JIS Z 0663:2017 RFIDのサプライチェーンへの適用―貨物コンテナ | ページ 2

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Z 0663 : 2017 (ISO 17363 : 2013)
ISO/IEC/IEEE 8802-15-4,Information technology−Telecommunications and information exchange between
systems−Local and metropolitan area networks−Specific requirements−Part 15.4: Wireless medium
access control (MAC) nd physical layer (PHY) pecifications for low-rate wireless personal area networks
(WPANs)
ISO 10374:1991,Freight containers−Automatic identification
ISO/IEC 15459 (all parts),Information technology−Automatic identification and data capture techniques−
Unique identification
ISO/IEC 15961,Information technology−Radio frequency identification (RFID) or item management−Data
protocol: application interface
ISO/IEC 15962,Information technology−Radio frequency identification (RFID) or item management−Data
protocol: data encoding rules and logical memory functions
ISO/IEC 15963,Information technology−Radio frequency identification for item management−Unique
identification for RF tags
ISO/IEC 18000-7,Information technology−Radio frequency identification for item management−Part 7:
Parameters for active air interface communications at 433 MHz
ISO/IEC 18046 (all parts),Information technology−Automatic identification and data capture techniques−
Radio frequency identification device performance test methods
ISO/IEC/IEEE 21451-5 [IEEE 1451.5],Information technology−Smart Transducer Interface for Sensors and
Actuators−Wireless Communication Protocols and Transducer Electronic Data Sheet (TEDS) ormats
ISO/IEC/IEEE 21451-7,Information technology−Smart transducer interface for sensors and actuators−Part
7: Transducer to radio frequency identification (RFID) ystems communication protocols and Transducer
Electronic Data Sheet (TEDS) ormats

4 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS X 0500-1,JIS X 0500-2,JIS X 0500-3及びJIS Z 0664によ
るほか,次による。
なお,この規格では,16進法文字は0xnnと表す(“nn”は16進数)。
注記1 2進数はnnbと表す(“nn”は0又は1の2進数)。
注記2 RS,EOT,GSなどの制御文字は<RS>,<EOT>,<GS>などと表す。
4.1
データの完全性(integrity)
電子的に保管されている情報の変更を,適切な権限なしには行われないように設計されていること。
4.2
独自性・有効性(originality・validity)
出荷タグの情報の間違った記載によって,出荷に障害が生じるため,次の修正ができないように設計さ
れていること。
− 書換え禁止とする必須情報の修正
− 書換え可能な任意情報の許可のない修正
4.3
機密情報(classified information)

――――― [JIS Z 0663 pdf 6] ―――――

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Z 0663 : 2017 (ISO 17363 : 2013)
国家安全保障上の理由から政府が許可又は承認した人間に制限される情報。
4.4
タグデータ経路コード(tag data routing code)
RFタグヘッダを読み取るシステムにおいて,輸送中に貨物可視化データをRFタグ所有者に送ることを
可能にするデータ文字列。

5 概念

5.1 貨物コンテナの階層と下位・上位階層との区別

  “サプライチェーン階層”は,最終販売地点までの輸送,使用及び保守並びに場合によっては処分及び
返却された商品までを含み,原料から製品までの全ての側面を対象とする階層的な概念である。これらの
各階層は,製品を取り扱う多くの側面を対象とし,各レベルの業務工程は固有であるとともに,その他の
階層と重複している。
“サプライチェーン階層”の概念を図1に示す。“物品レベル”から“貨物コンテナレベル”までの階層
は,“RFIDのサプライチェーンへの適用”のための一連の規格内で扱われており,サプライチェーンの可
視性を高めることを目的としている。最上位の階層5の“輸送モードレベル”でトラックを使用する場合
は,ISO/TC204/WG7の作業範囲内に入る。
図1の階層4の貨物コンテナレベルが,この規格の対象である。
階層5
輸送モードレベル 輸送モード
輸送モードによる定義 (トラック、船舶、鉄道、航空機)
(輸送モード)

RPI階層4貨物コンテナレベルJISZ0663 コンテナ

 433MHz又は2.45GHz  20/40 フィート海上コンテナ及びマルチモーダルコンテナ
(8802-15-4又は18000-7 TPA)
(貨物コンテナ)
RPI
階層3
RTIレベル
JISZ0664 リターナブル リターナブル
860MHz960MHz 輸送器材(RTI) 輸送器材(RTI)
(様々な18000 TPA)
(三次包装)
RPI
階層2
輸送単位レベル 輸送 輸送 輸送 輸送
JISZ0665
(様々な18000 TPA)
単位 単位 単位 単位
(三次包装)
RPI
階層1
製品包装レベル
JISZ0666 製品 製品 製品 製品 製品 製品 製品 製品
包装
(860MHz960MHz TPA) 包装 包装 包装 包装 包装 包装 包装
(13.56MHzTPA)
(二次包装)
階層0 リターナブル包装器材(RPI)
物品レベル
JISZ0667 物 物 物 物 物 物 物 物 物 物 物 物 物 物 物 物
(860MHz960MHz TPA)
(13.56MHzTPA)
品 品 品 品 品 品 品 品 品 品 品 品 品 品 品 品
(一次包装)
構成要素,部品,資材,サブアセンブリ等
注記 TPA : 受渡当事者間の合意がある場合(Trading Partner Agreement)
図1−サプライチェーンの階層

