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Z 2254 : 2021
附属書JA
(規定)
固有振動法
JA.1 一般
日本産業規格の材料規格に試験方法の種類の指定がなく,対象材料がステンレス鋼を除く薄鋼板及び鋼
帯の場合には,平均塑性ひずみ比は,この附属書に規定する固有振動法によってもよい。
JA.2 試験の原理
磁わい(歪)振動方式の共振法などによって平均ヤング率1)を求め,これと引張試験によって求める平
均塑性ひずみ比との相関が強いことを利用して,統計的解析によって得られている回帰式を用いて間接的
に平均塑性ひずみ比を求める。
注記 磁わい振動方式の共振法による場合は,試験の対象は,強磁性体の材料が用いられる。
注1) ヤング率は,弾性域における応力(F/So)とひずみとの比である。
JA.3 試験装置
試験装置は,通常,図JA.1のように構成され,励振コイルで試験片に高周波振動を加えて,検出コイル
で共振周波数の検出が可能である。
図JA.1−固有振動法による共振周波数測定装置の構成例
JA.4 試験片
試験片は,次による。
a) 試験片の採り方は,それぞれの材料規格の規定による。特に規定のない場合は,受渡当事者間の協定
による。
b) 試験片は,それぞれの測定器で定められた試験片を用いる。ただし,寸法の許容差は,±0.025 mmと
する。
――――― [JIS Z 2254 pdf 21] ―――――
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Z 2254 : 2021
JA.5 試験
試験は,次による。
a) 試験温度 試験温度は,10 35 の範囲内とし,厳格に管理された条件下での試験が要求される場
合は,(23±5) とする。
b) 試験片長さの測定 試験片長さを±0.025 mmの精度で測定する。ただし,試験片の加工精度が寸法の
許容差(±0.025 mm)内に十分管理されている場合は,呼び長さを用いてもよい。
c) 試験片の共振周波数の測定 板面の圧延方向に対して平行,45゜及び90゜各方向から採取した試験片
の共振周波数を,JA.3の試験装置を用いて整数位まで測定する。
d) 平均塑性ひずみ比の算出 平均塑性ひずみ比の計算手順は,次による。
1) 板面の圧延方向に対して平行,45゜及び90゜各方向から採取した試験片のヤング率1)は,式(JA.1)
による。
Ex=4ρl2f2 (JA.1)
ここで, E : ヤング率(MPa)
かさ密度(7.87 g/cm3)
l : 試験片の長さ(mm)
f : 共振周波数(Hz)
x : 板面の圧延方向に対する角度(°)
注記 1 MPa=1 N/mm2
2) 平均ヤング率は,式(JA.2)によって計算し,有効数字4桁に丸める。数値の丸め方は,JIS Z 8401の
規則Aによる。
E ─
(JA.2)
4
ここで, E0 : 試験片を板面の圧延方向に対し平行に採取し測定したヤン
グ率(MPa)
E45 : 試験片を板面の圧延方向に対し45゜方向に採取し測定した
ヤング率(MPa)
E90 : 試験片を板面の圧延方向に対し90゜方向に採取し測定した
ヤング率(MPa)
3) 平均塑性ひずみ比は,平均ヤング率を用いて式(JA.3)によって計算し,小数点以下第1位に丸める。
数値の丸め方は,JIS Z 8401の規則Aによる。
101.44
r= E ─ 10−6−38.83 0.564 (JA.3)
4) 固有振動法によって得られた試験値に疑義が生じた場合は,引張試験による試験方法を標準試験方
法とする。
JA.6 塑性ひずみ比による平均塑性ひずみ比の校正及び補正
引張試験による平均塑性ひずみ比を用いて校正曲線を作成し,固有振動法による平均塑性ひずみ比を補
正する。ただし,両者の差が0.1以内の場合は,補正しなくてもよい。
――――― [JIS Z 2254 pdf 22] ―――――
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Z 2254 : 2021
附属書JB
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS Z 2254 ISO 10113:2020,(MOD)
a) JISの箇 b) 対応国際 c) 箇条ご e) JISと対応国際規
d) JISと対応国際規格との技術的差異の内容
条番号 規格の対 との評 及び理由 格との技術的差異
応する箇 価 に対する今後の対
条番号 策
1 1 追加 JISでは,適用範囲に附属書JAを追加した。JIS独自の附属書であ
る。
3 3 追加 JISでは,鉄鋼用語(試験)の引用を追加した。 技術的な差異は軽微で
ある。
変更 ISOへの提案を検討す
JISでは,塑性変形の間に相変化を示す材料に
る。
ついて,測定手順を受渡当事者間で協議するこ
とが望ましいに変更した。
追加 ISOへの提案を検討す
JISでは,式(3)は,塑性ひずみ量に代えて,塑
る。
性ひずみ範囲を適用できることを追加した。
変更 JISでは,異方性についての塑性ひずみ,試験
技術的な差異は軽微で
