JIS T 9204:1994 規格概要
この規格 T9204は、成人に用いる木製の松葉づえについて規定。
JIST9204 規格全文情報
- 規格番号
- JIS T9204
- 規格名称
- 木製松葉づえ
- 規格名称英語訳
- Wooden axilla crutches
- 制定年月日
- 1982年4月1日
- 最新改正日
- 2015年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 11.180
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- 高齢者・障害者等 2018
- 改訂:履歴
- 1982-04-01 制定日, 1987-09-01 確認日, 1994-03-01 改正日, 1999-03-20 確認日, 2006-03-25 確認日, 2010-10-01 確認日, 2015-10-20 確認
- ページ
- JIS T 9204:1994 PDF [13]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
T 9204-1994
木製松葉づえ
Wooden axilla crutches
1. 適用範囲 この規格は,主として成人に用いる木製の松葉づえについて規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS B 0205 メートル並目ねじ
JIS B 1185 ちょうナット
JIS K 5531 ニトロセルロースラッカー
JIS K 5533 ラッカー系シーラー
JIS K 6804 酢酸ビニル樹脂エマルジョン木材接着剤
JIS T 0101 福祉関連機器用語〔義肢・装具部門〕
2. この規格の中で [{}] を付けて示してある単位及び数値は,従来単位によるものであって参
考として併記したものである。
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS T 0101によるほか次による。
(1) 横木 脇を支え側弓の上部を固定する木部。
(2) 横木カバー 横木を覆うカバー。
(3) 側弓 横木に固定し,握りを挟んでいる2本の木部。
(4) 握り 2本の側弓の間にある握り部分。
(5) 下端部 2本の側弓が互いに接合したところより下の部分。
(6) 伸展棒 伸縮形における側弓に挟まれ,長さを調節する下端部にある棒。
(7) まち 2本の側弓の下部の結合部分に挟まれる木部。
(8) つえ先ゴム 下端部の先端に取り付けるゴム。
(9) 踏み面 つえ先ゴムの床と接する面。
3. 各部の名称 松葉づえの各部の名称は,図1による。
――――― [JIS T 9204 pdf 1] ―――――
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T 9204-1994
図1 各部の名称
4. 種類 松葉づえは固定形松葉づえ(以下,固定形という。)及び伸縮形松葉づえ(以下,伸縮形という。)
の2種類とし,更に全長(木部)によって表1のとおりに区分する。
表1 種類及び区分
単位mm
種類 固定形 伸縮形
区分 全長(木部) 全長(木部)
最低 最高
L 1 273±2 1 150±2 1 325±2
M 1 152±2 1 070±2 1 210±2
S − 915±2 1 060±2
5. 性能 松葉づえは,次の規定を満足しなければならない。
(1) 松葉づえは,十分な強度と安全が保たれていること。
(2) 松葉づえは,9.2.2(1)に規定する方法によって試験したとき,裂け,割れ,緩みを生じないこと。
(3) 松葉づえは,9.2.2(2)に規定する方法によって試験したとき,たわみが50mmを超えないこと。
6. 構造及び寸法 松葉づえの各部の構造及び寸法は,次の規定を満足しなければならない。
(1) 固定形の形状は付図1,寸法は付表1によって,伸縮形の形状は付図2,寸法は付表2による。
――――― [JIS T 9204 pdf 2] ―――――
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T 9204-1994
(2) 各部品は適当に面取りを行い,手ざわりがよいこと。
(3) 身体に触れる部分には鋭い突起又はかどがないこと。
(4) 結合部は,緩みを生じない構造となっていること。
(5) 塗装面は光沢,色調が均一で,塗りむら,たれ,ピンホールなどがなく平滑であること。
7. 材料 使用する木材は,次の規定を満足しなければならない。
(1) 木材はぶな,ほうなどのむく材又はこれと同等以上の強度をもつ一等材とし,水分含有率15%(電気
含水計による)まで乾燥させたものであること。
(2) 木材は,すべて次の欠陥がないこと。
(a) 腐食
(b) 虫害
(c) 節穴
(d) 割裂,き裂
(e) あて
(f) もめ
(g) 脂つぼ
(h) いりかわ(入皮)
(i) 反り
(j) 目やせ
(k) 表面硬化
(3) 節 木材には節がないこと。ただし,使用上支障のない程度の直径3mm以下の活節は,この限りで
ない。この場合,穴をあける部位に節があってはならない。
(4) 年輪 年輪の数は放射状に測って25mmにつき416の数があるものを使用すること。
(5) 木理 むく材の木理こう(勾)配はできるだけ小さく,そろっていること。
8. 製造方法
8.1 固定形 固定形の製造方法は,付図1及び付表1によるほか次のとおりとする。
(1) 横木 横木のうち体のわき(脇)で支える部分はわきに合わせるためにくびれを作り,面取りをする
こと。
(2) 側弓
(a) 側弓の材料は9.1に規定する試験を行い,強度及び弾性が互いに適合するものを組み合わせて使用
すること。
(b) 横木との結合部は15×15mmの角ほぞによって,接着剤使用のうえ横木にくぎで確実に固定するこ
と。
(c) 2本の側弓は下端部を互いに接着剤使用のうえ,皿木ねじ2,3本で確実に固定し,木ねじ穴は同質
の木材で埋めること。
(d) 側弓の下端部先端は,つえ先ゴムが取り付けやすいように面取りをすること。
