JIS Z 4514:2010 β線組織吸収線量測定器及び線量当量測定器の校正方法 | ページ 2

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名称は,シーベルト(Sv)である。
注記2 光子とβ線との線質係数Qは,1 Sv・Gy−1に非常に近い値をもつ。吸収線量−線量当量換算
係数は,線質係数Qを含む。
3.8
弱透過性放射線の方向性線量当量,H′(0.07;→Ω)(directional dose equivalent for weakly penetrating radiation)
拡張放射線場内にICRU球を置いたとき,特定の方向に対して角度→Ωをなす,半径上の深さ0.07 mmの
点での線量当量。
3.9
弱透過性放射線の個人線量当量,Hp(0.07)(personal dose equivalent for weakly penetrating radiation)
身体上の特定の点から,深さ0.07 mmにある軟組織中での線量当量。
3.10
参照吸収線量,DR(reference absorbed dose)
ICRU組織で作られた,ファントムの表面が入射放射線の(平均)方向に一致するような向きの平板形
ファントム(スラブファントム)中の個人吸収線量[Dp(0.07)]。
注記1 個人吸収線量[Dp(0.07)]の定義は,ICRU Report 51[3]による。この定義をスラブファントム
に拡張する。
注記2 スラブファントムは,β線場の測定に用いられる標準器(外挿電離箱)を囲む物質によって
十分な精度で近似できる。
注記3 ICRU球における方向性吸収線量[D' (0.07; 0°)]は,DRの十分よい近似である。
3.11
方向性線量当量の取決め真値,H′t(conventional true value of directional dose equivalent)
標準器によって測定した方向性線量当量の最良推定値。深さ0.07 mmにおいて,方向→Ωで測定した角度
αで定義する校正条件下の方向性線量当量の取決め真値H't(0.07;→Ω)は,式(1)によって求める。
H't (0.07;→Ω)=h'D (0.07;source;α) DR (1)
ここに, “source” : ある校正距離におけるある線源の標準放射線場であるこ
とを示す(線源の核種,距離及びフィルタの組合せ)。
α : 校正条件におけるβ線の入射角。
3.12
個人線量当量の取決め真値,Hp,t(conventional true value of personal dose equivalent)
標準器によって測定した個人線量当量の最良推定値。深さ0.07 mmの個人線量当量については,式(2)
によって求める。
Hp,t (0.07)=hp,D (0.07;source;α) DR (2)
注記1 吸収線量−線量当量換算係数には,方向性線量当量又は個人線量当量を記述し,どの線量当
量の換算係数であるかを示す。換算係数hDは,エネルギースペクトルに依存し,H'(0.07;→Ω)
及びHp(0.07)の換算係数は,入射放射線の角度分布にも依存する(ICRU47の図2.1参照[4])。
校正条件の下で,方向→Ωが入射方向に一致していると仮定すると,方向性線量当量及び個人
線量当量は,(平均)入射方向とファントム表面の垂線とのなす角度αに依存する。したがっ
て,換算係数h'D(0.07;source;α)及びhp,D(0.07;source;α)を,線源の核種,距離,及びフィ
ルタの組合せ(“source”)で与えられる標準場のスペクトルと入射角αとの関数として考慮す
ることは有用である。

――――― [JIS Z 4514 pdf 6] ―――――

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注記2 換算係数hp,D(0.07;source;α)及びh'D(0.07;source;α)は,近似的に等しく,同値であるとみ
なす。
注記3 一般に取決め真値は,与えられた目的に対しては真の値との差が無視できる程度に十分小さ
いものと考えられている。例えば,二次標準器によって求めた測定結果を取決め真値として
もよい。
3.13
吸収線量−線量当量換算係数,hD(absorbed dose to dose equivalent conversion coefficient)
線量当量Hを参照吸収線量DRで除した値。その式を式(3)に示す。
H
hD (3)
DR
3.14
影響量(influence quantity)
測定を目的とする量以外で,測定結果に影響を与える量。
3.15
基準条件(reference conditions)
影響量の補正が不要な条件。
3.16
標準試験条件(standard test conditions)
校正又は試験時における影響量の許容範囲。
注記 理想的には,校正又は試験は,基準条件で行うのが望ましい。基準条件は,必ずしも実現でき
ないために(例えば,気圧),又は簡単のために(例えば,気温),基準条件付近の範囲を標準
試験条件として用いる。影響量が基準条件と異なることに起因する校正定数の変化は,基本的
に補正しなければならない。しかし,実際には,目標とする不確かさによって補正するか,又
は不確かさに含めるのかを決定する。校正又は試験の間,試験の対象でないすべての影響量は,
標準試験条件の範囲内になければならない。標準試験条件及び基準条件は,附属書Cによる。
3.17
校正条件(calibration conditions)
実際に校正又は試験を行ったときの条件。
3.18
試験点(point of test)
測定しなければならない取決め真値が既知である放射線場の点。
注記 校正又は試験を行うとき,線量計の基準点は,試験点に設置する。
3.19
基準方向(reference direction)
線量計の方向であって,単一方向の放射線場における入射角に関係する方向。
注記 0°入射の場合,線量計の基準方向は,放射線の入射方向と一致するが,向きは反対である。
3.20
基準点(reference point)
線量計の入射窓面の中心など,校正又は試験を行うときに試験点に合わせて設置する線量計の点。

