JIS T 0801:2016 ヘルスケア製品の滅菌―エチレンオキサイド―医療機器の滅菌プロセスの開発,バリデーション及び日常管理の要求事項 | ページ 9

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T 0801 : 2016 (ISO 11135 : 2014)
c) かん(嵌)合部に微生物学的チャレンジを配置したもの
d) 組み合わせた封筒又は包装に微生物学的チャレンジを配置したもの
幾つかのPCDの設計品は,ヘルスケア施設で用いるために推奨されている。
注記 詳細な情報はANSI/AAMI ST41 [22]参照。内部及び外部PCDの詳細はD.8.6も参照。
内部PCDの作製のために,微生物学的チャレンジは直接又は間接的のいずれでも製品上に接種できる。
直接接種は製品上に芽胞の懸濁液を接種する。間接的接種は,包装内又は製品の中/上のいずれかに接種
担体を置く。
次の事項はPCDを作製する種々の方法である。
a) 接種製品 : 滅菌する製品に直接的又は間接的に接種してPCDを作製する。
b) 接種した模擬製品 : 模擬製品は,直接又は間接に接種してPCDとして作製する。模擬製品は,製品フ
ァミリ内の全ての製品を適切に代表し,そのプロセスに対して最も滅菌しにくいものとして知られて
いる医療機器の一部又は部品の組み合わせから構成される。
c) 接種した担体 : 包装,試験片又はチューブに直接又は間接に接種してPCDを作製する。
注記 芽胞懸濁液の直接接種は,表面現象,他の環境因子,及び製品の上又は中の芽胞による閉塞の
ために,接種された製品の抵抗性の変化をきたすことがある。それゆえ,直接接種の実施は,
接種した製品の抵抗性が日常生産する製品と合理的に関係付けがされていることを確実にする
ように,科学的根拠又はバリデーションを示すことが重要である。抵抗性を平板計数法によっ
て測定する場合は,接種した細菌の回収率もバリデートするとよい。追加情報としてGillis及
びSchmidt [30],West [40]及びJIS T 11737-1を参照。
以前に適格性を確認した製品又は内部PCDとの同等性を立証する方法は,新規又は変更した製品と以前
に適格性を確認した製品/マスタ製品(D.8.6及びD.12.5.2参照)の両方を部分サイクルにばく露したとき
の滅菌しにくい位置に置かれたBIの不活化速度を相対的に比較することである。同等性評価検討は,新規
又は変更した製品とそのプロセスをバリデートするために用いた内部PCDとを比較するとよい。この比較
にPCDを用いる場合,このPCDの抵抗性を年1回レビューの一部として評価するとよい。
D.7.2 製品の安全性,品質及び性能
D.7.2.1 予期している滅菌条件の範囲でEO及び/又は全ての希釈剤による化学的及び物理的変化を許容
できる材料を選択することは重要である。製品の性能に対する要求事項を満足させるのに必要とされる,
物理的強度,通気性,物理的な寸法及び弾性などの材料の特性は,その材料が使用可能であることを確実
にするため,滅菌後に評価する。滅菌プロセスにばく露することによるひび割れ及びぜい(脆)化のよう
な劣化影響を考慮することが必要な場合がある。該当する場合,複数回の滅菌プロセスへのばく露に対す
る影響を評価することも必要な場合がある。
あらかじめ定めた滅菌プロセスがその製品の正しい機能に影響しないことの立証は,医療機器及びその
包装システムについての機能試験又は他の適切な試験を実行することによって成し遂げられる。これらの
試験は,滅菌器内又は他のあらかじめ定めたプロセスを模擬した環境チャンバ内でのばく露後に行うこと
ができ,単純な目視検査から一連の専門的な試験に及ぶことがある。
次は,安全性,品質又は性能に影響する可能性のある項目である。
a) 無菌バリアシステムのシールの完全性に影響を与える可能性があるサイクルの圧力変化
b) Oばく露時間,温度,湿度の影響,及び意図した滅菌器内に混合する全ての希釈ガスの影響(該当
する場合)
c) O残留物を多く保持することが知られている新しい材料の含有

