。
D.12.3 適格性の再確認
D.12.3.1 IQのレビューは制御及び監視装置の校正状況が許容範囲にあることの確認を含むとよい。変更
管理及び予防メンテナンスプログラムは,滅菌器への変更を実施してないか,又はそのプロセスに影響す
る可能性のある重大な変更を実施していないことを示す。
D.12.3.2 OQのレビューは,元のOQがその年の間で引き続き有効な結果であることを確実にするために,
装置の性能及びエンジニアリング的な変更の評価を含めるとよい(図D.1参照)。
そのために,装置の定期的な適格性の再確認を実施するのが一般的である。次の事項を含めるとよい。
a) 装置のIQ状況のレビュー
b) 装置性能の傾向の評価
c) プレコンディショニングエリア(用いる場合)の温度及び相対湿度プロファイル
――――― [JIS T 0801 pdf 57] ―――――
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d) チャンバ温度プロファイル
e) エアレーションエリア(用いる場合)の温度プロファイル
これらの適格性の再確認は,前の適格性の(再)確認以来プレコンディショニング(行う場合),チャン
バ又はエアレーションエリアの性能に重大な変化がないことを示すとよい。これらの試験の結果として装
置の変更が必要な場合,OQの適格性の再確認は繰返しが必要とされる場合もある。
注記 複数の滅菌負荷を入れる大きなプレコンディショニング又はエアレーションルームについて,
装置の重大な変更がない場合,適格性の再確認の範囲は削減することができる。削減した適格
性の再確認の根拠は文書化する。
D.12.3.3 PQのレビューは,その滅菌プロセスが指定した製品に対して引き続き有効であるとの評価を含
むとよい。
考慮する事項は,次を含むが,これに限定しない。
a) 装置のIQ状況のレビュー
b) 装置のOQ状況のレビュー
c) 製品の無菌性に影響する可能性のある製品設計,製造及び包装材料,PCD,供給者,製造エリア又は
施設,載荷形態,又は製造プロセスに重大な変化がないことの確認。
d) 著しい製品バイオバーデンの増加がない,及び/又は滅菌プロセスに対する製品バイオバーデンの抵
抗性の変化がないことの確認。これらの数の増加及び/又は抵抗性の変化は,あらかじめ定めたSAL
に製品を滅菌する滅菌プロセスの能力に悪影響を与える場合がある。
e) 前回の適格性の確認以来,個々の滅菌プロセスを仕様限度内で操作していたことの確認。
f) 製品の無菌性に影響する可能性のある滅菌プロセスに対する変化がないことの確認。
g) プロセス仕様(物理パラメータ)が合致していたのにBI又はPCDの無菌性が失敗したことがある場
合,そのレビュー(適格性の再確認が保証されるかどうかの決定のため)。
このレビューに基づき滅菌専門家は物理的及び微生物学的な適格性の再確認に要求される範囲を決める
とよい。レビュー及び判定は文書化するとよい。
レビューの結果として,適格性の再確認に利用できる三つの選択肢がある。
− フルの適格性の確認 − PPQ及びMPQで構成する。これには,例えば,製品/包装設計又は形
態(新規のワーストケース状態を創り出す),プロセス設計又は装置/サービスに対する重大な変更
がある場合に要求されることがある。
− 物理的又は微生物学的な再適格性の再確認は要求されない。 − 製品,包装,装置/サービス及
びプロセスに変更がなく,許容できる滅菌器性能及びエンジニアリングレビュー,及び日常の滅菌
プロセスがその該当期間で信頼できる状態で運転していたような状況では,次回のレビューまで,
物理的又は微生物学的な適格性確認検討の実施が不要であることを正当とするのに専門的判断を用
いることができる。
− 削減したMPQ及びPPQ − これはある状況において必要となる。例えば,製品バイオバーデン
の抵抗性に対する製品負荷内の内部PCDの抵抗性の適切性が継続していることを検証する,又は定
めた間隔の後,前回の適格性の再確認検討以来,不注意な変更がない証拠を示す。これには通常,
負荷の温度と湿度測定を含む最低1回の部分又はハーフサイクルばく露が含まれる。研究用滅菌器
での部分サイクルも適格性の再確認プログラムをサポートするために使用できる。しかし,製造用
滅菌器の適格性の再確認は製造用滅菌器で実施するとよい。
記録した文書のレビューによって製品又は滅菌プロセスで全ての変化を検証するために,1回のMPQサ
――――― [JIS T 0801 pdf 58] ―――――
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イクル及び負荷温度,湿度測定(MPQ及びPPQ)を,少なくとも2年に1回実施することが推奨される。
滅菌プロセス仕様を変更した場合,滅菌プロセスの適格性の再確認はJIS T 0993-7に規定したEO残留
物の許容限度値に製品が適合していることの確認も含めるとよい。
上記の全ての場合,その決定と同様にその決定の理由を文書化すること,及び適格性の再確認の次回以
降のレビューの計画を定めることは重要である。
次回の年次レビューへのフィードバック
年次レビュー
・装置 Yes Yes
・変更 変更 重大な変更 フルの適格性の
・校正 再確認
・メンテナンス
・製品 No
・設計 No
・包装
適格性の再認 No
・材料 削減した適格性の
識を最近2年 再確認
・製造プロセス 以内に実施
・バイオバーデン
・載荷形態
・プロセス
Yes
・逸脱
・プロセス失敗 文書化した根拠
注記 一つ以上の載荷形態をバリデーションしている場合には,全ての適格性の再認識の活動に反映するのがよい。
図D.1−適格性の再確認ディシジョンツリー
D.12.3.4 適格性の再確認は,軽微な変更の度重なる影響が,滅菌プロセスの有効性を損なっていないこ