――――― [JIS Z 4514 pdf 7] ―――――

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注記 測定の距離は,仮にファントムを装着していたとしても,放射線源と線量計の基準点との距離
とする。
3.21
基準の向き(reference orientation)
入射放射線の方向が線量計の基準方向と一致するような線量計の向き。
3.22
指示値,M(indicated value)
線量計の指示値。
3.23
校正定数,N(calibration factor)
基準条件下で,標準場の試験点における取決め真値Htを指示値Mrで除した値。その式を式(4)に示す。
Ht
N (4)
Mr
注記1 校正定数Nは,指示値が測定量と同じ単位の物理量を示すとき,無次元である。取決め真値
を正確に示す線量計は,校正定数が1である。
注記2 校正定数の逆数は,基準条件におけるレスポンスに等しい。校正定数は,基準条件に対する
値にあるのに対し,レスポンスは測定時の条件における値である。
注記3 校正定数の値は,測定量の大きさによって変化することがある。このような場合には,線量
計は,非線形のレスポンスをもつという。
3.24
基準校正定数,N0(reference calibration factor)
測定量の基準値Ht,0を指示値Mr,0で除した校正定数。その式を式(5)に示す。
Ht,0
N0 (5)
Mr,0
注記 この定義は,非線形のレスポンスをもつ線量計について特に重要な定義である。3.23の注記3
を参照。
3.25
非線形レスポンスに対する補正係数,kn(correction factor for non-linear response)
測定量が変化する範囲における校正定数Nを基準校正定数N0で除した値。その式を式(6)に示す。
N
kn (6)
N0
注記 線形レスポンスをもつ機器では,knは1である。
3.26
影響量に対する補正係数,kq(correction factor for an influence quantity)
目的とする影響量を変化させ,かつ,他の影響量が基準条件の値である場合に,取決め真値Htを,試験
点の校正定数Nと指示値Mとで除した値。
線形レスポンスをもつ機器の影響量に対する補正係数は,式(7)によって求める。
Ht
kq (7)
N M

――――― [JIS Z 4514 pdf 8] ―――――

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注記1 非線形のレスポンスをもつ機器について,指示値は,基準校正定数を求めたときに得られた
値と等しいと期待される。
注記2 放射線エネルギー及び入射方向の補正を行うには補正係数が必要である。
3.27
β線エネルギー及び入射角に対する補正係数,kE,α(correction factor for beta-particle energy and angle of
incidence)
(平均)β線エネルギーE及び(平均)β線入射角αに対する補正係数。
注記 αは,線源からの入射角を表す。電子の散乱によって電子は様々な角度で入射するため,αは
電子の入射角の平均と考えることができる。αは,線量計の基準方向と線源からの放射線の入
射方向とのなす角度である。
3.28
レスポンス,R(response)
指示値Mを取決め真値で除した値。
注記1 レスポンスの種類は,明記するのが望ましい。例えば,ある条件下の試験点における線量当
量についての取決め真値Htに関するレスポンスは,指示値MをHtで除した値である。また,
参照吸収線量DRに関するレスポンスは,指示値MをDRで除した値である。
注記2 基準条件のレスポンスは,校正定数の逆数である。

