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X 8341-1 : 2010 (ISO 9241-20 : 2008)
7.2.8 ディスプレイ上にあるオブジェクトのサイズの調節
ディスプレイ上にあるテキスト,仕事に関連する文字フォント,アイコン及び他のユーザインタフェー
スに関するオブジェクトのサイズを調節する機能が提供されることが望ましい。
7.2.9 表示の内容の強調
スクリーン又はディスプレイの一部分を強調する(又は拡大する)機能が提供されることが望ましい。
注記 強調は,ユーザインタフェースに関するオブジェクトの有無にかかわらず,ディスプレイの表
示された一部分に適用される。
7.2.10 オブジェクトの表示の反転
ユーザインタフェースオブジェクトを明るく,背景を暗くする設定が提供されることが望ましい。
注記 視覚に制限のある一部の利用者(例えば白内障の利用者)は,白い背景は非常にまぶ(眩)し
く見えるので暗い背景を好む。
7.2.11 色覚に制限のある利用者
色の違いを情報の提供に利用する場合,色の違いだけでなく,例えば形・位置の違い又は文字によるラ
ベルのようなものも提供することが望ましい(その結果,色がコーディングの唯一の方法ではなくなる。)。
例 緊急停止取っ手において,赤色に塗られているほかに,“緊急用”というラベルもちょう(貼)付
されている。
7.2.12 点滅に反応する利用者
テキスト,オブジェクト又はビデオスクリーンを点滅させる速度は,光感受性発作(光源性てんかん)
を誘発しやすい周波数を避けることが望ましい。
点滅の周波数に加えて,点滅の面積及び輝度も重要である。点滅刺激の輝度が強いほど,点滅の面積が
大きいほど,感光反応(例えば発作,他の内容に対する注意不足)を起こす危険が大きくなる。
7.3 聴覚
7.3.1 有害な音響の回避
音響出力は,聴覚を損なうような音量を避けることが望ましい。
音響出力の上限を抑えるか減衰させる手段を提供すると,聴力を保護できる。
例 利用者が聞く音量を,不快感がなく,聴覚を損なわないように減少及び制限できるようにするた
めに,音が急に大きくなる場合に,システムがそれを減衰させるようになっている。
7.3.2 音声情報の視覚的提供
すべての音声情報(音声によって示された文字情報)は,視覚的な形式(例えばテキスト,強調表示技
術,手話ビデオ)でも提供されることが望ましい。
視覚的な形式による音声情報の提示が,音響情報の提示と確実に同期することが重要である。
7.3.3 聞くことができない利用者
情報通信機器及びサービスは,聞くことができない利用者に対応することが望ましい。
音声情報は,アイコン及び共通の記号,テキスト形式又は“音及び字幕の提示”の機能によって提供で
きる。この機能は,ソフトウェアによって音声情報を視覚的な形式で示すようにするものである。
聞くことができない利用者にとって特に重要な特別の指針に関しては,7.3.47.3.6を参照する。7.1及
び7.3.2に追加される一般的な指針及び特定の指針も,これらの利用者に対して重要である。
7.3.4 報知音の視覚的提供
報知音及び警報は,適切な強調表示技術を用いて視覚的に示されることが望ましい。
注記 適切な強調表示技術は,利用者の注意を得る必要性,報知音又は警報の重要性,及び他の同じ
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レベル又は一層重要な活動から利用者の気を散らす可能性を考慮する。
7.3.5 報知音の触覚的提供
視覚が利用できないか又は要求されない場合,報知音及び警報は,触覚の刺激を用いて示されることが
望ましい。
例 携帯電話の利用者に対して,電話機の振動によってメッセージを受け取ったことが通知される。
7.3.6 手話への対応
手話による情報提供が考慮されることが望ましい。
注記 手話の意味は,地域,国又は言語によって異なる(7.6.10も参照)。
例1 ウェブサイトにおいて,手話映像によってウェブサイトの目標及び構造が説明されている。
例2 情報通信機器において,紙ベースの利用者マニュアルとともに,その製品の主な機能について
説明する手話映像の入ったDVDが提供されている。
7.3.7 聴覚に制限のある利用者
情報通信機器及びサービスは,聴覚に制限のある利用者に対応することが望ましい。
注記 聴覚に制限のある人々の一部は,音声入力システムが認識できる発声をすることができない。