――――― [JIS T 0801 pdf 41] ―――――

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d) 包装の特性
e) 潤滑剤の存在,特に重なった表面の内部
f) 分解又は洗浄が要求される医療機器かどうか
g) 安全性に関するハザード(例えば,溶出性材料,バッテリー又は漏れ若しくは爆発する可能性のある
密封された液体)
h) 滅菌サイクルの回数
発火の潜在的な原因(例えば,バッテリー)を含む医療機器は,そのサイクルの全ての部分で爆発範囲
内のEO混合ガス域が含まれないプロセスを用い滅菌するとよい。
D.7.2.2 製品を複数回の滅菌サイクルにかけることの評価は,その製品/包装に対する日常滅菌プロセス
を利用して実施できる。製品の材料,機能及び安全性に関する繰返し滅菌及び必要な全ての前処理の影響
を評価するとよい。
再使用可能医療機器では,製造業者の再生処理指示書(取扱説明書)を入手し,それに従うとよい。こ
の指示書には,そのプロセスの推奨される滅菌パラメータ及び再使用可能医療機器をばく露できる滅菌サ
イクルの回数の限度が記載されている。適用可能な場合,滅菌後の再使用可能医療機器の機能を評価する
ために試験及び検査を行うとよい。その医療機器の製造業者が記載する許容できるサイクル回数は最大回
数であると考えるとよい。最大サイクル回数に至った場合,通知されるようなシステムが整っているとよ
い。
注記 更なる情報はISO 17664参照。
D.7.2.3 指針はない。
D.7.2.4 EOプロセスの後,医療機器のEO残留物を管理するために,適切なエアレーションは必須であ
る。EO除去が最もしにくい位置を考慮し,負荷内の残留物製品試験サンプルの配置を考えるとよい。
製品の残留物がJIS T 0993-7の要求事項に適合している場合でも,局所環境,安全及び衛生に関する規
制は,EO滅菌された製品の取り扱いの際,作業者への特別なばく露予防策を要求する場合がある。
ヘルスケア施設 : 医療機器のエアレーションに関する情報が,その製造業者から入手できない場合,ヘ
ルスケア施設は,製品及びその材料並びに設計についてのデータ又は知識を用いてその機器のエアレーシ
ョンプロセスを確立するとよい。そのエアレーションプロセスは,最もエアレーションしにくい製品又は
製品ファミリを基に設定するとよい。
D.7.3 微生物学的品質
D.7.3.1 エンドトキシン試験の指針は,ANSI/AAMI ST72及び該当する薬局方に示される。
D.7.3.2 ヘルスケア施設では,微生物学的品質への注意は,使用された再使用可能医療機器の回収及び取
扱いのための厳密な手順,並びに再使用可能医療機器の医療機器の製造業者の再生処理指示書に従った洗
浄プロセスのバリデーション及び管理のための厳密な手順で構成される。
バイオバーデン法(附属書A参照)を用いる場合,バイオバーデン試験は少なくとも四半期ごとにする
とよい。監視の間隔は,次を考慮した文書化したリスク分析に従って,間隔を広げることができる。
− 製品ファミリの使用
− 過去のデータ
− 統計的分析
− 製造頻度及び製品設計
D.7.4 文書化
製品の決定の完了時に次の事項を文書化するとよい。

――――― [JIS T 0801 pdf 42] ―――――

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a) 製品形態及びEOプロセスへどのように供するか(包装及び載荷形態)の記載。その仕様は,また,
プロセスへの製品の適合性の証拠又は評価と同様に,要求するSALを記載するか又は参照するとよい。
b) 新規又は変更した製品と既にバリデートした製品との比較の結果。この結果は,製品の複雑さ,材料,
包装及び載荷形態を評価したことを明確に立証するとよい。
c) その製品のバイオバーデン及び内部PCDと比較したその抵抗性についての証拠又は評価。
d) 新規又は変更した製品を,あらかじめ定めたSALを達成するための現在のバリデーション検討におい
て特に参照される製品ファミリ/処理カテゴリに受け入れることが適切であるという,文書化された
結論。この結論には,(既存のバリデーション検討を補うための追加の試験の全ての結果及び既存のバ
リデートされたサイクルでの)製品の日常的なリリースに対して確認/適格性の確認のために行う試
験(すなわち,残留物試験及び機能試験)の全ての結果を記載するか又は参照するとよい。
この文書は承認,保存し,参照できるとよい。
D.8 プロセスの決定(Process definition)
D.8.1 指針はない。
D.8.2 プロセスの決定の結果は詳細な滅菌プロセスの仕様である。
医療機器に用いる滅菌プロセスの選定には,次の点を含めてプロセスの効果に影響する全ての要素の検
討をするのがよい。次を考慮に入れるとよい。
− 滅菌器の適用性
− 適用する滅菌器で実施できる条件の範囲
− 既に他の製品で用いている滅菌プロセス
− 用いる滅菌剤(すなわち,100 %のEO又は希釈ガスと混合されたEO)
− 製品限界(すなわち,温度,湿度,圧力に対する感受性)
− EO残留物及び/又はその反応生成物の限度の要求事項
− プロセス開発実験の結果
プロセスの決定中に製造業者は,微生物学的試験及び医療機器の適切な滅菌プロセスの設定の助けとな
る他の分析ツールを用いる。
確立すべき滅菌プロセスパラメータは,次の事項を含む。
a) プレコンディショニング室内の温度範囲(行う場合)
b) プレコンディショニング室内の相対湿度範囲(行う場合)
c) プレコンディショニング室内の時間設定及び範囲(行う場合)
d) 滅菌チャンバ内の真空及び圧力の水準並びに圧力の変化の速度
e) 行う場合,チャンバ内循環が滅菌剤保持時間中運転していることの確認
f) 滅菌チャンバ内の設定温度及び範囲
g) 滅菌チャンバ内の湿度の制御設定値(圧力又は%RH)及び範囲
h) O及び希釈ガス(行う場合)の設定導入圧力及び範囲,滅菌チャンバにEO分析装置が据え付けられ
ている場合は,通常EO濃度も含める。
i) EO保持時間
j) 滅菌チャンバから負荷の取り出しの前のチャンバ内ガスのフラッシングのための設定(行う場合)
k) エアレーション室内の設定温度及び範囲(行う場合)
l) エアレーション室内の設定時間及び範囲(行う場合)

