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Z 2257 : 2021
力増分が生じるように,全ひずみ速度の方向を急変させる。
c) 全ひずみ速度を急変した後は,全ひずみ速度の方向をそのまま一定に維持する(全ひずみ速度の成分
比を一定値に維持する。)。その後は,材料の弾性の影響によって,応力の軌跡は,自動的に後続降伏
曲面の僅かに外側をなぞる。
冷延鋼板及び6000系アルミニウム合金板について,上に示した方法を適用して測定した後続降伏曲面の
測定結果を,図A.3に示す。図中の実線は,ひずみ経路急変法によって測定した応力経路である。第1負
荷における全ひずみ速度比(圧延方向 : 圧延直角方向)をD11 : D22=1 : 1とし,公称ひずみ成分がe11=e22
=0.01に達した瞬間に全ひずみ速度比(図中に記載)を急変した場合を示す。ひずみ経路急変点において
後続降伏曲面のとがり点が明瞭に観察された。この方法では,急変後の全ひずみ速度比によって一般化フ
ック則を用いて計算する応力経路は,測定した応力経路とは全く異なる点であり,急変後の応力経路は,
弾性除荷ではない。
オーステナイト系ステンレス鋳鋼に対しても,同様の実験結果が報告されている[10]。ただし,この実
験で用いられた十字形試験片は,この規格のものとは異なる。
250
350 SPCE A6XXX-T4
D22= -D11 (D22>0)
300
200
250
MPa
MPa
D22= -D11 (D22>0) 攀
150 D22= -0.833D11
200 攀
/
(D22>0)
/
攀
2
攀 Dp
2
150
100 D11=D22= 1
D11=D22=1 攀
100 Dp
D22= -D11 (D11>0)
50 D22= -1.2D11 (D11>0)
50 攀
D22= -D11 (D11>0)
攀
0 攀
0 50 100150 200 250 300350 0
0 50 100 150 200 250
一 一
a) 冷延鋼板 b) 6000系アルミニウム合金板
記号説明
σ11 x軸方向の真応力(MPa)
σ22 y軸方向の真応力(MPa)
D11 x軸方向の全ひずみ速度
D22 y軸方向の全ひずみ速度
Dp 塑性ひずみ速度
Δεp ひずみ経路急変点を起点とするミーゼスの累積相当塑性ひずみ
注記 図中のは,処女材に対して線形応力経路を負荷して測定した等塑性仕事面を示す。
図A.3−等二軸引張からひずみ経路を急変した場合に測定した後続降伏曲面の例[9]
――――― [JIS Z 2257 pdf 16] ―――――
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Z 2257 : 2021
附属書B
(参考)
十字形試験片の応力測定部に付与可能な最大相当塑性ひずみに
影響する因子
B.1 一般
十字形試験片では,腕部のスリット間の材料が単軸引張状態となるため,腕部の公称応力が素材の引張
強さに到達した時点で試験終了となる。すなわち,試験片の応力測定部が破断するまでの応力−ひずみ曲
線は,測定不可能である。そこで,腕部の最大引張力条件[11]によって,応力測定部に付加可能な最大相
当塑性ひずみ
p
max
な塑性力学計算に基づいて計算することが可能である。p
max
湟 v 子として
は,引張力比,材料の加工硬化指数(n値),スリット幅wS,材料の異方性などがある。
等方性材料を仮定して,加工硬化指数及びスリット幅が
p
max
歓 ぼす影響を,B.2及びB.3に示す。
B.2 加工硬化指数(n値)の影響
n値が p
max
歓 ぼす影響を,図B.1に示す。スリット幅wSは腕幅の1 %,スリット本数は7本と仮定し
た。n値が大きいほど, p
max
艙 估 n値の増加に伴って腕部材料が耐え得る引張力が増加
するため,結果として,応力測定部に伝達される二軸引張力も増加するためである。図B.1は,材料の等
方性を仮定し,腕部が耐え得る最大引張力条件[11]によって算定した簡易数値解である。このため,異方
性をもつ実際のプレス用板材料が示す
p
max
澂 干異なる可能性がある。したがって,図B.1の値は,参考
値とする。
攀max
0.15
wS /B = 0.01
Fx :Fy = 1:1
Fx :Fy = 2:1
0.10
0.05
0.00
0.1 0.2 0.3 0.4 n
記号説明
Fx x軸方向の引張力(N)
Fy y軸方向の引張力(N)
wS スリット幅(mm)
B 腕幅(mm)
n 加工硬化指数(n値)
p
max応力測定部に付加することが可能な最大相当塑性ひずみ
注記 材料は,ミーゼスの降伏条件式に従うと仮定している。
図B.1−十字形試験片の応力測定部に付与可能な最大相当塑性ひずみに影響するn値の影響[2]
――――― [JIS Z 2257 pdf 17] ―――――
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Z 2257 : 2021
B.3 スリット幅の影響
引張力比Fx : Fy=2 : 1及び1 : 1において,スリット幅wSが p
