JIS T 8024:2020 熱及び火炎に対する防護服―火炎及び放射熱ばく露時の熱伝達性測定方法 | ページ 2

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なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。

2 引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS T 8020 熱及び火炎に対する防護服−放射熱ばく露による防護服材料の性能評価
注記 対応国際規格 : ISO 6942,Protective clothing−Protection against heat and fire−Method of test:
Evaluation of materials and material assemblies when exposed to a source of radiant heat
JIS T 8021 熱及び火炎に対する防護服−火炎ばく露時の熱伝達指数測定方法
注記 対応国際規格 : ISO 9151,Protective clothing against heat and flame−Determination of heat
transmission on exposure to flame
IEC 60584-1,Thermocouples−Part 1: EMF specifications and tolerances
IEC 60584-3,Thermocouples−Part 3: Extension and compensating cables−Tolerances and identification
system

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
亀裂及び孔(break-open)
熱ばく露時に生じる亀裂及び孔の形成。
3.2
熱傷(ねっしょう)(burn injury)
人体皮膚内部の異なる深さで生じる熱による損傷。
注記 人体皮膚の熱傷は皮膚が熱せられ,かつ,上昇した温度に限界時間までばく露されたときに生
じる。熱傷の程度(第一度,第二度及び第三度)は,上昇した温度とその温度でのばく露時間
とに依存する。この規格における生地材料の性能は,第二度熱傷に関連しており,第二度熱傷
を引き起こすのに必要な熱量と生地試験片内部を伝達する時間との積で表す総熱量で評価する。
第二度熱傷は,表皮及び真皮の境界面まで熱侵食があることを示す。
3.3
炭化(charring)
材料が熱エネルギーにさら(曝)されたときに炭素質の残さを生成する現象。
3.4
滴下(dripping)
素材の溶融又は液化によって落下する材料の変化。
3.5
ぜい(脆)化(embrittlement)
熱分解又は不完全燃焼で生じるぜい(脆)性残さを生成する現象。
3.6
ばく露熱(exposure energy)

――――― [JIS T 8024 pdf 6] ―――――

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T 8024 : 2020
生地試験片に一定して入射する熱。
3.7
ばく露時間(exposure time)
生地試験片が熱にばく露された総時間。
3.8
熱流束(heat flux)
単位面積及び単位時間当たりに伝達される熱量で示される熱強度。
注記 熱流束の単位は,kW/m2で表す。
3.9
熱伝達指数
3.9.1
熱伝達指数(複合熱源ばく露)[heat-transfer index-thermal, HTI (DE) x]
対流熱及び放射熱によってばく露された銅センサにおいて,12 ℃及び/又は24 ℃上昇が生じるのに要
した時間(単位 : s)。
注記 12 ℃上昇が生じるのに要した時間は,12の下付き文字で示し,同様に24 ℃上昇が生じるのに
要した時間は,24の下付き文字で示す。例えば,HTI (DE)12,HTI (DE)24など。これらの二つの
指数間の相対値は,熱伝達の特性を示す。HTI (DE)24がHTI (DE)12の2倍の値である場合,熱
伝達の速度は一定である。HTI (DE)24がHTI (DE)12の2倍の値よりも大きい場合,熱伝達の速
度は増大し,遮熱性能が失われていることを表している。HTI (DE)24がHTI (DE)12の2倍の値
よりも小さい場合,熱伝達の速度は減少し,遮熱性能が向上していることを表している。
3.9.2
熱伝達指数(heat-transfer index-thermal, HTI-Tx)
対流熱及び放射熱によってばく露された銅センサにおいて,12 ℃及び/又は24 ℃上昇が生じるのに要
した総熱量(単位 : kJ/m2)。
注記 ここで規定する熱伝達指数(HTI-Tx)は,JIS T 8021に規定する熱伝達指数(HTI)とは定義が
異なるので,注意を払う必要がある。
3.10
熱伝達による熱傷の交点(heat-transfer burn intersection)
生地を介して伝達された熱による温度上昇曲線が,第二度熱傷を生じると予測するストール曲線と交わ
る点。
3.11
熱伝達による熱傷時間(heat-transfer burn time, ti)
ばく露開始から,生地内の熱伝達による温度上昇曲線と第二度熱傷を生じると予測するストール曲線と
が交差する点(熱伝達による熱傷の交点)までの時間。
注記 熱伝達は,センサの温度上昇の測定値から算出する。この試験方法では,銅熱量計をセンサと
して用い測定する。センサの直径は,ばく露した生地試験片を介してセンサが受けた熱量を平
均化するのに十分な大きさである。センサは,熱にばく露したときに人体皮膚の温度上昇と同
じセンサの温度上昇となる厚みで,人体皮膚と類似した吸収係数をもつ放射熱を受熱できるよ
うに黒塗料が塗られている。

