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X 8341-1 : 2010 (ISO 9241-20 : 2008)
ましい。
例1 利用者が,ウィザード(対話形式で質問に答えていくことによって操作をしていく機能)を用
いてステップごとに仕事をするか,又は複合的な対話形式を直接用いて仕事をするかを選ぶこ
とができる。
例2 利用者が,静かな環境でスクリーンリーダを利用するか,又は騒々しい環境で点字出力を利用
するかを選ぶことができる。
8.2 仕事を実行する代替手段の提供
情報通信機器及びサービスは,仕事を実行するために利用者が代替手段を選べるようにすることが望ま
しい。
注記 状況によっては,ある仕事は,あるシステムを利用するように指定され,及び/又はある環境
で行われるように指定される。これらのシステム及び/又は環境は,それ自体が制約となる。
例1 システムにおいて,利用者が作業ステップの実行順序を自分で決めることができ,ステップの
順序が仕事によって要求されることはない。
例2 複雑な仕事を行う場合に,ウィザードによる操作ガイダンスが利用でき,また,基本的な操作
(初期設定の操作)だけか,すべての操作をウィザードで行うか,又は利用者が選んだ操作だ
けをウィザードで行うかを選択できる。
8.3 保守,設定及びその他の支援操作の実行
情報通信機器及びサービスは,保守,設定及びその他の支援操作の必要性を最小限に抑えることが望ま
しい。
例1 システムにおいて,ディスククリーンアップのような定形作業が自動化されている。
例2 システムが停止したとき,利用者のアクセシビリティの設定をシステムが保存し,利用者が再
起動したとき保存してある設定で利用できる。
9 機器及びサービス特性に関する推奨事項
9.1 一般
9.1.1 基本機能及び附帯的な機能への対応
次の事項を満たすことが望ましい。
a) 情報通信機器又はサービスの基本機能は,最大限すべての利用者が利用できる。
b) 基本機能を支援するか又は拡張する附帯的な機能は,ほとんどの利用者が利用できる。
例 テキスト入力は,文書作成ソフトウェアの基本的な機能であるので,テキスト入力の様々な方
法ができる限り幅広い層の利用者に提供されている。
9.1.2 一貫性の確保
関連する機器又はサービスは,共通のアクセシビリティ機能及び仕様をもっていることが望ましい。
例 シリーズ内のすべての情報通信機器及びサービスは,アクセシビリティを一貫した方法で扱える。
9.1.3 ユーザ向け案内の提供
ユーザ向け案内のアクセシビリティは,情報通信機器又はサービスの他の機能のアクセシビリティと同
等であることが望ましい。
注記 ユーザ向け案内に含まれるのは,プロンプト,フィードバック,状態情報,エラー管理及びオ
ンラインヘルプである。ユーザ向け案内に関するJIS Z 8523の規定(要求事項,推奨事項)を
参照する。
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9.1.4 安全情報の提供
機器及びサービス,それらの構成要素並びにそれらの利用に関する危険有害性についての情報は,利用
者が理解できる形式を用いて示されることが望ましい。
例 有毒な材料,又はアレルギー反応を引き起こすおそれのある材料が機器で利用されている場合,
利用者が読んで理解できる警告ラベル(例えば文字と点字との併記)が機器にちょう(貼)付さ
れている。
9.1.5 相互運用性の提供
他の情報通信機器又はサービスと一緒に作動することを意図する情報通信機器及びサービスは,これら
の他の情報通信機器及びサービスのアクセシビリティ関連機能を中断又は無効にしないことが望ましい。
例 支援機能をもつ幾つかの装置が複数のUSBポートから接続されている場合にも,それぞれが独立
して機能する。
9.1.6 誤操作の許容
すべての利用者は,偶然の行為又は意図しない行為の結果から保護されることが望ましい。
これが特に重要なのは,認知能力に制限のある人々である。なぜならば,そのような人々は誤操作によ
るエラーから復帰しにくいからである。
例1 操作のための構成要素は誤操作を最小限にするように配列されている。
例2 誤操作の結果の警告が提供されている。
例3 多重安全機能が提供されている。
9.1.7 やり直し又は確認の提供
次の推奨事項は一般的な人間工学の原則に従ったものであるが,この手段は,意図しない操作をしやす
い障害のある利用者にとって特に重要である。これらの利用者は,意図しない操作をした後,元に戻すの
に非常に時間と手間とがかかるからである。
a) 利用者は,利用者のコマンドに応答してシステムが実行した処理を元に戻す(“やり直す”)ことがで
きることが望ましい。
b) やり直しできない処理については,システムが処理を実行する前に,本当に実行してよいか利用者が
確認を求められることが望ましい。
例 利用者が元の状態に都合よく戻すことができるように,複数回のやり直しができる。例えば,
パーキンソン病の利用者は,知らない間に次々にキーを押し次々に対話操作を作動させるので,
やり直しが必要になる。
9.1.8 機能の保護
