JIS Z 2257:2021 十字形試験片を用いる金属板材の二軸引張試験方法

JIS Z 2257:2021 規格概要

この規格 Z2257は、1枚の金属板材から切り出した,板厚が均一な十字形試験片(以下,試験片という。)に,その直交する2本の中心線と平行に直交2方向の引張力を負荷し,金属板材の二軸応力下での真応力-塑性ひずみ曲線を測定する方法について規定。

JISZ2257 規格全文情報

規格番号
JIS Z2257 
規格名称
十字形試験片を用いる金属板材の二軸引張試験方法
規格名称英語訳
Biaxial tensile testing method for sheet metals using a cruciform test piece
制定年月日
2021年5月20日
最新改正日
2021年5月20日
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‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 16842:2014(MOD)
国際規格分類

ICS

77.040.10
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
2021-05-20 制定
ページ
JIS Z 2257:2021 PDF [24]
                                                                                   Z 2257 : 2021

pdf 目 次

ページ

  •  序文・・・・[1]
  •  1 適用範囲・・・・[1]
  •  2 引用規格・・・・[1]
  •  3 用語及び定義・・・・[1]
  •  4 原理・・・・[2]
  •  5 試験片・・・・[2]
  •  5.1 形状及び寸法・・・・[2]
  •  5.2 試験片の準備・・・・[3]
  •  6 試験機及び試験方法・・・・[4]
  •  6.1 試験機・・・・[4]
  •  6.2 引張力及びひずみの測定方法・・・・[4]
  •  6.3 試験片の装着・・・・[6]
  •  6.4 試験方法・・・・[6]
  •  7 応力−ひずみ曲線の算出方法・・・・[6]
  •  7.1 一般・・・・[6]
  •  7.2 応力測定部の初期断面積の算出・・・・[6]
  •  7.3 真応力の算出・・・・[7]
  •  7.4 真ひずみの算出・・・・[7]
  •  7.5 塑性ひずみの算出・・・・[8]
  •  8 試験報告書・・・・[9]
  •  8.1 記載項目・・・・[9]
  •  8.2 付記項目・・・・[10]
  •  附属書A(参考)降伏曲面の測定方法・・・・[11]
  •  附属書B(参考)十字形試験片の応力測定部に付与可能な最大相当塑性ひずみに影響する因子・・・・[15]
  •  附属書C(参考)二軸引張試験機・・・・[17]
  •  附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表・・・・[21]

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS Z 2257 pdf 1] ―――――

           Z 2257 : 2021

まえがき

  この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般財団法人大阪科学技術センター(OSTEC)
及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,産業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出
があり,日本産業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本産業規格である。
  この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
  この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

(pdf 一覧ページ番号 2)

――――― [JIS Z 2257 pdf 2] ―――――

                                      日本産業規格                            JIS
                                                                              Z 2257 : 2021

十字形試験片を用いる金属板材の二軸引張試験方法

Biaxial tensile testing method for sheet metals using a cruciform test piece

序文

 この規格は,2014年に第1版として発行されたISO 16842を基とし,技術的内容を変更して作成した日
本産業規格である。
  なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。変更の一
覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。

1 適用範囲

  この規格は,1枚の金属板材から切り出した,板厚が均一な十字形試験片(以下,試験片という。)に,
その直交する2本の中心線と平行に直交2方向の引張力を負荷し,金属板材の二軸応力下での真応力−塑
性ひずみ曲線を測定する方法について規定する。
    注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
          ISO 16842:2014,Metallic materials−Sheet and strip−Biaxial tensile testing method using a cruciform
              test piece(MOD)
            なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
          ことを示す。

2 引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
    JIS G 0202 鉄鋼用語(試験)
    JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
    JIS Z 8401 数値の丸め方