とを確認するために実施する。
適格性の再確認には,JIS T 0993-7の製品のEO残留物に適合することの検証を含んでもよい。
不注意なプロセス変化が起きていないことを確認し,元のバリデーションが引き続き有効であることを
立証するために,少なくとも毎年,滅菌プロセスの適格性の再確認の実施の必要性について正式な評価を
することは重要である。
適格性の再確認プログラムは,毎年,元のバリデーションの妥当性を維持するのに必要な性能の変動の
許容できる範囲及び水準を定めるとよい。
D.12.3.5 不適合の根本原因を決定するために,調査を開始するとよい。適格性の再確認の妥当性に対す
る不適合の影響は,評価し,至った判断の理由は文書化するとよい。適格性の再確認に関連する引き続く
処置は,適切な品質システムの監視とともに進めるとよい。
D.12.4 変更の評価
D.12.4.1 次の事項は,適格性の再確認を必要とする場合があるがこれに限定しない。
a) 大規模な滅菌器の修理及び変更(制御装置の交換,大規模な改造又は新規の部品の設置)
b) 構造の変更又は移設
c) 日常滅菌の中での説明不可能な滅菌の失敗
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d) 製品の変更
e) 包装の変更
f) 滅菌剤及び/又はその供給方法の変更
g) 滅菌への製品の提供方法又は載荷形態の変更
h) 負荷密度の変更
全ての適格性の再確認で用いた参照負荷について,参照負荷が,変更後の製品/形態の代表であること
を確実するために,加えた変更について考慮することは重要である。
D.12.4.2 製品バイオバーデン数又は抵抗性に影響する可能性のある材料,製造場所又はプロセスの方法
に変更を行った場合,適格性の再確認検討が必要となることがある。その検討は,製品バイオバーデン数
又は抵抗性が,内部PCDの適切性又は要求される製品SALへの達成を損なうような水準には増加してい
ないことを立証するとよい。
D.12.4.3 負荷及び載荷形態の再評価によって,滅菌プロセスの有効性に影響する変更が明らかになった
場合,それらの変更は適格性の再確認検討に組み込むとよい。
D.12.4.4 指針はない。
D.12.4.5 指針はない。
D.12.4.6 指針はない。
D.12.5 同等性の評価
D.12.5.1 プロセスの同等性
プロセスの同等性は,二つ以上の装置によって同一のバリデートした滅菌プロセスを提供できることの
立証に用いる方法である。装置が物理的に同等であることは要求しない。たとえ装置から取得したパラメ
ータが統計的に同等ではなくとも,定義しバリデートしたプロセス限界で運転できるならば,同等である
といってもよい(AAMI TIR28 [26]参照)。
複数の装置間のプロセス同等性は,そのプロセスの適格性の確認をするときに要求する試験の量の最小
化を意図する。滅菌プロセスは一つの装置でバリデートするとよい。残りの装置でIQ及びOQ(9.2及び
9.3参照)を実施している場合,残りの装置では削減したPQが可能である。同等性は,また,幾つかの装
置での削減した適格性の再確認に使用可能である。滅菌プロセスを提供する装置は一般的に,チャンバ又
は部屋及び附属する制御システムで構成される。滅菌処理装置群を一つの製造施設,又は幾つかの施設に
設置しているかもしれない。この装置群は,同一のプロセス条件を提供するために独立して使用が可能で
ある場合,全く同じ設計はもちろん,サイズが異なる又は附属装置に違いがあってもよい。
プロセスの同等性は,微生物学的評価と組み合わせたプロセスデータの分析を通して確立できる。この
プロセスデータは,候補の装置が制御の許容範囲内(例えば,バリデートしたプロセスパラメータを信頼
性よく製品に運用していること)であることを立証するとよい。データの分析によって,プロセスがあら
かじめ定めたバリデートしたパラメータについて許容範囲内で運転していることを確認するとよい。微生
物学的評価は,要求するSALの達成を立証することになる。
D.12.5.2 プロセスの同等性の判定基準
プロセスの同等性は,その装置が同じ施設又は異なる施設に設置されているかどうかにかかわらず確立
することができる。プロセスの同等性のプログラムを設定する前に適合すべき判定基準は次の事項である。
a) 箇条9の要求事項に従った少なくとも一つの既存システムの滅菌プロセスのフルバリデーション
b) 全ての装置を技術仕様要求事項に従って据え付け,それらの要求事項に従って運転したことの立証及
び文書化したIQ及びOQ検討
――――― [JIS T 0801 pdf 60] ―――――
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JIS T 0801:2016の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 11135:2014(IDT)
JIS T 0801:2016の国際規格 ICS 分類一覧
JIS T 0801:2016の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISQ10012:2011
- 計測マネジメントシステム―測定プロセス及び測定機器に関する要求事項
- JIST0993-7:2012
- 医療機器の生物学的評価―第7部:エチレンオキサイド滅菌残留物
- JIST11737-1:2013
- 医療機器の滅菌―微生物学的方法―第1部:製品上の微生物群の測定方法
- JIST11737-2:2013
- 医療機器の滅菌―微生物学的方法―第2部:滅菌プロセスの定義,バリデーション及び維持において実施する無菌性の試験