聴覚に制限のある利用者にとって特に重要な特別の指針に関しては,7.3.87.3.10,7.4.2,7.4.5及び7.4.6
を参照する。7.1,7.3.1及び7.3.2に追加される一般的な指針及び特定の指針も,これらの利用者に対して
重要である。
7.3.8 音量調整の提供
聴覚情報の音量を増減させる機能が提供されることが望ましい。
これは,騒々しい環境において特に重要である。
7.3.9 非音声音の周波数の管理
仕事に適切なときは,非音声音の周波数を調節する機能が提供されることが望ましい。
これが可能でない場合,高い周波数を利用しないように考慮する。
7.3.10 異なるチャネルに対する個別の調整の提供
異なる音源(チャネル)から来る音声及び非音声音が示される場合,非音声音の音量を調節する機能が
提供されることが望ましい。
7.4 発話
7.4.1 テキストによる入力への対応
キーボード又はテキスト入力装置の利用によって,すべての入力ができることが望ましい。
例 操作を制御するために音声を利用するアプリケーションの場合に,同等のテキストを入力するた
めに,キーボードが用意されている。
7.4.2 音声入力の代替手段への対応
音声入力をプロセスを作動させるために利用する場合,代替手段,例えばキーパッド又は身振りによる
ジェスチャ入力の利用が提供されることが望ましい。
注記 ろう(聾)者の一部は,音声入力システムが認識できる発声をすることができない。
7.4.3 発話できない利用者
情報通信機器及びサービスは,発話できない利用者に対応することが望ましい。
注記 発話できない人々の一部は,聞くこともできない。
発話できない利用者にとって特に重要な特別の指針に関しては,7.4.1,7.4.2及び7.6.8を参照する。7.1
から追加される一般的な指針及び特定の指針も,これらの利用者に対して重要である。
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7.4.4 発話に制限がある利用者
情報通信機器及びサービスは,発話に制限がある利用者に対応することが望ましい。
注記 聴覚に制限のある人々の一部は,音声入力システムが認識できる発声をすることができない。
発話に制限がある利用者にとって特に重要な特別の指針に関しては,7.4.1,7.4.2,7.4.5及び7.4.6を参
照する。7.1から追加される一般的な指針及び特定の指針も,これらの利用者に対して重要である。
7.4.5 音声入力の速度の調節
音声入力の速度は,利用者によって調節できることが望ましい。
注記 発話障害をもつ人々は,単語及び文を発音する時間が他の人々より長くかかることが多い。
7.4.6 音声入力強調の提供
音声入力を強調する機能が提供されることが望ましい。聞き取れない小さな音声又は不明りょうな発話
のために音声認識ソフトウェアを利用できない多くの人も,音声強調装置を利用すれば音声認識ソフトウ
ェアを利用できる。
7.5 身体的能力
7.5.1 動作に制限のある利用者
情報通信機器及びサービスは,動作に制限のある利用者に対応することが望ましい。
例 コントロール類が,過度の手足の移動を不要にするために接近して配置されている。
動作に制限のある利用者にとって特に重要な特別の指針に関しては,7.5.27.5.7を参照する。7.1から
追加される一般的な指針及び特定の指針も,これらの利用者に対して重要である。
7.5.2 コントロール類の調整可能な配置の提供
コントロール及びディスプレイの配置は,利用者の手の届く高さ及び位置に調整できることが望ましい。
動作に制限のある人々,例えば車いす利用者,歩行補助具,又は慢性関節痛の利用者にとって関係がある。
7.5.3 片手操作への対応
コントロールは,左右どちらかの手を利用すれば操作が可能で,両手を同時に利用する必要のある操作
は避けることが望ましい。
7.5.4 力に制限のある利用者
コントロール類は,(行う操作の制約内で)必要最小限の力で動かせるようにすることが望ましい。動き
の利用と力とは組み合わされることが多い。
力のかけ方には,押す,握る,つまむ,ねじるなどがある。
これは,脳血管障害を経験した利用者のように,力に制限のある人々にとって特に関係がある。
例 コントロール類が,容易に選べ,動かせ,つかむこと,握ること,及び操作することができるよ
うに,形,大きさ,適切な間隔及び表面仕上げを考慮して設計されている。
7.5.5 運動制御能力に制限のある利用者