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS G 0202及びJIS Z 2241によるほか,次による。
3.1
十字形試験片(cruciform test piece)
  二軸引張試験に用いる,1枚の金属板から十字形に切り出した試験片(図1参照)。
3.2
応力測定部(gauge area)
  試験片の4本の腕に囲まれた,十字形試験片の中央に位置する正方形領域(図1参照)。

――――― [JIS Z 2257 pdf 3] ―――――

           2
Z 2257 : 2021
3.3
腕(arm)
  試験片において,応力測定部以外の部分の総称(図1参照)。つかみ部(腕の端)に負荷された引張力を,
応力測定部に伝達する役割を担う。
3.4
二軸引張試験機(biaxial tensile testing machine)
  試験片に,その直交する2本の腕に平行な直交2方向の引張力を負荷する試験機。
3.5
降伏曲面(yield surface)
  応力空間において,応力状態を弾性範囲から塑性範囲に変化させるときに,材料が塑性変形を開始する
応力点の集合(附属書A参照)。
3.6
降伏関数(yield function)
  材料に応力が作用して塑性変形状態にあるとき,応力成分が満足しなければならない条件式(降伏条件
式)を記載するときに用いる関数(附属書A参照)。
3.7
等塑性仕事面(contour of plastic work)
  様々な線形応力経路下で材料を塑性変形させ,各経路において消費された単位体積当たりの塑性仕事が
同じになった瞬間の応力を応力座標系にプロットし,それらを滑らかに近似した図形。単位体積当たりの
塑性仕事を十分に小さくとった場合,等塑性仕事面を降伏曲面とみなす(附属書A参照)。

4 原理

  十字形の試験片に,その直交する2本の腕と平行に直交2方向の引張力を負荷し,引張力及び応力測定
部に発生するひずみを同時に,かつ,連続的に測定する。これによって,二軸引張応力下における金属板
材の降伏応力及び応力−ひずみ曲線を測定する。測定した真応力−塑性ひずみ曲線は,等塑性仕事面の算
出に用いる(附属書A参照)。
  試験可能なひずみ範囲は,応力比,腕部のスリット幅,試験材料の加工硬化指数(n値)及び試験材料
の異方性に依存する(附属書B参照)。

5 試験片

5.1 形状及び寸法

  試験片の形状は,図1による。試験片の寸法は,次による。
a) 試験片の板厚aは,0.1 mm以上とする。試験片は,金属板材のままとし,板厚方向の加工は施さない。
b) 腕幅Bは,30 mm以上が望ましい。腕幅Bは,板厚aの12.5倍以上とし,全ての腕において許容差
    は,±0.1 mmとする。
c) スリットの加工は,次による。
  1) 各腕に7本のスリットを加工する。
  2) スリットの位置は,試験片の直交する二つの中心線(以下,x軸及びy軸という。)上,及びその両
      側にB/8の等間隔で加工する。
  3) スリット長さLは,B≦L≦2Bとし,±0.1 mmの許容差で全て同じ長さとする。

――――― [JIS Z 2257 pdf 4] ―――――

                                                                                             3
                                                                                   Z 2257 : 2021
  4) 試験片の中心線からスリット端部までの距離BSx/2及びBSy/2は,B/2とし,その許容差は,±0.1 mm
      とする。
  5) スリット幅wSは,可能な限り細くする(図B.2参照)。目安として,おおよそ0.3 mm以下が望まし
      い。
d) つかみ部長さCは,B/2≦C≦Bとする。
e) 腕の付け根の角隅半径Rは,0.0034×B≦R≦0.1×Bとする。
f) 応力の測定精度を明確に定め,受渡当事者間がその測定精度について合意した場合は,試験片の形状
    及び寸法は,図1と異なってもよい。
   記号説明
  1 応力測定部
  2 腕
  3 つかみ部
  4 スリット
  a  試験片の板厚
  B  腕幅
  BSx x軸上のスリット端部間の距離
  BSy y軸上のスリット端部間の距離
  C つかみ部長さ
  L  スリット長さ
  R  腕の付け根の角隅半径
  wS スリット幅
                                    図1−試験片の形状[2][3]

