24
X 0812 : 2012 (ISO 11620 : 2008)
B.1.1.3.1 目的
目録を使った利用者による主題探索に図書館が対応している程度を測定する。ある主題に関する情報を
どこでどのように見つけられるのかを利用者に知らせるのに図書館が成功している程度を測定する。
B.1.1.3.2 指標の適用範囲
件名目録又は分類目録をもつ,全ての図書館。
図書館間の比較をする場合には,同一の目録規則が採用され,目録形態(通常はオンライン目録)が同
じでなければならない。
注記 キーワード又は件名での検索が可能なオンライン目録は,件名目録と同じものとする。
B.1.1.3.3 指標の定義
目録に含まれる,利用者の主題に合致するタイトルのうち,利用者によって見つけられたものの百分率。
B.1.1.3.4 方法
B.1.1.3.4.1
特定の主題について目録を探索している利用者に,次の項目からなる質問紙への回答を依頼する。
a) 探している主題の簡単な説明。
b) 調べてみた件名標目及び/又は分類記号。
c) 適合していると考えるタイトルに付与されている件名標目及び/又は分類記号。
d) 利用者の状態(任意)。
利用者の求める主題を明確にするためには,質問紙への記入が終わった後,利用者へ口頭での質問を加
える必要がある。利用者は上位語又は上位(一般)分類レベルから探索を開始する傾向がある。口頭での
質問は利用者の求める主題を明確にする一助となる。その主題に合致する件名標目及び/又は分類記号が
全て使用されたかどうか確認するために,図書館職員が再度,主題探索を実行する。利用者が回答した主
題よりも上位又は下位の件名標目は,除外する。利用者が適合していると判断した件名標目及び/又は分
類記号が付与されている,全てのタイトルを数える。
B.1.1.3.4.2
利用者の主題探索手順は,トランザクションログによって分析することもできる。この方法を使う場合,
データ保護に関する権利を考慮しなければならない。特定の状況下で,トランザクションログは,個々の
探索の追跡,及び,最終的に貸出要求されたタイトル又はダウンロードされた電子的資源の特定を可能に
する。この方法によって,探索中の手順及び失敗について有用な情報が得られる可能性がある。
さらに,対面調査又はオンライン調査にかかわらず,口頭での質問は,利用者の求める主題を明確にす
るために必要となる。その主題に合致する件名標目及び/又は分類記号が全て使用されたかどうか確認す
るために,図書館職員が再度,主題探索を実行する。利用者が回答した主題よりも上位又は下位の件名標
目は,除外する。利用者が適合していると判断した件名標目及び/又は分類記号が付与されている,全て
のタイトルを数える。
B.1.1.3.4.3
B.1.1.3.4.1及びB.1.1.3.4.2の方法で求める主題目録探索成功率(ISSSR)は,次の式による。
ISSSR=A/B×100
ここに, A : 利用者の主題に合致するタイトルのうち,利用者によって
見つけられたものの数
B : 利用者の主題に合致するタイトルのうち,実際に目録に件
名標目又は分類記号が付与されていたものの数
――――― [JIS X 0812 pdf 26] ―――――
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X 0812 : 2012 (ISO 11620 : 2008)
小数点以下は,四捨五入する。
B.1.1.3.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因
この指標は,0100の整数とする。
成功率は,利用者の能力の水準に影響される。低い成功率は,利用者向け情報における失敗,又はOPAC
(オンライン閲覧目録)の利用者インタフェース若しくは検索システムにおける失敗を指摘している。ま
た,件名目録の規則が利用者の探索の方法に合っていないことを示している可能性がある。
考えられる対策は次のとおり。
− ヘルプ画面の改善。
− 利用者教育における,目録に関する専門的情報の提供。
− 参照又は件名標目の追加。
− 可能ならば目録規則の変更。
質問紙で利用者属性の記入を求めるとき,あるターゲット集団に限定した測定が可能になる。図書館に
多数の新規利用者が来る時期など,季節的な変動が存在する可能性がある。あるタイトルが利用者の求め
る主題に合致するかどうかの判断は,職員のコミュニケーションスキル又は探索スキルの影響を受ける。
B.1.1.3.6 出典
詳細は,次の参考文献を参照。
− [24] pp. 73-76[“Subject Search(主題探索)”]
− [21] pp. 181-206
B.1.1.4 不受理セッションの割合(Percentage of Rejected Sessions)
B.1.1.4.1 目的
それぞれの電子的データベースが利用者の要求に見合う十分な使用許諾契約を得ているかどうか(同時
接続可能な利用者数が,利用者の要求に適合しているかどうか)を確認する。
B.1.1.4.2 指標の適用範囲
電子的データベースを使用許諾契約している全ての図書館。
B.1.1.4.3 指標の定義