(e) 握り用の調節穴は40mm間隔で,直径6mm以下の穴を5個あけること。
(f) 結合部以外のところは,すべて面取りすること。
(3) 握り
――――― [JIS T 9204 pdf 3] ―――――
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T 9204-1994
(a) 握りの材料は,高衝撃用ABS樹脂又は同樹脂と木材を組み合わせたものとすること[付図1(d)参照。
この付図は組合せの場合を示す。]。
(b) 握りの形はたる形とし,回転止めを付けること。
(c) 握りはボルト及びちょうナットで固定し,側弓との間に回転が起きないこと。
(4) まち
(a) 下まちは側弓接合部に組み込まれ,最低130mm以上の長さをもつこと。
(b) まちと側弓は,接着剤使用のうえ,皿木ねじ2本で確実に固定し,木ねじの穴は同質の木材で埋め
ること。
(5) 横木カバー
(a) 横木カバーは横木に確実に適合し,使用中はずれない構造とすること。
(b) 横木カバーは輪郭が滑らかで,体との接触に注意して設計されていること。
(c) 横木カバーには良質のクッションを入れること。
(d) 横木カバーは無毒性,非吸湿性の汚れにくいものとし,原則として軟質塩化ビニルを使用するもの
とする。
(6) つえ先ゴム
(a) つえ先ゴムは耐久性に優れ,しなやかで適度の硬さをもっこと。
(b) つえ先ゴムは下端部先端に密着し,底面の直径は下端部先端の直径より,少なくとも10mm以上大
きい踏み面をもつこと。
(c) つえ先ゴムの踏み面の溝の深さ又は突起の高さは2mm以上で,ほどよい把持力をもっていること。
(d) 松葉づえ下端部先端がつえ先ゴムを突き破らないように,先端の直径に合致する1.2mm以上の厚さ
の金属製座金を入れること。
(e) つえ先ゴムの座金の下の厚さは,踏み面の溝又は突起を除き6mm以上であること。
(f) つえ先ゴムの踏み面は,床などに吸着しないように成形されていること。
(7) ボルト
(a) ボルトはJIS B 0205に規定する直径5mm以上のもので,めっきを施してあること。
(b) ボルトは衣服や身体にきずをつけないように,鋭い縁は除いておくこと。
(c) ボルトの長さは,ナットを締め付けたとき,ねじ山が二つ残ること。ただし,ねじ山はちょうナッ
トの翼部からはみださない長さであること。
(8) ちょうナット及び座金
(a) ちょうナットはJIS B 1185に規定するメートルねじ1種を使用し,めっきを施してあること。
(b) ちょうナットは,衣服や身体にきずをつけないように鋭い縁は除いておくこと。
(c) ボルトとかみ合うねじ山の長さは5mm以上とすること。
(d) 座金は金属平座金とし,直径8mm以上,厚さ1.0mm以上であること。
(e) 座金は衣服や身体にきずをつけないよう,鋭い縁がないものでめっきを施してあること。
(9) 接着剤 組立てに使用する接着剤は,JIS K 6804に規定する接着剤又はこれと同等以上のものを使用
すること。
(10) 仕上げ
(a) 素地仕上げは衣服及び身体にきずをつけたり,使用者に不快感を与えぬよう,すべて面取りしたう
え,研磨紙で滑らかに仕上げること。
(b) 組立ては側弓の木理,色合などが合致するよう選定し,確実に固定すること。
――――― [JIS T 9204 pdf 4] ―――――
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T 9204-1994
8.2 伸縮形 伸縮形の製造方法は,付表2及び付図2によるほか次のとおりとする。
(1) 横木 横木は8.1(1)による。
(2) 側弓 側弓の材料,横木との結合部,側弓の下端部先端及び握り用の調節穴は8.1(2)による。
また,伸展棒との結合用穴の数は2個とする。
(3) 伸展棒 伸展棒の先端は,つえ先ゴムが取り付けやすいよう面取りをすること。
(4) 握り 握りは8.1(3)による。
(5) 横木カバー 横木カバーは,8.1(5)による。
(6) つえ先ゴム つえ先ゴムは,8.1(6)による。
(7) ボルト ボルトは,8.1(7)による。
(8) ちょうナット及び座金 ちょうナット及び座金は,8.1(8)による。
(9) 接着剤 接着剤は,8.1(9)による。
(10) 仕上げ 仕上げは,8.1(10)による。
8.3 素地処理及び塗装 素地処理及び塗装は,次による。
(1) 固定形では組立て後,伸縮形では組立て前に素地の汚れを十分除去し,研磨紙で平滑にすること。
(2) 下塗り塗料にはJIS K 5533に規定するもの,JIS K 5531に規定するラッカーエナメル又はこれと同等
以上のものを1回塗ること。
(3) 仕上げ塗料にはJIS K 5531に規定するクリアラッカー又はこれと同等以上のものを使用し,2回以上
塗ること。
9. 試験 松葉づえの試験は,次によって行う。
9.1 側弓 側弓の試験は,次による。
(1) 図2に示す側弓試験用固定具を用意する。
(2) 図3に示す試験方法によって,次の順序で試験を行う。
(a) 側弓一組を固定具に入れる[図3(a)参照]。
(b) 側弓の遊離端を互いに開いて離す。その離開の長さは伸縮形Lは45cm,Mは40cm,Sは30cmま
でとする[図3(b)参照]。
――――― [JIS T 9204 pdf 5] ―――――
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JIS T 9204:1994の国際規格 ICS 分類一覧
- 11 : 医療技術 > 11.180 : 心身障害者用の介護用具
JIS T 9204:1994の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0205:1997
- メートル並目ねじ
- JISB1185:2010
- ちょうナット
- JISK5531:2003
- ニトロセルロースラッカー
- JISK5533:2003
- ラッカー系シーラー
- JISK6804:2003
- 酢酸ビニル樹脂エマルジョン木材接着剤
- JIST0101:2015
- 福祉関連機器用語―義肢・装具部門