情報通信機器及びサービスは,運動制御能力に制限のある利用者に対応することが望ましく,高い機敏
性を要求しないことが望ましい。
例 運動制御能力に制限のある利用者に対して,音声制御が提供されている。
7.5.6 こまかい運動を制御する能力に制限のある利用者
コントロール類は,こまかい運動を制御する能力の制限(例えば体の震え)を補正するように設計され
ることが望ましい。
例1 トラッキング装置が,体の震えを補正するダンパを内蔵している。
例2 マウスのトラッキングが,物理的な大きな動きに対してカーソルが小さく動くように設定でき
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る。
7.5.7 利用者による応答時間の調整の提供
利用者が制限時間内に応答する(例えば,ボタンを押す又は情報をタイプで打つ。)必要があり,そうし
ないと応答が無効になる(時間切れになる)作業の場合,制限時間の長短は利用者が調整できることが望
ましい。調整には,応答時間を無制限にする選択肢も含む。
情報通信機器及びサービスでは,時間切れがインタラクションの本質的な要素でないように設計するの
が重要であるが,そうでないときには,次の少なくとも一つが当てはまることが重要である。
a) 利用者は,時間切れを停止できる。
b) 利用者は,時間切れを調整できる。初期設定の少なくとも10倍の時間まで延長できる。
c) 利用者は,時間切れの前に警告され,単純な操作(例えば,どのキーでもよいから打つ。)によって制
限時間を延長でき,応答時間が与えられる。
d) 時間切れは実時間事象(例えばオークション)の重要な部分であり,時間切れの代替はできない。
e) 時間切れはタイミングが必す(須)の活動(例えば対戦ゲーム又は制限時間のある試験)の一部であ
り,この活動を停止しない限り制限時間の延長ができない。
7.6 認知能力
7.6.1 認知能力に制限のある利用者
情報通信機器及びサービスは,認知能力に制限のある利用者に対応することが望ましい。
様々な認知能力に制限のある利用者にとって特に重要な特別の指針に関しては,7.6.27.6.10を参照す
る。7.1から追加される一般的な指針及び特定の指針も,これらの利用者に対して重要である。
7.6.2 不必要に高い認知負荷の回避
情報通信機器及びサービスは,機器の操作又はサービスの利用に必要な基本的活動を,できるだけ分か
りやすく単純にすることによって,不必要に高い認知負荷を利用者に要求しないことが望ましい。一貫性
の確保及び/又は入出力した情報を見直すことができると,利用者に求められる認知負荷の軽減につなが
る。
例1 システムにおいて,利用者の記憶及び学習の能力に過度な負担をかけることを避けるために,
状況に応じたヘルプが提供されている。
例2 利用者がパスワードを覚えていることを不要にするために,生体個人認証が利用されている。
7.6.3 理解の支援
情報は,利用者が理解しやすい方法で示され整理されていることが望ましい。
情報及びコントロール類は,そのレイアウトを工夫することによって,視覚障害又は認知障害のある人々
が読み取りやすくなる。考慮すべき要因は,情報及びコントロール類の論理的なグループ化,適切なラベ
ル及び見出しの利用,文章の1行の長さ,情報の関連性,コントロール類と操作との関係性などである。
例 個々の操作の目的を理解しやすくするために,録音再生機器のコントロールボタンの物理的位置,
順序,グループ化,間隔などに一貫性がある。
7.6.4 分かりやすい用語の利用
情報通信機器及びサービスの記述及び操作に利用する用語は,利用者の専門知識及び認知能力の水準に
関係なく,できるだけ理解しやすい表現及び定義を利用することが望ましい。
説明又は用語集を提示し,利用者が知らないかもしれない表現及び用語を利用者が理解することを助け
る。
例1 大衆に利用されるアプリケーションでは,一般的に利用される用語“しもやけ”を専門用語“凍
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そう(瘡)”の代わりに利用している。
例2 専門用語,略語,頭字語などが利用の状況下で必要な場合,これらの用語のリンクをオンライ
ン用語集の見出し語に入れて提供している。
7.6.5 記号又は図による情報の提供
利用者が理解しやすい情報にするために,記号又は図の形式で提供することが望ましい。話すことがで
