JIS T 6611:2009 歯科用レジンセメント | ページ 2

2
T 6611 : 2009
JIS Z 8902 キセノン標準白色光源

3 種類

3.1 タイプ

  セメントのタイプは,次による。
a) タイプ1 歯との接着性を表示するもの。
b) タイプ2 歯との接着性を表示しないもの。

3.2 クラス

  セメントのクラスは,重合方式によって次による。
a) クラス1 化学重合型レジン
b) クラス2 光重合型レジン
c) クラス3 デュアルキュア型レジン

4 品質

4.1 生体適合性

  セメントの生体適合性については,JIS T 0993-1及びJIS T 6001によって生物学的安全性を評価する。

4.2 外観

  外観は,6.1.3によって試験したとき,質が均一で,きょう(夾)雑物を含んでいてはならない。

4.3 接着強さ

  タイプ1の接着強さは,6.2によって試験したとき,2 MPa以上でなければならない。

4.4 被膜厚さ

  被膜厚さは,6.3によって試験したとき,50 μm以下でなければならない,かつ,製造販売業者が表示す
る値を10 μm超えてはならない。

4.5 操作時間

  クラス1及びクラス3は,6.4によって試験したとき,薄い層が形成でき,そのときに均一性に変化が認
められてはならない。また,練和終了から均一性に変化が認められるまでの時間を,操作時間とする。

4.6 硬化時間

  クラス1及びクラス3の硬化時間は,6.5によって試験したとき,10分以下でなければならない。

4.7 環境光安定性

  クラス2は,6.6によって試験したとき,性状が均一でなければならない。

4.8 光硬化深度

  クラス2の光硬化深度は,6.7によって試験したとき,次による。
a) オペーク色以外の場合は,1.5 mm以上で,かつ,製造販売業者が表示した値よりも0.5 mm以上浅く
てはならない。
b) オペーク色の場合は,0.5 mm以上でなければならない。

4.9 曲げ強さ

  曲げ強さは,6.8によって試験したとき,次による。
a) タイプ1は,20 MPa以上でなければならない。
b) タイプ2は,50 MPa以上でなければならない。

――――― [JIS T 6611 pdf 6] ―――――

                                                                                              3
T 6611 : 2009

4.10 吸水量及び溶解量

4.10.1 タイプ1
タイプ1は,6.9によって試験したとき,次による。
a) 吸水量は,130 最一 下でなければならない。
b) 溶解量は,16 最一 下でなければならない。
4.10.2 タイプ2
タイプ2は,6.9によって試験したとき,次による。
a) 吸水量は,40 最一 下でなければならない。
b) 溶解量は,7.5 最一 下でなければならない。

4.11 X線造影性

  X線造影性をもつことを製造販売業者が表示した場合には,X線造影性は,6.10によって試験したとき,
同じ厚さのアルミニウムのX線造影性以上でなければならない。また,製造販売業者がアルミニウムに相
当する厚さで,1.5 mm以上の値を表示した場合には,表示した値よりも0.5 mm以上薄くてはならない。

4.12 色調安定性

  製造販売業者が色調安定性がよいと表示する場合には,色調安定性は,6.11によって試験したとき,容
易に認められるような変色があってはならない。

5 試料の採取

  試料は,同一ロットから採取し,その量は,繰返し試験を含めて,規定されたすべての試験を完了する
のに十分な量でなければならない。
なお,光硬化深度以外の品質項目は,代表的色調を1種だけ試験する。

6 試験方法

6.1 一般的事項

6.1.1  試験条件
試験は,特に指定のない限り,温度23±1 ℃,相対湿度30 %以上で行う。
注記 セメントが保管のために冷蔵されている場合には,セメントの温度が23±1 ℃に達してから試
験を行う。
6.1.2 水
試験に用いる水は,精製水又は蒸留水とする。
6.1.3 外観
外観は,目視によって試験する。
6.1.4 試料の調製
試料の調製は,次による。
a) セメントの調製は,製造販売業者が指定する方法及び6.1.1によって行う。
b) クラス2及びクラス3のセメントの調製に用いる光照射器は,製造販売業者の指定による。光照射器
は,正常な作動状態になければならない。
c) 6.76.10の試料は,型から外した後の形状が均一で,目視試験したとき,気泡,き(亀)裂などの欠
陥がないものを用いる。
注記 セメントが金属に対して親和性をもつ場合には,金属製の型を用いると試料の取出しが困難