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RFタグを取り付け次第,貨物コンテナレベル用RFタグ(貨物出荷専用タグ)は,RFIDリーダライタ
に含まれる“選択読取り”方式を用いることで,下位階層用のRFタグから区別することができる。この
選択読取り機能によって,リーダライタ及びこれをサポートする自動情報システム(AIS)は,迅速に貨
物コンテナレベル用1) Fタグ(貨物出荷専用タグ)を識別することができる。
注1) 対応国際規格では,製品包装レベル用とあるが,誤りのため訂正した。

5.2 一意の物品識別子

  一意の物品の識別とは,一意のデータ文字列を個々の貨物コンテナ又は貨物コンテナ内の積荷に関連付
けられた貨物コンテナレベル用RFタグ(貨物出荷専用タグ)に割り当てるプロセスである。貨物コンテ
ナへのRFダグの取付けが有意義であるためには,シリアル化された各RFタグが全世界で一意のものであ
ることが必要となる。貨物コンテナの一意のシリアル化よって,個体単位でのデータ収集・管理を行うこ
とができる。個体単位データの利益は,メンテナンスなどの領域において明白であり,記録の電子データ
交換を可能にする。この個体識別化は,RFタグを取り付けた各貨物コンテナが一意のタグIDを備えてい
る場合にだけ可能である。
ISO/IEC 15459規格群によって定義された一意の物品識別子(UII)によって,RFタグによるコンテナ
個体単位の区別ができる。一意のタグIDとは,RFタグを一意に識別する仕組みである(ISO/IEC 15963
参照)。
貨物コンテナの識別に関しては,特にISO 6346を始めとする既存規格が存在する。この規格における貨
物コンテナ識別構造は,ISO 6346及びISO 10374の規定によるものとする。
この規格においては,貨物コンテナを一意に識別するために,次のデータ構造を用いる。ISO形式のタ
グは,一意の物品識別子の前にアプリケーションファミリ識別子(AFI)を備えている。
一意の物品識別子は,ANS MH10.8.2 [52]のデータ識別子“7B”に続いて,B.I.C.(Bureau International des
Containers et du Transport Intermodal)との協力によって割り当てられた3文字の貨物コンテナ所有者コード
(OC),その次に1文字の器材カテゴリ識別子(EI),その次に6桁のシリアル番号(CSN),その次にISO
6346:1995の附属書Aに従って計算されたモジュラス11の1桁のチェックディジット(CD)が続く文字
列である。
例 7B AAA A NNNNNN N

5.3 貨物コンテナの国際的な一意の識別

  複数のメモリバンクを用いた一意の物品識別フォーマットのためには,特に,0xA9又は0xAAを始めと
する表1のAFIフォーマットを上記の“7B”フォーマットの前に用いなければならない。
表1−JIS Z 066Xアプリケーションファミリ識別子(AFI)の割当て
AFI 割当て
0xA1 JIS Z 0667 製品タグ付け
0xA2 JIS Z 0665 輸送単位
0xA3 JIS Z 0664 リターナブル輸送器材(RTI)及びリターナブル包装器材(RPI)
0xA4 JIS Z 0667 製品タグ付け(有害物質を含む場合)
0xA5 JIS Z 0666 製品包装
0xA6 JIS Z 0666 製品包装(有害物質を含む場合)
0xA7 JIS Z 0665 RFIDのサプライチェーン適用−輸送単位(有害物質を含む場合)
0xA8 JIS Z 0664 リターナブル輸送器材(RTI)及びリターナブル包装器材(RPI)(有害物質を含む場合)
0xA9 JIS Z 0663 貨物コンテナ
0xAA JIS Z 0663 貨物コンテナ(有害物質を含む場合)

――――― [JIS Z 0663 pdf 8] ―――――

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Z 0663 : 2017 (ISO 17363 : 2013)