4 β線標準場の生成

4.1 β線標準場の要求事項

4.1.1  標準場の仕様
標準場の仕様は,放射性核種,校正距離,残留最大エネルギー,ビームフラッタニングフィルタ又は線
質制御に用いる付加フィルタ(以下,付加フィルタという。)の有無及びその種類,並びに参照吸収線量率
で表す。
4.1.2 標準場のエネルギー
標準場のエネルギーは,Eresと等しいと定義する(3.2及び4.3.1.2参照)。
4.1.3 β線スペクトルの形状
標準場のβ線スペクトルは,理想的には一つの核種からの一つのβ崩壊過程によるものが望ましい。複
数の崩壊過程をもつ核種の場合には,次のいずれかを満たさなければならない。
a) すべての主要な崩壊過程について,β線エネルギーのそれぞれの最大値は,それら最大値のうち最も
大きい値と最も小さい値の平均値の±20 %でなければならない。
b) 線源カプセル又は付加フィルタによって,β線エネルギーの最大値が小さい崩壊過程に基づくβ線放
出率を主要過程の放出率の10 %以下に減衰させなければならない。
4.1.4 線量率の均一性
標準場における線量率は,校正する検出器の面積全体にわたって,可能な限り均一であることが望まし
い。シリーズA標準場(4.3.2.2参照)に用いる線源は,大きな半径の照射野にわたって満足する均一性を
もつ,高線量率の場を生成できない。そのため,この規格ではシリーズB標準場(4.3.2.3参照)を規定す
る。β線標準場の線量率は,その変動が次の条件を満たす円形の範囲内で均一であるとみなす。
a) res≧300 keVの場合は,±5 %
b) res<300 keVの場合は,±10 %

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4.1.5 光子の影響
標準場のγ線,特性X線及び制動放射によるX線に起因する,Hp(0.07)に寄与する光子由来の線量率
は,校正に用いた検出器で測定したβ線吸収線量率の5 %以下であることが望ましい。
4.1.6 β線放出率の減少
β線放出率は,β線源の減衰によって時間の経過とともに減少する。放射性核種の半減期は可能な限り長
いことが望ましく,できれば1年以上がよい。推奨する線源の半減期は,表1による。
表1−β線放出核種のデータ
最大エネルギー
核種 半減期(日) X線及びγ線
Emax (MeV) )
14C なし
2 093 000 0.156
γ: 0.121 MeV (0.01 %)
147Pm Sm X線: 5.6 keV 7.2 keV
958.2 0.225
39.5 keV46.6 keV
85Kr
3915 0.687 γ: 0.514 MeV (0.4 %)
204Tl
Hg X線: 9.9 keV13.8 keV
1 381 0.763
68.9 keV82.5 keV
90Sr+90Y
10 523 2.274 なし
106Rh γ: 0.512 MeV (20 %)
γ: 0.622 MeV [11 % ダブレットb)]
106Ru+106Rh
373.6 3.54 γ: 1.05 MeV (1.5 %)
γ: 1.13 MeV [0.5 % ダブレットb)]
γ: 1.55 MeV (0.2 %)
注a) 最大エネルギーの値は,参考値である。
b) 発生源の異なる近接したエネルギーをもつ2種類のγ線。

4.2 標準場の生成に適するβ線放出核種

  表1にβ線を放出し,適切なエネルギーをもつ放射性核種のデータを示す。β線放出核種は,この表に
示すものから選ぶのが望ましい。これらの核種は,エネルギーが0Emaxまでの連続したスペクトルのβ
線を放出する。
通常,実際に放射性核種を線源として使用する場合は,密封されているため,線源カプセルが制動放射
によるX線及び特性X線を生成することに注意しなければならない。

4.3 線源の特徴及びその測定

4.3.1  標準線源の基本的な特徴
4.3.1.1 標準線源の構造
標準線源の構造は,4.1の要求事項に適合するようにするために,次の性質をもつことが望ましい。
a) 核種を含む単体又は化合物は,使用中及び保管中の温度及び湿度の範囲内で安定であることが望まし
い。
b) 線源を密封する構造及び密封する方法は,通常の使用に当たって線源へのダメージ及び放射能の漏え
い(洩)がないように,十分に強固で安定であることが望ましい。ただし,Eresが表2の最小値を超
えるようにしなければならない。

――――― [JIS Z 4514 pdf 10] ―――――

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JIS Z 4514:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 6980-1:2006(MOD)
  • ISO 6980-2:2004(MOD)
  • ISO 6980-3:2006(MOD)

JIS Z 4514:2010の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 4514:2010の関連規格と引用規格一覧