――――― [JIS T 6611 pdf 7] ―――――

4
T 6611 : 2009
となる。このようなセメントを調製する場合には,離型剤を用いるか,又は非親和性の材料
(例えば,高密度ポリエチレン)で作製した型を用いるのがよい。

6.2 接着強さ

6.2.1  器具,材料及び装置
6.2.1.1 被験歯 ウシの抜去下がく(顎)切歯又はヒトの抜去永久前歯若しくはきゅう(臼)歯を用いる。
ヒトの歯の場合,う蝕がない部位で,かつ,修復されていない部位でなければならない。抜去後は,室温
で3日以内湿潤下で保管した後,湿潤下で冷蔵又は冷凍保存する。
6.2.1.2 ホルダ 金属,プラスチックなどの硬い材質で,被験歯が入る大きさの円筒のもの。両端面は,
平行にする。
6.2.1.3 埋没用材料 硬質石こう(膏)又は室温硬化するレジン系材料で,硬化による発熱が少なく,歯
に成分が浸透しないもの。
6.2.1.4 耐水研磨紙 JIS R 6253に適合するもの。
6.2.1.5 孔開き粘着テープ 直径35 mmの孔を開けた粘着テープで,接着を阻害しないもの。
6.2.1.6 成形棒 規定接着面積の孔と同等又はわずかに大きな直径をもつ棒で,金属,アクリル又はセメ
ントを型を用いて作製したもの。片方の端面は,軸に垂直な平面にする。
6.2.1.7 ブレード 金属,プラスチックなどの硬い材質で,規定接着面積より大きな直径の孔をもち,孔
の片側開口部の周縁が鋭角なもの。
6.2.1.8 接着試験片作製用ジグ 被験歯の研磨面に対して成形棒を垂直に固定することができるもの(図
1参照)。
6.2.1.9 せん(剪)断試験用ジグA及びB 接着面に対して平行方向にブレードを移動させることができ
るもの(図2及び図3参照)。
6.2.1.10 引張試験用ジグ 接着面に対して垂直方向に成形棒を移動させることができるもの(図4参照)。
6.2.1.11 試験装置 クロスヘッド速度0.75±0.30 mm/min又は荷重速度50±2 N/minを与えることができ,
せん断試験用ジグ又は引張試験用ジグに曲げ又は回転力がかからないもの。
6.2.2 試験片の作製
6.2.2.1 被着歯試験片
被着歯試験片は,次の方法A又は方法Bのいずれかによって5個作製する。
6.2.2.1.1 方法A
方法Aは,次による。
a) 被験歯を耐水研磨紙で注水下研磨して象げ(牙)質を露出させ,耐水研磨紙P600で注水下仕上げ研
磨する。その後,注水による洗浄又は水中超音波洗浄する。
b) ホルダに埋没用材料をてん(填)入し,研磨仕上げした被験歯の象げ質面が埋没用材料の上に出るよ
うに,かつ,研磨象げ質面がホルダの下面と平行になるように被験歯を固定する。
なお,せん断試験用試験片の場合には,研磨象げ質面は,ホルダの上面より高くなく,かつ,埋没
用材料の上面から1 mmよりも高くならないようにする。
c) 研磨象げ質が乾燥しないよう,ホルダごと23±2 ℃の水中に浸せき(漬)する。
6.2.2.1.2 方法B
方法Bは,次による。
a) 被験歯が静置されたホルダに埋没用材料をてん入し,固定する。
b) 耐水研磨紙で注水下研磨して研磨象げ質面がホルダ下面と平行になるように露出させ,耐水研磨紙

――――― [JIS T 6611 pdf 8] ―――――

                                                                                              5
T 6611 : 2009
P600で注水下仕上げ研磨する。その後,注水による洗浄又は水中超音波洗浄する。
なお,せん断試験用試験片の場合には,研磨象げ質面は,ホルダの上面より高くなく,かつ,埋没
用材料の上面から1 mmよりも高くならないようにする。
c) 研磨象げ質が乾燥しないよう,ホルダごと23±2 ℃の水中に浸せきする。
6.2.2.2 接着試験片
6.2.2.2.1 引張試験用接着試験片
引張試験用接着試験片の作製は,次によって5個作製する。
a) 接着直前に研磨象げ質表面の付着水を取り除き,その上に孔開き粘着テープをちょう(貼)付する。
b) 製造販売業者が指定する方法(前処理を含む。)によって,孔開き粘着テープをちょう付した象げ質部
分及び成形棒の平面にセメントを塗布して両者の塗布面を接合し,硬化させる。このとき,接着試験
片作製用ジグを用いて,孔開き粘着テープの孔を成形棒平面が覆う位置に被着歯試験片を置き,成形
棒に10 Nの加重を10秒間かける(図1参照)。
c) 硬化後,37±2 ℃の水中に24時間浸せきする。
図1−接着試験片作製用ジグ(参考図)
6.2.2.2.2 せん断試験用接着試験片
せん断試験用接着試験片の作製は,次によって5個作製する。
a) 接着直前に研磨象げ質表面の付着水を取り除き,その上に孔開き粘着テープをちょう付する。
b) せん断試験用ジグによって,次のとおり操作する。
1) せん断試験用ジグA(図2参照)を用いる場合には,製造販売業者が指定する方法(前処理を含む。)
によって,孔開き粘着テープをちょう付した象げ質部分及び成形棒の平面にセメントを塗布して両
者の塗布面を接合し,硬化させる。このとき,接着試験片作製用ジグを用いて,孔開き粘着テープ
の孔を成形棒平面が覆う位置に被着歯試験片を置き,成形棒に10 Nの加重を10秒間かける(図1
参照)。
2) せん断試験用ジグB(図3参照)を用いる場合には,製造販売業者が指定する方法(前処理を含む。)

――――― [JIS T 6611 pdf 9] ―――――

6
T 6611 : 2009
によって,孔開き粘着テープをちょう付した象げ質部分とブレードの開口部とが一致するように載
せて固定し,孔開き粘着テープをちょう付した象げ質部分内にセメントを塗布し,次いで,ブレー
ド内部の一部までセメントを充てんする。
注記 試験後のブレード内部のセメントの除去を容易にするため,ブレード開口部内面に分離材
を塗るとよい。
c) 硬化後,37±2 ℃の水中に24時間浸せきする。
6.2.3 手順
6.2.3.1 試験
試験の手順は,次による。
a) 試験片を,試験装置の接合部に大きな力をかけないように取り付けて(図2,図3及び図4参照),ク
ロスヘッド速度0.75±0.30 mm/min又は荷重速度50±2 N/minで試験片に荷重を加え,破断時の荷重
(F)を記録する。
b) 接着強さは,次の式によって求める。
B F
A
ここに, B : 接着強さ(MPa)
F : 破断時の荷重(N)
A : 接着面積(mm2)
図2−せん断試験用ジグA(参考図) 図3−せん断試験用ジグB(参考図)

――――― [JIS T 6611 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS T 6611:2009の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 4049:2000(MOD)

JIS T 6611:2009の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 6611:2009の関連規格と引用規格一覧