5.4 RFタグの種類

  貨物コンテナでのRFタグの利用に関しては,4種類のRFデバイスを用いている。これら各デバイスの
個別の利用について,5.4.15.4.3に示す。
注記 対応国際規格では5.4.4と記載されているが,誤りのため5.4.3に修正した。
5.4.1 恒久的なコンテナ“ライセンスプレート”タグ
恒久的なコンテナライセンスプレートタグは,“コンテナタグ”と呼び,ISO 10374による。
このタグに含まれる情報は,貨物コンテナの耐用期間中(又は貨物コンテナが所有者及び/又は器材ID
を変更するまでの期間)コンテナタグに含まれ,貨物コンテナ所有者又はその代理人によって,自らの責
任において書き込まれ,かつ,維持管理される書換え禁止の情報である。
注記1 書換え禁止の恒久的な情報項目は,ISO 10374による。
注記2 上記の最後の段落は,対応国際規格では4.2に記載されているが,誤りのため5.4.1へ移動し
た。
5.4.2 貨物出荷専用タグ
貨物出荷専用タグは,“出荷タグ”と呼び,この規格に規定している。
このタグに含まれる情報は,貨物コンテナ輸送中,その配送完了まで出荷タグに含まれる独自性及び有
効性をもつ任意の情報である。
注記1 上記の最後の段落は,対応国際規格では4.3に記載されているが,誤りのため5.4.2へ移動し
た。
集積回路の恒久的なID(チップID)及び実際のRFタグの一意の恒久的なID(タグID)である書換え
禁止の二つのデータ項目のほか,タグデータ経路コードである書換え可能な一つのデータ項目を含む。
注記2 書換え禁止とするデータ項目は,荷送人によって出荷タグに埋め込まれている。
注記3 上記の最後の段落は,対応国際規格では4.1に記載されているが,誤りのため5.4.2へ移動し
た。
5.4.3 貨物コンテナ開封検知
5.4.3.1 ISO 18185に規定された電子シール
ISO 17712に規定された高セキュリティシールに適合し,ISO 18185に規定された読取り専用の再利用不
能な貨物コンテナシールで,不法開封又はコンテナドアを通しての侵入を電子的に立証する。
5.4.3.2 ISO/IEC/IEEE 8802-15-4に規定された開封センサ
センサ装備のRFタグは,有線又は無線インタフェースに関するISO/IEC/IEEE 21451-7に適合し,かつ,
ISO/IEC 18000-7に適合するか,又は2 450 MHz DSSS物理層(PHY)を用いたO-QPSK変調に関する規格
であるISO/IEC/IEEE 8802-15-4及びRFタグ若しくはアクセスポイントとセンサ間の無線インタフェース
に関するISO/IEC/IEEE 21451-5との組合せのいずれかに適合するものとする。無線インタフェースの選
択は,取引当事者間の合意によって決定する。
5.4.4 物品レベルのRFタグ
階層0(物品レベル)のRFタグは,追跡する物品に貼付する典型的なパッシブタグである。物品は,製
品そのもののことも,製品の周りの包装又は製品を輸送するために用いられる輸送手段(パレット,ケー
スなど)の場合もある。このタグは,通常使い捨てであるが,リターナブル輸送器材などの場合は,再利
用可能なこともある。このRFタグを貼付するサプライチェーン内の階層に応じて(図1参照),ISO/IEC
15459規格群の適切な部分を利用する。

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Z 0663 : 2017 (ISO 17363 : 2013)
5.4.5 リターナブル包装器材タグ
例えば,ひも,ブレース,ラチェット,芯材,固縛器具など,貨物コンテナと関連する物品が存在する
が,これらは本来,資産であり,荷送人によって所有されている。こうした資産は,JIS Z 0664の附属書
Aを適用することで,追跡され,貨物コンテナと関連付けられる。

5.5 他の識別要件への追加

  この規格は,適用する安全上又は規制上の表示又はラベル要件を無効にしたり,それらに取って代わる
ものではない。

6 貨物コンテナ階層内の区別

6.1 概要

  この規格は,図1に示す貨物コンテナレベル(階層4)に関する要件を規定する。この階層は,次のと
おり他の階層と区別する。

6.2 貨物コンテナサプライチェーンRFIDシステムの要件

6.2.1  RFIDシステム構成要素
貨物コンテナサプライチェーンRFIDシステム(以下,RFIDシステムという。)は,次の二つの基本的
な構成要素から成り立つ。
a) 貨物コンテナに貼付する出荷タグ
b) 貨物コンテナとは別の位置にあり,この規格に規定する出荷タグの読取り・書込みを行う機器
6.2.2 出荷タグ用RFIDシステムの能力
出荷タグ用RFIDシステムは,次の能力を備えたものとする。
a) 出荷タグ上の情報の完全性を維持できる。
b) その情報を読取り装置への伝送に適した形式に符号化できる。
c) リーダライタから35 m以内の距離において,次の場合に書込みが行える。
1) その他のRFタグから3 m以上の十分な距離があり,区別が行える場合
2) 附属書Aに規定した環境条件で操作・保管する場合
3) 書込みが完了するまで,RFタグが図2の半径A(35 m)を超えて移動することがないものと考えら
れる場合
図2−半径35 mの範囲
d) 情報を書き込んだ荷送人が貼付した後,荷受人がRFタグを取り外すことになる最終配送まで,貨物

――――― [JIS Z 0663 pdf 10] ―――――

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JIS Z 0663:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 17363:2013(IDT)

JIS Z 0663:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 0663:2017の関連規格と引用規格一覧