特定期間における,使用許諾契約したそれぞれのデータベースへのアクセスを試みた全てのセッション
のうち,不受理セッションの百分率。
図書館職員によるセッション及び利用者教育のためのセッションは含めるのが望ましい。
パスワード又は利用者IDを誤って失敗となったセッションは含まれない(2.37参照)。
B.1.1.4.4 方法
特定期間において,あるデータベースでアクセスを試みたセッション総数,及び,同時接続可能な利用
者の上限を超えたたため,データベースへの接続に成功しなかったもの(不受理セッション)の数を数え
る。
不受理セッションの割合(IRS)は,次の式による。
IRS=A/B×100
ここに, A : 特定期間における,使用許諾契約したあるデータベー
スの不受理セッション数
B : 同期間における,その電子的データベースのアクセス
成功セッション及び不受理セッションの総数
小数点以下は,四捨五入する。ただし,10未満の場合は,小数点以下第1位まで求める。
――――― [JIS X 0812 pdf 27] ―――――
26
X 0812 : 2012 (ISO 11620 : 2008)
B.1.1.4.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因
この指標は,0100の整数とする。値が高いほど,使用許諾契約で定められた同時接続可能な利用者数
が利用者の要求に適合していないことを意味する。
この指標は,データベースごとに算出するのが望ましい。全てのデータベースを対象に包括的な数値を
算出しても意味はない。
B.1.1.4.6 出典
詳細は,次の参考文献を参照。
[3](PI 10)
B.1.1.4.7 関連指標
要求タイトル利用可能性(B.1.1.1)を参照。
B.1.2 アクセス
B.1.2.1 配架の正確性(Shelving Accuracy)
B.1.2.1.1 目的
図書館の目録にある資料が正しく書架に収められている程度を測定する。
B.1.2.1.2 指標の適用範囲
全ての図書館。
特定のコレクション,主題分野又は分館に対して用いてよい。図書館内のそれぞれの領域間で,この指
標の結果を比較して,正確性の比率に著しい相違があるかどうかを調べてもよい。
書庫の収容力及び利用頻度の相違を考慮する場合には,図書館間で比較してもよい。
B.1.2.1.3 指標の定義
図書館の目録にある資料のうち,調査時点で書架に正しく収められているものの百分率。
図書館の記録によって書架にない理由が説明できる(例 貸出中,製本中,修理中又は所在不明として
記録がある。)資料は,標本から除く。
B.1.2.1.4 方法
B.1.2.1.4.1
書架目録を使って無作為抽出した書架について調べる。書架目録にあるそれぞれの資料について,書架
に正しく配架されているかどうかを記録する。書架にない全ての資料については,その理由が図書館の記
録にあるかどうか調べる。
開架書架については,館内利用されている資料も調査に含めるため,開館時間外に調べるのがよい。配
架待ちの資料は,数える前に配架しておくことが望ましい。
配架の正確性(ISA1)は,次の式による。
ISA1=A/B×100
ここに, A : 正しく配架されていた資料数
B : 標本の総資料数(図書館の記録から書架にない理由
が分かった資料は除く。)
小数点以下は,四捨五入する。
注記 図書館が記録していない場合には,誤配架された資料だけでなく,盗難された資料も書架にな
い資料に含める。これは,早い段階で紛失に気付くよう頻繁に書架整頓を行うことが,正確な
配架につな(繋)がると考えられるからである。
B.1.2.1.4.2
――――― [JIS X 0812 pdf 28] ―――――
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無作為抽出した,コレクションの書架について調べる。標本となった,それぞれの書架に配架されてい
る資料数を数える。正しい位置から離れている程度を問わず,間違って配架されている資料を全て記録す
る。開架書架については,館内利用されている資料も調査に含めるため,開館時間外に調べるのがよい。
配架の正確性(ISA2)は,次の式による。
ISA2=(A−B)/A×100
ここに, A : 調査時点で書架にあった資料数
B : 間違って配架されていた資料数
小数点以下は,四捨五入する。
注記 推定値としては,より簡単なB.1.2.1.4.1の方法を用いることで十分である。
B.1.2.1.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因
この指標は,0100の整数とする。値が高いほど,配架の正確性が高いことを意味する。
この指標は,幾つかの要因に影響される。重要なものを,次に示す。
− 書架整頓の頻度
− 再配架の迅速性
この指標は,分類その他の書架所在システムが利用者にとって分かりにくく利用しにくい可能性,又は
セキュリティシステムの必要性を示している。
コレクションの一部が閉架書架,一部が開架書架にあるなど,配架場所によって利用状況が異なる図書
館では,配架の正確性は,コレクションの異なる配架場所ごとに分けて測定することが望ましい。開架資
