この規格ページの目次
8
Z 2353 : 2021
MB : 送信パルス
B1 : 第1回底面エコー
B2 : 第2回底面エコー
S1 : 探触子と試験体表面との間の水中を1往復した反射波(表面エコー)
S2 : 探触子と試験体表面との間の水中を2往復した反射波(表面エコー)
TFS : 表面エコーについて,起点から測定した伝搬時間
TMS : MBとS1との時間差
ΔT12 : B1とB2との時間差
図3−水浸法を用いるエコーの検出
c) 二振動子探触子を用いるエコーの検出 図4のように,接触媒質を介して試験体表面に二振動子探触
子を密着させ,底面で1回反射したエコーB1を観測する。
図4−二振動子探触子を用いるエコーの検出
――――― [JIS Z 2353 pdf 11] ―――――
9
Z 2353 : 2021
d) 透過法を用いる透過波の検出 図5のように,二つの探触子を用いて,片方を送信用,他方を受信用
として動作させ,透過波Uを観察する。水浸法の場合は,探触子と試験体との間に水が介在するが,
探傷図形に大きな違いはない。
図5−透過法を用いる透過波の検出
7.4 波の検出方式の選定
伝搬時間測定に用いる波の検出方式は,表5に規定する六つの方法とする。目的に応じて適切な方法を
選択する。
表5−伝搬時間測定に用いる波の検出方式
波の検出方式 測定内容 探傷図形(基本表示) 用いるケース
a) 底面エコーの多重エコー
底面エコーの二つの多 が観察できるとき
Bi−Bj方式
重エコー(Bi,Bj)間の b) 底面エコーの多重エコー
(i=1,2,·,j>i)
伝搬時間差 が観察でき,かつ,高精
度測定が必要なとき
a) 波の検出方式がこの方式
表面エコー(S)と第1 に固定されている機器を
S−B1方式 回底面エコー(B1)との 用いるとき
伝搬時間差 b) 2エコーのSN比が不十
分なとき
ゼロ点調整用試験片に a) 二振動子探触子を用いる
よるゼロ点(R)と第1 とき
R−B1方式
回底面エコー(B1)との b) 2エコーのSN比が不十
時間差 分なとき
ゼロ点調整用試験片な
B1エコーのSN比が不十分な
R−U方式 どによるゼロ点(R)と
とき
透過波(U)との時間差
シングアラウンド法 10.3参照 高精度測定が必要なとき
電磁超音波共鳴法 10.4参照 高精度測定が必要なとき
MB : 送信パルス,Bi : 第i回底面エコー,S : 表面エコー,U : 透過波,R : ゼロ点
――――― [JIS Z 2353 pdf 12] ―――――
10
Z 2353 : 2021
7.5 ゼロ点調整用試験片
表5に示すR−B1方式及びR−U方式の場合には,ゼロ点調整用試験片として,立上がりが十分に鋭い
安定した波形のB1エコー及びB2エコーが得られる平板試験片を用意する。その材質及び寸法は問わない。
7.6 伝搬時間の測定方法
伝搬時間の測定方法は,次のいずれかの方法とする。それぞれの方法は,A.2による。
a) ピークポイント法
b) スライスレベル法
c) ゼロクロス法
d) パルスオーバラップ法
7.7 超音波探触子
測定装置には,測定目的に応じて,表6から適切な探触子を選択して使用する。探触子のビーム中心軸
の偏り角はJIS Z 2350によって測定し,1°以内とする。これら探触子の高精度測定への適否を表6に示
す。
圧電素子を利用した探触子については,周波数1 MHz以上の探触子を用い,中でも周波数2 MHz10
MHzの探触子の使用を推奨する。減衰の小さい材料に対しては,精度向上のため,周波数が高く,かつ,
パルス幅が短いエコーを生じる広帯域探触子の使用を推奨する。減衰の大きい材料に対しては,伝搬に伴
う波形変化を低減するため,低い周波数の探触子を選択する。
表6−探触子の選定
波のモード 探触子の種類 高精度測定への適否
一振動子縦波垂直探触子 〇
二振動子縦波垂直探触子 ×
縦波
遅延材付き縦波探触子 △
