JIS Z 2354:2012 固体の超音波減衰係数の測定方法 | ページ 4

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Z 2354 : 2012
附属書A
(規定)
パルス波による減衰係数の測定方法
A.1 適用範囲
この附属書は,本体に規定する減衰係数測定方法において,5以上の波数をもつ超音波の代わりに広帯
域パルス波を用い,スペクトル解析を行うことによって周波数ごとの減衰係数を測定する場合に適用する。
A.2 使用装置
使用する装置は,次による。
a) 超音波送受信装置(パルサー・レシーバー) 広帯域パルス波を発生及び受信することのできる超音
波送受信装置を使用する。
b) コンピュータ 受信したエコーをデジタル信号として収録し,高速フーリエ変換(FFT)によって振
幅スペクトルを計算できる機能をもつコンピュータを使用する。
c) 探触子 直接接触,水浸,又は遅延体付の広帯域探触子を用いる。
なお,遅延体を用いる場合は,十分に減衰の小さい材質のものを選定することとする。
A.3 測定方法
測定方法は,次による。
a) 減衰係数の測定は,箇条8及び箇条9(以下,減衰測定という。)に従って実施する。
b) 測定方法を選定して,測定に必要な機材を準備する。
なお,探触子は,波数の少ない広帯域パルス波を送信できるものを使用する。
c) 減衰測定に規定したそれぞれの測定方法に従って,対比測定片,測定片,又は実体(これらを総称し
て,以下,測定体という。)に広帯域パルス波を入射する。
d) 測定に使用するエコーのうち,最も振幅が大きいものを基準として,その振幅の大きさが表示器上で
80100 %になるように感度を調整する。
なお,対比測定片を用いる方法の場合は,対比測定片及び測定片のいずれも同じ感度で測定を行う。
e) 受信したエコーをコンピュータにデジタル信号として収録する。それぞれの測定方法ごとに,減衰係
数測定に使用するエコーを表A.1に示す。
f) A.4に規定する方法に従って,各エコーの振幅スペクトルを周波数の関数として求める(図A.1参照)。
この手順を模式的に図A.2に示す。
なお,図A.1及び図A.2は,測定体がプラスチック,FRPなど比較的音響インピーダンスが小さい
場合の例で,VAエコーよりもVBエコーの方が大きくなっている。これに対して,測定体が鋼材など
の金属のように比較的音響インピーダンスが大きい場合は,VAエコーの方がVBエコーよりも大きく
なる。
g) 減衰係数を求めたい周波数における振幅スペクトルの値を,それぞれのエコーの高さ値として用い,
減衰測定に規定した方法に従って減衰係数を計算する。また,選定した周波数に対応する波長によっ
て,減衰測定に規定した方法に従って拡散損失の補正も行う。
h) 測定結果には,A.4に規定する振幅スペクトルのデータを添付する。

――――― [JIS Z 2354 pdf 16] ―――――

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A.4 振幅スペクトルの算出
各エコーに対する振幅スペクトルの算出は,次の方法による(図A.3参照)。
a) コンピュータに収録されたデジタル信号(データ数 : Ns)を図A.3のa)に示す。ここで,デジタル信
号のサンプリング周波数fsは,減衰係数を求める周波数範囲の上限fmaxの2倍よりも十分に大きくと
っておく。
b) 静止状態(エコー信号のない時刻)に対するデータが0からずれた値[図A.3のa)のd]となってい
る場合,この値をNs個のデータ全てから減じることによって,静止状態が0に対応するようにしてお
く。この状態を,図A.3のb)に示す。
c) 図A.3のb)のNs個のデータのうち,対象とするエコーに相当する部分以外のデータを全て0で置き換
える。この状態を,図A.3のc)に示す。
d) s個のデータの末尾に,0のデータを適切な数だけ追加することによって,全体のデータ数が2のm
乗個(2m,mは,正の整数)とする。このとき,得られる振幅スペクトルにおける周波数間隔がfs/2m
で与えられることを考慮して,全データ数2mを十分に大きく取る。この状態を図A.3のd)に示す。
e) 2m個からなるデジタルデータに対して高速フーリエ変換(FFT)を行い,周波数ごとに得られた複素
数値の絶対値を振幅スペクトルとする。

――――― [JIS Z 2354 pdf 17] ―――――

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Z 2354 : 2012
表A.1−パルス波による減衰係数の測定に用いるエコー
箇条,又は細分 減衰測定方法 測定に用いるエコーの高さ
箇条
8 測定片の減衰係数の測定 −
8.2 対比測定片を用いる場合 −
8.2.1 直接接触多重反射法による方法 1 対比測定片のB1
2 対比測定片のBm
3 測定片のB1
4 測定片のBm
8.2.2 B1だけを用いる方法 1 対比測定片のB1
2 測定片のB1
8.2.3 水浸多重反射法による方法 1 対比測定片のB1
2 対比測定片のBm
3 測定片のB1
4 測定片のBm
8.2.4 1 対比測定片のB1
遅延体付垂直探触子を使用する直接接触多
重反射法による方法 2 対比測定片のBm
3 測定片のB1
4 測定片のBm
8.3 対比測定片を用いない場合 −
8.3.1 水浸多重反射法による方法 1 測定片のB1
2 測定片のBm
8.3.2 測定方法Aの場合
遅延体付垂直探触子を使用する直接接触法
による方法 1 遅延体−測定片界面からのエコーhA
2 測定片の第1回底面エコーhB
3 測定片の第2回底面エコーhC
測定方法Bの場合
1 遅延体−測定片界面からのエコーhA
2 測定片の底面エコーhB
3 遅延体だけに同じパルスを入射したとき
の遅延体の底面エコーhA0
9 1 実体のB1
実体に対する直接接触法による減衰係数の
直接測定方法 2 実体のB2
振幅スペクトル
VB
AB( f )
VA
AA( f )
VC
AC( f )
f 周波数
図A.1−振幅スペクトル算出のためのデータ処理
(例 8.3.2の測定方法Aの図5に示す3個のエコーの場合)

――――― [JIS Z 2354 pdf 18] ―――――

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コンピュータによる波形の収録
各エコー信号の切り出し
VA VB VC
0点の追加及び高速フーリエ変換
減衰係数の計算
図A.2−各エコーの振幅スペクトルを求める手順
(例 8.3.2の測定方法Aの図5に示す3個のエコーの場合)

――――― [JIS Z 2354 pdf 19] ―――――

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VB
d VA VC
データ数 : Ns
a)
対象とするエコー
b)
c)
~~
データ数 : 2m
d)
図A.3−振幅スペクトル算出のためのデータ処理
(例 8.3.2の測定方法Aの図5に示す3個のエコーのうち,VBの振幅スペクトルを求める場合)

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