この規格ページの目次
8
Z 4316 : 2013
表2−標準試験条件(続き)
項目 基準条件 標準試験条件
ラドン同位元素 無視できるレベル 影響の認められるレベル未満
(222Rn及び220Rn)
化学物質による汚染 無視できるレベル 無視できるレベル
注a) 大気圧の変化に敏感な場合の試験条件は,±5 %とする。
7.1.2 放射線源
試験に用いる放射線源(以下,線源という。)は,β線源としては36Cl及び204Tl,α線源としては241Am,
γ線源としては137Csの線源とする。その他の線源については,受渡当事者間の協定によって用いてもよ
い。β線の線源として適切な放射性核種の例を表3に示す。β線及びα線ダストモニタを校正する線源の
表面放出率,及びγ線ダストモニタを校正する線源の放射能は,JIS Q 17025に基づき認定されたJCSS登
録事業者など国家標準へのトレーサビリティが確立された校正機関によって,国家標準とのトレーサビリ
ティが明確でなければならない。
表面放出率又は放射能の相対拡張不確かさUは,10 %(包含係数k=2)以下とする。ダストモニタを校
正する線源の形状は,ダスト捕集面の形状と同じとする。β線エネルギー特性試験で用いる線源で,最大
エネルギーが150 keV以上の線源を用いる場合は,線源効率が0.25を超える線源であることが望ましい。
表3−β線用線源a), b)
核種 半減期 β線最大エネルギー(keV)
63Ni
100.1年 67
14C
5700年 157
203Hg c)
46.61日 213
147Pm
2.62年 225
45Ca
163日 257
60Co c)
5.27年 318
137Cs c)
30.17年 514(94.4 %)
1176(5.6 %)
185W
75.1日 433
204Tl
3.78年 764(97.1 %)
36Cl
3.01×105年 709(98.1 %)
198Au c)
2.695日 961(99.0 %)
89Sr
50.53日 1495
32P
14.26日 1711
90Sr+90Y d)
28.79年 546
2280
注a) 出典 アイソトープ手帳 11版(社団法人日本アイソトープ協会編)
b) 最大エネルギー10 keV未満のβ線エネルギー又は1 %未満の放出率のものは含まない。
c) これらの核種は,γ線も放出する。また,137Cs及び198Auは,内部転換電子も併せて
放出するので,それらの影響を考慮する必要がある。
d) 90Sr+90Yに130 mg/cm2厚のフィルターをかけることによって,90Yからの高エネルギー
β線だけを利用してもよい。
7.2 試験方法
7.2.1 一般
試験方法一般は,次による。
――――― [JIS Z 4316 pdf 11] ―――――
9
Z 4316 : 2013
a) 全ての試験は,電子回路については30分以上の予熱時間が経過した後に実施する。
b) 試験条件のうち,ある項目の条件を変化させて試験する場合には,その項目以外の条件は,表2に規
定する標準試験条件の範囲とする。
c) 線源を用いる試験及びパルス信号発生器を用いた試験以外の試験は,未使用のろ紙を使用状態と同様
に装着して行う。ただし,7.2に用いるろ紙は,JIS K 0901に規定するもので,捕集効率は,粒径0.3 μm
の粒子に対して95 %以上のものとする。
d) スケーラ式のダストモニタにおいて線源を用いて指示値を記録する場合は,適切な時間を設定する。
e) 数値の丸め方は,JIS Z 8401に従う。
f) 試験に用いるモニタ及び測定器は,国際又は国家計量標準にトレース可能な計量標準に照らして校正
又は検証すること。
7.2.2 検出部のレスポンス試験
線源を製造業者の定める位置に設置して測定し,正味計数率からレスポンスを求める。レスポンスは,
次の式による。
Nt
R
Mt
ここに, R : レスポンス
Nt : 正味計数率
Mt : 放射能の取決め真値
なお,放射能の取決め真値は,表面放出率で値付けられた線源を用いる場合には,次の式による。
X
Mt
ここに, Mt : 取決め真値
X : 表面放出率
ε : 線源効率。線源効率は,特に規定のない場合,0.5とする。