水浸探触子 △
一振動子横波垂直探触子 〇
横波 遅延材付き横波探触子 △
電磁超音波探触子 〇
〇 : 適する。
△ : 適するが,遅延材又は水の温度変化による測定系の設定不具合に注意を
要する。
× : 適さない。
7.8 接触媒質
接触法で超音波を送受信する探触子については,縦波音速又は横波音速のいずれを測定するかによって,
表7から接触媒質を選択し,その厚さは必要最小限とする。
表7−接触媒質の選択
測定の種類 接触媒質の種類
縦波音速の測定 グリセリンペースト,濃度75 %以上のグリセリン水溶液,水,オイル,音響インピーダンス
が明らかな液体
横波音速の測定 横波用接触媒質として市販されている製品,横波の伝達に適した高粘度の液体又は接着剤
――――― [JIS Z 2353 pdf 13] ―――――
11
Z 2353 : 2021
8 音速測定の共通事項
8.1 試験体の機械的厚さ測定
正しく校正されているマイクロメータなどの測定器を用いて,試験体の厚さを必要な精度(表2参照)
で読み取る。測定部の表裏面は汚れなどがない状態とし,表面状態に起因する測定誤差を最小限とする。
また,測定は音速測定位置で複数回行い,平均値を試験体の厚さとして採用する。
8.2 エコー及び透過波の検出
エコー及び透過波の検出は,次による。
a) 縦波による接触法の場合 図2のように接触媒質を介して試験体表面に探触子を密着させ,底面エコ
ーを観測する。また,裏面には接触媒質などの超音波反射に影響する物質を付着させない。
二振動子探触子を用いる場合は,図4のように接触媒質を介して試験体表面に二振動子探触子を密
着させ,底面エコーを観測する。
透過法の場合は,図5のように試験体表裏の対向する位置に接触媒質を介して探触子を密着させ,
透過波を観測する。
b) 水浸法の場合(縦波) 図3又は図8のように探触子からの超音波ビームが試験体表面に垂直に入射
するように調整し,底面エコー又は透過波を観測する。反射法の場合,適切な水距離を設定して,目
的のエコー(Biエコー及びBjエコー)をS1エコーとS2エコーとの間に位置させる(図3ではB1エコ
ー及びB2エコーの例)。透過法の場合,水距離はなるべく小さくし,かつ,目的の透過波を他のエコ
ーから完全に分離できる状態に調整する。
c) 横波による接触法の場合 図2のように接触媒質を介して試験体表面に探触子を密着させ,底面エコ
ーを観測する。振動方向によって音速が異なる場合には,音速が大きい振動方向及びその直角の振動
方向(音速が小さい)の両方向で測定する。また,裏面には接触媒質などの超音波反射に影響する物
質を付着させない。透過法の場合,図5と同様に探触子を配置する。
8.3 温度管理
この規格では,温度制御を規定しない。ただし,測定系に水などの液体及び遅延材を含む場合及び/又
は高精度な測定を行う場合には,温度変化の影響を排除するため,測定値に経時的な変化がないことを確
認する。測定時の試験体温度は記録しておく。
なお,試験体温度が環境温度と平衡している場合は,環境温度の記録だけでよい。
水浸透過法では,水距離を小さくするとともに,測定の前後に試験体を除いた状態で透過波の伝搬時間
を測定し,温度による水中音速変化の有無を確認し,必要に応じて再測定を行う。
8.4 再現性の確認
再現性の確認を必要とする場合には,測定面から,一旦,探触子を外してから再測定する作業を必要に
応じて繰り返し,音速値のばらつきがあらかじめ定めた許容値以内であることを確認する。音速測定値の
平均,最大,最小などを求める。
8.5 測定位置
振動子中心と端面との距離(表2)を満たす試験体上の位置で測定する。
9 普通精度の音速測定
9.1 伝搬時間の測定方法の種類及び波の検出方式の種類
音速測定のための伝搬時間の測定方法は,附属書Aのピークポイント法,スライスレベル法又はパルス
オーバラップ法のいずれかによる。波の検出方式は,次から選択する。