5.2 試験片の準備

  試験片の準備は,次による。
a) 試験片を切り出す金属板材の厚さ及び反りのばらつきの大きさは,その材料が適用されるJISなどの
    規定による。

――――― [JIS Z 2257 pdf 5] ―――――

           4
Z 2257 : 2021
b) 試験片の切出し方向は,腕の方向を板材の圧延方向及び圧延直角方向と平行とする。ただし,試験片
    の切出し方向は,受渡当事者間の協定によって決めてもよい。
c) 試験片の切出し(スリット加工を含む。)は,レーザ加工又はウォータージェット加工による。ただし,
    これらの加工と同等の加工精度が得られる加工方法を用いてもよい。
d) 試験片は,試験に影響を及ぼすような変形又は加熱を避けなければならない。

6 試験機及び試験方法

6.1 試験機

  二軸引張試験機(以下,試験機という。)は,次による。試験機の例を,附属書Cに示す。
a) 試験中,試験片の全てのつかみ部を,常に±0.1 mmの許容差で同一平面上に保持する機能及び剛性を
    もつものでなければならない。
b) 試験片を保持するチャックのうち,対向する二つのチャックは,x軸及びy軸に沿って変位し,かつ,
    x軸とy軸とは,90°±0.1°で直交していなければならない(以下,x軸とy軸との交点を試験機の
    中心という。)。
c) 試験片をチャックに装着する前に,対向する二つのチャックが,試験機の中心から±0.1 mmの許容差
    で等距離に位置するように調節できなければならない。
d) 試験片の中心を試験機の中心に一致させた状態で,試験片を把持できる機能をもたなければならない。
e)   軸及びy軸方向の引張力が増加している試験中は,対向する二つのチャックの変位を等しくする機
    能,又は試験片の中心を±0.1 mmの許容差で常に試験機の中心上に維持する機能をもたなければなら
    ない(例参照)。
      例 図C.1及び図C.2に示す試験機では,対向する二つのチャックの変位を等しくするために,リ
          ンク機構を用いている。
f) サーボ制御式二軸引張試験機においては,フィードバック制御によって,試験の目的に応じて,公称
    応力比一定試験,真応力比一定試験又はひずみ速度比一定試験が実施できなければならない(C.2参
    照)。リンク式二軸引張試験機においては,対向する二つのチャックの変位を等しくする機能をもたな
    ければならない(C.3参照)。
g) 四つのアクチュエータを独立して制御できる試験機を用いてもよい(C.4参照)。
h) 試験中の引張力(x軸及びy軸方向の2チャンネル)及び試験片のひずみ(x軸及びy軸方向の2チャ
    ンネル)の値が,同時に,かつ,連続的に測定され,保存できる機能をもたなければならない。

6.2 引張力及びひずみの測定方法

6.2.1 一般
  x軸及びy軸方向の引張力[以下,(Fx, Fy)という。]及び公称ひずみ[以下,(ex, ey)という。]を測定する。
6.2.2 引張力の測定方法
  (Fx, Fy)は,x軸及びy軸方向のロードセルによって測定する。
6.2.3 ひずみの測定方法
  (ex, ey)は,ひずみゲージ,又はこれと同等以上の性能をもつ光学系測定装置などの測定装置を用いて測
定する。(ex, ey)の分解能は,0.000 1以下とする。
6.2.4 ひずみの測定位置
  (ex, ey)の測定位置は,引張力が大きい方の軸と平行な中心線上の(中心線からの偏差は0.5 mm以内とす
る。),試験片中心から(0.35±0.05)   Bの位置とし,図2による。ひずみゲージを用いて(ex, ey)を測定する場