7.2.3 直線性試験
アナログ式の直線目盛の場合は,最高感度を指示する指示範囲(アナログ式の対数目盛及びデジタル式
の場合はデカード,以下同じ。)の25 %,最低感度を指示する指示範囲の75 %,その他の指示範囲の50 %
近辺に相当する指示値について,次のa) の試験又はa) の試験とb) の試験との組合せによって行う。a) の
試験とb) の試験との組合せによって実施する場合,a) の線源を用いた照射試験の試験点は,受渡当事者
間の協定によって定めてもよい。
a) 線源を用いた試験 線源を用いた試験は,試験点に相当する指示値を与える線源を製造業者の定める
位置に設置して測定し,得られた正味計数率をレスポンスで除した値,及び放射能の取決め真値から
相対基準誤差を求める。
ここで,放射能の取決め真値は,放射能又は表面放出率を線源効率で除したものとする。
b) 電気試験 電気試験は,パルス信号発生装置を用い,検出部からの出力信号に近似した波形を指示部
の入力端に試験点に相当する指示値を与える信号を入力する。ここで,相対基準誤差E(%)を次の
式によって求める。
i Q 1
E 100
I q
ここに, E : 相対基準誤差(%)
I : 線源を用いた試験の指示値
Q : Iと同じ指示値を与える信号入力パルス率
――――― [JIS Z 4316 pdf 12] ―――――
10
Z 4316 : 2013
q : 試験点に相当する指示値を与える信号入力パルス率
i : qを入力したときの指示値
7.2.4 外部放射線の影響試験
外部放射線の影響試験は,次による。
a) 検出部の周りに遮蔽のない状態で,γ線源による線量率が検出部の位置で,空気カーマ率10 μGy・h-1
±10 %となるような線源の位置を求める。
b) ダストを捕集していない状態で,標準試験条件下でのダストモニタの指示値及びバックグラウンド指
示値の決定しきい値を求める。指示値は,5分間隔で10回以上読み取り,記録する。
c) ) で求めた位置に線源を置き,サンプラに組み込まれた検出部を照射したときのダストモニタの指示
値を記録し,バックグラウンド指示値の決定しきい値を求める。γ線源の核種は,137Cs又は60Coと
し,検出部と線源との間隔を検出部に均一に照射されるのに十分な距離とする。指示値は,5分間隔
で10回以上読み取り,記録する。
決定しきい値の代わりに,受渡当事者間の協定によって定められた別の式を用いて求めてもよい。
7.2.5 オーバロード特性試験
オーバロード特性試験は,パルス発生器の信号を用いて,バックグラウンド及び数え落としの影響が十
分無視できる程度の指示をダストモニタに与え(指示1),指示値(I1)を記録し,この指示値を基準値と
する。次に,最低感度指示範囲又はデカードの最大目盛値の10倍以上の指示に相当する信号を入力し,10
分間以上動作させ,その間の指示値が最大目盛値を超えていることを確認する。信号の入力を停止し,1
時間又は受渡当事者間の協定によって定めた時間よりも短い時間経過後,指示1と同じ条件でダストモニ
タに指示2を与え,その指示値(I2)から基準値を差し引いた値の基準値に対する百分率を求める。
7.2.6 指示値変動試験
指示値変動試験は,バックグラウンド及び数え落としの影響が十分無視できる程度の指示を得ることの
できる線源を用いる。統計的に独立とみなせる時間間隔(時定数の3倍程度,スケーラ式ダストモニタの
場合は,時間間隔を設ける必要はない。)で10回以上指示値を読み取り,変動係数を求める。
7.2.7 ドリフト試験
ドリフト試験は,バックグラウンド及び数え落としの影響が十分無視できる程度の指示を得ることので
きる線源を用いて行う。ダストモニタを起動させて30分後に,統計的に独立とみなせる時間間隔で10回
以上指示値を読み取り,この平均値を基準値とする。続いて1時間後,10時間後,100時間後に各10回以
上指示値を読み取り,平均値を計算し,平均値から基準値を差し引いた値の基準値に対する百分率を求め
る。
7.2.8 警報レベルの安定性試験
警報レベルの安定性試験は,次による。
a) パルス信号発生装置を用いて,指示下方から警報レベルの95 %まで上昇させ,100時間又は受渡当事