ある。
方法及び評価方法の規定を追加試験結果の箇
条から,用語及び定義の注釈に集約した。
4 4 追加 技術的な差異は軽微で
試験片の幅及び標点距離をそれぞれ原幅及び
原標点距離ということを追加した。 ある。
追加 JISでは,代表的な素材のポアソン比を例とし
技術的な差異は軽微で
て追記した。 ある。
5 5 追加 ISOへの提案を検討す
JISでは,材料規格に規定がない場合の塑性ひ
ずみ量について,追加した。 る。
6 6 変更 技術的な差異は軽微で
試験方法の名称として,手動,半自動及び自動
ある。
は,日本での試験方法の概念から,必ずしもふ
さわしくないため,JISでは,それぞれ試験方
法1,試験方法2及び試験方法3と変更した。
追加 ISOへの提案を検討す
試験方法1に適用する試験機,及び試験方法2
る。
に適用する試験機のうち,ひずみ解放後に試験
片長さを測定する場合は,JIS B 7721は適用し
ないことを追加した。
変更 ISOへの提案を検討す
JISでは,多くの自動測定機で±0.01 mmの測
る。
定精度のものが利用されている実態を反映し
た。
7 7 追加 JISでは,使用する試験片を具体的に規定し技術的な差異は軽微で
た。 ある。
変更 ISOへの提案を検討す
JISでは,試験片の平行部長さ下限値を試験片
ごとに指定した。 る。
――――― [JIS Z 2254 pdf 23] ―――――
22
Z 2254 : 2021
a) JISの箇 b) 対応国際 c) 箇条ご e) JISと対応国際規
d) JISと対応国際規格との技術的差異の内容
条番号 規格の対 との評 及び理由 格との技術的差異
応する箇 価 に対する今後の対
条番号 策
8 8 変更 技術的な差異は軽微で
試験方法の名称として,手動,半自動及び自動
ある。
は,日本での試験方法の概念から,必ずしもふ
さわしくないため,JISでは,それぞれ試験方
法1,試験方法2及び試験方法3と変更した。
変更 ISOへの提案を検討す
試験方法2において,試験片長さ測定は,ひず
み解放前後のいずれでもよいことにした。 る。
また,その評価式について,ひずみ解放後の場
合は,式(6)及び式(7)によることを追加した。
変更 ISOへの提案を検討す
JISでは,塑性ひずみ比を試験する,材料の降
る。
伏後のひずみ速度は,引張試験に合わせて,推
定ひずみ速度とした。
追加 JISでは,ひずみ速度について,材料規格の規
技術的な差異は軽微で
ある。
定がある場合,それによることを追加した。
変更 JIS独自法への対応で
JISでは,実施してよい試験方法に,附属書JA
ある。
の固有振動法を追加して,四つの異なった方法
とした。
変更 附属書Aは,参考であ
JISでは,附属書Aの調査方法について,参考
に位置付けた。 り,技術的な差異は軽
微である。
追加 ISOへの提案を検討す
JISでは,試験方法1を基準試験方法と位置づ
けた。 る。
追加 ISOへの提案を検討す
JISでは,標点距離及び塑性ひずみ量が,材料
る。
規格又は受渡当事者間の協定がない場合に採
用する値を追加した。
追加 ISOへの提案を検討す
JISでは,伸び計標点距離を原標点距離として
よい条件を追加した。 る。
10 変更 特になし。
JISでは,丸めはJIS Z 8401によって,小数第
1位に丸める(対応国際規格では,ISO 80000-
1によって,0.05単位)ことにした。
10 10 変更 ISOへの提案を検討す
JISでは,報告事項は,受渡当事者間で選択可
能とした。 る。
追加 JISでは,試験方法に,附属書JAの固有振動JIS独自法への対応で
法を追加した。 ある。
追加 ISOへの提案を検討す
JISでは,評価方法の報告は,試験方法3の場
る。
合を追加し,具体的に,単一点による方法及び
回帰による方法を追加した。
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味を,次に示す。
− 追加 : 対応国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 : 対応国際規格の規定内容又は構成を変更している。
注記2 JISと対応国際規格との対応の程度の全体評価の記号の意味を,次に示す。
− MOD : 対応国際規格を修正している。
JIS Z 2254:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10113:2020(MOD)
JIS Z 2254:2021の国際規格 ICS 分類一覧
JIS Z 2254:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7721:2018
- 引張試験機・圧縮試験機―力計測系の校正方法及び検証方法
- JISB7741:2019
- 一軸試験に使用する伸び計システムの校正方法
- JISG0202:2013
- 鉄鋼用語(試験)
- JISZ2241:2011
- 金属材料引張試験方法
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方