――――― [JIS Z 2257 pdf 6] ―――――

                                                                                             5
                                                                                   Z 2257 : 2021
合は,0.30B0.40Bの範囲にひずみゲージのセンサ部全体が収まるように,ひずみゲージを接着する。
    注記 有限要素法による解析によれば,試験片(箇条5参照)を用いて,図2に示す位置で二軸ひず
          み成分を測定した場合は,応力の測定誤差esは2 %未満である[2][3]。ここで,esは,式(1)で定
          義される。
                              G   L     G  L  G  L
                                          ij ij ij ij
                        es     L

(pdf 一覧ページ番号 )

                                               L L
                                               klkl
                      ここに,        σG :  応力測定部の平均応力[局所的なひずみの測定値から推
                                             定される変形後の断面積(応力測定部内のひずみの一様
                                             分布及び体積一定条件を仮定)及び二軸引張力Fx, Fyに
                                             よって算定される。]
                                       σL :  有限要素法によって計算される,ひずみ測定位置におけ
                                             る局所応力
                                             ただし,
                                                       G
                                                       12
                                                            G
                                                            23
                                                                 G
                                                                 31
                                                                      G
                                                                      33
                                                                            0
                                              L
                                              23
                                                   L
                                                   31
                                                        L
                                                        33
                                                              0(平面応力要素の場合)
            図2に示す測定位置が,esを最小にするための最適ひずみ測定位置を与える。
                          1)   x≧Fy                            2)   x≦Fy
                         a) 二軸ひずみゲージを用いてex及びeyを測定する場合
                                  図2−ひずみの測定位置[2][3]

――――― [JIS Z 2257 pdf 7] ―――――

           6
Z 2257 : 2021
                          1)   x≧Fy                            2)   x≦Fy
                         b) 単軸ひずみゲージを用いてex及びeyを測定する場合
記号説明
  B 腕幅
  ex x軸方向の公称ひずみ
  ey y軸方向の公称ひずみ
  Fx x軸方向の引張力
  Fy y軸方向の引張力
                              図2−ひずみの測定位置[2][3](続き)

6.3 試験片の装着

  試験片を試験機のチャックに固定する。試験片の中心は,試験機の中心に合わせる。

6.4 試験方法

  公称応力比,ひずみ速度比又はチャックの変位速度比を一定に保ちつつ,試験片に二軸引張力を加える。
試験中の(Fx, Fy)及び(ex, ey)を,同時に,かつ,連続的に測定する。応力若しくはひずみが所定の大きさに
到達した時点,又は腕部若しくは応力測定部に破断若しくは局所くびれが発生した時点で,試験を終了す
る。ひずみ速度は,0.1 s−10.000 1 s−1が望ましい。試験温度は,10 ℃35 ℃とする。
    注記 後続降伏曲面を測定する実験方法として,ひずみ経路を急変させる方法(ひずみ経路急変法)
          も用いられている(A.3参照)。

7 応力−ひずみ曲線の算出方法

7.1 一般

  (Fx, Fy)及び(ex, ey)の測定値を用いて,x軸及びy軸方向の応力−ひずみ曲線を求める。求めた応力−ひず
み曲線は,等塑性仕事面の算出に用いる(A.2参照)。

7.2 応力測定部の初期断面積の算出

  応力測定部の初期断面積は,式(2)及び式(3)によって0.01 mm2の桁まで算出し,JIS Z 8401の規則Aに
よって0.1 mm2 の桁に丸める。
                         ASx aBSy   (2)
                         ASy aBSx   (3)
                      ここに,       ASx :  x軸に直交する応力測定部の初期断面積(mm2)

――――― [JIS Z 2257 pdf 8] ―――――

                                                                                             7
                                                                                   Z 2257 : 2021
                                      ASy :  y軸に直交する応力測定部の初期断面積(mm2)
                                      BSx :  x軸上のスリット端部間の距離(mm)
                                      BSy :  y軸上のスリット端部間の距離(mm)
                                       a :  試験片の板厚(mm)
  なお,試験片の板厚aは,0.01 mm以上の精度で測定し,BSx及びBSyは,0.1 mm以上の精度で測定する。