――――― [JIS T 0801 pdf 43] ―――――

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m) 空気の流れ/換気回数
注記 附属書A及び附属書Bは,滅菌プロセスの開発における,サイクル致死率の測定のための要求
事項を示す。
ヘルスケア施設のためにヘルスケア施設で再生処理される再使用可能医療機器について,製造業者はバ
リデートしたプロセスの決定の一部分を基礎とした再生処理に関する指示書の提供を求められている。こ
の文書をレビューし,自らの装置及び滅菌プロセスを用いて医療機器の製造業者の指示書に従って処理が
できることを確認するのは,ヘルスケア施設の責任である。ヘルスケア施設の購買手順は,EO滅菌でき
る医療機器の購買の前に,その医療機器が,その施設で用いている滅菌器及び滅菌プロセスに適合してい
ることを確認するために,再生処理指示書を評価するとよい。ISO 17664も参照。
医療機器又は包装材料の製造業者が供給する再生処理指示書が十分ではないか,又は適切ではない場合
(例えば,そのヘルスケア施設がEO及び希釈ガスの混合を用いている場合での100 % EOでのEOプロセ
ス),その施設は,材料への影響データ及び他の医療機器の再生処理指示書を基礎として,バリデーション
するか,又は自らの再生処理方法の適切性を評価するとよい。ヘルスケア施設は製品をバリデートできな
い場合,又は自らの再生処理方法の適切性を評価できない場合,その医療機器を再生処理しない方がよい。
D.8.3 研究用チャンバは,一般的に製造用チャンバより小さい容器であり,バリデーションを補助する実
験に用いることができる。
研究用チャンバの使用は,製造用チャンバでのPQの確認を妨げない。
D.8.4 プロセスの決定を確立する場合,選定したプロセスパラメータ,その許容範囲の製品及びその包装
の安全性,及び機能に対する影響を考慮することは重要である。
滅菌プロセスのパラメータの数は多くあるので(温度,湿度,圧力変化/速度,EO濃度及び時間),全
ての変数の全ての組み合わせの許容範囲を評価することは実際的ではない。どの変数が最も重大な影響を
与えるか決定し,これらを評価するとよい。
この活動を裏付けるデータは代替実験から収集できる。例えば,製品及びその包装バリデーション,製
品及びその包装の安定性試験実験,加速劣化実験など。代替として,研究又は製造用チャンバでの特定の
チャレンジとなるサイクルから収集できる。
D.8.5 指針はない。
D.8.6 BIが適切であることを示すために,幾つかの方法を用いることができる。
アプローチ1
この方法は製品上に認められるほとんどの微生物は参照微生物より低いチャレンジを示すということを
理由として用いられる。この方法は次の場合に適切である。
a) CD内に用いるBIはISO 11138-2:2006の箇条5及び9.5に従った場合。
b) 製品のバイオバーデンは一定であり,高い抵抗性の微生物を含んでいない場合。
この方法では,バイオバーデン傾向データを利用でき,微生物の数及びタイプについてのバイオバーデ
ンの一貫性を立証するとよい。バイオバーデンの潜在的な発生源を識別し及び管理していることを確実に
するために,製造プロセス及び製品に接触する材料を評価するとよい。
アプローチ2
この方法は,部分サイクルの後に行う製品及びPCDの無菌性の試験の利用である。この実験の結果は,
製品及びPCDの無菌性の試験の生残データを用いた致死率の比較の手段を提供するとよい。
通常この方法において,無菌性の試験で全ての製品は陰性となり,BI/PCDでは生残が認められることを
意図した部分サイクルに製品及びBI/PCDをばく露する。