――――― [JIS Z 2353 pdf 14] ―――――
12
Z 2353 : 2021
a) i−Bj方式
b) −B1方式
c) −B1方式
d) −U方式
超音波の減衰が大きい材料においては,エコー又は透過波の周波数が探触子の公称周波数より低域側に
移動する場合がある。このような場合には,音速測定値の誤差が大きい可能性があるので,測定値に“周
波数低下”のコメント又はエコーの中心周波数の数値を付記する。
9.2 パルサーレシーバシステム又はデジタル探傷器を用いる場合
パルサーレシーバシステム又はデジタル探傷器を用いる場合は,次による。
a) i−Bj方式 パルサーレシーバシステムに接触型探触子又は水浸探触子を接続して,多重エコーを検
出する。多重エコーの中で,波形の相違が小さく,ノイズが小さい二つの底面エコーBi及び底面エコ
ーBjの組合せを選択し,超音波送信に同期した信号(送信パルスなど)又はエコー(表面エコーなど)
を伝搬時間測定起点として測定したそれぞれの伝搬時間(以下,起点から測定した伝搬時間という。)
TSi及びTSj,又は二つの底面エコーBiとBjとの伝搬時間差ΔTijを附属書Aのピークポイント法,スラ
イスレベル法又はパルスオーバラップ法で求める。多重反射の次数が高くなると,波形の変形が大き
くなるので,通常,B1及びB2の組合せ又はB1及びB3の組合せを選択する。
二つの底面エコーBi及び底面エコーBjのそれぞれについて,起点から測定した伝搬時間TSi及びTSj
を測定する場合,音速Vは,式(1)によって計算する。
2tS ji
−
V= ×1000 (1)
TSj−TSi
ここに, V : 音速(m/s)
tS : 試験体の厚さ(mm)
i : 試験体底面での超音波反射回数
j : 試験体底面での超音波反射回数(j>i)
TSi : 底面エコーBiについて,起点から測定した伝搬時
間(s)
TSj : 底面エコーBjについて,起点から測定した伝搬時
間(s)
二つの底面エコーBi,Bjの伝搬時間差ΔTijを測定する場合,音速Vは式(2)によって計算する。
2tS ji
−
V= ×1000 (2)
ΔTij
ここに, V : 音速(m/s)
tS : 試験体の厚さ(mm)
i : 試験体底面での超音波反射回数
j : 試験体底面での超音波反射回数(j>i)
ΔTij : 底面エコーBiと底面エコーBjとの伝搬時間差(s)
デジタル探傷器のビーム路程表示を利用する場合,音速Vは,底面エコーBiのビーム路程LSi,底面
エコーBjのビーム路程LSj及び探傷器の音速設定値V'から,式(3)によって計算する。式(3)では,LSi
及びLSjは片道のビーム路程を示す。
tS ji
−
VV'L
= × (3)
Sj−LSi
ここに, V : 音速(m/s)
V' : 音速設定値(m/s)
――――― [JIS Z 2353 pdf 15] ―――――
次のページ PDF 16
JIS Z 2353:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.140 : 音響及び音響測定 > 17.140.01 : 音響測定及び雑音除去一般
JIS Z 2353:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ2300:2009
- 非破壊試験用語
- JISZ2300:2020
- 非破壊試験用語
- JISZ2305:2013
- 非破壊試験技術者の資格及び認証
- JISZ2350:2002
- 超音波探触子の性能測定方法
- JISZ2352:2010
- 超音波探傷装置の性能測定方法
- JISZ2355-1:2016
- 非破壊試験―超音波厚さ測定―第1部:測定方法
- JISZ2355-2:2016
- 非破壊試験―超音波厚さ測定―第2部:厚さ計の性能測定方法