7.3 真応力の算出

  x軸及びy軸方向の真応力は,式(4)及び式(5)によって0.1 MPaの桁まで算出し,JIS Z 8401の規則Aに
よって1 MPaの桁に丸める。
                             Fx
                          x     1 ex  (4)
                             ASx
                             Fy
                          y     1 ey  (5)
                             ASy
                      ここに,        σx :  x軸方向の真応力(MPa)
                                       σy :  y軸方向の真応力(MPa)
                                       Fx :  x軸方向の引張力(N)
                                       Fy :  y軸方向の引張力(N)
                                       ex :  x軸方向の公称ひずみ
                                       ey :  y軸方向の公称ひずみ

7.4 真ひずみの算出

  x軸及びy軸方向の真ひずみは,式(6)及び式(7)によって10−5の桁まで算出し,JIS Z 8401の規則Aによ
って10−4の桁に丸める。
                           ln1
                          x
                                 xe

(pdf 一覧ページ番号 )

                           ln1
                          y     ey   (7)
                      ここに,        εx :  x軸方向の真ひずみ
                                       εy :  y軸方向の真ひずみ
  二軸引張試験によって測定した,JIS G 3141に規定する冷間圧延鋼板SPCEの真応力−真ひずみ曲線の
測定例を図3に示す。比較のため,圧延方向の単軸引張試験を用いて測定された真応力−真ひずみ曲線も
併記する。

――――― [JIS Z 2257 pdf 9] ―――――

           8
Z 2257 : 2021
              a)   x : Fy=1 : 1の場合                          b)   x : Fy=2 : 1の場合
記号説明
  Ebx : 弾性域におけるx軸方向の真応力−真ひずみ曲線の傾き(MPa)
  Eby : 弾性域におけるy軸方向の真応力−真ひずみ曲線の傾き(MPa)
                   図3−二軸引張試験によって測定した真応力−真ひずみ曲線の例

7.5 塑性ひずみの算出

  x軸及びy軸方向の対数塑性ひずみ(以下,塑性ひずみという。)は,式(8)及び式(9)によって10−5の桁
まで算出し,JIS Z 8401の規則Aによって10−4の桁に丸める。
                          p      x
                          x  x     (8)
                                Ebx
                          p      y
                          y  y      (9)
                                Eby
                                      xp      x軸方向の塑性ひずみ
                      ここに,
                                      yp      y軸方向の塑性ひずみ
                                      Ebx :  弾性域におけるx軸方向の真応力−真ひずみ曲線の傾き
                                             (MPa)
                                      Eby :  弾性域におけるy軸方向の真応力−真ひずみ曲線の傾き
                                             (MPa)
  二軸引張試験によって測定した,JIS G 3141に規定する冷間圧延鋼板SPCEの真応力−塑性ひずみ曲線
の測定例を図4に示す。比較として,圧延方向の単軸引張試験を用いて測定された真応力−塑性ひずみ曲
線も併記する。

――――― [JIS Z 2257 pdf 10] ―――――

                                                                                             9
                                                                                   Z 2257 : 2021
              a)   x : Fy=1 : 1の場合                          b)   x : Fy=2 : 1の場合
                  図4−二軸引張試験によって測定した真応力−塑性ひずみ曲線の例