者間の協定に基づく時間運転したときに警報が発生しないことを確認する。
b) ダストモニタ起動後,30分後及び100時間又は受渡当事者間の協定に基づく時間経過後に,パルス信
号発生装置を用いて,指示下方から警報レベルの105 %まで上昇させ,5分以内に警報が発生するこ
とを確認する。
7.2.9 β線エネルギー特性試験
β線エネルギー特性試験は,次のエネルギー範囲にβ線最大エネルギーのある線源を製造業者の定める
位置に設置して測定し,機器効率を求める。それぞれの試験で用いる線源の形状及び構造は同一とする。
――――― [JIS Z 4316 pdf 13] ―――――
11
Z 4316 : 2013
a) 400 keV以下のエネルギー範囲において1種類の線源
b) 400 keV1 MeVの範囲において1種類の線源
c) 1 MeV以上の範囲において1種類の線源
統計変動を無視できるような十分な強度の線源を用いる。
7.2.10 測定対象外の放射線の影響試験
測定対象外の放射線の影響試験は,次による。
a) α線の影響 β線検出部にα線を照射し機器効率を測定する。
b) β線の影響 α線検出部にβ線を照射し機器効率を測定する。
7.2.11 検出部及び測定部の起動時間の安定性試験
検出部及び測定部の起動時間の安定性試験は,装置への電源を1時間以上止めてから実施する。始めに,
バックグラウンド及び数え落としの影響が十分無視できる程度の指示値を得ることのできる位置に線源を
取り付ける。電源投入後,1時間の間,5分ごとに指示値を読み取り,経過時間と指示値との関係のグラフ
を描き,グラフから30分後の指示値を読み取り記録する。さらに,10時間後の指示値を読み取り,その
値を基準値とする。起動後30分後の指示値から基準値を差し引いた値の基準値に対する百分率を求める。
起動後30分後の指示値は,グラフからではなく直接読み取ってもよい。各点での指示値の読取回数は,統
計的に独立とみなせる時間間隔で10回以上とし,その平均値を指示値とする。必要があれば指示値に対し
て半減期補正を行う。
7.2.12 電源電圧の変動に対する安定性試験
電源電圧の変動に対する安定性試験は,バックグラウンド及び数え落としの影響が十分無視できる程度
の指示値を得ることのできる位置に線源を取り付け,電源電圧を定格電圧の88 %,100 %,110 %にした場
合の指示値を読む。定格電圧における指示値を基準値とし,各電圧における指示値から基準値を差し引い
た値の基準値に対する百分率を求める。電源電圧の試験点は,受渡当事者間の協定によって定めてもよい。
7.2.13 温度特性試験
温度特性試験は,ダストモニタ全体又は検出部を動作状態にして恒温槽内に設置し,α線,β線又はγ
線の線源を用いて,バックグラウンド計数率及び数え落としの影響が十分無視できる程度の放射線を,検
出部に照射する。槽内を5.12に規定する温度範囲の各上下限の温度に4時間以上保持する。指示値は,こ
の保持時間の最後の30分間に取得したデータを記録する。次に,基準温度20 ℃の指示値を基準値とする。
上下限温度点及び中間温度点における指示値から基準値を差し引いた値の基準値に対する百分率を求める。
この試験の温度範囲に対して線源が耐久性をもたない場合は,電気信号試験によって代替してもよい。
7.2.14 湿度特性試験
湿度特性試験は,ダストモニタ全体又は検出部を動作状態にして恒温槽内に設置し,周囲温度35 ℃で
相対湿度65 %及び90 %において,α線,β線又はγ線の線源を用いて,バックグラウンド計数率及び数
え落としの影響が十分無視できる程度の放射線を,検出部に照射する。ダストモニタを動作状態にし,前
記の各相対湿度(湿度の許容差は±5 %とする。)の環境に1時間以上放置した後,指示値を読む。相対湿
度65 %における指示値を基準値とし,相対湿度90 %における指示値から基準値を差し引いた値の基準値
に対する百分率を求める。この試験の湿度範囲に対して線源が耐久性をもたない場合は,電気信号試験に
よって代替してもよい。
7.2.15 圧力降下の影響試験
圧力降下の影響試験は,次による。
a) 新しいろ紙を装着し,ダストモニタに備えられた流量計の指示値を読み取り,定格流量に調整する。