きない人々は,しばしば文字情報を読むことに苦労するが,記号又は図の形式で文字情報を伝えると,コ
ミュニケーションの速度が上がる。
例 語学力に制限のある人々のために,アイコンが利用されている。
7.6.6 適切な手がかりの提供
情報通信機器及びサービスは,利用者が重要な情報(例えば設定状態)に注意を払うことを支援するた
めに適切な手がかりを提供することが望ましい。
例 銀行の現金自動預払機において,メッセージ,例えば“カードをお取りください”が強調して表
示される。
7.6.7 インタラクションの速度の調整
インタラクションの速度は,利用者が調整できることが望ましい。認知障害のある利用者は,特定の活
動を行うために余分な時間がかかることがある。
例 利用者が,自動表示の進行速度を調整できる。
7.6.8 一時停止又は停止
移動,点滅,スクロール又は自動更新によって情報を提示する場合,利用者は,この動的表示をいつで
も一時停止又は停止できることが望ましい。一時停止及び停止は,利用者によるインタラクションの速度
の調整にも役立つ。
注記 JIS Z 8531-2は,情報の動的表示を調整する追加の指針を提供する。
7.6.9 学習の最小限化
情報通信機器及びサービスの設計は,利用者に共通する経験に関連させることによって,特別な学習の
必要を最小限にすることが望ましい。
例 独自開発のメッセージ通信システムにおいて,一般に用いられている電子メールクライアントの
レイアウト及び機能が模倣されている。
7.6.10 文化及び言語の違いへの対応
情報通信機器及びサービスの記述及び操作に利用する用語は,文化又は言語の違う利用者にも理解でき
る表現を用いることが望ましい。
英語だけを利用した情報通信機器及びサービスは,もしインタラクションが利用者の言語に翻訳されな
ければ,英語を理解しない利用者に対しアクセシビリティの問題を生じることがある。
国際的な利用のために設計されたアイコンの利用は,文化及び言語の違う利用者による理解を改善する
一つの方法である。
例 インストール情報が,様々な言語で入手でき,情報通信機器又はサービスの操作に利用する言語
を選択する方法の情報も含んでいる。
8 仕事特性に関する推奨事項
8.1 利用の状況に基づく仕事の実行
情報通信機器及びサービスは,利用の状況に合わせて利用者が容易に仕事ができるようにすることが望
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JIS X 8341-1:2010の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 9241-20:2008(IDT)
JIS X 8341-1:2010の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.180 : IT端末設備及びその他の周辺設備
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.180 : 人間工学
JIS X 8341-1:2010の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8515:2002
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―ワークステーションのレイアウト及び姿勢の要求事項
- JISZ8522:2006
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―情報の提示
- JISZ8523:2007
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―ユーザー向け案内
- JISZ8524:1999
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―メニュー対話
- JISZ8525:2000
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―コマンド対話
- JISZ8526:2006
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―直接操作対話
- JISZ8527:2002
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―書式記入対話