8 試験報告書

8.1 記載項目

  試験報告書には,次の項目を記載する。
a) 試験片
  1) 材質(JIS番号,材料の名称,種類,種類の記号など)
  2) 寸法 : 全長[B+2(L+C)],板厚a,腕幅B,つかみ部長さC,スリット長さL,スリット幅wS,及
      び腕の付け根の角隅半径R(図1参照)
  3) 試験材料の圧延方向と試験片中心線とがなす角度
  4) 試験片の切出し方法
b) 試験方法
  1) 周囲温度
  2) 試験機の種類(例1参照)
        例1 サーボ制御式二軸引張試験機,リンク式二軸引張試験機
  3) 負荷条件(例2参照)
        例2 公称応力比,真応力比,ひずみ速度比,チャック変位速度比[リンク式二軸引張機(C.3
              参照)の場合]
  4) ひずみの測定方法(例3参照)
        例3 ひずみゲージ,光学式ひずみ測定装置
  5) チャック変位速度又は平均ひずみ速度
  6) 1応力経路当たりの試験回数
  7) 試験力及びひずみを記録したサンプリング周波数
c) 試験結果 受渡当事者間の協定によって,次の事項から選択する。
  1)   軸及びy軸方向の真応力−塑性ひずみ曲線
  2) 等塑性仕事面
            p                                                    0p                          当
  3)   0   0曲線(W0 : 圧延方向の単軸引張試験において,塑性ひずみ
                            0p     圧延方向の単軸引張試験における試験片長手方向の塑性ひずみ,附属
      体積当たりの塑性仕事,
      書A参照)

――――― [JIS Z 2257 pdf 11] ―――――

           10
Z 2257 : 2021
  4) 真応力経路
  5) ひずみ経路

8.2 付記項目

  試験報告書には,次の項目を付け加えることが望ましい。
a) 供試材の検査証明書
b) 試験後の試験片の外観写真

――――― [JIS Z 2257 pdf 12] ―――――

                                                                                            11
                                                                                   Z 2257 : 2021
                                          附属書A
                                          (参考)
                                   降伏曲面の測定方法
A.1 一般
  材料が弾性状態から塑性状態に移行するとき,応力成分が満足しなければならない条件式が降伏条件式
である。降伏条件式を満足する応力点を応力空間にプロットするとき,それら応力点が形成する曲面を降
伏曲面という。降伏曲面は,多軸応力状態における金属の塑性変形特性を定量的に評価する場合及び適切
な降伏関数を同定する場合に用いる。二軸引張試験によって適切な降伏関数を使用することは,板材成形
シミュレーションの解析精度向上に有効である([4][7])。金属板材の降伏曲面の測定方法を,参考とし
てA.2及びA.3に示す。
A.2 等塑性仕事面の測定方法
  等塑性仕事面の測定方法は,次による(図A.1参照)。
a) 圧延方向(x軸)及び圧延直角方向(y軸)の単軸引張試験は,JIS Z 2241に規定する13号B形試験
    片を用いて行う。
                                                   0p                止  された塑性仕事W0及びその
b) 圧延方向の単軸引張試験を行い,既定の塑性ひずみ
    ときの真応力σ0を求める。ここでW0は,測定した真応力−塑性ひずみ曲線の下の面積として算定す
    る。
c) 二軸引張試験及び圧延直角方向の単軸引張試験を行い,W0と等量の塑性仕事を与える応力点(σx, σy)及
    びσ90を求める。(σ0, 0),(σx, σy)及び(0, σ90)を主応力空間にプロットして,それらを滑らかに結んだ曲
         0p  歛                                                                       0p
                                事面となる。一般に,等塑性仕事面は降伏曲面とは一致しないが,
    線が
    分に小さくとった場合,等塑性仕事面は,供試材の降伏曲面とみなすことが可能である。