アクセシビリティ機能を利用者の意図に反して起動又は停止するリスクは,最小限にすることが望まし
い。
9.1.9 生体個人認証
指定された生体個人認証のデータを入力できない利用者には,代替手段を提供することが望ましい。
例 セキュリティ対策のために,両手のない利用者には音声認証が,発話できない利用者には指紋認
証が利用されている。
9.2 情報通信機器及びサービスのための他の規格
9.2.1 関連規格の適用
情報通信機器及びサービスは,9.2.29.2.7に掲げる規格に従うことが望ましい。これは,利用者の期待
に添うと同時に支援技術の接続を促進するために重要である。
――――― [JIS X 8341-1 pdf 22] ―――――
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X 8341-1 : 2010 (ISO 9241-20 : 2008)
9.2.2 入力装置
情報通信機器の入力装置の指針については,ISO 9241-410による。
9.2.3 視覚表示装置
情報通信機器の出力装置の指針については,ISO 9241-300及びISO 9241-302による。
9.2.4 ワークステーション
情報通信機器のワークステーションについては,JIS Z 8515による。
9.2.5 ソフトウェア
情報通信サービスのソフトウェアのコンポーネントについては,JIS Z 8520,JIS Z 8522,JIS Z 8523,
JIS Z 8524,JIS Z 8525,JIS Z 8526,JIS Z 8527及びISO 9241-171による。
9.2.6 マルチメディアソフトウェア
情報通信サービスのマルチメディアソフトウェアのコンポーネントについては,JIS Z 8531-1,JIS Z
8531-2及びJIS Z 8531-3による。
9.2.7 ウェブソフトウェア
ワールドワイドウェブに関する情報通信サービスのソフトウェアコンポーネントについては,ISO
9241-151による。
9.3 支援技術
9.3.1 支援技術の接続
情報通信機器又はサービスが提供していないインタラクション手段を提供するために,支援技術の接続
に対応することが望ましい。
一部の閉じたシステムは,支援技術を接続できない。そのような場合に重要なことは,様々な能力をも
つ最も幅広い層の人々が支援技術を接続しなくてもそのシステムを利用できるように,閉じたシステムを
設計することである。
利用者がキーボード(又はキーボード等価物)からの時間的制約のない入力だけで,ナビゲーションを
含む入力機能すべてを実行できる情報通信機器又はサービスの場合には,支援技術の接続によって代替入
力を提供することが可能である。
すべての出力に含まれる情報を,テキストだけの形でも提供する情報通信機器又はサービスの場合には,
支援技術の接続によって,代替出力を提供することが可能である。
9.3.2 支援技術の組合せへの対応
複数の支援技術を組み合わせた場合,個々の支援技術の機能を妨害しないことが望ましい。
これを達成する一つの手段として,ある支援技術とシステムとの間で交換される情報を,そのシステム
に接続した他のすべての支援技術にも与えるようにすることで解決できることもある。
組み合わせて利用できないことが既知の場合,重要なことは,これらに関する情報を利用者が入手でき
ることである。
例 製品の包装の外側に明白に組み合わせて利用できないことが列記されている。
9.4 情報通信機器及びサービスの選択及び操作
9.4.1 アクセシビリティ情報の提供
情報通信機器又はサービスのアクセシビリティに関する情報は,様々な能力をもつ最も幅広い層の人々
が利用できる形式で提供されることが望ましい。
利用者が情報通信機器及びサービスを購入し利用する場合,重要なことは,それが自分のニーズを満た
すかどうか判断できるように情報通信機器及び/又はサービスのアクセシビリティに関する情報を利用者
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X 8341-1 : 2010 (ISO 9241-20 : 2008)
が容易に入手できることである。
9.4.2 意図する利用の状況に関する情報の提供
意図する利用の状況に関する情報の提供については,次の事項を満たすことが望ましい。
a) 情報通信機器又はサービスが設計対象とする利用の状況に関する情報は,機器又はサービスのオンラ
インヘルプに含まれている。
b) 情報通信機器又はサービスが設計対象とする利用の状況に関する情報が,機器又はサービスのオンラ
インヘルプに含むことができない場合,この情報がその機器又はサービスのための印刷物及び他の形
式の文書で提供される。
9.4.3 機器又はサービス更新時の互換性の維持
新バージョン(例えばアップグレード又は新しいモデル)の情報通信機器又はサービスは,少なくとも
既存バージョンと同じ範囲の利用者が利用できることが望ましい。
9.5 操作の準備及び完了
9.5.1 設置情報の提供
利用者が情報通信機器を設置すると予想される場合,この仕事を完了するために必要な設置情報は,す
べての利用者に利用できる代替形式で提供されることが望ましい。