料及び利用頻度の高い資料は,他よりも誤配架されやすい。
B.1.2.1.6 出典
詳細は,次の参考文献を参照。
[15] pp. 129-146[“shelf availability(書架の利用可能性)”として,利用可能性の調査に関する文脈の中に
ある。]
B.1.2.1.7 関連指標
要求タイトル利用可能性(B.1.1.1)を参照。
(Median Time of Document Retrieval from Closed Stacks)
B.1.2.2 閉架書庫からの資料出納所要時間(中央値)
B.1.2.2.1 目的
書庫出納システムが効果的であるかどうかを測定する。
B.1.2.2.2 指標の適用範囲
閉架資料をもつ,全ての図書館。
建物又は運搬に関することなど,その図書館固有の状況を考慮する場合には,図書館間で比較してもよ
い。
B.1.2.2.3 指標の定義
閉架書庫に配架されている資料が請求されてから,それが利用者に利用可能になるまでに要した時間の
中央値。
B.1.2.2.4 方法
図書館の閉架書庫にあり,かつ,利用者に請求された資料から無作為標本を抽出する。
請求ごとに,請求された日付及び時刻並びに利用者に提供可能となった時刻を記録する。終了時刻から
開始時刻を引く。分単位又は時間単位,いずれか適切な方で表す。
閉架書庫からの資料出納所要時間(中央値)は,出納に要した時間の昇順に請求を並べることによって
――――― [JIS X 0812 pdf 29] ―――――
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X 0812 : 2012 (ISO 11620 : 2008)
得られる。この並びの中央に位置する時間をこの指標の値とする。調査した請求の数が偶数の場合には,
中央の二つの時間を平均したものを中央値とし,分単位に四捨五入する。
標本は,次の二通りの方法で抽出してもよい。
a) 貸出中でない,図書館の所蔵タイトルから標本を抽出する。調査期間中に,無作為に決めた時刻に調
査者又はその代理人が請求し,その資料が手渡されるまでの時間を記録する。
b) 利用者からの実際の請求のうち,利用者に提供されたものを標本とする。この方法は,請求された日
付及び時刻を通常の作業手順の中で記録することを前提とする。
注記 提供できなかった請求は,終了時刻を記入できないので計算から除外する。
B.1.2.2.5 指標の解釈及び指標に影響を与える要因
この指標は,上限のない実数とする。指標は,分,又は時間・分で表す。
出納時間が短いことはよいとされる。ただし,出納時間は,混雑するときの請求件数に影響される。
B.1.2.2.6 出典
詳細は,次の参考文献を参照。
− [25] pp. 202-205[“Lending Speed(貸出のスピード)”]
− [30] pp. 112-113,F94,F96,F97,F98項
B.1.2.2.7 関連指標
図書館間貸出の迅速性(B.1.2.3)を参照。
B.1.2.3 図書館間貸出の迅速性(Speed of Interlibrary Lending)
B.1.2.3.1 目的
完了した図書館間貸出又は文献配送処理における,依頼から資料が送付されるまでの時間を測定する。
B.1.2.3.2 指標の適用範囲
図書館間貸出及び文献配送サービスを行っている,全ての図書館。
図書館ではない外部機関への図書館間貸出を含む。
文献配送を含む。
B.1.2.3.3 指標の定義
図書館職員が図書館間貸出又は文献配送の処理を完了するのに要した時間。
ある依頼における処理完了とは,貸出館が依頼館に資料を送付した時点とする。
所要時間は,図書館の業務時間(図書館が開館している時間。週末,祝日ほか図書館が閉館している時
間は除外する。)で計算する。
図書館間貸出及び文献配送の依頼とは,ある図書館からその管理運営外の図書館への貸出又は恒久的な
配送の全てをいう。
受付日時は,貸出館が依頼を受理した日時である。
送付日時は,貸出館が要求された資料を依頼館に送付した日時である。
B.1.2.3.4 方法
図書館間貸出の迅速性(ISIL)は,次の式による。
ISIL=A/B
ここに, A : 特定の図書館間貸出及び文献配送を処理するのに要した
時間の総数
B : Aに含まれる図書館間貸出及び文献配送の件数
図書館が閉館している日は除外する。時間単位に四捨五入する。
――――― [JIS X 0812 pdf 30] ―――――
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JIS X 0812:2012の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 11620:2008(IDT)
JIS X 0812:2012の国際規格 ICS 分類一覧
- 01 : 総論.用語.標準化.ドキュメンテーション > 01.140 : 情報科学.出版 > 01.140.20 : 情報科学
JIS X 0812:2012の関連規格と引用規格一覧
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