――――― [JIS Z 2257 pdf 13] ―――――

           12
Z 2257 : 2021
                                         Wy
                                  Wx              p
                                                                   p
                       Wy
                                p
                                                                    Wx
                                                              Wy             p
                                                                  ヰ
                   W0 =Wx+Wy
                                                                  W0
                                                                              p
                                                                      p0
記号説明
  Wx x軸方向の引張力によってなされた単位体積当たりの塑性仕事
  Wy y軸方向の引張力によってなされた単位体積当たりの塑性仕事
  W0 圧延方向の単軸引張試験において,塑性ひずみ0 p                  当             湘     事
  εp x軸方向の塑性ひずみ x pはy軸方向の塑性ひずみ
                                                p
                                                y
                                                 攀
  0p 攀     方向の単軸引張試験における塑性ひずみ
  σx x軸方向の真応力
  σy y軸方向の真応力
  σ0 圧延方向の単軸引張試験において0 p 地         x
  σ90 板幅方向の単軸引張試験において単位体積当たりの塑性仕事がW0に達したときのσy
                            図A.1−等塑性仕事面の測定のための模式図
  十字形試験片を用いて測定した等塑性仕事面の測定例を,図A.2に示す。試験における引張力比Fx : Fy
は,1 : 0,4 : 1,2 : 1,4 : 3,1 : 1,3 : 4,1 : 2,1 : 4及び0 : 1である。ただし,引張力比1 : 0及び0 : 
1については,標準的な単軸引張試験による結果である。

――――― [JIS Z 2257 pdf 14] ―――――

                                                                                            13
                                                                                   Z 2257 : 2021
      1000                                           750
                                       攀                                                攀
                                       0.0005                                           0.001
       800                            0.001                                            0.002
                                                      600
                                       0.002                                            0.005
                                       0.003                                            0.01
     MPa
                                                     MPa
                                       0.005                                            0.02
       600                            0.01          450                               0.03
                                       0.02                                             0.04
    /
                                                    /
                                                                                         0.05
                                                   y
       400                                           300                               0.06
                                                                                         0.07
                                                                                         0.08
                                                                                         0.09
       200                                           150
         0                                             0
          0   200  400 600  800  1000              0   150  300 450  600  750
                            一                                            一  
              a) 780 MPa級高張力鋼                  b) オーステナイト系ステンレス鋼板SUS304
     300                                               300
                                         攀
                                        0.001
                                        0.0025
                                        0.005
     200                                               200
   MPa
                                                       MPa
                                        0.01
                                        0.02
  /
                                                      /
                                        0.03
                                        0.04                    攀
     100                               0.05           100      0.001
                                        0.06                     0.002
                                                                  0.004
                                                                  0.006
                                                                  0.008
       0                                                 0
        0      100      200     300                    0       100     200      300
                          一                                               一   
           c) 5000系アルミニウム合金板                    d) マグネシウム合金板AZ31
 記号説明
  0p 攀     方向の単軸引張試験における試験片長手方向の塑性ひずみ
  σx x軸方向の真応力(MPa)
  σy y軸方向の真応力(MPa)
                    図A.2−十字形試験片を用いて測定した等塑性仕事面の測定例
A.3 ひずみ経路急変法[負荷点における後続降伏曲面のとが(尖)り点の検出方法]
  降伏曲面の形状は,塑性変形の進行とともに変化する。塑性変形を負荷した後の降伏曲面を,後続降伏
曲面という。多結晶塑性解析に基づく計算によれば,後続降伏曲面は負荷点においてとがり点をもつこと
が予測される。とがり点は,塑性座屈,局所くびれなどの発生の塑性不安定現象を伴う変形解析の精度に
大きく影響する。しかし,仮に負荷中にとがり点が存在したとしても,後続降伏曲面を測定するために再
負荷する過程で必然的に含まれる除荷過程において,とがり点は消失してしまう可能性がある[1]。
  これに対し,除荷を伴わずに負荷点近傍の後続降伏曲面形状を測定する方法が提案された[8]。この方法
は除荷を含まないため,負荷点におけるとがり点を検出することが可能となる。その方法を次に示す。
a) 試験片に規定の応力経路において,予変形を加える。
b) 負荷の任意の瞬間において,負荷点における後続降伏曲面に対して,その接線方向又はやや外側に応

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  • ISO 16842:2014(MOD)

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JIS Z 2257:2021の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISG0202:2013
鉄鋼用語(試験)
JISZ2241:2011
金属材料引張試験方法
JISZ8401:2019
数値の丸め方

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