――――― [JIS T 0801 pdf 44] ―――――

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アプローチ3
この方法は,次の場合に適用できる。
a) 製品バイオバーデンのチャレンジが,PCDの中のBIのチャレンジと同等以上
b) 製品バイオバーデンが,高い抵抗性をもつ微生物を含む,又は
c) CD内で使用するBIの菌数が,ISO 11138-2:2006の9.3で要求されるより低い。
この第3の方法では,バイオバーデン及びPCDの致死率のチャレンジ(比較)は,直接計数法及び/又
はフラクションネガティブ法に基づき可能である(ISO 14161:2009参照)。
製品のバイオバーデンのチャレンジが,BIのそれを超えることを示す場合(すなわち,BIが不適切な場
合),次のうちの一つを用いることができる。
a) CD内で使用するBIは,菌数の多い及び/又は抵抗性の高いものを選択する。
b) バイオバーデン数を減少させるために滅菌前に製品を前処理する。
c) バイオバーデン数又は抵抗性を減らすために,製品,プロセス又はその両者を評価する(例えば,使
用する原材料又は製造プロセスの変更,製造環境の改善,又は製品の設計の変更)。
d) 新しいPCDを開発する。
上記のいずれかに変更した場合,変更の有効性を検証することが大切である。
製品の設計によっては,BIを最も滅菌が困難な場所に置くことができない場合がある。この場合,最も
滅菌が困難な場所との関係が確立できる場所にBIを置くのが適切な場合がある。さらに,多くの医療機器
において,最も滅菌が困難な場所は微生物の数が少なく,したがって,チャレンジ菌数は製品のバイオバ
ーデンにより近い関係かもしれない。
異なったタイプのPCDがD.7.1.6に記載されている。BIの適切性を決定するのに使用されると同様の方
法を,PCDの適切性を測定するのに用いることができる。出荷包装又は出荷包装ケース内の製品内に置か
れるPCDは内部PCDと呼ばれ,出荷ケース及び滅菌負荷の外部表面上に置かれるPCDは外部PCDと呼
ばれる。内部PCDは日常の製品リリースに用いることができる。しかしながら,外部PCDは,滅菌プロ
セス完了後に簡単に取り出すことができるので広く使用されている。研究用のチャンバで実施した検討は,
検討中の内部及び外部PCDの相対的な致死率チャレンジを立証するのに使用することができる。しかし,
これらの実験を実施するとき負荷の容積及び製造用滅菌器の性能の影響を考慮するのがよい。研究用のチ
ャンバが,生産プロセスを再現できない場合,致死率チャレンジの比較実験を製造用滅菌器で実施すると
よい。
内部と外部PCDとの致死率のチャレンジの比較は,同時に部分サイクルにばく露して評価することでで
きる。結果のデータは次のために利用できる。
a) 滅菌プロセスをバリデートするのにどの内部PCDが適切かを判断するため
b) 候補の外部PCD(すなわち,プロセスの日常監視用)の設計を評価するため
c) バリデートした滅菌プロセスへの受入れについての新規又は変更した製品の同等性の評価をするため
d) 新規若しくは変更した製品又は内部PCDが製品ファミリ又は処理グループのマスタ製品になるかの
判断をするため
次のような場合,PCDの致死率チャレンジを製品の致死率チャレンジと比較せずに,PCD同士のチャレ
ンジの比較を行うことがよい場合がある。内部PCDの適切性が証明されており,外部PCDを日常生産サ
イクル監視のために従来からのリリースに導入しようとするとき,又は他の外部PCDに変更することが望
ましいときによく用いられる。この場合,PCDの適切性を評価する方法は,外部PCDは内部PCDと比較
したとき,同等以上の致死率チャレンジを示すことを立証することである。一般的に,内部及び外部PCD

――――― [JIS T 0801 pdf 45] ―――――

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JIS T 0801:2016の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 11135:2014(IDT)

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