――――― [JIS T 8024 pdf 7] ―――――

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3.12
人体皮膚の許容熱量(human-tissue heat tolerance)
痛覚,第二度熱傷などの人体皮膚内の変化が生じない人体皮膚に伝達される熱量の最大値。
注記 人体皮膚への熱ばく露に対する変化は,ストール(Stoll)ら(表1参照)によって研究され,
ストール曲線と呼ばれている。これは,生地試験材料の熱防護指数(TPI)の値を求める場合に
一つの基準としてこの方法が用いられている。
3.13
着火(ignition)
燃焼の開始として現れる試験片の熱への反応。
3.14
溶融(melting)
熱による固体から液体への状態変化として現れる現象。
注記 溶融は,試験片の全体又は一部分に,液化による流れ又は液滴の形成が現れたことを目視で観
察できる。
3.15
収縮(shrinkage)
熱による試験片の一方向以上に縮む寸法変化。
3.16
固着(sticking)
素材の軟化によって,素材自身又は別の素材表面へ付着する変化。
3.17
ストール曲線(Stoll curve)
人体皮膚へ伝達される熱量と人体皮膚内で第二度熱傷を引き起こすばく露時間との関係。
注記 第二度熱傷に至る人体皮膚の許容熱量については,表1を参照する。
表1−第二度熱傷に至る人体皮膚の許容熱量
ばく露時間 熱流束a) 総熱量 銅熱量計b) 相当値
ΔT ΔV
s kW/m2 kJ/m2 ℃ mV
1 50 50 8.9 0.46
2 31 61 10.8 0.57
3 23 69 12.2 0.63
4 19 75 13.3 0.69
5 16 80 14.1 0.72
6 14 85 15.1 0.78
7 13 88 15.5 0.80
8 11.5 92 16.2 0.83
9 10.6 95 16.8 0.86
10 9.8 98 17.3 0.89
11 9.2 101 17.8 0.92
12 8.6 103 18.2 0.94

――――― [JIS T 8024 pdf 8] ―――――

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表1−第二度熱傷に至る人体皮膚の許容熱量(続き)
ばく露時間 熱流束a) 総熱量 銅熱量計b) 相当値
ΔT ΔV
s kW/m2 kJ/m2 ℃ mV
13 8.1 106 18.7 0.97
14 7.7 108 19.1 0.99
15 7.4 111 19.7 1.02
16 7.0 113 19.8 1.03
17 6.7 114 20.2 1.04
18 6.4 116 20.6 1.06
19 6.2 118 20.8 1.08
20 6.0 120 21.2 1.10
25 5.1 128 22.6 1.17
30 4.5 134 23.8 1.23
注a) 参考文献[1]参照
b) 鉄及びコンスタンタン熱電対(タイプJ)
3.18
熱防護指数(thermal protective index, TPI)
素材を介して伝達する熱によって人体皮膚内で第二度熱傷を生じるまでの総熱量(単位 : kJ/m2)。

4 原理

  水平位置に取り付けられた耐炎性素材の試験片は,対流熱及び放射熱を合わせた複合熱源から特定の距
離に置く。試験片に対して84 kW/m2±4 kW/m2の熱流束を人体皮膚に第二度熱傷と同等の症状を引き起こ
す,又はセンサ内部で24 ℃の温度上昇を示すまでの時間ばく露する。
試験片は,接触法として試験片とセンサとが接触している状態か,又は非接触法として試験片とセンサ
との間に6.35 mm±0.05 mmの空間がある状態で取り付ける。
複合熱源は,2台のガスバーナ,9個のハロゲンランプから出力する対流熱及び放射熱から成る。複合熱
源の総熱流束は,まず放射ばく露を設定し,次に対流熱ばく露を加えて設定する。ばく露の総熱流束は,
銅熱量計によって確認する。
試験片の熱伝達量は,熱センサを用いて測定し,次の二つの方法のうちいずれかを用いて評価する。
a) 試験片の遮熱性の指標とする熱伝達指数[HTI (DE) x]は,センサ温度が12 ℃及び24 ℃上昇する時間
で評価する。熱センサの温度が上昇する速度は,伝達する熱量を直接測定する。
b) 試験片の熱防護指数(TPI)は,人体皮膚の許容熱量に基づいて,第二度熱傷を引き起こす時間から熱
量で評価する。
いずれの評価方法においても,ばく露による試験片の外観への影響も評価することができる。

5 試験装置

5.1 一般

  試験装置の構成は,次による。
− 9個の500 W T3形ハロゲンランプ及び二つのガスバーナから成る複合熱源
− 試験片支持台

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− シャッター
− 試験片ホルダ(試験片支持板及び試験片固定板,必要ならばスペーサ)
− 銅熱量計
試験装置は,ガス供給部,ガス浮子式流量計及びデータ収集・解析・制御システムを備えていなければ
ならない。試験装置の例を,図1に示す。
注記 附属書Aに試験装置の構成材料の入手に関する参考情報を記載する。
単位 mm
1 ハロゲンランプ 7 試験片固定板
2 バーナ(メッケル又はフィッシャーバーナ) 8 銅熱量計取付けブロック
3 シャッター(水冷式) 9 銅熱量計のセンサ部
4 試験片支持板 10 熱電対(記録計又はコンピュータにつながる)
5 試験片 11 荷重(使用する場合)
6 スペーサ(使用する場合) 12 試験片支持台
図1−試験装置の例

5.2 複合熱源

  複合熱源は,対流熱源及び放射熱源から成る。対流熱源は,試験片支持台開口部の下に取り付けられ,
火炎が試験片真下の中心軸に対し,左右で均等になるように,鉛直方向に対して30°45°の角度をもつ
二つのメッケル又はフィッシャーバーナで構成する。放射熱源は,図1に示すようにバーナの下部の中心
に置かれた9個の500 W T3形ハロゲンランプから成る。バーナは,吹出し部の直径が40 mmでプロパン
ガスに適したオリフィスをもつメッケル又はフィッシャーバーナでなければならない。

5.3 試験片支持台

  試験片支持台は,熱流束に対して試験片ホルダ(試験片支持板及び試験片固定板,必要ならばスペーサ)
及び試験片を繰り返しばく露可能な方法で保持する鋼製フレームから成る。

――――― [JIS T 8024 pdf 10] ―――――

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JIS T 8024:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 17492:2019(MOD)

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