max
歓 ぼす影響を,図B.2に示す。スリ
ット本数は,7本と仮定した。wSの増加に伴い,腕部の断面積が減少するため,応力測定部に伝達される
引張力も減少する。その結果,
p
max
乎 する。図B.2は,材料の等方性を仮定し,腕部が耐え得る最大
引張力条件[11]によって算定した簡易数値解である。このため,異方性をもつ実際のプレス用板材料が示
す
p
max
澂 干異なる可能性がある。したがって,図B.2の値は参考値とする。
攀 攀max
max
0.12 0.12
Fx : Fy =2:1 Fx : Fy =1:1
0.10 0.10 n=0.30
0.08 0.08 n=0.25
0.06 n=0.30 0.06 n=0.20
0.04 n=0.25 0.04
n=0.20
0.02 0.02 n=0.1
n=0.10 0.00
0.00 0.005 0.010 0.015 0.020
0.005 0.010 0.015 0.020
wS / B wS / B
a) x : Fy=2 : 1の場合 b) x : Fy=1 : 1の場合
記号説明
Fx x軸方向の引張力(N)
Fy y軸方向の引張力(N)
wS スリット幅(mm)
B 腕幅(mm)
n 加工硬化指数(n値)
p
max応力測定部に付加することが可能な最大相当塑性ひずみ
注記 材料は,ミーゼスの降伏条件式に従うと仮定している。
図B.2−十字形試験片の応力測定部に付与可能な最大相当塑性ひずみに影響するスリット幅の影響[2]
――――― [JIS Z 2257 pdf 18] ―――――
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Z 2257 : 2021
附属書C
(参考)
二軸引張試験機
C.1 一般
二軸引張試験に用いられる試験機の例を,C.2及びC.3に示す。
C.2 サーボ制御式二軸引張試験機
二軸引張試験機本体の構造例を,図C.1に示す[12][13]。試験機本体は,架台,架台中心から直交2方向
に等距離に配置された四つのアクチュエータ(油圧シリンダ又はサーボモータ),各アクチュエータに接続
されたチャック,及び各軸に一つずつ組み込まれたロードセルから構成される。対向する油圧シリンダの
変位量は,リンク機構[14]によって機械的に等しく維持される。その結果,試験中の試験片中心は,試験
機中央に常に一致するように保持することが可能となる。
この試験機は,十字形試験片の腕と平行な直交2方向に二軸引張力を負荷し,応力測定部に発生する応
力及びひずみを連続的に測定する機能をもつ試験機である。この試験機は,応力比又はひずみ速度比をサ
ーボ弁によって精密に制御することが可能である。
1
2
3 4 6
5
7
記号説明
1 油圧シリンダ
2 試験機中心
3 チャック
4 引張力計
5 リンク機構
6 引張力軸
7 架台
図C.1−サーボ制御式二軸引張試験機の例
――――― [JIS Z 2257 pdf 19] ―――――
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Z 2257 : 2021
C.3 リンク式二軸引張試験機
二軸引張力負荷用リンク機構を,図C.2に示す[15]。この試験機は,チャックの変位速度比を制御する
試験機である。このリンク機構を通常の引張試験機に組み込み,上方から圧縮力を負荷することによって,
十字形試験片の腕と平行な直交2方向に二軸引張力を負荷することが可能となる。応力測定部に発生する
応力及びひずみを連続的に測定することによって,二軸引張応力下における金属板材の応力−ひずみ曲線
を簡便に測定するものである。
圧縮力
図C.2−リンク式二軸引張試験機[15]
C.4 モータ駆動式二軸引張試験機
縦型のサーボ制御式二軸引張試験機を,図C.3に示す[16][17]。直交2方向に,対向して四つの電気機械
式サーボ制御スピンドルモータが配置されている。それぞれのモータは,位置,引張力及びひずみを測定
するセンサが組み込まれており,個別に制御可能である。試験片中心を光学ビデオで検出することによっ
て,試験片の位置の制御が可能である。これらの機能によって,応力比及びひずみ比を様々に変化させた
試験が可能である。
この試験機は,水平に設置することも可能である。
――――― [JIS Z 2257 pdf 20] ―――――
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JIS Z 2257:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 16842:2014(MOD)
JIS Z 2257:2021の国際規格 ICS 分類一覧
JIS Z 2257:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISG0202:2013
- 鉄鋼用語(試験)
- JISZ2241:2011
- 金属材料引張試験方法
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方