9.5.2 設置の実行
利用者が情報通信機器を設置すると予想される場合,この仕事を完了するために必要な活動は,最も幅
広い層の利用者が達成できるものであることが望ましい。
9.5.3 機器の停止
機器は,容易に停止できることが望ましい。
例1 “オン/オフ”スイッチが,操作しやすく,かつ,知らない間に作動させることのない場所に
ある。
例2 システムが,物理的な“オン/オフ”スイッチを利用するか,又は機器を停止させるソフトウ
ェアコマンドを出すか,いずれかで停止することができる。
9.5.4 機器の収納
機器は,容易に収納できることが望ましい。
例1 大形の機器において,附属のケーブル及び他の小さな附属品の収納場所が確保されている。
例2 一組の小形装置が,一緒にして収納しやすいように互いに連結できる設計がされている。
9.5.5 機器の切離し
機器は,(例えば電源,周辺機器及びネットワークから)論理的にも物理的にも切り離しやすいことが望
ましい。
例 接続部が,操作しやすいように装置の(背面ではなく)側面にある。
10 環境特性に関する推奨事項
10.1 様々な環境での操作
情報通信機器及びサービスは,利用の状況で特定された様々な環境で操作できることが望ましい。
情報通信機器及びサービスは,様々な環境,すなわち,事務所,家庭,及び遠隔環境又は一時的環境(例
えば旅行中のホテルの部屋)で利用される。多くの情報通信サービスが,公共のコンピュータ,パーソナ
ルコンピュータ,ノート型パーソナルコンピュータ,電子手帳などの様々なハードウェアプラットフォー
ム上で利用される。
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X 8341-1 : 2010 (ISO 9241-20 : 2008)
例1 明るすぎてまぶ(眩)しさを感じさせる光は,視覚的条件に悪影響を与える。
例2 騒音があると聴覚的条件に影響する。
例3 作業スペースが狭いと物理的な運動条件に影響する。
例4 気が散ったり,注意を要する仕事がほかにあったりすると認知条件に影響する。
例5 気が散ると時間的条件を満足させるために利用できる時間が減る。
10.2 環境の設計
環境を設計する場合,次の事項について利用者のニーズを特に考慮することが望ましい。
a) 照明及び表面仕上げ
例 間接照明が現金自動預払機の表示面のまぶ(眩)しさを最小限にするために利用される。
b) スペースの配置及び利用
例 十分なスペースが,車いす利用者の移動のために提供されている。
c) 音響
例 設置スペースが,反響音を減らすように設計されている。
d) 温度
例 寒冷環境で使用される機器の操作部において,手袋を着用しての操作が考慮されている。
10.3 環境への影響
情報通信機器又はサービスの操作は,その環境又は近隣の人々に悪影響を及ぼさないことが望ましい。
例 利用者又は環境内にいる他の人々が不注意に触ってもやけど(火傷)をしないように,機器から
の放熱量が制限されている。
――――― [JIS X 8341-1 pdf 25] ―――――
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JIS X 8341-1:2010の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 9241-20:2008(IDT)
JIS X 8341-1:2010の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.180 : IT端末設備及びその他の周辺設備
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.180 : 人間工学
JIS X 8341-1:2010の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8515:2002
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―ワークステーションのレイアウト及び姿勢の要求事項
- JISZ8522:2006
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―情報の提示
- JISZ8523:2007
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―ユーザー向け案内
- JISZ8524:1999
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―メニュー対話
- JISZ8525:2000
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―コマンド対話
- JISZ8526:2006
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―直接操作対話
- JISZ8527:2002
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―書式記入対話