――――― [JIS Z 4316 pdf 14] ―――――
12
Z 4316 : 2013
b) ダストモニタの上流側に基準流量計を取り付け,基準流量計とダストモニタ入口との間に調整バルブ
を取り付ける。
c) 調整バルブを絞り,基準流量計の指示値を10 %低下させる。
d) ) における基準流量計の指示値を取決め真値とする。
e) ) におけるダストモニタに備えられた流量計の指示値を読み取る。
なお,圧力降下は,校正済みの圧力センサ(Uチューブ,差圧計など)を,ろ紙の下流側の製造業者指
定位置に取り付けて確認することが望ましい。
7.2.16 気密性試験
気密性試験は,サンプラの吸引口を密閉し,流路内の圧力と大気との差が13 kPa以上になるように減圧
した後,吸引ポンプの入口を閉じ,吸引ポンプを停止する。この状態を5分間保持し,5分経過前後の圧
力計の指示値を読み取り,次の式によって漏えい量を求め,定格吸引量に対する百分率を求める。
なお,圧力計を装備していないサンプラの場合には,吸引口などの適切な位置に圧力計を接続して試験
を行う。この場合,接続部からの漏えいがないように注意しなければならない。
VP0 1 P5
Q ln
1013. 5 P0
ここに, P5 : 5分後における圧力(kPa)
P0 : 試験開始時における圧力(kPa)
Q : 試験開始時における漏えい量(L/min)
V : 内容量(L)
7.2.17 電源電圧の変動による流量への影響試験
電源電圧の変動による流量への影響試験は,吸引ポンプの電源電圧を定格電圧の88 %に下げた場合の流
量計の指示値と,定格電圧の110 %値に上げたときの流量計の指示値とを読み取り,定格電圧のときの流
量計の指示値を基準値とし,電圧変動時の指示値から基準値を差し引いた値の基準値に対する百分率で表
す。また,電源電圧の試験点は,受渡当事者間の協定によって定めてもよい。
8 検査
8.1 一般
ダストモニタの検査は,形式検査2) と受渡検査3) とに区分し,箇条7に規定する方法で行い,箇条5の
規定に適合したものを合格とする。
なお,形式検査は,設計段階で一つ以上のダストモニタに対して行う。受渡検査の抜取方式は,受渡当
事者間の協定による。
注2) 製品の品質が,設計で示した全ての特性を満足するかどうかを判定するための検査。
3) 既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造による製品の受渡しをする場合,必要と認める
特性が満足するものであるかどうかを判定するための検査。
8.2 形式検査
形式検査は,次の項目について試験する。
a) 検出部のレスポンス
b) 直線性
c) 外部放射線の影響
――――― [JIS Z 4316 pdf 15] ―――――
次のページ PDF 16
JIS Z 4316:2013の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60761-1:2002(MOD)
- IEC 60761-2:2002(MOD)
- IEC 61172:1992(MOD)
JIS Z 4316:2013の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.240 : 放射線測定
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.280 : 放射線防護
JIS Z 4316:2013の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0901:1991
- 気体中のダスト試料捕集用ろ過材の形状,寸法並びに性能試験方法
- JISQ17025:2018
- 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項
- JISZ4001:1999
- 原子力用語
- JISZ4601:2009
- 放射性ダストサンプラ
- JISZ8103:2019
- 計測用語
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方